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【2年間の実験】ゼロカロリー飲料でも「水と同じくらい」やせた。ただし資金は飲料業界

【2年間の実験】ゼロカロリー飲料でも「水と同じくらい」やせた。ただし資金は飲料業界

読む前に予想してみよう!

2年間の実験で、ゼロカロリー飲料を飲んだ人は、水を飲んだ人よりはっきり多くやせた

研究カード(どんな研究?)
対象
英国の過体重・肥満の成人(BMI27〜35)
規模
493人(2年目を完了したのは220人)
研究の種類
ランダム化比較試験(非盲検・同等性試験、104週)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

493人を水組とゼロカロリー飲料組に分けた2年間の実験で、減量の効果は「同等」だった。ただし資金は米国飲料協会で、最後まで残ったのは半数以下。

ひとことで言うと減量プログラム中は、水でもゼロカロリー飲料でもやせ方は同じくらい!

もくじ
  1. 「水チーム」と「ゼロカロリーチーム」で2年間
  2. 結果:1年目は甘味料組がリード、2年目で引き分けに
  3. どんでん返し①:お金を出したのは米国飲料協会
  4. どんでん返し②:WHOは「やせる目的では使わないで」
  5. 「水と同等」は「水より健康」ではない
  6. まとめ

ダイエット中にのどが渇いたら、水を飲む? それとも「カロリーゼロ」のコーラやサイダー?

この素朴な疑問に、2年がかりで答えようとした実験の最終結果が、2026年8月に栄養学の専門誌『British Journal of Nutrition』に載りました。答えは「どちらでも、やせ方は同じくらい」。

ゼロカロリー派には朗報に聞こえます。でも、論文の外側まで見ていくと、話はそう単純ではありませんでした。

01「水チーム」と「ゼロカロリーチーム」で2年間

論文によると、どちらの組も1本330mLの飲み物を1日2本以上飲むことになっていました。水組は、甘味料入りの飲み物を一切やめるよう求められました。違うのは中身が「水」か「甘味料入り」か、という設計です。

02結果:1年目は甘味料組がリード、2年目で引き分けに

2年後、スタート時からの減量は水組で3.7kg、甘味料飲料組で4.8kg。数字だけ見ると甘味料組が多いのですが、統計的な差はなく、研究チームは両者を「同等」と判定しました。

ただし、この試験の「同等」は「統計的に意味のある差が見つからなかった」という意味です。「まったく同じだと証明された」わけではありません。

面白いのは、途中経過です。同じ試験の過去の報告では、

  • 12週後:水組5.6kg減、甘味料組5.8kg減で「同等」
  • 1年後:水組6.1kg減、甘味料組7.5kg減で、甘味料組のほうが統計的に多くやせていた(ただし著者らは「臨床的に意味のある差ではない」とした)

そして2年後には、ふたたび差が消えました。つまり「甘味料飲料のほうがやせる」とも「甘味料飲料は太る」とも言えない、というのがこの試験の答えです。

1年目は少し差が開き、2年目には並んだ。2つの組の体重の道のり
1年目は少し差が開き、2年目には並んだ。2つの組の体重の道のり

03どんでん返し①:お金を出したのは米国飲料協会

ここで知っておきたいのが資金の出どころです。今回の論文にも1年目の論文にも、試験の資金を米国飲料協会(アメリカの飲料メーカーの業界団体)が出したことが明記されています。

論文によると、協会は試験の設計・実施・データ分析・解釈には関わっておらず、データは第三者機関がチェックしたとのこと。ただし、協会の担当者には原稿に目を通す機会が与えられ、論文づくりを手伝った医療ライターの費用も協会が出していました。業界のお金で行われた研究がすべて間違っているわけではありません。でも、読む側が知っておくべき情報なのは確かです。

もうひとつ見逃せないのが、途中でやめた人の多さ。最後の1年を終えたのは493人中220人(水組117人、甘味料組103人)で、半数を下回りました。1年目を終えた時点ですでに262人に減っており、2年目は希望者だけが続ける延長期間でした。脱落が多いと、結果が「続けられた人」に偏ってしまうおそれがあります。

04どんでん返し②:WHOは「やせる目的では使わないで」

世界保健機関(WHO)は2023年5月、体重管理のために人工甘味料などを使わないよう勧めるガイドラインを出しています(くわしくはWHOの人工甘味料ガイドラインの記事へ)。長く使っても体脂肪を減らす効果が見られず、大人では2型糖尿病や心血管病のリスクが高まる可能性も示唆されたから、というのが理由です。

実際、2017年に多くの研究をまとめた分析では、ランダム化比較試験7本(1,003人・追跡の中央値6か月)ではBMIへの効果がはっきりしなかった一方、観察研究30本(40万人超・追跡の中央値10年)では、甘味料をよくとる人ほど体重増加や病気が多いという関連が見られました。フランスの約10万人の調査でも、人工甘味料を多くとる人(性別ごとの中央値より多い人)の心血管病は、1年あたり10万人に換算して346件と、とらない人の314件より多めでした。

