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WHOが「やせる目的で人工甘味料は使わないで」と勧告。ゼロカロリー飲料の最新研究を整理

WHOが「やせる目的で人工甘味料は使わないで」と勧告。ゼロカロリー飲料の最新研究を整理

読む前に予想してみよう!

WHOは人工甘味料を「体に危険なので絶対に口にしてはいけない」と発表した

研究カード(どんな研究?)
対象
子ども・大人(糖尿病の人を除く)
規模
多数の研究(RCT・観察研究)
研究の種類
系統的レビューに基づくガイドライン
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

WHOは2023年、体重管理のために人工甘味料を使わないよう勧めた。長期的に体脂肪を減らす効果が見られなかったため。ただし「すぐ危険」という意味ではない。

ひとことで言うとゼロカロリーは「やせる飲み物」ではない。でも、ふつうの量なら毒でもない!

もくじ
  1. WHOが言ったのは「やせる効果は期待できない」
  2. アスパルテームの「発がん分類」の正しい読み方
  3. エリスリトールと心臓の研究も話題に
  4. まとめ

コンビニの飲料コーナーには、「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の文字があふれています。甘いのにカロリーがない。ダイエット中の人には、夢のような飲み物に見えます。

ところが2023年5月、WHO(世界保健機関)は、こうした人工甘味料などの「非糖質系甘味料」を、体重を減らす目的では使わないようにというガイドラインを発表しました。

「えっ、体に悪いの?」と思った人も多いはず。でも、この勧告の中身を正しく読むと、話は少し違って見えてきます。

01WHOが言ったのは「やせる効果は期待できない」

ポイントは、これが「条件付き」の勧告だという点です。WHOは、根拠の確かさや、国や地域による状況の違いを考えて、各国で議論が必要な推奨として位置づけています。

また、この勧告はすでに糖尿病がある人は対象外です。歯みがき粉や薬に含まれる甘味料、糖アルコール(エリスリトールなど)も対象に含まれていません。

さらにWHOは、長く使い続けた場合に、2型糖尿病や心血管病、死亡のリスクが高まる可能性も示唆されたとしています。ただし、これは主に観察研究から得られた結果です。もともと体重や健康に不安がある人ほどゼロカロリー飲料を選びやすい、という「逆の因果」が混ざっている可能性もあります。

02アスパルテームの「発がん分類」の正しい読み方

同じ2023年の7月には、WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)が、甘味料のアスパルテームを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」に分類し、ニュースになりました。

でも、このとき同時に、食品添加物の安全性を評価する専門家会議(JECFA)は、一日に摂取してよい量(一日許容摂取量)を体重1kgあたり40mgのまま据え置きました。

IARCの分類は「がんを起こす可能性の証拠がどれくらいあるか」を示すもので、「どれくらい危険か」を示すものではありません。WHOの発表では、アスパルテームを1缶に200〜300mg含むダイエット飲料の場合、体重70kgの大人が一日許容量を超えるには1日に9〜14缶より多く飲む必要がある、という例が示されています。

「危険の可能性」と「実際のリスク」は別物。量がカギになる
「危険の可能性」と「実際のリスク」は別物。量がカギになる

03エリスリトールと心臓の研究も話題に

2023年には、糖アルコールの一種エリスリトールについての研究も『Nature Medicine』に発表されました。

心臓の検査を受けた米国と欧州の人たちの血液を調べたところ、血中のエリスリトール濃度が高い人ほど、その後3年間の心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高いという関連が見られました。実験では、エリスリトールが血小板を固まりやすくする作用も示されています。

ただし、対象はもともと心臓病のリスクが高い人が中心で、エリスリトールは体内でもつくられる物質です。食べたものの影響なのか、体の状態の結果なのかは、まだはっきりしません。

04まとめ

WHOのメッセージは、「人工甘味料は毒」ではなく、「人工甘味料でやせることは期待できない」というものでした。

甘さに頼らない食生活が、遠回りに見えていちばんの近道。ゼロカロリー飲料は、「たまに楽しむ嗜好品」くらいの位置づけがちょうどいいのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerZero-calorie drinks taste sweet because they contain non-sugar sweeteners such as aspartame, sucralose or… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Zero-calorie drinks taste sweet because they contain non-sugar sweeteners such as aspartame, sucralose or stevia. Many people choose them to lose weight. However, in May 2023, the WHO released a guideline advising people not to use these sweeteners for weight control. After reviewing many studies, it found that they might reduce weight a little in the short term but did not reduce body fat in the long term.

The advice was "conditional," and it did not apply to people who already have diabetes. In July of the same year, a WHO cancer agency said aspartame was "possibly" cancer-causing, but another expert group kept the safe daily amount unchanged. So normal amounts are not considered immediately dangerous.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

カロリーゼロの飲み物が甘いのは、アスパルテーム、スクラロース、ステビアなどの非糖質系甘味料が入っているからです。多くの人がやせるためにそれを選びます。しかし2023年5月、WHOは、体重管理のためにこれらの甘味料を使わないよう勧めるガイドラインを発表しました。多くの研究を検討した結果、短期的には体重がやや減るかもしれないが、長期的には体脂肪を減らさないことがわかったのです。

この勧告は「条件付き」のもので、すでに糖尿病がある人には当てはまりませんでした。同じ年の7月、WHOのがん研究機関はアスパルテームを「発がん性の可能性がある」としましたが、別の専門家グループは1日の安全な摂取量を変えませんでした。つまり、ふつうの量ならすぐに危険だとは考えられていないのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the WHO guideline advise in May 2023?

Q2. Which is true about the WHO's advice?

Q3. What can we infer from the last two sentences?

重要単語

  • sweetenerB2
    名詞甘味料Many diet drinks contain artificial sweeteners. sweeten(甘くする)+-er(~するもの)。artificial sweetener「人工甘味料」の形で頻出。
  • guidelineB2
    名詞指針The WHO released a new guideline in 2023. 複数形 guidelines で使うことが多い。follow the guidelines「指針に従う」。
  • conditionalB2
    形容詞条件付きのIt was a conditional recommendation. condition(条件)の形容詞形。文法用語では「条件節(if 節)」の意味でもおなじみ。
  • acceptable daily intakeC1
    名詞(句)一日許容摂取量The acceptable daily intake was not changed. 略して ADI。一生毎日とり続けても健康への悪影響がないとされる量。
  • hazardB2
    名詞危険の可能性(危害要因)A hazard is not the same as a risk. hazard は「危険のもと」、risk は「実際に害が起こる可能性の大きさ」。区別が論説文のポイント。
  • carcinogenicC1
    形容詞発がん性のAspartame was classified as possibly carcinogenic. carcino(がん)+genic(生み出す)。名詞 carcinogen は「発がん物質」。
WHOは2023年、「体重を減らす目的で人工甘味料を使わないで」とガイドラインを出した。長く使っても体脂肪が減る効果が見られなかったかららしい。同じ年にアスパルテームの発がん分類も話題に。でも一日許容量は変わらず。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. WHO (2023) Use of non-sugar sweeteners: WHO guidelinewho.int
  2. WHO (2023) Aspartame hazard and risk assessment results releasedwho.int
  3. Riboli E et al. (2023) Carcinogenicity of aspartame, methyleugenol, and isoeugenol, The Lancet Oncologydoi.org
  4. Witkowski M et al. (2023) The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk, Nature Medicinedoi.org