ステゴサウルスとティラノサウルスの時代の差は、ティラノと人間の差より大きい
思わず唸るNo.083

ステゴサウルスとティラノサウルスの時代の差は、ティラノと人間の差より大きい

ティラノは、ステゴより人間に近い時代の恐竜。

ホントTRUE

この判定の対象「ステゴサウルスとティラノサウルスの時代の差は、ティラノと人間の差より大きい」

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もくじ
  1. ステゴサウルスは約1億5000万年前、ティラノサウルスは約6700万年前の恐竜
  2. 2頭の時代の差は少なく見ても7700万年で、ティラノサウルスから今までの6600万年より長い
  3. ロンドンの博物館にあるステゴサウルスの化石は、池に急に埋もれたので、ほぼ全身が残った
  4. 深掘り講義
  5. まとめ
  6. 英語で読む(A2・4択5問)
  7. 出典・ウラ取り

恐竜図鑑を開くと、ティラノサウルスとステゴサウルスが、同じページに並んでいることがあります。映画やおもちゃでも、2頭が向かい合う場面はおなじみです。

でも、この2頭が出会うことはありませんでした。それどころか、2頭の生きた時代は、ティラノサウルスと私たち人間の時代よりも、遠く離れています。

この記事では、まず、ロンドン自然史博物館の恐竜図鑑で2頭の年代を確かめ、2頭の時代の差を引き算で出します。次に、ステゴサウルスの年代がどうやって決められてきたかを紹介します。最後に、研究が進むと年代の数字がどれくらい動くのかを見ていきます。

01ステゴサウルスは約1億5000万年前、ティラノサウルスは約6700万年前の恐竜

まず、ステゴサウルスです。ロンドン自然史博物館によると、生きていたのはジュラ紀の後期です。年代は、1億5200万〜1億4500万年前。化石は、アメリカで見つかっています。

ティラノサウルスは、白亜紀の後期の恐竜です。年代は、6800万〜6600万年前。化石は、アメリカとカナダで見つかっています。

ジュラ紀と白亜紀は、どちらも恐竜の時代です。でも、2つの時代の間には大きなへだたりがあります。国際層序委員会の年代表によると、白亜紀は1億4310万年前に始まり、6600万年前に終わりました。白亜紀だけで、約7700万年もあるのです。

022頭の時代の差は少なく見ても7700万年で、ティラノサウルスから今までの6600万年より長い

では、引き算です。2頭の差を、わざといちばん小さくなるように計算します。

ステゴサウルスのいちばん新しい年代は、1億4500万年前です。ティラノサウルスのいちばん古い年代は、6800万年前です。その差は、7700万年です。

一方、ティラノサウルスのいちばん新しい年代は、6600万年前です。そこから今までは、6600万年です。いちばん古い年代の6800万年前から数えても、今までは6800万年です。

どちらと比べても、ステゴサウルスとティラノサウルスの差のほうが長くなります。雑学が成り立ちにくくなるように、2頭の差はいちばん短い7700万年、ティラノサウルスから今まではいちばん長い6800万年で比べてみます。それでも、2頭の差のほうが900万年長くなります。それぞれ約1億5000万年前と約6700万年前として比べると、2頭の差は約8300万年です。

人間とも比べましょう。2017年の研究で、モロッコで見つかった化石が、ホモ・サピエンス(今の人類)の最も古い仲間とされました。年代は、約31万5000年前です。ティラノサウルスが消えてから、6500万年以上たってからのことです。

時間を一本の帯にすると、ティラノサウルスは人間の側に近い。
時間を一本の帯にすると、ティラノサウルスは人間の側に近い。

03ロンドンの博物館にあるステゴサウルスの化石は、池に急に埋もれたので、ほぼ全身が残った

ステゴサウルスの年代は、どうやって決まるのでしょう。手がかりの一つが、ロンドン自然史博物館にある1体の全身骨格です。

この化石は、2003年にアメリカ・ワイオミング州で見つかりました。2015年の論文によると、ほぼ全身がそろった、とても珍しい標本です。ステゴサウルスの化石の多くは、骨格の半分にも満たないからです。

