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お腹がすくとイライラする“hangry”は実在した。3週間・9000回の記録が示した答え

お腹がすくとイライラする“hangry”は実在した。3週間・9000回の記録が示した答え

読む前に予想してみよう!

お腹がすいているとイライラしやすい、という傾向は研究でも見られている

研究カード(どんな研究?)
対象
中欧の成人
規模
64人(約9,000回の記録)
研究の種類
経験サンプリング法(観察研究)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

64人が3週間、1日5回スマホで空腹度と気分を記録した研究で、お腹がすいている時ほど怒りやイライラが強かった。ただし「空腹=必ず怒る」わけではない。

ひとことで言うとお腹ペコペコのイライラは気のせいじゃない。でも原因に気づけば、イライラしにくくなるかも!

もくじ
  1. 3週間、1日5回の「気分チェック」
  2. 空腹が怒りに変わる「条件」がある
  3. 「血糖値と怒り」の研究には注意も
  4. まとめ

部活のあと、塾の前、仕事が長引いた夕方。お腹がペコペコのとき、ちょっとしたことでイライラしてしまった経験はありませんか。

英語には、これをぴったり表す言葉があります。hangry(ハングリー)——hungry(空腹)とangry(怒った)を合わせた造語で、今では英語の辞書にも載っています。

この「腹ペコのイライラ」、ただの言い訳なのでしょうか? 研究者たちは、日常生活の中で本当に起きているのかを確かめました。

013週間、1日5回の「気分チェック」

実験室ではなく、ふだんの生活の中で「hangry」が確かめられた、という点がこの研究のポイントです。

02空腹が怒りに変わる「条件」がある

でも、お腹がすけば誰でも必ず怒るわけではありません。アメリカ・ノースカロライナ大学の研究(2019年)は、どんなときに空腹がイライラに変わるのかを調べました。

その結果、空腹は周りの状況がネガティブなときに、ものごとを否定的に感じ取らせやすいことがわかりました。さらに実験では、自分の気持ちに注意を向けて「今の嫌な気分は、空腹のせいかも」と気づいていた人では、hangryになりにくかったのです。

つまり、空腹そのものより、「体のモヤモヤを、目の前の相手や状況への怒りと勘違いしてしまう」ことが、hangryの正体に近いのかもしれません。

体の「空腹のモヤモヤ」を怒りと取り違えると、hangryになりやすい
体の「空腹のモヤモヤ」を怒りと取り違えると、hangryになりやすい

03「血糖値と怒り」の研究には注意も

有名な研究に、2014年の夫婦107組の調査があります。21日間、毎日血糖値を測り、毎晩、パートナーに見立てた人形に何本ピンを刺したかで怒りの強さを測ったところ、血糖値が低い人ほど多くのピンを刺していました。

ただし、これは関連を見た研究で、低い血糖値が怒りの原因だと証明したわけではありません。研究の土台になった「自制心はエネルギー(ブドウ糖)を使い切ると弱まる」という考え方そのものにも、その後の研究で疑問が出ています。「甘いものを食べれば怒りが消える」と単純には言えないのです。

04まとめ

「お腹がすくとイライラする」は、日常生活の記録でも確かめられた、本当にある現象でした。ただし、空腹がそのまま怒りになるのではなく、モヤモヤの正体に気づかないときに起きやすいようです。

イラッとしたら、まず深呼吸して「これ、hangryかも」。その一言が、あなたと周りの人を守ってくれるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe English word "hangry" combines "hungry" and "angry." But does hunger really affect our mood in daily life? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The English word "hangry" combines "hungry" and "angry." But does hunger really affect our mood in daily life? In 2022, researchers asked 64 adults in central Europe to report their hunger and feelings on a smartphone app five times a day for 21 days. They collected more than 9,000 responses.

The results showed that when people felt hungrier, they also felt more anger and irritability and less pleasure. This link remained even after the researchers considered age, sex and other factors. However, hunger does not always lead to anger. Another study found that people who noticed that their bad mood came from hunger were less likely to become hangry.

109 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英単語の「hangry」は、「hungry(空腹の)」と「angry(怒った)」を組み合わせたものです。でも、空腹は日常生活の中で本当に私たちの気分に影響するのでしょうか。2022年、研究者たちは中欧に住む64人の大人に、21日間、1日5回、スマートフォンのアプリで空腹度と気持ちを報告してもらいました。集まった回答は9,000回以上でした。

結果は、お腹がすいていると感じているときほど、怒りやイライラも強く、楽しさは少ないことを示しました。この関係は、研究者が年齢や性別、そのほかの要因を考慮しても残りました。しかし、空腹がいつも怒りにつながるわけではありません。別の研究では、自分の不機嫌が空腹から来ていると気づいた人は、hangryになりにくいことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. How many responses did the researchers collect?

Q2. What did the results show?

Q3. According to the passage, what may help people avoid becoming hangry?

重要単語

  • hangryB2
    形容詞空腹でイライラしたI get hangry if I skip lunch. hungry+angry の混成語(かばん語)。brunch(breakfast+lunch)と同じ作り。
  • irritabilityC1
    名詞イライラしやすさHunger can increase irritability. irritate(イライラさせる)→ irritable(怒りっぽい)→ irritability と派生をまとめて覚える。
  • moodB1
    名詞気分A snack quickly improved her mood. be in a good / bad mood「機嫌がいい/悪い」。be in the mood for ~「~したい気分だ」も頻出。
  • self-controlB2
    名詞自制心It is hard to keep self-control when you are tired. self-(自分を)+control。self-esteem(自尊心)なども同じ作り。
  • awareB1
    形容詞気づいているBeing aware of your hunger can calm you down. be aware of ~ / be aware that ~ の形で頻出。名詞は awareness。
  • self-reportC1
    名詞自己報告The study relied on self-reports of hunger. 本人の申告による測定。客観的な測定ではないため、研究の限界としてよく挙げられる。

動画でもっと知る

お腹がすくとイライラする「hangry(ハングリー+アングリー)」は研究でも確かめられていた。64人が3週間、1日5回スマホで記録したら、空腹な時ほど怒りやイライラが強かったらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Swami et al. (2022) Hangry in the field: An experience sampling study on the impact of hunger on anger, irritability, and affect, PLOS ONEdoi.org
  2. MacCormack & Lindquist (2019) Feeling hangry? When hunger is conceptualized as emotion, Emotiondoi.org
  3. Bushman et al. (2014) Low glucose relates to greater aggression in married couples, PNASdoi.org