体は日光で「ビタミン」を自家製していた。でも冬の北国ではびっくりするほど時間がかかる

読む前に予想してみよう!
窓ガラス越しに日光を浴びても、外と同じようにビタミンDが作られる
ビタミンD作りに必要な紫外線(UVB)は、窓ガラスでほとんどさえぎられる。
- 対象
- 札幌・つくば・那覇の紫外線観測データ/アメリカの成人
- 規模
- 計算による推定/約2万6千人
- 研究の種類
- シミュレーション研究・ランダム化比較試験
- 確かさ
- ★★★☆☆
ビタミンDは、皮膚が紫外線(UVB)を浴びると体内で作られる。必要な時間は季節・時刻・地域で大きく変わり、冬の北日本では長くかかる。
ひとことで言うと日光を浴びると、皮ふがビタミンDを手作りしてくれる!
ビタミンと聞くと、「食べ物やサプリからとるもの」というイメージがありますよね。
でも、ビタミンDだけはちょっと特別。実は私たちの体は、日光を浴びることで、皮ふの中でビタミンDを自分で作ることができるんです。
そして、その「自家製」に必要な日光浴の時間は、季節や住んでいる場所で驚くほど変わることがわかってきました。
01皮ふは「ビタミンD工場」
皮ふの中には、ビタミンDのもとになる物質(コレステロールの仲間)がスタンバイしています。
そこに日光の中の紫外線B波(UVB)が当たると、化学反応のスイッチが入り、ビタミンDの原料に変身します。その後、肝臓と腎臓で順番に加工されて、体の中で働ける形になります。
いわば、皮ふで材料を作り、肝臓と腎臓で仕上げる「3段階の工場」です。
02ビタミンDは「骨の現場監督」
ビタミンDのいちばん有名な役割は、腸からカルシウムを吸収するのを助けること。カルシウムが骨の「材料」なら、ビタミンDは材料をちゃんと運びこむ現場監督のような存在です。
不足が続くと、子どもでは骨が曲がるくる病、大人では骨がもろくなる原因になります。

03冬の北国では、必要な時間が一気に増える
国立環境研究所の発表によると、顔と両手の甲(約600cm²)を晴れた日の正午に出した場合、1日の目安量(当時の基準で5.5μg)を作るのに必要な時間は次のとおりです。
- 7月:札幌 約5分、つくば 約4分、那覇 約3分
- 12月:札幌 約76分、つくば 約22分、那覇 約8分
同じ12月でも、札幌は那覇の約10倍。まさに桁違いです。
冬は太陽の高さが低く、UVBが大気を通る距離が長くなるため、地上に届くUVBがぐっと減るからです。日本では国立環境研究所が、ビタミンDの生成に関わる紫外線の情報をウェブで公開しています。
04日焼け止めや肌の色でも変わる
ビタミンDの作られやすさは、季節や場所だけでなく、日焼け止めの使い方、服で覆っている面積、肌の色、年齢などでも変わります。肌の色が濃い人や高齢者は、同じ量を作るのに時間がかかる傾向があるとされています。
食べ物では、サケやサンマなどの魚、きのこ類(特に干ししいたけなど)、卵などにビタミンDが含まれています。日光と食事、両方からとるのが現実的です。
05サプリをとれば病気を防げる?
ビタミンDは「万能ビタミン」のように紹介されることもあります。でも、2019年に『New England Journal of Medicine』で発表されたアメリカの大規模試験(VITAL試験)では、2万5千人以上を無作為にビタミンDのサプリを飲む群と偽薬の群に分けて追跡したところ、サプリの群でもがんや心臓病の発症ははっきり減らなかったと報告されています。
不足している人が補うことには意味がありますが、「たくさんとればとるほど健康」ではありません。とりすぎると高カルシウム血症などの害もあります。
06まとめ
ビタミンDは、日光を浴びると体の中で作られる、ちょっと特別なビタミン。でも、必要な時間は季節と場所によって大きく変わります。
夏は浴びすぎに注意、冬はきのこや魚など食べ物からも意識してとる。太陽と上手に付き合うのがポイントです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost vitamins come from food, but vitamin D is special because our skin can make it when it is exposed to…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Your body can make vitamin D by itself. When sunlight touches your skin, the skin starts to make it. Vitamin D helps your body take in calcium for strong bones.
