雷が通り抜ける空気は、太陽の表面の約5倍の温度になる
思わず唸るNo.205

雷が通り抜ける空気は、太陽の表面の約5倍の温度になる

雷が通る空気は、太陽の表面の約5倍の温度。

ホントTRUE

この判定の対象「雷が通る空気は、太陽の表面の約5倍の温度になる」

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もくじ
  1. 雷が通る空気は、約2万7800℃になることがある
  2. 太陽の表面は約5500℃なので、雷が通る空気はその約5倍
  3. 雷そのものに温度はなく、熱くなるのは雷が通る空気
  4. 熱くなった空気が急にふくらんで縮むと、雷鳴の音になる
  5. 深掘り講義
  6. まとめ
  7. 英語で読む(A2・4択5問)
  8. 出典・ウラ取り

雷が落ちるとき、その通り道の空気は何度になるのでしょうか。

アメリカの国立気象局(NWS)によると、答えは華氏5万度です。日本で使う摂氏に直すと、約2万7800℃。太陽の表面の温度の、約5倍です。

ただし、この熱さは長くは続きません。1960年代に雷の光を調べた研究者の計算によると、雷の通り道の温度は、1秒の約3万3000分の1の間に、半分近くまで下がります。

この記事では、まず「太陽の表面の約5倍」という数字を、自分で計算して確かめます。次に、雷が空気を熱くするしくみと、雷鳴が生まれるしくみを見ます。最後に、1960年代の研究者が、遠くの雷の温度をどうやって測ったのかを紹介します。

01雷が通る空気は、約2万7800℃になることがある

NWSは、雷が通る空気は華氏5万度にもなる、と説明しています。華氏は、アメリカでよく使われる温度の目盛りです。水が凍る温度が華氏32度、水がふっとうする温度が華氏212度です。

華氏を、日本で使う摂氏(℃)に直してみましょう。華氏の数字から32を引いて、5をかけて、9で割ります。

  • (5万 − 32)× 5 ÷ 9 = 2万7760℃

つまり、雷が通る空気は、約2万7800℃にもなるのです。

02太陽の表面は約5500℃なので、雷が通る空気はその約5倍

では、太陽の表面は何度でしょうか。NASAによると、太陽の表面は約華氏1万度、摂氏で約5500℃です。

華氏どうしで比べると、5万 ÷ 1万 = 5。ちょうど5倍です。摂氏どうしで比べても、2万7760 ÷ 5500 = 約5.05。やはり約5倍です。NWSの「太陽の表面の5倍熱い」という説明は、この計算と合います。

ただし、太陽の中心は、もっとずっと熱い場所です。NASAによると、太陽の中心は約1500万℃です。雷が太陽より熱いのは、あくまで「太陽の表面と比べたら」の話です。

03雷そのものに温度はなく、熱くなるのは雷が通る空気

NWSは、雷そのものは電気の流れなので、温度をもたない、と説明しています。

熱くなるのは、雷が通り抜ける物のほうです。電気が流れるとき、物は電気の流れをじゃまします。このじゃまする力を抵抗と言います。抵抗のせいで、雷が通る物は熱くなります。

電気をよく通す物は、それほど熱くなりません。電気を通しにくい物ほど、熱くなります。空気は、とても電気を通しにくい物です。だから、雷が通ると、空気はとても熱くなるのです。つまり、雷が何を通るかによって、熱くなり方は変わります。

雷が木に落ちたときも、同じことが起きます。NWSによると、雷の熱で、木の中の水が一気に気体になります。そのため、木が爆発したり、樹皮が細長くはがれて飛んだりすることがあります。

雷が木に落ちると、熱で木の中の水が一気に気体になり、樹皮がはがれ飛ぶことがある
雷が木に落ちると、熱で木の中の水が一気に気体になり、樹皮がはがれ飛ぶことがある

04熱くなった空気が急にふくらんで縮むと、雷鳴の音になる

雷の「ゴロゴロ」「バリバリ」という音も、この熱から生まれます。

NWSによると、雷が通ると、空気は一気に熱くなって、ふくらみます。光った直後には、空気は急に冷えて、縮みます。このすばやいふくらみと縮みが、音の波になります。それが、私たちが聞く雷鳴です。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

1960年代、アリゾナの研究者は、雷の光を色に分けて温度を測った

何キロも先に落ちる雷の温度を、温度計で測ることはできません。では、研究者はどうやって測ったのでしょうか。

使われたのは、分光という方法です。分光とは、光を虹のように色ごとに分けることです。熱い気体の中の原子は、原子の種類ごとに決まった色の光を出します。そして、温度によって、色ごとの光の強さの割合が変わります。この割合を調べれば、光を出している気体の温度が計算できます。