ただし観察研究は「もともと太りやすい人や体調が気になる人ほどゼロカロリーを選ぶ」という逆の因果を消しきれません。今回のような長期のランダム化比較試験は、そこを補うデータとして貴重です。

05「水と同等」は「水より健康」ではない

勘違いしやすいのがここです。この試験が確かめたのは「減量プログラムの中で、体重の変化が水と同じくらいか」だけ。血糖値や心臓への長期の影響まで「水と同じ」と示したわけではありません。

実際、おまけとして調べた項目では、総コレステロールは甘味料組のほうが上がり、HbA1c(血糖の目安)と下の血圧は水組のほうが下がっていました。ただし血液を調べられた人は少なく、著者らは「臨床的に意味のある差ではない」としています。

06まとめ

2年間の実験が示したのは、「ゼロカロリー飲料でも、水と同じくらいやせられる(ことがある)」という、少し地味な結論でした。この試験では甘味料飲料で体重が増えたわけではありませんが、水より優れていると示されたわけでもありません。

どちらの組もやせていたことを考えると、カギは飲み物そのものより「やせるための生活を続けられたかどうか」にありそうです。グラスの中身より、毎日の積み重ねのほうがずっと大事なのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA team at the University of Liverpool wanted to know whether diet drinks help or hurt people trying to lose… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A team at the University of Liverpool wanted to know whether diet drinks help or hurt people trying to lose weight. They asked 493 adults with overweight or obesity to join a group weight-loss program. Half of them were told to drink water, and the other half were given drinks made with artificial sweeteners. In the first year, the groups met with the team weekly and then monthly.

In the second year, they were on their own. At the end, people in the water group had lost 3.7 kilograms on average, and people in the sweetener group had lost 4.8 kilograms. The gap was too small to count as a real difference. The study was paid for by the American Beverage Association, a group that represents drink companies.

128 words ・ CEFR B1

和訳を見る

リバプール大学のチームは、ダイエット飲料が減量しようとしている人の助けになるのか、それとも妨げになるのかを知りたいと考えました。彼らは、過体重や肥満の大人493人に、グループで行う減量プログラムへの参加を求めました。半数は水を飲むよう指示され、残りの半数には人工甘味料で作られた飲み物が渡されました。1年目、グループは研究チームと毎週、その後は毎月会いました。

2年目は自分たちだけで過ごしました。最後に、水のグループの人は平均3.7キロ、甘味料のグループの人は4.8キロ体重が減っていました。この差は小さすぎて、本当の違いとは言えませんでした。この研究の資金は、飲料会社を代表する団体である米国飲料協会が出していました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What happened in the second year of the program?

Q3. Why might some readers want to check this study carefully?

重要単語

  • sweetenerB1
    名詞甘味料This soda uses a sweetener instead of sugar. sweet(甘い)+-en(~にする)+-er(もの)。artificial sweetener で「人工甘味料」。
  • randomly assignB2
    動詞句無作為に割り当てるThe students were randomly assigned to two classes. 実験の説明で頻出。assign A to B「AをBに割り当てる」の形で覚える。
  • equivalentB2
    形容詞同等の、等しいOne cup is roughly equivalent to 240 milliliters. be equivalent to ~ で「~に相当する」。名詞は equivalence。
  • obesityB2
    名詞肥満Obesity can raise the risk of diabetes. 形容詞は obese。健康・医療系の長文で頻出。
  • reputationB1
    名詞評判The restaurant has a good reputation. have a reputation for ~ で「~で評判だ」。入試頻出。
  • fundingB2
    名詞資金(提供)The project lost its funding last year. fund(資金を出す)の名詞形。研究の信頼性を考えるときに「誰が資金を出したか」は重要な情報。
太り気味の大人493人を「水」組と「ゼロカロリー飲料」組に分けて2年。どちらも体重は減ったままで、統計的な差はつかなかった。ただしお金を出したのは米国飲料協会。WHOは「やせる目的で甘味料は使わないで」という立場だ。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Harrold et al. (2026) Effect of non-nutritive sweetened beverages v. water on body weight: long-term results of a randomised controlled trial, British Journal of Nutritiondoi.org
  2. Harrold et al. (2023) Non-nutritive sweetened beverages versus water after a 52-week weight management programme: a randomised controlled trial, International Journal of Obesitydoi.org
  3. Harrold et al. (2023) Effects of non-nutritive sweetened beverages versus water after a 12-week weight-loss program: A randomized controlled trial, Obesitydoi.org
  4. Azad et al. (2017) Nonnutritive sweeteners and cardiometabolic health: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials and prospective cohort studies, CMAJdoi.org
  5. Debras et al. (2022) Artificial sweeteners and risk of cardiovascular diseases: results from the prospective NutriNet-Santé cohort, The BMJdoi.org