「マジカルナンバー7」はもう古い? 人が一度に覚えられるのは4つ前後だった

読む前に予想してみよう!
電話番号をハイフンで区切ると覚えやすいのは、情報を「かたまり」にできるから
バラバラの数字も、まとまりにすると頭の作業スペースに収まりやすくなる。
- 対象
- 成人(記憶実験の参加者)/チェスの名人と初心者
- 規模
- 多数の実験のレビュー+3人のチェス実験
- 研究の種類
- 理論レビュー+実験研究
- 確かさ
- ★★★★☆
頭の中で一度に扱える情報は「7つ」より少なく、4つ前後という見方が有力。でも情報を「かたまり」にすれば、実質の量を増やせる。
ひとことで言うとバラバラより「まとめて」覚えると、頭にたくさん入る!
「人間が一度に覚えられるのは7つまで」。マジカルナンバー7という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ところが、その後の研究で「7は多すぎる。本当は4つ前後じゃないか」という見方が有力になってきました。
でも、がっかりする必要はありません。この「4つ」には裏ワザがあります。それがチャンキング。情報を「かたまり(チャンク)」にまとめるテクニックです。
017から4へ、数字が変わった理由
1956年、アメリカの心理学者ジョージ・ミラーが「人の短期的な記憶には7±2くらいの限界がある」という論文を発表し、大ブームになりました。
ここで出てくるのがワーキングメモリ。頭の中にある「作業用の小さな机」のようなもので、計算したり文章を理解したりするときに、情報をいったん置いておく場所です。この机、思ったより狭いんですね。
02「かたまり」にすれば、机は広く使える
では、どうやって狭い机に多くを載せるか。答えは、小さな物を箱に詰めて、箱ごと置くことです。
たとえば「0 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8」という11個の数字。バラバラだと覚えにくいですが、「090-1234-5678」と区切ると、3つのかたまりになります。電話番号がハイフンで区切られているのは、実に理にかなっているんです。

03チェスの名人の記憶力の秘密
チャンキングの威力を示す有名な研究があります。1973年、カーネギーメロン大学のチェイスとサイモンは、チェスの名人・上級者・初心者(各1人という小さな実験です)に盤面を5秒ほど見せて、駒の位置を再現させました。
実際の対局に出てきそうな盤面では、名人は初心者よりはるかに多くの駒を正確に再現。ところが駒をデタラメに並べた盤面では、その差がほぼ消えたんです。
のちの研究では、デタラメな盤面でも強い人がわずかに有利だという結果も出ていますが、大筋は変わりません。名人は「記憶力が超人」なのではなく、駒の配置を意味のあるかたまりとして見ていたわけです。勉強で「できる人」が多くを覚えられるのも、知識がかたまりとして整理されているからだと考えられます。
04知識が増えるほど「箱」が大きくなる
チャンキングのすごいところは、知っていることが増えるほど、1つの箱に詰められる量が増えることです。
たとえば「N・H・K・J・R」というアルファベット5文字。初めて見る人には5つのバラバラな文字ですが、日本で暮らす人なら「NHK」と「JR」の2つのかたまりに見えますよね。
勉強も同じ。基礎知識がしっかりしていると、新しいことを「あれの仲間ね」と既存の箱に入れられるので、頭の作業机に余裕が生まれます。基礎の暗記が大事だと言われるのは、こういう理由もあるんです。
05まとめ
頭の作業机は、思ったより狭い。でも、情報を「かたまり」にまとめるほど、実質的に多くを扱えるようになります。
丸暗記がしんどいときは、「これとこれ、まとめられないかな?」と考えてみてください。その工夫自体が、知識を整理する勉強になります。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1956, the psychologist George Miller suggested that people can hold about seven items in short-term memory.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
People often say we can remember seven things at once. But many scientists now think the real number is about four. That sounds small, but there is a trick. You can put information into groups, called chunks.
For example, eleven numbers are hard to remember. But when you split a phone number into three parts, it becomes easy. The more you know, the bigger your chunks can be.
68 words ・ CEFR A2
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人は一度に7つのことを覚えられるとよく言われます。しかし今では多くの科学者が、本当の数は4つくらいだと考えています。少なく聞こえますが、裏ワザがあります。情報を「チャンク」と呼ばれるグループにまとめることができるのです。
たとえば、11個の数字は覚えにくいです。しかし電話番号を3つの部分に分けると、簡単になります。知っていることが多いほど、チャンクを大きくできます。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
一度に覚えられるのは4つ前後だが、チャンク(グループ)にまとめれば多く覚えられる、という話なので B。
Q2. How many things do many scientists now think we can remember at once?
many scientists now think the real number is about four とあるので D。
Q3. In this passage, "split" means ...
split ~ into three parts で「~を3つに分ける」。divide(分ける)と同じ意味なので C。
In 1956, the psychologist George Miller suggested that people can hold about seven items in short-term memory. Later, in 2001, Nelson Cowan reviewed many experiments and argued that the true limit is closer to four chunks. Seven may have looked possible because people unknowingly group or repeat information. Working memory is like a small desk in your head, but chunking lets you use it well.
A famous 1973 study showed this with chess. When a chess master and a beginner briefly saw a board from a real game, the master remembered far more pieces. When the pieces were placed randomly, however, the difference almost disappeared. The master did not have a super memory; he saw meaningful patterns.
