地球・歴史・物理

空はなぜ青い? 本当は「紫色」に見えてもおかしくなかった話

空はなぜ青い? 本当は「紫色」に見えてもおかしくなかった話

読む前に予想してみよう!

火星の夕焼けは、地球とは逆に青っぽく見える

研究カード(どんな研究?)
対象
大気による太陽光の散乱
規模
理論(レイリー散乱)+大気光学の観測
研究の種類
物理理論と観測
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

空気の分子は波長の短い青い光ほど強く散らす(レイリー散乱)。紫はさらに散らされるが、太陽光に少なく目も感じにくいので空は青に。夕方は青が散り尽くして赤が残る。

ひとことで言うと空気が青い光をあちこちにばらまくから、空は青く見えるんだよ!

もくじ
  1. 太陽の光は「全部の色のまぜこぜ」
  2. 空気は「青い光」をばらまく
  3. じゃあ、なぜ「紫」じゃないの?
  4. 夕焼けが赤い理由
  5. 雲が白いのはなぜ?
  6. まとめ

「ねえ、どうして空は青いの?」

子どもに聞かれて、うまく答えられなかった経験はありませんか? 大人でも意外と説明できない、この素朴なギモン。

答えのカギは、空気が光を「ばらまく」性質にあります。そしてもう1つ、知るとちょっと驚くのが、理屈の上では空は「紫色」に見えてもおかしくなかったということ。順番に見ていきましょう。

01太陽の光は「全部の色のまぜこぜ」

太陽の光は白っぽく見えますが、実は赤・オレンジ・黄・緑・青・紫など、いろいろな色の光がまざったものです。雨上がりの虹は、その光が水滴で色ごとに分けられた姿です。

色の違いは、光の波長(波の山と山の間隔)の違い。赤は波長が長く、青や紫は波長が短い光です。

02空気は「青い光」をばらまく

太陽の光が地球の空気の中を通るとき、光は空気の分子(窒素や酸素のとても小さなつぶ)にぶつかって、あちこちに散らばります。これを散乱といいます。

「波長の4乗に反比例」と聞くと難しそうですが、ざっくり言えば、青い光(波長約450nm)は赤い光(約700nm)の5〜6倍くらい散らばりやすいということ。

だから、昼間に空を見上げると、空気にぶつかってあちこちに散らばった青い光が、空全体から目に飛びこんできます。これが青空の正体です。

青い光ほど空気のつぶにはじかれ、空いっぱいに広がる
青い光ほど空気のつぶにはじかれ、空いっぱいに広がる

03じゃあ、なぜ「紫」じゃないの?

ここで鋭い人は気づくはずです。「波長が短いほど散らばるなら、青より短い紫のほうが、もっと散らばるんじゃない?」

その通り! 理屈の上では、紫の光は青よりもさらに強く散らばります。それでも空が紫に見えない理由は、主に2つです。

  1. 太陽の光に、紫はもともと少なめ

太陽の光は色ごとに強さが違い、紫の光は青に比べて少なめです。さらに、紫より波長が短い紫外線の多くは、上空のオゾン層などで吸収されてしまいます。

  1. 人間の目が、紫を感じにくい

私たちの目には、色を感じる3種類のセンサー(錐体)があります。このセンサーは紫の光に対しての感度があまり高くありません。そのうえ、空から届く紫・青・緑などがまざった光を、脳は全体として「白っぽい青(水色)」と感じるのです。空の青が、絵の具の青ほど濃くないのはこのためです。

つまり、青空の「青」は、空気の性質と太陽の光の中身、そして人間の目のしくみの、3つの合わせ技なのです。

04夕焼けが赤い理由

夕方になると、空はオレンジや赤に染まります。これも同じレイリー散乱で説明できます。

太陽が低い位置にあると、光は地平線すれすれから、空気の層をななめに長く通って私たちに届きます。昼間に比べて、通る空気の距離がずっと長くなるのです。

長い旅の途中で、散らばりやすい青い光はどんどん横に散らされて、途中でいなくなってしまいます。最後まで残って目に届くのが、散らばりにくい赤やオレンジの光。だから夕日は赤く見えるのです。空気中にちりや火山灰、水蒸気が多い日は、さらに色が濃くなることもあります。

ちなみに、日がしずんだ直後に頭の上の空が深い青色を保つのには、別の理由もあります。上空のオゾンが、オレンジ〜赤の光を少しだけ吸収するのです。夕暮れの空が赤一色にならず、青から赤へのグラデーションになるのは、この効果も効いています。

05雲が白いのはなぜ?

