カタカナ語は英単語の「隠れ貯金」だった。日本人が覚えやすい単語と、使うときの意外な落とし穴

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カタカナ語として日本語に入っている英単語は、日本人にとって覚えやすいことが研究で示されている
英単語の形を思い出すテストで、カタカナ語になっている単語のほうが多く思い出せた。ただし文中で使う力は別だった。
- 対象
- 日本人の英語学習者、オランダ人の大学生など
- 規模
- 数十人規模
- 研究の種類
- 実験研究
- 確かさ
- ★★★☆☆
カタカナ語になっている英単語は日本人学習者にとって形を思い出しやすかった。一方、文の中で使うのは覚えたてだとむしろ難しい場合があった。
ひとことで言うとカタカナ語になっている英単語は覚えやすい。でも使い方は意外とむずかしい!
テーブル、コンピューター、チャレンジ、リスク、メリット……。日本語には、英語から入ってきたカタカナ語がたくさんあります。
英語学習では「カタカナ発音はダメ」と言われがちですが、実はこのカタカナ語、英単語を覚えるための強力な「隠れ貯金」だったことが研究でわかっています。ただし、その貯金には意外な落とし穴もありました。
01似ている単語は覚えやすく、忘れにくい
形と意味が似ている異なる言語の単語を同族語(コグネイト)と呼びます。英語とフランス語の「information」のような関係です。
論文のタイトルは「覚えにくいものは忘れやすい」。最初から覚えやすい単語は、記憶にも残りやすいのです。
02日本語のカタカナ語でも同じことが起きた
では、日本語と英語のように文字も音のしくみも違う言語でも、同じ効果はあるのでしょうか。
カタカナ語は、たとえ英語の発音とずれていても、英単語の「手がかり」として働いていたのです。

03どんでん返し:「使う」のは難しかった
ところが、同じ研究には意外な結果もありました。
文の空欄に単語を入れるテスト(クローズテスト)では、学習直後は、カタカナ語になっていない単語のほうが伸びが大きかったのです(1週間後には差がなくなりました)。
研究者たちは、「カタカナ語の英単語は形を覚えるのは楽でも、文の中で使うのは難しいかもしれない」と考察しています。
考えられる理由の一つは、カタカナ語の意味と英語の意味のズレです。例えば日本語の「マンション」は英語の mansion(大邸宅)とは違いますし、「クレーム」は英語の claim(主張する)とは使い方がかなり違います。「テンション」「スマート」なども同様です。こうした見た目は似ているのに意味が違う語は「偽の友だち(false friends)」と呼ばれます。
04まとめ
カタカナ語は、日本人にとって英単語を覚えるための頼れる貯金でした。ただ、文の中で使うときには、意味のズレという落とし穴があります。
カタカナ語を見つけたら「ラッキー」と思いつつ、英語での本当の意味と発音を一度だけ確認する。これで貯金を、安全に「使えるお金」に変えられます。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerJapanese contains thousands of loanwords from English, such as "computer" and "challenge." Researchers call…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Japanese has many words from English, like "table" and "risk." These are called loanwords. Are they useful for learning English? A 2014 study with Japanese learners says yes.
Learners remembered English words that are also Japanese loanwords better than other words. But there is a problem. Some loanwords have a different meaning in English.
For example, "mansion" in English means a very large house. So always check the English meaning in a dictionary.
73 words ・ CEFR A2
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日本語には「テーブル」や「リスク」のように、英語から来た言葉がたくさんあります。これらは外来語と呼ばれます。外来語は英語の学習に役立つのでしょうか。日本人学習者を対象にした2014年の研究は、「はい」と答えています。
学習者は、日本語の外来語にもなっている英単語を、ほかの単語よりよく覚えていました。しかし問題もあります。外来語の中には、英語では意味が違うものがあるのです。
たとえば英語の「mansion」は、とても大きな家という意味です。だから、いつも辞書で英語の意味を確認しましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
外来語は英単語の記憶に役立つが、意味のズレという問題もある、という内容なので D。
Q2. What does "mansion" mean in English?
"mansion" in English means a very large house とあるので B。日本語の「マンション」とは違う。
Q3. In this passage, "loanwords" are ...
Japanese has many words from English ... These are called loanwords. とあり、他の言語から取り入れた語のことなので A。
Japanese contains thousands of loanwords from English, such as "computer" and "challenge." Researchers call words that are similar in form and meaning across languages "cognates," and they are known to be easier to learn. In 2000, a Dutch study found that cognates and concrete words were not only easier to learn but also harder to forget a week later.
In 2014, Rogers, Webb and Nakata tested whether Japanese loanwords work in the same way. Japanese learners recalled the English forms of loanword cognates better than other words. However, when they had to fill in blanks in sentences, the non-loanwords improved more right after study. This may be because some loanwords, like "claim," are used differently in Japanese. These misleading words are called "false friends."
124 words ・ CEFR B1
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日本語には「コンピューター」や「チャレンジ」のように、英語からの外来語が何千もあります。研究者は、言語をまたいで形と意味が似ている単語を「同族語(コグネイト)」と呼び、それらは覚えやすいことが知られています。2000年、オランダの研究で、同族語や具体的な単語は覚えやすいだけでなく、1週間後に忘れにくいこともわかりました。
2014年、ロジャーズ、ウェブ、中田は、日本語の外来語も同じように働くかどうかを検証しました。日本人学習者は、外来語になっている同族語の英語の形を、ほかの単語よりよく思い出しました。しかし文の空欄を埋めなければならないときは、学習直後には外来語でない単語のほうが大きく伸びました。これは「クレーム」のように、日本語では違う使い方をされる外来語があるからかもしれません。こうした誤解をまねく単語は「偽の友だち」と呼ばれます。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 2000 Dutch study find about cognates?
cognates and concrete words were not only easier to learn but also harder to forget a week later とあるので B。
Q2. In the sentence-blank test, which words improved more right after study?
the non-loanwords improved more right after study とあるので C。
Q3. What can we infer about "false friends"?
