脳と心理ホント

「Aは赤」「月曜は黄色」。文字に色が見える共感覚、その色の正体はおもちゃだった人も

「Aは赤」「月曜は黄色」。文字に色が見える共感覚、その色の正体はおもちゃだった人も

読む前に予想してみよう!

共感覚はとても珍しく、数千人に1人しかいない

研究カード(どんな研究?)
対象
一般の人・共感覚者
規模
約500人(有病率調査)〜6,588人
研究の種類
疫学調査・オンライン調査
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

共感覚は、かつての推定よりずっと多く、全タイプ合わせて約4%。文字の色が子どものころの磁石おもちゃと一致する人も見つかった。

ひとことで言うと文字に色が見える人がいる。その色は、昔遊んだおもちゃの色かも!

もくじ
  1. 「思い込み」じゃない証拠
  2. 25人に1人? 実は珍しくなかった
  3. その色の正体は、冷蔵庫のマグネット!
  4. まとめ

「Aって赤いよね」「水曜日は緑っぽい」

もしこう言われて「わかる!」と思ったなら、あなたは共感覚(きょうかんかく)の持ち主かもしれません。逆に「何それ?」と思った人には、ちょっと信じられない世界の話です。

共感覚とは、文字を見ると色を感じる、音を聞くと色が見える、といったように、ある感覚が別の感覚を自動的に引き起こす現象です。

01「思い込み」じゃない証拠

「ただの連想でしょ?」と思うかもしれません。でも共感覚には、ふつうの連想とは違う特徴があります。

  • 同じ文字には、何年たっても同じ色を答える(一貫性が非常に高い)
  • 本人の意思とは関係なく、自動的に色を感じる

共感覚は「気のせい」ではなく、本当に知覚が違うことを示す結果です。

0225人に1人? 実は珍しくなかった

昔、共感覚は2,000人に1人ほどの珍しいものと考えられていました。

ところが2006年、イギリスのシムナー(Simner)さんらが、自分から名乗り出た人だけでなく一般の人を対象に、客観的なテストを使って調べたところ——

  • 何らかの共感覚を持つ人は約4%(以前の推定の88倍)
  • いちばん多いのは「曜日に色」のタイプ
  • 研究が多い「文字に色」のタイプは約1%
  • 「女性に多い」と言われていたが、男女差ははっきりしなかった

意外と身近な現象だったのです。

子どものころ毎日見ていた「色つきの文字」が、共感覚の色になった人もいた
子どものころ毎日見ていた「色つきの文字」が、共感覚の色になった人もいた

03その色の正体は、冷蔵庫のマグネット!

共感覚の文字の色は、どこから来るのでしょう? 生まれつき(遺伝)の要素があることは、家族に共感覚者が多いことからも考えられています。

でも2013年、アメリカの研究者ウィットホフト(Witthoft)さんとウィナウアー(Winawer)さんが、驚く報告をしました。11人の共感覚者の文字の色が、ある有名な冷蔵庫用アルファベット磁石おもちゃの色とそっくり同じだったのです。

2015年にはさらに大規模な調査が行われ、英語圏の文字色共感覚者6,588人のうち、少なくとも400人(約6%)が、そのおもちゃから色を覚えたと考えられる結果でした。そのおもちゃが発売されて10年ほどのあいだに生まれた人では、時期によって約15%に達していました。一方、発売より5年以上前に生まれた人には、一人もいませんでした。

04まとめ

共感覚は、すべてのタイプを合わせると約25人に1人という身近な現象でした。そしてその色の一部は、子どものころに遊んだおもちゃから来ていることもあったのです。

もし周りに「Aは赤」と言う人がいたら、子どものころの冷蔵庫の話を聞いてみると、意外な発見があるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSynesthesia is a condition in which one sense automatically triggers another, such as seeing colors when… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Synesthesia is a condition in which one sense automatically triggers another, such as seeing colors when reading letters. It is not just imagination. Synesthetes give the same color to the same letter even years later, and in a 2001 experiment, two people who saw colors for numbers found hidden shapes made of 2s among 5s faster than other people.

Synesthesia was once thought to affect one person in 2,000, but a 2006 study that tested ordinary people found about four percent. Where do the colors come from? In 2013, researchers reported that eleven synesthetes had letter colors very similar to those of a popular set of alphabet magnets for refrigerators. Childhood experience can shape which letter gets which color.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

共感覚とは、文字を読むと色が見えるといったように、ある感覚が自動的に別の感覚を引き起こす状態のことです。それは単なる想像ではありません。共感覚者は何年たっても同じ文字に同じ色を答えますし、2001年の実験では、数字に色が見える2人は、5の中に並べた2で作られた隠れた形を、ほかの人より速く見つけました。

共感覚はかつて2,000人に1人に見られるものと考えられていましたが、一般の人を調べた2006年の研究では約4%でした。では、その色はどこから来るのでしょうか。2013年、研究者たちは、11人の共感覚者の文字の色が、冷蔵庫に貼る人気のアルファベット磁石セットの色と非常によく似ていたと報告しました。子どものころの経験が、どの文字が何色になるかを決めることがあるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2001 experiment show?

Q2. Why did the 2006 study find more synesthetes than earlier estimates?

Q3. What does the magnet toy finding suggest?

重要単語

  • synesthesiaC1
    名詞共感覚Synesthesia mixes different senses. syn-(共に)+esthesia(感覚)。英式は synaesthesia。anesthesia(麻酔=感覚がない)と同じ語根。
  • graphemeC1
    名詞書記素(文字・数字の単位)Each grapheme had its own color. graph-(書く)+-eme(単位)。phoneme(音素)と対で言語学の基本語。
  • prevalenceC1
    名詞有病率、存在する割合The prevalence was higher than expected. 形容詞 prevalent(広く行き渡った)。疫学の文脈では「ある時点で該当する人の割合」。
  • associateB2
    動詞結びつけるShe associates the letter A with red. associate A with B「AをBと結びつけて考える」。be associated with ~「~と関連がある」も必須。
  • consistentB2
    形容詞一貫したHis answers were consistent over many years. be consistent with ~「~と矛盾しない」も頻出。名詞 consistency。
  • involuntaryC1
    形容詞無意識の、意図しないThe color experience is involuntary. in-(否定)+voluntary(自発的な)。volunteer と同語源。

4コマでわかる

「Aは赤」「月曜は黄色」。文字に色が見える共感覚、その色の正体はおもちゃだった人もの4コマ漫画
「共感覚」は昔は2000人に1人と思われていたけど、調べたら全タイプ合わせて約4%いた。しかも文字の色が子どものころの冷蔵庫マグネットとそっくりな人が、6,588人中400人もいたらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Simner et al. (2006) Synaesthesia: the prevalence of atypical cross-modal experiences, Perceptiondoi.org
  2. Ramachandran & Hubbard (2001) Psychophysical investigations into the neural basis of synaesthesia, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  3. Witthoft & Winawer (2013) Learning, memory, and synesthesia, Psychological Sciencedoi.org
  4. Witthoft, Winawer & Eagleman (2015) Prevalence of learned grapheme-color pairings in a large online sample of synesthetes, PLOS ONEdoi.org
  5. Ward (2013) Synesthesia, Annual Review of Psychologydoi.org