「朝ごはんを抜くと太る」は本当? くじ引き実験をまとめたら逆の結果が出ていた

読む前に予想してみよう!
大人を対象にした実験のまとめでは、朝食を食べた人のほうが1日の総カロリーが多い傾向だった
2019年の分析で、朝食を食べた群は1日あたり約260kcal多くとっていた。
- 対象
- 高所得国の成人
- 規模
- 13試験
- 研究の種類
- ランダム化比較試験のメタ分析
- 確かさ
- ★★★☆☆
大人を対象にしたくじ引き実験をまとめると、朝食を食べた人のほうが1日の摂取カロリーがやや多く、体重もわずかに重かった。
ひとことで言うと大人の場合、「朝ごはん抜き=太る」とは言えないみたい!
「朝ごはんを抜くと、昼にドカ食いして太るよ」。子どものころから、何度も言われてきた言葉ですよね。
たしかに、朝食を抜く人ほど太っているという調査結果はたくさんあります。
ところが、人をくじ引きで分けて実験した研究を集めてみると、話はまったく逆になっていました。
01観察研究では「朝食抜き=太りやすい」だった
これまでの多くの調査では、朝食を抜く習慣のある人ほど、肥満の割合が高い傾向がありました。
でもこれは観察研究。朝食を抜く人は、夜ふかしが多い、忙しくて食生活が乱れがち、間食が多いなど、ほかの生活習慣もちがうかもしれません。朝食そのものが原因かどうかは、この方法ではわかりません。
02くじ引き実験をまとめてみたら…
つまり、少なくとも大人では「朝食を食べればやせる」「抜くと太る」という考えを支える証拠は見つからなかった、ということです。
「昼にドカ食いする」分を考えても、朝食をとった分のカロリーを完全には取り返さない人が多いようです。

03「抜いた分を昼に食べる」はどれくらい?
朝食を抜くと、たしかにお昼にはおなかがすいて、いつもより多めに食べる人もいます。でも多くの実験では、朝食1回分のカロリーをまるごと取り返すほどではなかったとされています。
もちろん、これは平均の話。朝食を抜くとお菓子をつまんでしまう人、夜にドカ食いしてしまう人もいるはずです。自分がどちらのタイプかを知っておくことが大切です。
04じゃあ朝食はいらないの?
ここで早とちりは禁物です。
- 実験の多くは期間が短く(数日〜数か月)、参加者も少なめ
- 対象は大人。成長期の子どもや、勉強・運動への影響は別の問題
- 糖尿病の薬を使っている人などは、食事を抜くと低血糖の危険がある
イギリスのバース大学で行われた実験(2014年)でも、朝食を食べるかどうかで体重に大きな差は出なかった一方、朝食を食べた人は午前中によく体を動かしていたという結果も出ています。朝食には、体重以外の役割もありそうです。
05「いつ食べるか」の研究も進行中
最近は、体内時計と食事のタイミングの関係を調べる「時間栄養学」という分野も注目されています。同じ食事でも、朝に食べるか夜遅くに食べるかで、血糖値の上がり方などが変わる可能性が報告されています。
つまり、「朝食を食べるか抜くか」だけでなく、1日の食事をどの時間帯に配置するかも、これからの研究で大事なテーマになりそうです。
06まとめ
「朝ごはんを抜くと太る」は、大人に関しては、くじ引き実験では支持されなかった。むしろ食べた人のほうがカロリーはやや多めでした。
大事なのは「朝食を食べるか」より、1日全体で何をどれだけ食べるか。自分の体調と生活リズムに合ったスタイルを選びましょう。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBreakfast skippers are more likely to be overweight.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
People often say that skipping breakfast makes you gain weight. Many surveys show that people who skip breakfast are heavier. But scientists also did experiments with adults. They put people into two groups by chance.
One group ate breakfast and one did not. The breakfast group ate about 260 more calories a day and weighed a little more. So for adults, skipping breakfast may not cause weight gain. Children are a different story.
73 words ・ CEFR A2
和訳を見る
朝ごはんを抜くと太る、とよく言われます。多くの調査で、朝ごはんを抜く人のほうが体重が重いことが示されています。しかし科学者たちは、大人を対象にした実験も行いました。くじ引きで人々を2つのグループに分け、一方は朝ごはんを食べ、もう一方は食べませんでした。
朝ごはんを食べたグループは、1日に約260kcal多くとり、体重も少し重くなりました。だから大人の場合、朝ごはんを抜くことが体重増加の原因になるとは限らないのです。子どもの場合は話が別です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
朝食を抜くと大人は太るのか、という疑問を実験で確かめた話なので B。
Q2. How many more calories did the breakfast group eat a day?
ate about 260 more calories a day とあるので C。
Q3. In this passage, "skip" means ...
skip は「抜かす・とばす」。skip breakfast で「朝食を抜く」なので A。
Breakfast skippers are more likely to be overweight. Observational studies show this again and again. So does skipping breakfast make people gain weight? Not necessarily. People who skip breakfast may also stay up late or eat more snacks.
To test the idea directly, researchers have run randomized controlled trials, where people are told to eat breakfast or to skip it. Most of these trials were short, and they only studied adults. Growing children may be different.
In 2019, an Australian team combined the trials. Adults who ate breakfast took in about 260 more calories a day. They also weighed slightly more, about 0.44 kilograms on average. So the skippers did not fully make up for the missed breakfast at later meals.