But the time you need in the sun changes a lot. In July, a few minutes at noon is enough in Japan. But in December in Sapporo, it takes about 76 minutes. Also, window glass blocks the light you need.
70 words ・ CEFR A2
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体はビタミンDを自分で作ることができます。日光が皮ふに当たると、皮ふがそれを作り始めるのです。ビタミンDは、体がカルシウムを取りこんで骨を強くするのを助けます。
でも、日光に当たる必要がある時間は大きく変わります。日本では7月なら、昼に数分で十分です。しかし12月の札幌では、約76分かかります。また、窓ガラスは必要な光をさえぎってしまいます。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
日光を浴びて体がビタミンDを作る仕組みと、必要な時間の話なので B。
Q2. How long does it take in December in Sapporo?
in December in Sapporo, it takes about 76 minutes とあるので D。
Q3. In this passage, "blocks" means ...
block は「さえぎる・ふさぐ」。窓ガラスが必要な光を通さないという意味なので A。
Most vitamins come from food, but vitamin D is special because our skin can make it when it is exposed to UVB light from the sun. The liver and kidneys then change it into a form the body can use. Vitamin D helps the gut absorb calcium, which keeps bones strong.
In 2013, a Japanese team calculated how long people need to be in the sun to make a daily amount. At noon on a clear day in July, Sapporo needed about 5 minutes. In December, however, it needed about 76 minutes, compared with about 8 minutes in Naha. In winter, the sun is low, so less UVB reaches the ground.
111 words ・ CEFR B1
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ほとんどのビタミンは食べ物からとりますが、ビタミンDは特別です。皮ふが太陽の紫外線B波(UVB)を浴びると、それを作ることができるからです。その後、肝臓と腎臓が、体で使える形に変えます。
ビタミンDは腸がカルシウムを吸収するのを助け、骨を丈夫に保ちます。2013年、日本のチームは、1日分の量を作るのにどれくらい日光を浴びる必要があるかを計算しました。7月の晴れた日の正午なら、札幌では約5分で足りました。しかし12月には約76分必要で、那覇の約8分と大きな差がありました。冬は太陽が低いので、地上に届くUVBが少なくなるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ビタミンDが皮ふで作られる仕組みと、必要な時間が季節や場所で変わることが中心なので C。
Q2. In December, how long did Naha need?
compared with about 8 minutes in Naha とあるので B。76分は12月の札幌。
Q3. Why does it take longer to make vitamin D in winter?
最終文 In winter, the sun is low, so less UVB reaches the ground. から A。
Vitamin D is unusual among vitamins because the body can produce it. When ultraviolet B (UVB) light strikes the skin, a cholesterol-related compound is converted into a raw material, which the liver and kidneys then process into an active form. Its best-known role is helping the intestine absorb calcium, and a long-term shortage can cause rickets in children and weak bones in adults.
How much sun is needed, however, varies enormously. Using UV observation data, Miyauchi and colleagues estimated in 2013 how long people in three Japanese cities must expose their face and the backs of their hands at noon to make the daily reference amount. In July, Sapporo required about 5 minutes and Naha about 3, but in December Sapporo required about 76 minutes, roughly ten times as long as Naha.
Because the winter sun is low, UVB travels a longer path through the atmosphere and less reaches the ground. These figures assume clear skies and a particular skin type, and production also depends on sunscreen, skin color and age. And a large 2019 trial found that vitamin D supplements did not clearly prevent cancer or heart disease.