1965年と1966年の夏、アメリカのアリゾナ州ツーソンで、研究者のオービル(Richard Orville)が雷の光を記録しました。オービルは、高速度カメラのレンズの前に、光を色に分ける板(回折格子)を付けました。そして、約4キロ先に落ちた雷の、通り道の約10メートル分の光だけを取り出しました。オービルは、原子が出すいくつかの色の光の、強さの割合から温度を計算しました。

このカメラは、2〜5マイクロ秒ごとの光の変化を記録できました。1マイクロ秒は、100万分の1秒です。オービルは、こうして雷の光を、時間を追って色に分けて記録しました。1966年に、雷の地面への放電について、このような記録が初めて報告されました。

測った雷の半分は、最高温度が2万8000〜3万1000Kだった

オービルは、記録した雷の光の分光写真のうち10本を、くわしく分析しました。その結果、半分の5本で、最高温度が2万8000〜3万1000Kになりました。いちばん高かったものは、3万6000Kでした。測定の誤差は、10〜25%ほどあるとしています。

K(ケルビン)は、温度の単位の一つです。℃の数字に273を足すと、Kになります。3万1000Kは約3万700℃、3万6000Kは約3万5700℃です。

NWSの華氏5万度は、Kに直すと約2万8000Kです。オービルが5本の雷で測った2万8000〜3万1000Kの、下のほうと同じくらいです。

温度の「何倍」は、Kで比べると正しく比べられる

温度の「何倍」を比べるときには、注意がいります。たとえば、10℃の水は0℃の水の何倍熱いでしょうか。0に何をかけても0なので、この問いには答えられません。℃の0は、水が凍る温度を0と決めただけの目盛りだからです。

Kでは、0Kが、それ以上は下がらない、いちばん低い温度です。だから、温度の「何倍」は、Kで比べるのが正しいやり方です。

Kで比べてみましょう。太陽の表面は約5500℃なので、約5773Kです。雷が通る空気の約2万7760℃は、約2万8033Kです。

  • 2万8033K ÷ 5773K = 約4.9

Kで比べても、約4.9倍です。ちょうど5倍ではありませんが、「約5倍」と言ってよい数字です。オービルが測った3万6000Kなら、太陽の表面の約6.2倍になります。

雷の通り道の温度は、1秒の約3万3000分の1の間に大きく下がる

オービルは、測った値をもとに、雷の通り道の中で何が起きているかを計算で再現しました。その結果は、次のようなものでした。

  • 最初の30マイクロ秒の間に、温度は約3万Kから1万6000Kまで下がる。
  • 最初の5マイクロ秒の間は、通り道の圧力は平均で8気圧。ふつうの空気(1気圧)の8倍。
  • 約20マイクロ秒で、圧力はふつうの空気と同じ1気圧に戻る。
  • 最初の15マイクロ秒は、空気の原子のほぼ全部が、電子を失った状態になっている。

30マイクロ秒は、0.00003秒です。1秒の約3万3000分の1です。それでも、下がった後の1万6000Kは、太陽の表面の約2.8倍です。雷の通り道は、とても短い時間に、とても高い温度と圧力になる場所なのです。NWSが説明する、空気の急なふくらみと縮みは、これほど短い時間のうちに起きています。

05まとめ

アメリカの国立気象局によると、雷が通る空気は華氏5万度、約2万7800℃にもなります。太陽の表面(約5500℃)の約5倍の温度です。

熱くなるのは、雷そのものではなく、雷が通る空気です。空気は電気を通しにくいので、雷が通ると一気に熱くなり、ふくらみ、すぐに冷えて縮みます。その動きが、雷鳴の音になります。

1960年代、オービルは雷の光を色に分けて、その温度を測りました。調べた雷の半分は、最高温度が2万8000〜3万1000Kでした。次に雷鳴を聞いたら、その少し前に、太陽の表面より熱い空気の通り道が空にできていたことを思い出してください。

人に話すなら、こう言おう

雷が通る空気って、一瞬だけ2万7800℃くらいになるんだって。太陽の表面の約5倍だよ。その空気が一気にふくらんで、すぐ縮むから、あのゴロゴロって音が出るらしい。
READ IN ENGLISH

英語で読む

Hotter Than the Surface of the Sun

CEFR A2226 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

When lightning strikes, the air in its path gets very hot.雷が落ちるとき、その通り道の空気はとても熱くなります。 The U.S. National Weather Service says it can reach 50,000 degrees Fahrenheit.アメリカの国立気象局は、それが華氏5万度に達することがあると言っています。 That is about 27,800 degrees Celsius.これは摂氏で約2万7800度です。

The surface of the sun is about 5,500 degrees Celsius.太陽の表面は、摂氏約5500度です。 So the air in a lightning path can be about five times hotter.つまり、雷の通り道の空気は、その約5倍も熱くなることがあるのです。 But the center of the sun is much hotter, about 15 million degrees Celsius.ただし、太陽の中心はもっとずっと熱く、摂氏約1500万度です。

