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英単語は「10回書いて覚える」は逆効果? 書き取りが記憶をジャマした実験と、上手な使い方

英単語は「10回書いて覚える」は逆効果? 書き取りが記憶をジャマした実験と、上手な使い方

読む前に予想してみよう!

新しい外国語の単語は、書き写しながら覚えたほうが、書かずに見るだけより必ずよく覚えられる

研究カード(どんな研究?)
対象
英語を母語とするスペイン語学習者など
規模
数十人規模×複数実験
研究の種類
実験(条件比較)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

新しい単語を覚える最初の段階で書き写しや文作りをすると、覚えられる量が減った実験がある。一方、つづりの記憶には書くことが役立つ。

ひとことで言うと単語を10回書くより、「思い出す」ほうが覚えられる。書くのはつづりの練習に!

もくじ
  1. 書き写した単語のほうが覚えていなかった
  2. でも「つづり」には書くのが効く
  3. 一番効くのは「思い出す」こと
  4. まとめ

英単語テストの前日、ノートに同じ単語を10回ずつ書く。学校の宿題でもおなじみの勉強法です。

でも、アメリカの言語学者バークロフトの実験では、新しい単語を書き写したほうが、書かなかった場合より覚えていなかったという結果が出ました。「書いて覚える」は、本当に効率がいいのでしょうか?

01書き写した単語のほうが覚えていなかった

2004年の実験では、新しい単語を使って文を作らせる課題でも、同じように覚えられる量が下がりました。

バークロフトはこの結果を、「処理の余力」の取り合いで説明しています。新しい単語を覚えるとき、脳は単語の形(音・つづり)を覚え込むのに集中したい。そこに「書く」「文を作る」という作業が入ると、注意がそちらに取られてしまうというわけです。

02でも「つづり」には書くのが効く

ここで話は単純ではありません。

1987年のトーマスとディーターの研究では、外国語の単語を書き写す練習が、その単語の“書かれた形”の記憶を助けたという結果が出ています。

つまり、書くことはつづり(スペル)を覚えることには役立つ可能性がある。問題は、単語に出会ったばかりの段階で、書くことが「主役」になってしまうことなのです。

手が忙しすぎると、頭が単語の「形」を運ぶ余裕がなくなる
手が忙しすぎると、頭が単語の「形」を運ぶ余裕がなくなる

03一番効くのは「思い出す」こと

では、単語はどう覚えればいいのでしょうか。

記憶研究で一番強い証拠があるのが「思い出す練習(想起練習)」です。カーピキーとローディガーが2008年に科学誌『サイエンス』で報告した実験では、外国語の単語ペアを覚えるとき、一度思い出せた単語は、くり返し読むより、くり返しテストして思い出すほうが、1週間後の記憶が大きく上回りました。

書き取り学習も、答えを見ないで書くなら「思い出す練習」になります。違いは「見ながら書き写す」か「思い出して書く」か。前者は手の運動、後者は記憶のトレーニングです。

04まとめ

「単語を書き写して覚える」は、新しい単語の最初の段階では逆効果になりうることがわかりました。書き写しは手の運動になりがちで、頭が単語の形を覚える余裕を奪ってしまいます。

おすすめは、まず聞いて言う→見ないで思い出す→つづりが怪しいものだけ書くの順番。ノートの書き取りは、「思い出してから書く」に変えるだけで、効率が上がると期待できます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWriting a new word over and over is a familiar way to study vocabulary, but research suggests it may not… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Writing a new word over and over is a familiar way to study vocabulary, but research suggests it may not help at the very beginning. In a 2006 experiment by the linguist Barcroft, English-speaking learners of Spanish studied 24 nouns with pictures. They copied 12 of the words and simply looked at the other 12.

On tests given right after the study and two days later, they recalled more of the words they had not written. An earlier study found the same problem when learners had to make sentences with new words. Barcroft believes that writing uses up attention that the brain needs to learn the form of a word. However, another study showed that copying can help learners remember spelling, so writing is useful at a later stage.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

新しい単語を何度も書くことは、なじみのある語彙の勉強法ですが、研究によると、ごく最初の段階では役に立たないかもしれません。言語学者バークロフトによる2006年の実験で、英語を母語とするスペイン語学習者が、絵と一緒に24個の名詞を学習しました。彼らは12語を書き写し、残りの12語はただ見るだけにしました。

学習の直後と2日後に行われたテストで、彼らは書かなかった単語のほうを多く思い出しました。それ以前の研究でも、学習者が新しい単語で文を作らなければならないときに同じ問題が見つかっていました。バークロフトは、書くことが、脳が単語の形を覚えるのに必要な注意を使い果たしてしまうと考えています。しかし別の研究では、書き写しがつづりを覚えるのに役立つことが示されており、書くことは後の段階では有用なのです。

4択リーディングクイズ

Q1. How were the 24 Spanish nouns studied in Barcroft's experiment?

Q2. According to Barcroft, why did writing reduce learning?

Q3. What can we infer from the last sentence?

重要単語

  • copyA2
    動詞書き写すCopying a word ten times may not help. 「コピー機でコピーする」以外に「手で書き写す」の意味がある。copy A into B「A を B に書き写す」。
  • retrievalC1
    名詞想起(思い出すこと)Retrieval makes memories stronger. 動詞 retrieve(取り戻す・検索する)。retrieval practice「想起練習」は学習科学の最重要キーワード。
  • spellingA2
    名詞つづりWriting helps you learn spelling. 動詞 spell。How do you spell it?「どうつづりますか」は会話の定番。
  • recallB2
    動詞思い出すTry to recall the word before you check it. re-(再び)+ call(呼ぶ)=記憶から呼び戻す。研究英語では recall test「再生テスト」、recognition test「再認テスト」と対比される。
  • hinderC1
    動詞妨げるCopying may hinder learning at first. hinder A from doing「A が~するのを妨げる」。prevent より「遅らせる・じゃまする」のニュアンス。難関大頻出。
  • processing resourcesC1
    名詞(句)処理資源(注意の容量)Writing uses up processing resources. 認知心理学・SLA の用語。人が一度に使える注意や処理の量には限りがある、という考え方。use up「使い果たす」とセットで。
  • encodeC1
    動詞(情報を)記憶に符号化するThe brain needs time to encode a new word. 記憶研究では encode(覚え込む)→ store(保持)→ retrieve(思い出す)の3段階で説明する。

4コマでわかる

英単語は「10回書いて覚える」は逆効果? 書き取りが記憶をジャマした実験と、上手な使い方の4コマ漫画
英単語を「1語10回書いて覚える」、実は新しい単語の最初の段階では逆効果かもしれないらしい。書き写した単語のほうが、書かなかった単語より覚えていなかった実験がある。手が忙しいと、頭が単語の形を覚えるヒマがない。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Barcroft (2004) Effects of sentence writing in second language lexical acquisition. Second Language Researchdoi.org
  2. Barcroft (2006) Can writing a new word detract from learning it? More negative effects of forced output during vocabulary learning. Second Language Researchdoi.org
  3. Thomas & Dieter (1987) The positive effects of writing practice on integration of foreign words in memory. Journal of Educational Psychologydoi.org
  4. Karpicke & Roediger (2008) The critical importance of retrieval for learning. Sciencedoi.org