青い空に浮かぶ雲は、なぜ白いのでしょう?

雲をつくる水のつぶ(直径0.01mmほど)は、空気の分子や光の波長に比べるとずっと大きいため、どの色の光も同じくらい散らばらせます(ミー散乱)。すべての色がまざると白になるので、雲は白く見えるのです。分厚い雨雲が灰色に見えるのは、光が雲の中で何度も散らされ、下まで届く光が減るためです。

ちなみに、ちりの多い火星では、昼の空はうす茶色っぽく、夕日のまわりは逆に青白く見えることが、NASAの探査車キュリオシティなどの撮影でわかっています。火星のちりのつぶは、青い光を進行方向(前方)に散らしやすい大きさのため、太陽の近くだけが青く見えるのです。星が変われば、空の色のルールも変わるのです。

06まとめ

  • 空気の分子は、波長の短い青い光ほど強く散らばらせる(レイリー散乱)
  • 紫はさらに散らばるが、太陽光に少なく、人の目も感じにくいので空は青に
  • 夕方は光が長い距離を通るため、青が散り尽くして赤が残る
  • 雲は大きな水のつぶがすべての色を散らすので白い

次に夕焼けを見たら、「青い光は今、どこか別の場所の空を青くしているんだな」と想像してみてください。あなたが見ている夕焼けの裏側で、誰かが青空を見上げているかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSunlight contains all colors, and each color has a different wavelength. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Sunlight contains all colors, and each color has a different wavelength. In 1871, the British physicist Lord Rayleigh showed that tiny particles in the air scatter light with shorter wavelengths much more strongly. Blue light is scattered about five to six times more than red light, so blue light reaches our eyes from every part of the sky.

Violet light is scattered even more, but sunlight contains less violet, and our eyes are not very sensitive to it. At sunset, sunlight passes through much more air, so most blue light is scattered away before it reaches us, leaving red and orange. Clouds look white because their water drops scatter all colors equally.

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

太陽の光にはすべての色が含まれていて、色ごとに波長が違います。1871年、イギリスの物理学者レイリー卿は、空気中の小さな粒子は波長の短い光ほどずっと強く散乱させることを示しました。青い光は赤い光の約5〜6倍散乱されるので、青い光は空のあらゆる場所から私たちの目に届きます。

紫の光はさらに強く散乱されますが、太陽の光には紫が少なく、私たちの目も紫にはあまり敏感ではありません。夕方には、太陽の光がずっと多くの空気の中を通るので、青い光のほとんどは届く前に散らされてしまい、赤やオレンジが残ります。雲が白く見えるのは、雲の水のつぶがすべての色を同じように散乱させるからです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Why don't we see the sky as violet?

Q3. If the Earth had no air, what color would the daytime sky most likely be?

重要単語

  • scatterB2
    動詞散らす、散乱させるAir molecules scatter blue light in all directions. be scattered「散らばっている」の形でもよく出る。名詞 scattering(散乱)。
  • wavelengthB2
    名詞波長Red light has a longer wavelength than blue light. be on the same wavelength は比喩で「気が合う・考えが通じ合う」。
  • atmosphereB1
    名詞大気Sunlight travels a long way through the atmosphere at sunset. atmo(蒸気)+sphere(球)。「雰囲気」の意味も重要。形容詞 atmospheric。
  • moleculeB2
    名詞分子Nitrogen molecules are much smaller than light waves. atom(原子)が集まったもの。形容詞 molecular。
  • perceiveB2
    動詞知覚する、感じ取るOur eyes perceive the mixture of colors as blue. perceive A as B「AをBとして知覚する・とらえる」。名詞 perception。
  • absorbB2
    動詞吸収するOzone absorbs much of the ultraviolet light. be absorbed in ~「~に夢中になる」も頻出。名詞 absorption。

動画でもっと知る

空が青いのは空気が青い光をばらまくから。でも理屈だけなら、空は「紫色」になっていてもおかしくなかったらしい。そうならなかった理由が面白い。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Strutt (Lord Rayleigh) (1871) On the light from the sky, its polarization and colour, Philosophical Magazinedoi.org
  2. Smith (2005) Human color vision and the unsaturated blue color of the daytime sky, American Journal of Physicsdoi.org
  3. Hulburt (1953) Explanation of the Brightness and Color of the Sky, Particularly the Twilight Sky, Journal of the Optical Society of Americadoi.org