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「果物の英単語」をまとめて覚えるのは逆効果? 仲間の単語ほど頭の中で混ざってしまう研究

「果物の英単語」をまとめて覚えるのは逆効果? 仲間の単語ほど頭の中で混ざってしまう研究

読む前に予想してみよう!

意味の似た新しい単語(例:色の名前)を同時に覚えると、取り違えが起きやすくなる

研究カード(どんな研究?)
対象
英語学習者(日本人大学生133人など)
規模
数十〜100人規模×複数研究
研究の種類
実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

似た意味の単語を一度にまとめて覚えると、混ざって間違えやすくなるという研究がある。2018年の研究では覚えた量に有意な差はなかったが、取り違えのミスはやはり増えた。

ひとことで言うと似た仲間の単語をいっしょに覚えると、ごちゃまぜになりやすい!

もくじ
  1. 似た単語は「頭の中でぶつかる」
  2. どんでん返し:2018年の研究では「覚えた量」に有意な差がなかった
  3. 「テーマ」でまとめるのはアリ
  4. まとめ

英単語帳を開くと、「果物」「体の部位」「色」「曜日」のように、意味の仲間ごとに単語が並んでいるページがよくあります。

整理されていて覚えやすそう……と思いますよね。ところが、研究者たちは何十年も前から「新しい単語を意味の仲間でまとめると、かえって覚えにくい」と指摘してきました。

01似た単語は「頭の中でぶつかる」

なぜでしょうか。心理学では、似た情報どうしは記憶の中で干渉し合うことが知られています。「apple」「peach」「pear」を同時に覚えると、どれがどの意味だったかごちゃまぜになりやすいのです。

日本語でも、「右と左」「東と西」のような対になった言葉は、うっかり取り違えやすいですよね。

トルコの研究(エルテンとテキン、2008年)でも、小学生の英語学習者で意味のセットで習った単語のほうが成績が低かったと報告されています。

02どんでん返し:2018年の研究では「覚えた量」に有意な差がなかった

ところが、話はここで終わりません。

つまり、「仲間でまとめると覚えられる量が大きく減る」という強い主張は、条件をそろえるとはっきりしなかった。でも、混同のミスが増えるという点は確かめられたのです。

さらに意外なことに、学習を時間的に分散させる効果は、関連した単語より、関連のない単語のほうで大きかった。「似た単語は分散させれば混ざらない」という単純な話でもなさそうです。

似たものばかりの引き出しは、取り出すときに迷いやすい
似たものばかりの引き出しは、取り出すときに迷いやすい

03「テーマ」でまとめるのはアリ

研究者たちがすすめるのは、意味の仲間(semantic)ではなく、場面・話題(thematic)でまとめる方法です。

例えば「カエル」がテーマなら、frog(名詞)、green(形容詞)、hop(動詞)、pond(名詞)。品詞も意味もバラバラで、混ざりにくいうえに、一つのストーリーとしてつながります。

04まとめ

似た意味の単語を最初から一気にまとめて覚えると、取り違えが起きやすくなります。ただし、覚える量が大きく減るかどうかは、2018年の研究では、はっきりしませんでした。

おすすめは、新しい単語は場面でまとめ、似た単語は一度に覚える数をしぼること。仲間別のページは「覚えた後の整理用」に使いましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerVocabulary books often group words by meaning, such as fruits or parts of the body. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Vocabulary books often group words by meaning, such as fruits or parts of the body. However, researchers have warned for decades that learning new words in such groups can make them harder to learn. In 1993, Tinkham found that sets of related words took longer to learn than sets of unrelated words, and a later study with Japanese learners reported the same result.

The reason is interference. Similar memories compete with each other. A careful 2018 study of 133 Japanese university students, however, found no significant difference in the number of words learned. Even so, students made more mix-up errors with related words. Researchers therefore suggest grouping new words by theme instead, for example "frog," "green," "hop" and "pond," which are different kinds of words.

125 words ・ CEFR B1

和訳を見る

単語帳はよく、果物や体の部位のように意味ごとに単語をまとめています。しかし研究者たちは何十年も前から、新しい単語をそうしたグループで覚えると、かえって覚えにくくなりうると警告してきました。1993年、ティンカムは、関連した単語のセットのほうが関連のない単語のセットよりも覚えるのに時間がかかることを見いだし、その後の日本人学習者を対象にした研究でも同じ結果が報告されました。

その理由は干渉です。似た記憶どうしが互いに競合するのです。しかし、日本人大学生133人を対象にした2018年の慎重な研究では、覚えた単語の数に有意な差は見られませんでした。それでも、学生たちは関連した単語でより多くの取り違えのミスをしました。そのため研究者たちは、代わりに新しい単語をテーマでまとめることを提案しています。たとえば「frog」「green」「hop」「pond」のように、種類の違う単語を組み合わせるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did Tinkham find in 1993?

Q2. What did the 2018 study find?

Q3. Why are "frog," "green," "hop" and "pond" a good example for learners?

重要単語

  • interferenceC1
    名詞干渉(記憶どうしのじゃま合い)Similar words cause interference. 動詞 interfere with ~「~をじゃまする」。記憶研究の基本概念で、似た情報ほど互いの想起を妨げる。
  • semanticC1
    形容詞意味のThese words belong to the same semantic group. semantics「意味論」。semantic clustering は「意味のまとまりでグループ化すること」。thematic(テーマの)と区別。
  • clusterB2
    名詞・動詞かたまり・集団(になる)Avoid learning new words in tight clusters. a cluster of ~「~の集まり」。感染症ニュースの「クラスター」と同じ語。
  • confuseB1
    動詞混同するI often confuse "borrow" and "lend." confuse A with B「A を B と混同する」。形容詞 confused(混乱した)と confusing(ややこしい)の区別も頻出。
  • themeB1
    名詞テーマ・話題Group new words around a theme, like the airport. 発音は /θiːm/(スィーム)で「テーマ」ではない。形容詞 thematic。
  • replicateC1
    動詞(研究結果を)再現するWaring replicated the result with Japanese learners. 名詞 replication「追試・再現」。科学では結果が replicate されるかどうかが信頼性のカギ。
  • rigorousC1
    形容詞厳密なA more rigorous study found a smaller effect. rigor(厳しさ)の形容詞。rigorous research / testing の形で研究の質をほめるときに使う。
単語帳の「果物」「体の部位」みたいな仲間別ページ、新しく覚えるときはかえって混ざりやすいらしい。日本人大学生の実験でも、似た単語どうしの取り違えミスが増えていた。まとめるなら「意味の仲間」より「場面」。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Tinkham (1993) The effect of semantic clustering on the learning of second language vocabulary. Systemdoi.org
  2. Waring (1997) The negative effects of learning words in semantic sets: A replication. Systemdoi.org
  3. Erten & Tekin (2008) Effects on vocabulary acquisition of presenting new words in semantic sets versus semantically unrelated sets. Systemdoi.org
  4. Nakata & Suzuki (2018) Effects of massing and spacing on the learning of semantically related and unrelated words. Studies in Second Language Acquisitiondoi.org