日本語では違う使い方をされる語が「誤解をまねく単語」とされているので、見た目は似ていても誤用の原因になると推測できる。正解は A。
Japanese has absorbed thousands of English loanwords, and although teachers often warn against katakana pronunciation, these words may be a hidden asset for vocabulary learning. Research on cognates, words that share form and meaning across languages, supports this idea. De Groot and Keijzer found in 2000 that cognates and concrete words were learned more easily and, importantly, forgotten less after a week, while word frequency had little effect. Whether this applies to languages as different as Japanese and English, which differ in both script and sound structure, was tested by Rogers, Webb and Nakata in 2014.
In a strictly scored form-recall test, Japanese learners remembered loanword cognates better than noncognates, and the advantage held even when their higher prior knowledge was taken into account. A cloze test, however, told a different story: immediately after study, noncognates showed greater gains, although the difference disappeared after a week. The authors suggest that loanwords may be easier to recall but harder to use in context, possibly because many have shifted in meaning or sound in Japanese, as with "mansion" or "claim." Learners should therefore exploit loanwords as memory hooks while checking how the English words are actually used.
195 words ・ CEFR B2
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日本語は何千もの英語の外来語を取り入れてきました。教師はカタカナ発音をしばしば戒めますが、これらの単語は語彙学習にとって隠れた財産かもしれません。言語をまたいで形と意味を共有する単語、すなわち同族語の研究は、この考えを支持しています。デ・フロートとケイツァーは2000年、同族語や具体的な単語はより覚えやすく、そして重要なことに1週間後に忘れにくい一方、単語の使用頻度はほとんど影響しないことを見いだしました。文字と音の構造の両方が異なる日本語と英語ほど違う言語にもこれが当てはまるかどうかは、2014年にロジャーズ、ウェブ、中田によって検証されました。厳密に採点した形の想起テストでは、日本人学習者は外来語の同族語を非同族語よりもよく覚えており、もともとの知識が多いことを考慮に入れても、その優位は保たれました。
しかしクローズテスト(空所補充テスト)は別の結果を示しました。学習直後は非同族語のほうが大きく伸びたのです。ただし、この差は1週間後には消えました。著者たちは、外来語は思い出すのは簡単でも文脈の中で使うのは難しいのかもしれないと示唆しています。その原因としては、「マンション」や「クレーム」のように、日本語の中で意味や音が変化したものが多いことが考えられます。したがって学習者は、外来語を記憶のフックとして活用しつつ、英単語が実際にどう使われるかを確認すべきです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
外来語は形を思い出すのに有利だが、文脈で使うのは難しいかもしれない、という内容が中心なので C。
Q2. What happened in the cloze test?
immediately after study, noncognates showed greater gains, although the difference disappeared after a week とあるので D。
Q3. Why does the author mention "mansion" and "claim"?
many have shifted in meaning or sound in Japanese, as with "mansion" or "claim" とあり、意味や音が変化した外来語の例なので B。
重要単語
- loanwordB2名詞外来語・借用語"Table" is a loanword in Japanese.
loan(貸し出し)+ word。他言語から「借りた」語。borrowed word とも言う。 - cognateC1名詞同族語(言語をまたいで形と意味が似た語)Cognates are easier to remember.
co-(共に)+ gnate(生まれた)=同じ起源。SLA では母語との共通語彙が学習を助ける例として重要。 - false friendC1名詞(句)偽の友だち(見た目は似ているが意味が違う語)"Mansion" is a false friend for Japanese learners.
日本人なら mansion(大邸宅)、claim(主張する)、smart(賢い)などが代表例。和製英語とセットで要注意。 - concreteB2形容詞具体的なConcrete words are easier to learn than abstract ones.
反対語は abstract(抽象的な)。名詞の「コンクリート」と同じ語で「固まった=はっきりした」イメージ。 - forgetA2動詞忘れるDifficult words are easier to forget.
forget to do「~し忘れる」と forget doing「~したことを忘れる」の違いは入試の定番。 - cloze testC1名詞(句)クローズテスト(空所補充テスト)The cloze test asked learners to fill in blanks in sentences.
closure(閉じること)から。文中の空欄を埋めて「閉じる」テスト。close と同じ発音 /kloʊz/。 - assetC1名詞財産・強みLoanwords can be an asset for Japanese learners.
a valuable asset「貴重な財産」。ビジネス英語でも頻出。反対語は liability(負担)。
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日本語には英語由来のカタカナ語が何千とある。日本人学習者の実験では、カタカナ語になっている英単語は思い出しやすかったらしい。ただし文の中で使うのは、覚えた直後はむしろ苦戦。カタカナ語は「貯金」だけど「落とし穴」もある。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Rogers, Webb & Nakata (2014) Do the cognacy characteristics of loanwords make them more easily learned than noncognates? Language Teaching Researchdoi.org
- de Groot & Keijzer (2000) What is hard to learn is easy to forget: The roles of word concreteness, cognate status, and word frequency in foreign-language vocabulary learning and forgetting. Language Learningdoi.org
- Lotto & de Groot (1998) Effects of learning method and word type on acquiring vocabulary in an unfamiliar language. Language Learningdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