それまで、ステゴサウルスの体のつくりのいちばんくわしい説明は、1914年に書かれたものでした。この化石のおかげで、約100年ぶりに、体のすみずみまで調べ直すことができたのです。

論文は、このステゴサウルスの骨がよく残ったのは、死んだ直後に池や水たまりに急に埋もれたからだ、と考えています。骨の様子から、子どもではなく、若い大人だったようです。

この化石が見つかったのは、モリソン層という、アメリカ西部に広がる地層の中ほどです。ここは、ジュラ紀の終わりの「ティトン期」にあたると考えられています。近くの地層のいちばん下の部分からは、約1億5150万年前という年代が出ています。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

恐竜の年代は、骨の上や下にある火山灰の層で測る

恐竜の骨そのものから、何万年前かを直接測ることは、ふつうできません。そこで研究者は、骨が出た地層の上や下にはさまる、火山灰の層を探します。

火山灰には、噴火したときにできた鉱物が含まれています。その鉱物の中の元素は、決まった速さで別の元素に変わっていきます。変わった元素の割合を測ると、噴火した年代が分かります。これが放射年代測定です。骨の年代は、上と下の火山灰の年代の間にある、と考えます。

年代を測るときの基準にする岩石の年代が見直されると、ほかの岩石の年代の数字も変わる

この測り方には、基準になる岩石があります。年代がよく分かっている標準の試料と比べて、ほかの試料の年代を出すのです。

2015年、トルヒーヨとコワリス(K. Trujillo & B. Kowallis)は、モリソン層の古い測定結果を計算し直しました。基準に使うフィッシュキャニオン凝灰岩の年代が、何度か見直されてきたからです。

すると、古い測定値は、そろって1.29%古くなりました。たとえば、1億4807万年前とされていた火山灰は、1億5000万年前になりました。約200万年も動いたのです。同じ岩でも、基準の年代が新しくなると、年代の数字が動くのです。

博物館の「1億5200万〜1億4500万年前」という幅も、こうした測定の積み重ねで決まっています。それでも、どの基準を使っても、ステゴサウルスとティラノサウルスの差が、ティラノサウルスと人間の差より小さくなることはありません。

年代の「±」は、測った年代にどれくらいの幅がありうるかを表す

論文の年代には、よく「±」がついています。たとえば、白亜紀の始まりは「1億4310万年前±60万年」です。ワイオミング州の地層のいちばん下の部分の年代は「1億5150万年前±300万年」でした。

「±」の後ろの数字は、測定にどれくらいの幅がありうるかを示します。引き算をするときは、この幅も考える必要があります。

でも、この記事の比べ方では、幅は問題になりません。2頭の差の7700万年と、ティラノサウルスから今までの6600万〜6800万年は、少なくとも900万年離れています。数十万年や数百万年の幅では、どちらが長いかはひっくり返らないのです。

ティラノサウルスの新種とされた化石の年代について、2024年と2026年に違う説が出た

一方、ティラノサウルスの側にも、動くかもしれない数字があります。

2024年、ダルマンら(S. G. Dalman ほか)は、ニューメキシコ州の化石を、新種「ティラノサウルス・マクレアエンシス」と発表しました。この化石は、それまでティラノサウルス・レックスとされていたものです。論文は、この恐竜がレックスより600万〜700万年古く、大きさはレックスに負けないと主張しました。

ところが2026年、別の研究チームが学会で、地層の年代を測り直した結果を発表しました。化石の出た地層は6900万年前より新しく、レックスより700万年も古いとは言えない、という内容です。