189 words ・ CEFR B2
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ビタミンDは、体が自分で作り出せるという点で、ビタミンの中でもめずらしい存在です。紫外線B波(UVB)が皮ふに当たると、コレステロールの仲間の化合物が原料に変わり、それを肝臓と腎臓が働ける形に加工します。最もよく知られた役割は腸がカルシウムを吸収するのを助けることで、長く不足すると、子どもではくる病、大人では骨の弱さの原因になります。
しかし、必要な日光の量は非常に大きく変わります。宮内さんらは2013年、紫外線の観測データを使って、日本の3都市の人が正午に顔と両手の甲を出した場合、1日の目安量を作るのにどれくらいの時間が必要かを推定しました。7月には札幌で約5分、那覇で約3分でしたが、12月の札幌では約76分と、那覇のおよそ10倍もかかりました。
冬は太陽が低いため、UVBが大気の中を通る道のりが長くなり、地上に届く量が減るのです。これらの数字は晴天と特定の肌のタイプを前提にしており、作られる量は日焼け止め、肌の色、年齢によっても変わります。また、2019年の大規模な試験では、ビタミンDのサプリはがんや心臓病をはっきりとは防がなかったことがわかりました。
4択リーディングクイズ
Q1. Why is less vitamin D produced in winter in Sapporo?
Because the winter sun is low, UVB travels a longer path through the atmosphere and less reaches the ground とあるので C。
Q2. Which is NOT mentioned as an assumption or factor affecting the estimates?
晴天・肌のタイプ・日焼け止め・肌の色・年齢は挙げられているが、身長は出てこないので D。
Q3. What does the last sentence suggest?
a large 2019 trial found that vitamin D supplements did not clearly prevent cancer or heart disease とあり、サプリで病気を防げるとは言えないので B。
重要単語
- vitamin DB1名詞ビタミンDVitamin D helps the body absorb calcium.
vitamin の発音は英 /ˈvɪtəmɪn/、米 /ˈvaɪtəmɪn/(ヴァイタミン)。the sunshine vitamin とも呼ばれる。 - ultravioletC1形容詞・名詞紫外線(の)Ultraviolet light can also damage the skin.
ultra-(~を超えた)+violet(紫)。略して UV。反対側の赤を超えた光は infrared(赤外線)。 - sun exposureB2名詞(句)日光を浴びることShort sun exposure helps make vitamin D.
expose(さらす)の名詞形 exposure。be exposed to ~「~にさらされる」は入試頻出。 - deficiencyC1名詞欠乏、不足Vitamin D deficiency can weaken bones.
形容詞 deficient(不足した)。deficit(赤字)と同語源。lack より硬く、医学・栄養で使う。 - absorbB2動詞吸収するThe intestine absorbs calcium from food.
be absorbed in ~「~に夢中になる」も頻出。名詞は absorption(つづりの b→p に注意)。 - atmosphereB2名詞大気/雰囲気UVB passes through the atmosphere.
atmo-(蒸気)+sphere(球)。「その場の雰囲気」の意味でもよく使う多義語。
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公式・一次情報をチェック
- ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報(国立環境研究所 地球環境研究センター)db.cger.nies.go.jp
- 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定(国立環境研究所)nies.go.jp
このネタ、誰かに教えたくなった?
ビタミンDって、食べ物だけじゃなく、皮ふが日光(紫外線)を浴びると体の中で作られるらしい。ただ、同じ量を作るのに必要な日光浴の時間は、夏の沖縄と冬の北海道で桁違いにちがうことも。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Miyauchi et al. (2013) The Solar Exposure Time Required for Vitamin D3 Synthesis in the Human Body Estimated by Numerical Simulation and Observation in Japan, Journal of Nutritional Science and Vitaminologydoi.org
- Holick (2007) Vitamin D Deficiency, New England Journal of Medicinedoi.org
- Manson et al. (2019) Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease, New England Journal of Medicinedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













