寒いと体がガタガタ震えるのはなぜ? 筋肉の“自家発電”と、大人にもあった「褐色脂肪」の発見

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熱を作る「褐色脂肪」は赤ちゃんだけにあり、大人にはない
2009年に、寒さの中で大人の首や肩のあたりの褐色脂肪が活発になることが、PETで相次いで示された。
- 対象
- 健康な成人
- 規模
- 24人〜56人(PET研究)+総説
- 研究の種類
- 実験研究・総説
- 確かさ
- ★★★★☆
震えは筋肉を細かく縮めて熱を生む体の「自家発電」。寒さを感じると脳が指令を出す。2009年には、熱を作る「褐色脂肪」が大人にもあると日本などの研究で示された。
ひとことで言うとブルブルふるえるのは、筋肉をうごかして体をあたためる「発電」なんだ!
冬の朝、バスを待っていると、自分の意思とは関係なく体がブルブル、歯がカチカチ。止めようとしても止まりません。
答えを先に言うと、震えは筋肉を細かく縮めたりゆるめたりして、熱を作り出す体の「自家発電」です。そして体には、震える前から熱を作るもう一つの発電所、「褐色脂肪」もあります。2009年、この褐色脂肪が大人にもちゃんとあることが、日本などの研究で相次いで示されました。
01筋肉は動くと熱を出す
運動すると体が温まりますよね。筋肉は、縮むときに使ったエネルギーの多くを熱として出しています。
震えは、この性質を利用したしくみです。体が冷えて体温が下がりそうになると、脳の体温調節センター(視床下部)が「熱が足りない!」と判断し、筋肉に小刻みに縮めという命令を出します。震えでは手足を大きく動かすわけではないので、エネルギーは「移動」に使われず、ほぼ全部が熱になります。まさに体の中のストーブです。

02震える前に働く「もう一つの発電所」
じつは、体は寒くなってすぐに震えるわけではありません。その前に、震えずに熱を作るしくみがあります。その代表が褐色脂肪です。
おなかや太ももにつく脂肪(白色脂肪)は、エネルギーをためる「貯金箱」。一方、褐色脂肪は、ためたエネルギーをどんどん燃やして熱に変える特別な脂肪です。赤ちゃんは筋肉が少なく、うまく震えられないため、首や背中の褐色脂肪で体を温めています。
長いあいだ、「褐色脂肪は赤ちゃんや小さな動物のもので、大人にはほとんど残っていない」と考えられてきました。
03どんでん返し:大人にも褐色脂肪はあった
同じ年、オランダのファン・マルケン・リヒテンベルト(van Marken Lichtenbelt)さんら、アメリカのサイペス(Cypess)さんらも、大人の褐色脂肪を相次いで報告しています。
つまり大人の体は、寒くなると、まず褐色脂肪の発電所を動かし、それでも足りないと筋肉の震えで熱を足している、と考えられるのです。
04まとめ
寒いと体が震えるのは、筋肉を細かく動かして熱を作る自家発電。そしてその前には、首や肩のまわりの褐色脂肪が静かに熱を作っています。大人にも褐色脂肪があることがわかったのは、ほんの十数年前のことでした。
次に寒さでブルッと震えたら、体の中で2つの発電所がフル稼働していると思い出してください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerShivering is the body's way of producing heat.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
When you are cold, your body shakes. This is called shivering. When your body gets cold, your brain tells your muscles to move quickly again and again. Moving muscles make heat, so shivering warms you up.
There is also brown fat, a special fat that makes heat. People used to think only babies had it. But in 2009, scientists found that adults have it too.
65 words ・ CEFR A2
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寒いと、体がぶるぶる震えます。これは「震え(シバリング)」と呼ばれます。体が冷えると、脳が筋肉に、すばやく何度も動くように命令します。動く筋肉は熱を作るので、震えることで体が温まるのです。
また、熱を作る特別な脂肪である「褐色脂肪」もあります。以前は、赤ちゃんだけが持っていると考えられていました。しかし2009年、科学者たちは大人も持っていることを発見しました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
寒いときに体が熱を作る仕組み(震えと褐色脂肪)を説明しているので C。
Q2. What did scientists find in 2009?
in 2009, scientists found that adults have it too とあるので D。
Q3. In this passage, "warms you up" means ...
warm up は「温める」。筋肉が熱を作るので体が温まる、という意味なので A。
Shivering is the body's way of producing heat. When body temperature starts to drop, a temperature control center in the brain sends signals that make muscles contract quickly and repeatedly. Because the muscles are not moving the body anywhere, almost all of the energy becomes heat.
However, the body has another heat source called brown fat. Unlike ordinary fat, which stores energy, brown fat burns energy to make heat. It was long thought to exist only in babies. In 2009, a Japanese team kept 56 adults in a 19-degree room for two hours and scanned them. Active brown fat around the neck and shoulders was found in 17 of 32 young adults, but in only 2 of 24 older adults.
120 words ・ CEFR B1
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震えは、体が熱を生み出すための方法です。体温が下がり始めると、脳の体温調節センターが信号を送り、筋肉をすばやく何度も収縮させます。筋肉は体をどこかへ動かしているわけではないので、エネルギーのほとんどすべてが熱になります。
しかし、体には褐色脂肪と呼ばれるもう一つの熱源があります。エネルギーをためるふつうの脂肪と違い、褐色脂肪はエネルギーを燃やして熱を作ります。長いあいだ、褐色脂肪は赤ちゃんにしかないと考えられていました。2009年、日本のチームは56人の大人に19度の部屋で2時間過ごしてもらい、体をスキャンしました。首や肩のまわりで活発に働く褐色脂肪は、若い大人32人中17人で見つかりましたが、年上の大人では24人中2人だけでした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
震えによる熱の生産と、もう一つの熱源である褐色脂肪を説明しているので B。
Q2. How many of the 32 young adults had active brown fat?
found in 17 of 32 young adults とあるので A。2 は年上の大人24人中の人数。
Q3. What can we infer from the 2009 Japanese study?