Lightning itself does not have a temperature.雷そのものには、温度がありません。 It is a flow of electricity.雷は電気の流れだからです。 Air does not let electricity pass easily, so it gets very hot.空気は電気を通しにくいので、とても熱くなります。 The hot air quickly gets bigger, and then it cools and gets smaller again.熱くなった空気は一気にふくらみ、それから冷えて、また縮みます。 This fast movement makes the sound of thunder.このすばやい動きが、雷鳴の音を生みます。

How can scientists measure this heat?科学者たちは、この熱さをどうやって測るのでしょうか。 In 1965 and 1966, a scientist named Richard Orville studied lightning in Arizona.1965年と1966年に、リチャード・オービルという科学者が、アリゾナで雷を調べました。 He put a special plate in front of a fast camera to split the light into colors.彼は、光を色に分けるために、高速カメラの前に特別な板を付けました。 From the colors, he found the temperature.その色から、彼は温度を割り出しました。 In five of the ten lightning records he studied, the highest temperature was 28,000 to 31,000 kelvins.調べた10本の雷の記録のうち5本で、最高温度は2万8000〜3万1000ケルビンでした。

But the heat does not last long.でも、その熱さは長く続きません。 His model showed that in just 30 millionths of a second, the temperature fell from 30,000 to 16,000 kelvins.彼の計算モデルでは、わずか100万分の30秒の間に、温度は3万ケルビンから1万6000ケルビンまで下がりました。 That is still almost three times hotter than the surface of the sun.それでも、太陽の表面の3倍近い熱さです。 So when you hear thunder, think of the very hot air that made it.だから雷鳴を聞いたら、その音を生んだ、とても熱い空気のことを思い出してください。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2About how hot is the surface of the sun?

    太陽の表面は、だいたい何度ですか。

  3. Q3Why does air get very hot when lightning goes through it?

    雷が通ると、なぜ空気はとても熱くなるのですか。

  4. Q4In paragraph 4, the word "split" is closest in meaning to

    第4段落の split という語に最も意味が近いのはどれですか。

  5. Q5Which is true about the story?

    この話の内容と合っているのはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • lightning名詞
    稲妻、雷(の光)

    We saw lightning over the mountains last night.

    昨夜、山の上に稲妻が見えた。

    💡 光は lightning、音は thunder。lightening(明るくすること)とつづりが違うので注意。

  • thunder名詞
    雷鳴、雷の音

    The dog hid under the bed when it heard thunder.

    その犬は雷鳴を聞くとベッドの下にかくれた。

    💡 thunderstorm で「雷雨」。

  • surface名詞
    表面

    The surface of the table is very smooth.

    そのテーブルの表面はとてもなめらかだ。

    💡 sur(上)+face(顔)。the surface of the sun で「太陽の表面」。

  • temperature名詞
    温度、気温

    The temperature dropped quickly after sunset.

    日が沈んだ後、気温が急に下がった。

    💡 体温の意味もある。take one's temperature で「体温を測る」。

  • electricity名詞
    電気

    This old house does not have electricity.

    この古い家には電気が通っていない。

    💡 形容詞は electric(電気の)。数えられない名詞。

  • measure動詞
    測る

    The nurse measured my height and weight.

    看護師が私の身長と体重を測った。

    💡 名詞 measurement は「測定」。

  • split動詞
    分ける、割る

    Let's split the pizza into eight pieces.

    ピザを8切れに分けよう。

    💡 過去形・過去分詞も split。split A into B で「AをBに分ける」。

  • last動詞
    続く

    The meeting lasted for two hours.

    会議は2時間続いた。

    💡 形容詞の last(最後の)と同じつづり。last long で「長く続く」。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 21件)。

  1. How Hot Is Lightning?(NOAA National Weather Service)weather.gov
  2. Understanding Lightning: Thunder(NOAA National Weather Service)weather.gov
  3. Sun: Facts(NASA Science)science.nasa.gov
  4. Orville, R. E. (1968) A High-Speed Time-Resolved Spectroscopic Study of the Lightning Return Stroke: Part I. A Qualitative Analysis, Journal of the Atmospheric Sciences 25doi.org
  5. Orville, R. E. (1968) A High-Speed Time-Resolved Spectroscopic Study of the Lightning Return Stroke: Part II. A Quantitative Analysis, Journal of the Atmospheric Sciences 25doi.org
  6. Orville, R. E. (1968) A High-Speed Time-Resolved Spectroscopic Study of the Lightning Return Stroke. Part III. A Time-Dependent Model, Journal of the Atmospheric Sciences 25doi.org
  7. Orville, R. E. (1966) High-Speed, Time-Resolved Spectrum of a Lightning Stroke, Science 151doi.org

文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。

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