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「赤シート学習」は効く? 心理学で見ると最強クラスの勉強法、でも“チラ見”と“早すぎる卒業”で台無しに

「赤シート学習」は効く? 心理学で見ると最強クラスの勉強法、でも“チラ見”と“早すぎる卒業”で台無しに

読む前に予想してみよう!

赤シートで答えを隠したら、声に出したり書いたりしないと効果がない

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
数十〜100人規模×複数実験
研究の種類
ランダム化を含む実験研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

赤シートで答えを隠して思い出すのは、記憶研究で強い効果が知られる「想起練習」そのもの。ただし思い出す前に見る、覚えたと思った単語をすぐ外すと効果が落ちる。

ひとことで言うと赤シートは「思い出す練習」なのでよく効く。でも、すぐ答えを見たら意味がない!

もくじ
  1. 赤シート=「想起練習」そのもの
  2. 頭の中で答えるだけでもOK
  3. 落とし穴①:「すぐチラ見」はもったいない
  4. 落とし穴②:「覚えた!」と思った単語をすぐ外す
  5. まとめ

日本の受験生の必須アイテム、赤シート。赤い文字を隠して、単語や用語を覚える道具です。

「なんとなく使っているけど、本当に効くの?」と思ったことはありませんか? 心理学の研究で見ると、赤シートは実は最強クラスの学習法と同じしくみを持っています。ただし、使い方しだいで効果が大きく下がる落とし穴もありました。

01赤シート=「想起練習」そのもの

記憶の研究で特に強い証拠があるものの一つが、想起練習(答えを思い出す練習)です。ダンロスキーらが2013年に学習法を総合評価した論文でも、「練習テスト」は最高評価を受けました。

赤シートで答えを隠し、「なんだっけ?」と思い出す。これはまさに想起練習です。読んで眺めるだけより、記憶がずっと強くなると期待できます。

02頭の中で答えるだけでもOK

「声に出したり書いたりしないと意味がない?」と心配する人もいるでしょう。

ポイントは、本当に思い出そうとすること。答えを頭の中ではっきり言ってから、シートをずらして確認すれば、声に出さなくても十分に効果があります。

03落とし穴①:「すぐチラ見」はもったいない

思い出せないとき、すぐにシートをずらしたくなりますよね。

コーネルらの2009年の研究では、答えられない問題でも、まず答えようと試みてから正解を見たほうが、最初から答えを見るより覚えられたことが示されています。「わからない!」と悩んだ数秒間が、答えを見たときの記憶を強くするのです。

答えを見る前の「うーん」が、記憶をきたえている
答えを見る前の「うーん」が、記憶をきたえている

04落とし穴②:「覚えた!」と思った単語をすぐ外す

もう一つの落とし穴は、できた単語をすぐに練習から外すことです。

1回正解できたからといって、その記憶が長持ちするとは限りません。「1回できた」は「まだ途中」と考えるのが安全です。

05まとめ

赤シート学習は、心理学的には「想起練習」という強力な方法です。頭の中で答えるだけでも、ちゃんと効きます。

効果を台無しにしないコツは2つ。答えを見る前に本気で思い出すことと、1回できただけで卒業させないこと。今日の赤シートから、ちょっとだけ「待つ」を意識してみましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe red sheet, a favorite tool of Japanese exam takers, works in the same way as retrieval practice, which… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The red sheet, a favorite tool of Japanese exam takers, works in the same way as retrieval practice, which is trying to recall an answer before checking it. A major 2013 review of study methods gave practice testing its highest rating. In the same year, Smith and his colleagues found in four experiments that recalling answers silently improved memory just as much as saying or writing them, and more than rereading.

However, two habits can weaken the effect. One is checking the answer too soon. A 2009 study showed that trying to answer first, even unsuccessfully, helps learning. The other is dropping words too early. When students were allowed to remove cards they thought they knew, their scores were slightly but consistently lower.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本の受験生お気に入りの道具である赤シートは、想起練習、つまり答えを確認する前に思い出そうとすることと同じしくみで働きます。2013年に学習法を大規模に評価したレビューでは、練習テストが最高の評価を受けました。同じ年、スミスらは4つの実験で、頭の中で黙って答えを思い出すことが、声に出したり書いたりするのと同じくらい記憶を高め、読み直すよりも効果があることを見いだしました。

しかし、2つの習慣がこの効果を弱めることがあります。1つは答えを早く見すぎることです。2009年の研究は、たとえ答えられなくても、先に答えようとすることが学習を助けることを示しました。もう1つは単語を早く外しすぎることです。覚えたと思ったカードを抜いてよいとされた学生の成績は、わずかながら一貫して低かったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did Smith and his colleagues find in 2013?

Q2. What happened when students could remove cards they thought they knew?

Q3. What can we infer from the 2009 study?

重要単語

  • retrieval practiceC1
    名詞(句)想起練習(思い出す練習)Retrieval practice is better than rereading. 学習科学の最重要用語。testing effect(テスト効果)とほぼ同じ意味で使われる。赤シート・単語カード・小テストはすべてこれ。
  • covertC1
    形容詞頭の中だけの・表に出さないCovert retrieval means answering in your head. 反対語は overt(表に出た)。covert operation「秘密作戦」のように「隠れた」が基本の意味。
  • overconfidentB2
    形容詞自信過剰のStudents are often overconfident about what they know. over-(過度に)+ confident。名詞 overconfidence。メタ認知研究で頻出。
  • flashcardB1
    名詞単語カードKeep difficult flashcards in your deck. flash(ぱっと見せる)+ card。カードの束は deck と言う。
  • attemptB1
    名詞・動詞試み(る)Even a failed attempt helps you learn. attempt to do「~しようと試みる」。名詞では make an attempt。try より硬い語。
  • retentionC1
    名詞(記憶の)保持Testing improves long-term retention. 動詞 retain「保持する」。学習研究では「どれだけ長く覚えていられるか」を指す定番語。
  • prematureC1
    形容詞早すぎる・時期尚早のDropping a word after one correct answer is premature. pre-(前に)+ mature(熟した)=熟す前の。副詞 prematurely。premature conclusion「早まった結論」。
赤シート学習は、記憶研究で特に効果が高いとされる学習法のひとつ「想起練習」そのものらしい。しかも頭の中で答えるだけでも、声や紙に書くのとほぼ同じ効果。ただ「覚えた!」と思ってすぐ外すのはNGだった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Smith, Roediger & Karpicke (2013) Covert retrieval practice benefits retention as much as overt retrieval practice. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognitiondoi.org
  2. Kornell, Hays & Bjork (2009) Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognitiondoi.org
  3. Kornell & Bjork (2008) Optimising self-regulated study: The benefits—and costs—of dropping flashcards. Memorydoi.org
  4. Dunlosky et al. (2013) Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interestdoi.org