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単語帳は「英→日」だけでいい? 研究では「日→英」で覚えたほうが“使える単語”が増えていた

単語帳は「英→日」だけでいい? 研究では「日→英」で覚えたほうが“使える単語”が増えていた

読む前に予想してみよう!

「英語を見て意味を答える」練習だけをしていれば、英語で言ったり書いたりする力も同じように伸びる

研究カード(どんな研究?)
対象
日本人の英語学習者、オランダ人大学生など
規模
数十〜130人規模
研究の種類
実験研究(学習方向の比較)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

英語を見て日本語を言う練習だけでは、英語を言える・書ける力は伸びにくい。日本語から英語を思い出す練習のほうが幅広く身についた。

ひとことで言うと単語は「日本語を見て英語を言う」練習もすると、話せる・書ける単語が増える!

もくじ
  1. 「向き」によって身につく力が違う
  2. 「練習の向き」と「本番の向き」をそろえる
  3. 両方の力が欲しいなら?
  4. まとめ

単語帳で勉強するとき、あなたはどちらの向きで覚えていますか?

多くの人は、英単語を見て日本語の意味を言う「英→日」。でも、英作文やスピーキングで「あれ、"〜する" って英語で何だっけ?」と出てこないことはありませんか。

それは、練習の「向き」が関係しているのかもしれません。

01「向き」によって身につく力が違う

研究者は、「もし一つの方法しか使えないなら、日→英(産出的学習)のほうが効果的かもしれない」と結論づけています。

02「練習の向き」と「本番の向き」をそろえる

オランダの大学生を対象にしたシュタイネルらの研究(2007年)では、英語のイディオムを覚えるときの向きを比べました。

その結果、本番で英語を言う(産出)テストでは、母語(オランダ語)→英語の向きで練習した人が大きく有利。逆に、英語を見て意味を選ぶテストでは、英語→母語で練習した人のほうが有利でした。

つまり、練習した向きの力が伸びる。スポーツでいえば、シュート練習ばかりしていてもパスはうまくならない、というのと同じです。

どちらの道を練習したかで、たどり着く力が変わる
どちらの道を練習したかで、たどり着く力が変わる

03両方の力が欲しいなら?

フランス語を学ぶ11〜13歳の生徒を対象にしたグリフィンとハーレーの研究(1996年)でも、「母語→外国語」の順番で提示するほうが、「言える」と「わかる」の両方が必要な場合に使い勝手がよいという結果が出ています。

ただし、日→英は難しい練習です。最初からこれだけにすると、思い出せない単語ばかりで心が折れるかもしれません。

おすすめは、最初は英→日で意味をつかみ、慣れてきたら日→英に切り替えること。とくに英作文や会話で使いたい単語は、日→英の練習が欠かせません。

ちなみに、日→英の練習で「思い出せなかった」経験もムダではありません。記憶の研究では、答えようと頑張ってから正解を見ると、最初から答えを見るより記憶に残りやすいことが知られています。日→英で詰まったら、数秒粘ってから答えを確認しましょう。

04まとめ

「英→日」だけの単語帳学習では、見てわかる単語は増えても、使える単語はなかなか増えません。

話したい・書きたいなら、日本語から英語を引き出す練習を加えましょう。今日の単語帳は、2周目だけ逆向きに。それだけで、英作文で「出てこない!」が少しずつ減っていきます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost learners study vocabulary by looking at an English word and recalling its Japanese meaning. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Most learners study vocabulary by looking at an English word and recalling its Japanese meaning. This is the receptive direction. In a 2009 study, Webb compared it with the productive direction, where Japanese learners of English saw the meaning and recalled the English word. He used ten different tests of word knowledge.

The productive group did better in many areas, including spelling and grammatical use. The receptive group was better at recognizing the meaning of English words. A study of Dutch university students learning English idioms found a similar pattern.

Learners did best on tests that matched the direction they had practiced. So if you want to use a word when you speak or write, practice going from Japanese to English.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ほとんどの学習者は、英単語を見てその日本語の意味を思い出すことで語彙を勉強しています。これが受容的な向きです。2009年の研究で、ウェブはこれを、日本人英語学習者が意味を見て英単語を思い出す産出的な向きと比較しました。彼は単語の知識に関する10種類のテストを使いました。

産出的なグループは、つづりや文法的な使い方を含む多くの面でよい成績をとりました。受容的なグループは、英単語の意味を見てわかる力で上回りました。英語のイディオムを学ぶオランダの大学生を対象にした研究でも、似たパターンが見られました。

学習者は、自分が練習した向きと一致するテストで最もよい成績をとったのです。ですから、話したり書いたりするときに使いたい単語は、日本語から英語への向きで練習しましょう。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the "productive direction" in this passage?

Q2. What was the receptive group better at?

Q3. What does the study of Dutch students suggest?

重要単語

  • receptiveC1
    形容詞受容的な(見て・聞いてわかる)Receptive knowledge helps you read. receive(受け取る)の形容詞。SLA では receptive vocabulary「受容語彙」=見て・聞いてわかる語彙。
  • productiveB2
    形容詞産出的な(言える・書ける)Productive knowledge helps you speak and write. 日常では「生産的な」。SLA では productive vocabulary「発信語彙」。receptive とペアで覚えると入試の長文でも迷わない。
  • directionA2
    名詞方向・向きChange the direction of your flashcards. in the direction of ~「~の方向に」。前置詞は in を使う点に注意(to ではない)。
  • transferB2
    名詞・動詞転移(する)・応用(される)Learning transfers best when practice matches the test. 学習心理学では「ある場面で学んだことが別の場面に生きること」。動詞は trans-FER と後ろに強勢。
  • spellA2
    動詞つづるCan you spell the word without looking? 名詞 spelling。「呪文」の spell とは同じつづりの別の意味。
  • recognizeB1
    動詞(見て)それとわかる・認識するI can recognize the word, but I cannot say it. re-(再び)+ cognize(知る)。recall(自分で思い出す)より楽な課題で、受容的知識に当たる。
  • idiomB2
    名詞イディオム・慣用句"Break the ice" is a common English idiom. 単語の意味を足しても全体の意味にならない表現。形容詞 idiomatic「慣用的な・自然な」。
単語帳を「英語→日本語」の向きだけで回している人へ。日本人学習者の研究では、「日本語→英語」で覚えた組のほうが、つづりや文法の使い方まで身についていたらしい。読むだけなら英→日、使いたいなら日→英。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Webb (2009) The effects of receptive and productive learning of word pairs on vocabulary knowledge. RELC Journaldoi.org
  2. Griffin & Harley (1996) List learning of second language vocabulary. Applied Psycholinguisticsdoi.org
  3. Steinel, Hulstijn & Steinel (2007) Second language idiom learning in a paired-associate paradigm: Effects of direction of learning, direction of testing, idiom imageability, and idiom transparency. Studies in Second Language Acquisitiondoi.org