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男子校・女子校は成績が伸びる? 160万人のメタ分析では「差はほぼなし」、でも韓国の抽選校では…

男子校・女子校は成績が伸びる? 160万人のメタ分析では「差はほぼなし」、でも韓国の抽選校では…

読む前に予想してみよう!

男子校・女子校の生徒は、共学の生徒より成績が大きく伸びることが確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
幼稚園〜高校生(21か国)ほか
規模
184研究・約160万人
研究の種類
メタ分析+抽選による自然実験
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

21か国・160万人のメタ分析では、条件をそろえると男女別学と共学の学力差はほぼゼロ。一方、学校が抽選で決まるソウルのデータでは別学にプラスの結果も出ていた。

ひとことで言うと男子校・女子校が「伸びる」ように見えるのは、通う生徒のちがいが大きいかも。

もくじ
  1. 160万人分のメタ分析:「条件をそろえると、ほぼ差なし」
  2. 見かけの差の正体:「誰が通っているか」
  3. どんでん返し:抽選で学校が決まるソウルでは…
  4. なぜ結果がちがうのか
  5. まとめ

「男子校は伸び伸びできる」「女子校の方が理系に進みやすい」。日本には今も多くの男子校・女子校があり、進学実績が高い学校も少なくありません。

では、男女別学には本当に学力を伸ばす効果があるのでしょうか。世界中の研究をまとめると、「ほぼ差なし」という結論と、それをくつがえすような研究の両方が見えてきます。

01160万人分のメタ分析:「条件をそろえると、ほぼ差なし」

研究チームは、質の高い研究の結果からは、「別学が共学より有利だという考えは支持されない」と結論づけています。

02見かけの差の正体:「誰が通っているか」

なぜ、そろえていない研究では別学が有利に見えたのでしょうか。カギは「選抜効果」です。

男子校・女子校には、

  • 私立の進学校が多い
  • 入試がある(もともと学力が高い生徒が集まりやすい)
  • 教育熱心な家庭が選びやすい

といった特徴があることがあります。つまり、「別学だから伸びた」のではなく、「伸びやすい生徒が別学に集まっていた」可能性があるのです。

2011年、アメリカの心理学者Halpernさんらは『Science』誌で、別学の効果をうたう主張の多くは科学的な根拠に乏しいうえ、男女を分けることで性別の固定観念を強めるおそれがあると警告しました。タイトルは、ずばり「男女別学の疑似科学」です。

「差」に見えたのは、スタート地点の高さのちがいだった?
「差」に見えたのは、スタート地点の高さのちがいだった?

03どんでん返し:抽選で学校が決まるソウルでは…

ところが、話はこれで終わりません。韓国・ソウルでは、かつて高校が、住んでいる地域の中で抽選によって割り振られていた時期がありました。つまり、男子校・女子校に行くか共学に行くかが、生徒や家庭の希望とは関係なく決まっていたのです。

これは、選抜効果を取り除くのに理想的な「自然の実験」です。ParkさんらがこのデータをもとにDemography誌で報告した研究(2013年)では、男子校・女子校に通った生徒の方が、大学入試の国語と英語の点数が高く、4年制大学への進学率も高いという結果が出ました。この傾向は、先生の質や教員1人あたりの生徒数などの学校の特徴を考慮しても残りました。

つまり、少なくともある国のある制度の下では、別学にプラスの効果がありうるということです。

04なぜ結果がちがうのか

  • 国や文化:男女の役割に対する考え方や、学校制度が違う
  • 何と比べるか:別学の公立校と共学の公立校か、私立と公立か
  • 何を測るか:テストの点か、進路の選び方か、自信や固定観念か

研究によって、これらの条件が大きく異なります。「別学は良い」「共学は良い」と一言で言い切れないのは、このためです。

05まとめ

世界中の研究をまとめると、条件をそろえたときの男女別学と共学の差は、ほぼゼロでした。別学の「伸びる」イメージの多くは、どんな生徒が通っているかで説明できそうです。

一方で、抽選で学校が決まっていたソウルのデータでは、別学にプラスの効果も見つかっています。学校選びで大切なのは、「別学か共学か」というラベルより、その学校で自分がどう過ごせるかなのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDo students learn more in boys' schools and girls' schools? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Do students learn more in boys' schools and girls' schools? In 2014, researchers combined 184 studies covering about 1.6 million students in 21 countries. They separated studies that did not control for students' backgrounds from those that did, using random assignment or statistics.

In the uncontrolled studies, single-sex schools seemed slightly better in subjects like math. In the controlled studies, the difference almost disappeared. This points to a "selection effect." These schools may attract students who were already likely to do well.

Seoul gives a different result. Students there were once assigned to high schools by lottery, and those at single-sex schools scored higher on college entrance exams.

108 words ・ CEFR B1

和訳を見る

男子校や女子校では、生徒はより多くを学ぶのでしょうか。2014年、研究者たちは21か国の約160万人の生徒を対象とした184の研究をまとめました。彼らは、生徒の背景をそろえていない研究と、無作為割り当てや統計を使ってそろえた研究を分けました。

そろえていない研究では、数学などの科目で男女別学の方がやや良いように見えました。そろえた研究では、その差はほとんど消えました。これは「選抜効果」を示しています。こうした学校には、もともと成績が伸びやすい生徒が集まっているのかもしれないのです。

ソウルでは違う結果が出ています。そこではかつて生徒がくじ引きで高校に割り振られており、男女別学の学校の生徒の方が大学入試の点数が高かったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What happened to the difference in the controlled studies?

Q2. What does "selection effect" mean in this passage?

Q3. Why is the Seoul data important?

重要単語

  • single-sex schoolB2
    名詞(句)男女別学の学校(男子校・女子校)She goes to a single-sex school. single-sex education「男女別学教育」。boys' school / girls' school とも言う。
  • coeducationalC1
    形容詞男女共学のMost public schools in Japan are coeducational. co-(共に)+educational。略して coed とも言う。
  • selection effectC1
    名詞(句)選抜効果(もともとの違いによる見かけの差)The advantage may be a selection effect. selection bias(選択バイアス)とほぼ同じ考え方。比べる集団がもともと違うと、見かけの差が出る。
  • random assignmentC1
    名詞(句)無作為割り当てSeoul used random assignment to high schools. assign(割り当てる)の名詞形 assignment。因果を確かめるための最も強い方法の一つ。
  • stereotypeB2
    名詞固定観念Some worry that separation increases gender stereotypes. gender stereotype「性別による固定観念」は入試長文の頻出テーマ。形容詞 stereotypical。
  • reputationB2
    名詞評判The school has a strong academic reputation. have a good reputation for ~「~で評判が良い」。動詞 repute は硬い語。
男子校・女子校の方が成績が伸びる? 21か国・160万人分のメタ分析では、生徒のもともとの違いをそろえると、共学との差はほぼゼロだったらしい。ところが、学校が抽選で決まる韓国・ソウルのデータでは別学にプラスの結果も。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Pahlke, Hyde & Allison (2014) The effects of single-sex compared with coeducational schooling on students' performance and attitudes: A meta-analysis, Psychological Bulletindoi.org
  2. Halpern et al. (2011) The Pseudoscience of Single-Sex Schooling, Sciencedoi.org
  3. Park, Behrman & Choi (2013) Causal Effects of Single-Sex Schools on College Entrance Exams and College Attendance: Random Assignment in Seoul High Schools, Demographydoi.org