121 words ・ CEFR B1
和訳を見る
朝食を抜く人は、太りぎみである可能性が高いです。観察研究は、このことをくり返し示しています。では、朝食を抜くと体重が増えるのでしょうか。必ずしもそうとは言えません。朝食を抜く人は、夜ふかしをしたり間食が多かったりするのかもしれないからです。
この考えを直接確かめるため、研究者たちはランダム化比較試験を行ってきました。参加者に、朝食を食べるか抜くかを指示する試験です。こうした試験のほとんどは短期間で、対象は大人だけでした。成長期の子どもでは違うかもしれません。
2019年、オーストラリアのチームはこれらの試験をまとめました。朝食を食べた大人は、1日に約260kcal多くとっていました。体重もわずかに重く、平均で約0.44kgの差でした。つまり、朝食を抜いた人は、その分をその後の食事で完全には取り返さなかったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
ランダム化比較試験では、朝食を食べた人のほうがカロリーも体重もやや多かったという内容なので D。
Q2. On average, how much more did the breakfast group weigh?
weighed slightly more, about 0.44 kilograms on average とあるので A。
Q3. Why might observational studies show that breakfast skippers are heavier?
People who skip breakfast may also stay up late or eat more snacks. とあり、朝食以外の習慣が影響している可能性があるので B。
Breakfast skippers are more likely to be overweight. Observational studies keep finding this, and it looks like proof that skipping breakfast causes weight gain. Such studies, though, cannot separate breakfast from habits that tend to come with skipping it, such as staying up late, eating at irregular times or snacking often. Some people skip breakfast precisely because they are already dieting.
Randomized controlled trials get around these problems by assigning people to eat or skip breakfast. In 2019, Sievert and colleagues combined such trials in adults. Breakfast eaters consumed about 260 more calories per day and weighed about 0.44 kilograms more on average, so skippers did not fully compensate at later meals. A 2014 trial in England likewise found no major difference in weight, although the breakfast group was more active in the morning.
Sievert's team was open about the weak points. Most trials ran for only a few weeks, and their quality was low. They also covered only adults in high income countries, so children and people with diabetes fall outside their scope. For healthy adults, the total eaten over the whole day seems to matter more than whether any of it comes at breakfast.
196 words ・ CEFR B2
和訳を見る
朝食を抜く人は、太りぎみである可能性が高いです。観察研究はくり返しこの結果を出しており、朝食を抜くと体重が増える証拠のように見えます。しかし、こうした研究では、朝食を抜くことにともないがちな習慣、たとえば夜ふかし、不規則な時間の食事、たびたびの間食などと、朝食そのものを切り離すことができません。また、すでにダイエット中だからこそ朝食を抜く人もいます。
ランダム化比較試験は、人々を朝食を食べる群と抜く群に割り当てることで、こうした問題を回避します。2019年、ジーバートさんらは大人を対象にしたこうした試験をまとめました。朝食を食べた人は1日に約260kcal多くとり、体重は平均で約0.44kg重かったので、朝食を抜いた人はその後の食事で完全には埋め合わせていなかったことになります。2014年のイギリスの試験でも、体重に大きな差は見られませんでしたが、朝食を食べたグループは午前中によく体を動かしていました。
ジーバートさんのチームは弱点も率直に認めています。試験のほとんどは数週間しか続かず、質も低いものでした。また、対象は高所得国の大人だけなので、子どもや糖尿病の人は対象外です。健康な大人にとっては、その一部を朝食でとるかどうかよりも、1日全体で食べる総量のほうが重要なようです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why can observational studies not show that skipping breakfast causes weight gain?
Such studies, though, cannot separate breakfast from habits that tend to come with skipping it とあるので C。すでにダイエット中の人が朝食を抜く(逆の因果)可能性も挙げられている。
Q2. What did the 2014 trial in England find?
found no major difference in weight, although the breakfast group was more active in the morning とあるので B。
Q3. What is the author's main conclusion?
最終文 the total eaten over the whole day seems to matter more than whether any of it comes at breakfast が結論なので D。
重要単語
- skipA2動詞抜かす、とばすMany students skip breakfast on busy mornings.
skip a meal / class / page のように「本来やるものを抜かす」。skip school「学校をサボる」。 - calorie intakeB2名詞(句)カロリー摂取量Breakfast eaters had a higher calorie intake.
intake は take in(取り入れる)の名詞化。water intake, salt intake など。 - body weightA2名詞(句)体重The difference in body weight was small.
gain / lose weight「体重が増える/減る」とセットで覚える。 - metabolismC1名詞代謝Skipping breakfast did not slow metabolism.
ギリシャ語で「変化」。形容詞 metabolic。日本語の「メタボ」は metabolic syndrome の略。 - evidenceB1名詞証拠、根拠The evidence from trials was of low quality.
不可算名詞なので a piece of evidence と数える。evidence-based「根拠にもとづく」も頻出。 - compensateC1動詞埋め合わせる、補うSkippers did not fully compensate at lunch.
compensate for ~「~を補う」の形で頻出。名詞 compensation は「補償(金)」。
この話題を TED で聞く
同じテーマの TED・TED-Ed を、
TED HACK で。英語の見どころ・使える表現・学習ミッションつきの日本語ガイドです。(運営:原田英語)
このネタ、誰かに教えたくなった?
「朝ごはんを抜くと太る」と言われるけど、大人を対象にしたくじ引き実験をまとめた分析では、朝食を食べた群のほうが1日の摂取カロリーがやや多かったらしい。ただし子どもや持病のある人は別の話。
押すと「マジかリスト」に保存されます
出典・参考文献(3件)タップで表示
- Sievert et al. (2019) Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials, BMJdoi.org
- Betts et al. (2014) The causal role of breakfast in energy balance and health: a randomized controlled trial in lean adults, American Journal of Clinical Nutritiondoi.org
- Ma et al. (2020) Skipping breakfast is associated with overweight and obesity: A systematic review and meta-analysis, Obesity Research & Clinical Practicedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