この化石を新種として認めるかどうかも含め、議論は続いています。でも、どちらの説でも、この化石の年代は、ジュラ紀よりずっとあとの白亜紀の後期です。だから、「2頭の差のほうが、ティラノサウルスから今までより長い」という結論は変わりません。

ステゴサウルスだけで比べるか、剣竜の仲間全体で比べるかで、差は変わる

最後に、名前がどこまでの恐竜を指すかにも、注意が必要です。2015年の論文によると、ステゴサウルスを含む、背中に板をもつ恐竜の仲間(剣竜類)がいます。剣竜類は、ジュラ紀の中ごろから白亜紀の前期まで生きていました。

ステゴサウルスという1つのグループ(属)だけで比べるか、「剣竜の仲間」全体で比べるか。どちらで比べるかで、差の大きさは変わります。剣竜の仲間全体で数えると、ティラノサウルスとの差はちぢまります。雑学の数字は、どの範囲の生き物を指すかで変わるのです。

04まとめ

ステゴサウルスは1億5200万〜1億4500万年前、ティラノサウルスは6800万〜6600万年前の恐竜です。2頭の差は、いちばん小さく見ても7700万年です。ティラノサウルスが消えてから今までの6600万年より、1100万年も長くなります。

恐竜図鑑で2頭が並んでいたら、その間にある7700万年を思い出してください。白亜紀という時代1つ分と、ほぼ同じ長さです。

人に話すなら、こう言おう

ティラノサウルスとステゴサウルスって、同じ時代にはいなかったんだって。2頭の差は少なく見ても7700万年で、ティラノから今までの6600万年より長いらしいよ。
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英語で読む

Closer to Us Than to Stegosaurus

CEFR A2231 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

In books and movies, Tyrannosaurus rex and Stegosaurus often stand side by side.本や映画では、ティラノサウルス・レックスとステゴサウルスがよく並んで登場します。 But these two dinosaurs never met.でも、この2頭の恐竜が出会うことはありませんでした。 In fact, T. rex lived closer in time to us than to Stegosaurus.それどころか、ティラノサウルスは、ステゴサウルスより私たちに近い時代に生きていたのです。

The Natural History Museum in London says Stegosaurus lived from 152 to 145 million years ago.ロンドン自然史博物館によると、ステゴサウルスは1億5200万年前から1億4500万年前に生きていました。 T. rex lived from 68 to 66 million years ago.ティラノサウルスは6800万年前から6600万年前に生きていました。 Let's do some math and make the gap as small as possible.計算をして、その差をできるだけ小さくしてみましょう。 From 145 to 68 million years ago is 77 million years.1億4500万年前から6800万年前までは、7700万年です。 From the last T. rex to today is only 66 million years.最後のティラノサウルスから今までは、6600万年しかありません。

How do scientists know these dates?科学者は、どうやってこうした年代を知るのでしょうか。 They often date layers of volcanic ash above and below the bones.多くの場合、骨の上や下にある火山灰の層の年代を測ります。 But the numbers can change.でも、その数字は変わることがあります。 In 2015, two scientists checked old dates again with a new standard.2015年、2人の科学者が、新しい基準を使って古い年代を確かめ直しました。 One layer moved from about 148 million to 150 million years ago.ある地層は、約1億4800万年前から1億5000万年前に変わりました。

The story of T. rex is changing, too.ティラノサウルスの話も変わりつつあります。 In 2024, a team said a fossil from New Mexico was a new and older kind of Tyrannosaurus.2024年、あるチームが、ニューメキシコ州の化石は、新しく、より古い種類のティラノサウルスだと発表しました。 In 2026, another team said the rocks were younger than that.2026年、別のチームが、その岩はそれより新しいと発表しました。 Scientists are still discussing it.科学者たちは今も議論を続けています。

Still, no new date can close the big gap.それでも、どんな新しい年代も、この大きな差をうめることはできません。 It is still 11 million years longer than the time since T. rex.それは、ティラノサウルスから今までの時間より、まだ1100万年長いのです。 Our own species, Homo sapiens, appeared only about 315,000 years ago.私たちの種、ホモ・サピエンスが現れたのは、ほんの約31万5000年前です。 So when you see T. rex and Stegosaurus together, remember the 77 million years between them.だから、ティラノサウルスとステゴサウルスが一緒にいるのを見たら、2頭の間にある7700万年を思い出してください。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2According to the museum, when did T. rex live?