若い大人では32人中17人、年上の大人では24人中2人だったので、年上の人では活発な褐色脂肪が少ないと推論できる。D。
Shivering is a way of making heat, a process called thermogenesis. When the hypothalamus senses that body temperature is falling, it signals skeletal muscles to contract rapidly and involuntarily. The contractions produce little outward movement, so nearly all the energy they use is released as heat. A 2017 Canadian review named shivering muscle as the main heat source in cold-exposed adults. It also found that the pattern of shivering, the muscles involved and the fuels burned vary considerably from person to person, while total heat production is maintained.
Before the shaking starts, the body has another option. Brown adipose tissue burns stored energy instead of saving it. Brown fat was long thought to matter mainly in infants, but in 2009 teams in Japan, the Netherlands and the United States showed that it is active in adults.
How much heat it actually adds is disputed, because the scans tracked sugar uptake, which is only an indirect sign of heat production. In the Japanese study, two hours at 19 degrees Celsius switched on brown fat in 17 of 32 young adults but in only 2 of 24 older ones. Activity was higher in winter and lower in people with more body fat.
200 words ・ CEFR B2
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震えは熱を作り出す方法の一つで、この過程は熱産生と呼ばれます。視床下部が体温の低下を感知すると、骨格筋に信号を送り、すばやく、意思とは関係なく収縮させます。この収縮は外から見える動きをほとんど生まないので、使われるエネルギーのほぼすべてが熱として放出されます。2017年のカナダのレビューは、寒さにさらされた大人では震える筋肉が主な熱源だとしました。また、震え方、使われる筋肉、燃やされる燃料は人によってかなり異なるものの、全体の熱の量は保たれていることも明らかにしました。
震えが始まる前にも、体には別の手段があります。褐色脂肪組織は、ためたエネルギーを、とっておかずに燃やすのです。褐色脂肪は長いあいだ主に乳児で重要だと考えられてきましたが、2009年に日本・オランダ・アメリカのチームが、大人でも活発に働いていることを示しました。ただし、褐色脂肪が実際にどれだけ熱を上乗せしているかについては意見が分かれています。
スキャンが追跡したのは糖の取り込みで、これは熱の産生の間接的なしるしにすぎないからです。日本の研究では、19度の部屋で2時間過ごすと、若い大人32人中17人で褐色脂肪が働き始めましたが、年上の人では24人中2人だけでした。活動は冬に高く、体脂肪の多い人では低くなっていました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
震えによる熱産生と、大人の褐色脂肪の働き、そして How much heat it actually adds is disputed とその寄与に議論があることを述べているので D。
Q2. In the Japanese study, what was linked to lower brown fat activity?
Activity was ... lower in people with more body fat とあるので C。冬(寒い時期)にはむしろ活発だった。
Q3. Why does the author mention that the scans tracked "sugar uptake, which is only an indirect sign of heat production"?
糖の取り込みは熱の量を直接測ったものではないので、褐色脂肪が実際にどれだけ熱を生むかに議論がある、という限界の指摘。B。
重要単語
- shiverB2動詞震えるI shivered in the cold wind.
寒さ・恐怖で震えるときに使う。tremble は恐怖・緊張、shake は一般的な「揺れる」。 - body temperatureA2名詞(句)体温Our body temperature stays around 37 degrees.
take one's temperature「体温を測る」。have a temperature は「熱がある」。 - brown fatC1名詞(句)褐色脂肪Brown fat burns energy to make heat.
学術的には brown adipose tissue(BAT)。adipose は「脂肪の」。 - muscleA2名詞筋肉Muscles produce heat when they move.
c は発音しない(マッスル)。形容詞 muscular(筋肉の、筋骨たくましい)。 - exposureB2名詞さらされることCold exposure activated brown fat.
動詞 expose。exposure to ~「~にさらされること」。写真の「露出」も exposure。 - contractB2動詞収縮する、縮むMuscles contract quickly when we shiver.
名詞 contraction。名詞の contract は「契約」で、アクセントの位置が違う(動詞は後ろ)。
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寒いと体が震えるのは、筋肉を細かく縮めて熱を作る“自家発電”。さらに2009年、赤ちゃんにしかないと思われていた熱を作る脂肪「褐色脂肪」が、大人にもあると日本・オランダ・アメリカの研究で相次いで示されたらしい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Haman & Blondin (2017) Shivering thermogenesis in humans: Origin, contribution and metabolic requirement, Temperaturedoi.org
- Saito et al. (2009) High Incidence of Metabolically Active Brown Adipose Tissue in Healthy Adult Humans: Effects of Cold Exposure and Adiposity, Diabetesdoi.org
- van Marken Lichtenbelt et al. (2009) Cold-Activated Brown Adipose Tissue in Healthy Men, New England Journal of Medicinedoi.org
- Cypess et al. (2009) Identification and Importance of Brown Adipose Tissue in Adult Humans, New England Journal of Medicinedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。











