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足がつる(こむら返り)のはなぜ?「水分・ミネラル不足」説は、実験で旗色が悪くなっていた

足がつる(こむら返り)のはなぜ?「水分・ミネラル不足」説は、実験で旗色が悪くなっていた

読む前に予想してみよう!

足がつった時にピクルスの汁を飲むと治まりやすいのは、塩分がすぐ血液に吸収されるからだ

研究カード(どんな研究?)
対象
トライアスロン選手・成人
規模
210人(追跡調査)ほか
研究の種類
前向きコホート研究・実験・系統的レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

足のつりは「脱水やミネラル不足」のせいとされてきたが、トライアスロン選手210人の調査では血液中のミネラルや体重減少に差がなかった。神経の制御の乱れ説が有力に。

ひとことで言うと足がつるのは、水不足より「筋肉への命令がみだれる」せいかも!

もくじ
  1. 「つる」とは、筋肉が勝手に縮み続けること
  2. 210人の鉄人を調べたら
  3. ピクルスの汁は「速すぎる」
  4. マグネシウムやストレッチは効く?
  5. まとめ

試合の終盤、全力で走っていたらふくらはぎが「ギュッ」。夜中に寝返りを打ったら、足がつって飛び起きる。あの激痛は、経験した人にしかわかりません。

答えを先に言うと、足がつる原因は、じつはまだ完全にはわかっていません。昔から「水分不足」「ミネラル(電解質)不足」と言われてきましたが、運動中のつりについては、それだけでは説明できないという研究が増えています。今有力なのは、疲れなどで筋肉への神経の「命令」と「ブレーキ」のバランスが乱れるという考え方です。

01「つる」とは、筋肉が勝手に縮み続けること

こむら返りは、筋肉が自分の意思とは関係なく強く縮みっぱなしになる状態です。ふくらはぎ、足の裏、太ももの裏などで起きやすく、数秒から数分続きます。

筋肉は、脊髄から来る「縮め」という命令で縮み、筋肉や腱にあるセンサーから返ってくる「縮みすぎだよ」という信号でブレーキがかかります。このアクセルとブレーキの調整がうまくいかないと、筋肉が縮んだまま止まらなくなる、と考えられています。

02210人の鉄人を調べたら

速いペースで高い強度の運動を続けると、筋肉の疲労が進み、神経のアクセルとブレーキのバランスが崩れる。そう考えると、この結果はよく説明できます。

疲れでブレーキ役の信号が弱まると、筋肉が縮みっぱなしになる?
疲れでブレーキ役の信号が弱まると、筋肉が縮みっぱなしになる?

03ピクルスの汁は「速すぎる」

アメリカでは、つったときにピクルスの汁を飲むと治る、という言い伝えがあります。

塩分が吸収されて効いたのなら、そんなに早く効くはずがありません。研究チームは、酸っぱい汁が口やのどを刺激し、その反射で筋肉への命令が弱まったのではないかと考えています。これも「神経の調整の乱れ」説を支える結果です。

04マグネシウムやストレッチは効く?

夜のこむら返りの対策として、マグネシウムのサプリがよく売られています。しかし2020年のコクラン・レビュー(質の高い研究をまとめた分析)は、高齢者のこむら返りの予防に、マグネシウムが意味のある効果を持つ可能性は低いと結論しました。

ストレッチについても、2021年のコクラン・レビューは、ふくらはぎと太もも裏の毎日のストレッチで夜間のつりの痛みが軽くなるかもしれないとしつつ、回数への効果ははっきりしないとまとめています。決定打は、まだないのです。

05まとめ

足がつるのは、「水分・ミネラル不足」だけでは説明できず、疲れなどで筋肉への神経の命令とブレーキのバランスが乱れることが大きく関わっているようです。ピクルス汁の不思議な速さも、その説を後押ししています。

つったら、あわてずつま先を手前へ。そして次は、無理なペース配分に気をつけましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerLeg cramps have long been blamed on dehydration and a lack of minerals such as sodium. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Leg cramps have long been blamed on dehydration and a lack of minerals such as sodium. However, a study of 210 Ironman triathletes in South Africa challenged this idea. The researchers weighed the athletes and tested their blood before and after the race. The 43 athletes who cramped did not differ from the others in weight loss or blood minerals.

Instead, cramping was linked to racing at a fast pace and to a history of cramps. Another study found that pickle juice stopped cramps faster than water, but the effect appeared very soon after drinking, which is too fast for salt to be absorbed. Scientists now think cramps may come from a problem in how nerves control tired muscles.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

足のつりは、長いあいだ脱水やナトリウムなどのミネラル不足のせいだとされてきました。しかし、南アフリカでアイアンマン・トライアスロンの選手210人を調べた研究は、この考えに疑問を投げかけました。研究者たちはレースの前後に選手の体重を量り、血液を検査しました。足がつった43人の選手は、ほかの選手と体重の減り方や血液中のミネラルに違いがありませんでした。

代わりに、足のつりは速いペースで走ったことや、過去につった経験と関係していました。別の研究では、ピクルスの汁を飲むと水より早くつりが治まりましたが、その効果は飲んでからすぐに現れ、塩分が吸収されるには早すぎました。科学者たちは今、足のつりは、神経が疲れた筋肉をコントロールする仕組みの問題から来るのかもしれないと考えています。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. How many athletes in the study had cramps?

Q3. Why does the author say the pickle juice effect was "too fast"?

重要単語

  • crampB2
    名詞(筋肉の)けいれん、こむら返りI got a cramp in my calf last night. get / have a cramp の形で使う。stomach cramps は「腹部のさしこみ」。
  • dehydrationB2
    名詞脱水Dehydration is not the only cause of cramps. de-(取り除く)+hydr(水)+-ation。hydrate(水分補給する)、hydrogen(水素)も同じ語源。
  • electrolyteC1
    名詞電解質(ナトリウムなど体液中のミネラル)Sports drinks contain electrolytes. electro-(電気)+lyte(溶けたもの)。水に溶けて電気を通す物質。
  • calfB1
    名詞ふくらはぎStretch your calf muscles gently. 「子牛」と同じつづり。複数形は calves。l は発音しない(カーフ)。
  • fatigueB2
    名詞疲労Muscle fatigue may trigger cramps. 発音は /fəˈtiːɡ/(ファティーグ)。muscle fatigue「筋肉疲労」、metal fatigue「金属疲労」。
  • reflexB2
    名詞反射A reflex in the throat may stop the cramp. 考える前に起こる体の反応。形容詞 reflexive(反射的な、再帰の)。
足がつるのは「水分やミネラル不足」と思われがち。でもトライアスロン選手210人を調べると、つった人とつらない人で血液中のミネラルや体重の減り方に差はなかったらしい。むしろ速いペースや過去につった経験が関係していた。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Schwellnus, Drew & Collins (2010) Increased running speed and previous cramps rather than dehydration or serum sodium changes predict exercise-associated muscle cramping: a prospective cohort study in 210 Ironman triathletes, British Journal of Sports Medicinedoi.org
  2. Miller et al. (2010) Reflex Inhibition of Electrically Induced Muscle Cramps in Hypohydrated Humans, Medicine & Science in Sports & Exercisedoi.org
  3. Garrison et al. (2020) Magnesium for skeletal muscle cramps, Cochrane Database of Systematic Reviewsdoi.org
  4. Hawke et al. (2021) Non-drug therapies for the secondary prevention of lower limb muscle cramps, Cochrane Database of Systematic Reviewsdoi.org