    博物館によると、ティラノサウルスはいつ生きていましたか。

  3. Q3Why did one layer's date change in 2015?

    2015年に、ある地層の年代が変わったのはなぜですか。

  4. Q4In paragraph 4, the word "discussing" is closest in meaning to ...

    第4段落の "discussing" に最も近い意味はどれですか。

  5. Q5Which is true according to the story?

    この話の内容と合っているのはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • dinosaur名詞
    恐竜

    The museum has a huge dinosaur skeleton.

    その博物館には大きな恐竜の骨格がある。

    💡 ギリシャ語で「恐ろしいトカゲ」。複数形は dinosaurs。

  • gap名詞
    差、すき間

    There is a small gap between the door and the floor.

    ドアと床の間に小さなすき間がある。

    💡 時間・年齢・考え方の「差」にも使う。the age gap は「年の差」。

  • layer名詞
    層

    The cake has three layers of cream.

    そのケーキにはクリームの層が3つある。

    💡 地層は a rock layer。服の「重ね着」にも使う。

  • volcanic形容詞
    火山の

    Japan has many volcanic mountains.

    日本には火山の山がたくさんある。

    💡 volcano(火山)の形容詞。volcanic ash は「火山灰」。

  • standard名詞
    基準、標準

    This school has high standards for students.

    この学校は生徒に高い基準を求める。

    💡 形容詞では「標準の」。standard Japanese は「標準語」。

  • fossil名詞
    化石

    We found a fossil of a shell on the beach.

    私たちは浜辺で貝の化石を見つけた。

    💡 fossil fuel は「化石燃料(石油や石炭)」。

  • species名詞
    (生物の)種

    Many species of birds live in this forest.

    多くの種類の鳥がこの森に住んでいる。

    💡 単数も複数も同じ形 species。

  • appear動詞
    現れる

    A rainbow appeared after the rain.

    雨のあとに虹が現れた。

    💡 反対は disappear(消える)。appearance は「出現、見た目」。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 19件)。

  1. Stegosaurus(ロンドン自然史博物館 Dino Directory)nhm.ac.uk
  2. Tyrannosaurus(ロンドン自然史博物館 Dino Directory)nhm.ac.uk
  3. International Chronostratigraphic Chart v2024/12(国際層序委員会)stratigraphy.org
  4. Maidment, S. C. R., Brassey, C. & Barrett, P. M. (2015) The Postcranial Skeleton of an Exceptionally Complete Individual of the Plated Dinosaur Stegosaurus stenops, PLOS ONE 10: e0138352doi.org
  5. Trujillo, K. & Kowallis, B. (2015) Recalibrated legacy 40Ar/39Ar ages for the Upper Jurassic Morrison Formation, Geology of the Intermountain West 2: 1-8doi.org
  6. Hublin, J.-J. et al. (2017) New fossils from Jebel Irhoud, Morocco and the pan-African origin of Homo sapiens, Nature 546: 289-292doi.org
  7. Dalman, S. G. et al. (2024) A giant tyrannosaur from the Campanian–Maastrichtian of southern North America and the evolution of tyrannosaurid gigantism, Scientific Reportsdoi.org
  8. Amato, J., Schantz, E., Lawton, T. et al. (2026) U-Pb Geochronologic Constraints on Laramide Basin Stratigraphy and the Age of the Postulated Tyrannosaurus mcraeensis, GSA Abstracts with Programsdoi.org

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