117 words ・ CEFR B1
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1956年、心理学者のジョージ・ミラーは、人は短期記憶に約7つの項目を保持できると提案しました。その後2001年に、ネルソン・コーワンは多くの実験を見直し、本当の限界は4つのかたまりに近いと主張しました。7つが可能に見えたのは、人が無意識に情報をまとめたり繰り返したりしていたからかもしれません。ワーキングメモリは頭の中の小さな机のようなものですが、チャンキングを使えばそれをうまく使えます。
1973年の有名な研究が、チェスでこれを示しました。チェスの名人と初心者が実際の対局の盤面を短い時間見ると、名人ははるかに多くの駒を覚えていました。しかし駒がデタラメに置かれていると、その差はほとんど消えました。名人は超人的な記憶力を持っていたのではなく、意味のあるパターンを見ていたのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What did Nelson Cowan argue in 2001?
argued that the true limit is closer to four chunks とあるので A。
Q2. What happened when the chess pieces were placed randomly?
When the pieces were placed randomly, however, the difference almost disappeared. とあるので C。
Q3. What can we infer from the chess study?
名人の強みは実戦の盤面でだけ現れたので、知識によって情報を意味のあるかたまりにできたと推論できる。正解は B。
In 1956 George Miller wrote about "the magical number seven, plus or minus two," and the phrase became one of the best-known ideas in psychology. In 2001 Nelson Cowan went back over a large body of experiments and argued for a lower figure. When people are prevented from using strategies such as rehearsal and regrouping, working memory holds only about four chunks. Miller's seven may have been inflated by tricks people use without noticing. The size of a chunk, though, can grow.
Eleven digits of a phone number are too many to hold as separate items, but split into three groups they fit comfortably. The classic demonstration is Chase and Simon's 1973 chess study. A master recalled positions from real games far better than a novice, but the advantage almost disappeared when the pieces were placed at random. That study tested only one player at each skill level, and later work found that experts keep a slight edge even on random boards.
Researchers also disagree about whether capacity is best thought of as a fixed number of slots. Even so, the master's knowledge of real games is what let a crowded board fit into a few large chunks.
198 words ・ CEFR B2
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1956年、ジョージ・ミラーは「マジカルナンバー7±2」について書き、この言葉は心理学で最もよく知られた考えの一つになりました。2001年、ネルソン・コーワンは多数の実験を検討し直し、もっと小さい数字を主張しました。リハーサル(復唱)や再グループ化といった工夫を使えないようにすると、ワーキングメモリが保持できるのは約4つのかたまりにすぎないというのです。ミラーの7という数字は、人が気づかずに使っている技によって水増しされていたのかもしれません。それでも、かたまりの大きさは大きくすることができます。
11桁の電話番号は、バラバラの項目としては多すぎて覚えきれませんが、3つのグループに分けると楽に収まります。古典的な実証は、チェイスとサイモンによる1973年のチェス研究です。名人は実際の対局の局面を初心者よりはるかによく再現しましたが、駒がデタラメに置かれるとその優位はほとんど消えました。この研究は各技能レベルにつき1人しか調べておらず、後の研究ではデタラメな盤面でも熟達者がわずかな優位を保つことが分かりました。
また、容量を決まった数の「スロット」として考えるのが最適かどうかについても、研究者の意見は分かれています。それでも、駒でいっぱいの盤面を少数の大きなかたまりに収めさせたのは、名人が持つ実戦の知識でした。
4択リーディングクイズ
Q1. Why might Miller's number of seven have been "inflated"?
リハーサルや再グループ化を使えないようにすると約4つになると述べ、Miller's seven may have been inflated by tricks people use without noticing とあるので D。
Q2. Which of the following is mentioned as a limitation of Chase and Simon's study?
That study tested only one player at each skill level とあるので B。
Q3. What is the author's main conclusion?
The size of a chunk, though, can grow. とし、最終文で the master's knowledge of real games is what let a crowded board fit into a few large chunks と述べているので A。
重要単語
- working memoryB2名詞(句)作業記憶(頭の中の作業スペース)Working memory helps you do mental math.
情報を一時的に置いて操作する記憶。short-term memory(短期記憶)とほぼ同じ文脈で出るが、「操作」まで含む点が違う。 - chunkB2名詞・動詞かたまり/かたまりにまとめるChunk the phone number into three parts.
「厚いかたまり」が基本の意味(a chunk of bread=パンのかたまり)。英語学習でも「チャンクで覚える」=語のまとまりで覚える、という使い方をする。 - capacityB2名詞容量、能力Our memory capacity is smaller than we think.
capable(能力がある)と同語源。have the capacity to do「~する能力がある」、seating capacity(収容人数)。 - noviceC1名詞初心者A novice sees pieces, but an expert sees patterns.
nov-は「新しい」(novel=新しい・小説、innovation)。expert との対比で長文に出やすい。 - retainB2動詞保持する、覚えておくIt is hard to retain eleven random digits.
re-(後ろに)+tain(保つ)。contain・maintain・obtain と同じ -tain の仲間でまとめて覚えると効率的(これもチャンキング)。 - inflateC1動詞ふくらませる・水増しするThe number may have been inflated by hidden strategies.
風船をふくらませるのが原義。名詞 inflation(インフレ)。数字を「水増しする」の意味でも評論文に出る。 - overwhelmC1動詞圧倒する・手に負えなくさせるToo many new words can overwhelm a learner.
be overwhelmed by ~「~に圧倒される」の受動態が頻出。形容詞 overwhelming(圧倒的な)も重要。
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「人は7つまでなら覚えられる」で有名なマジカルナンバー7。でも今の心理学では、本当に一度に扱えるのは4つ前後という見方が有力らしい。電話番号を区切ると覚えやすい理由もここに。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Miller (1956) The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information, Psychological Reviewdoi.org
- Cowan (2001) The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity, Behavioral and Brain Sciencesdoi.org
- Cowan (2010) The magical mystery four: How is working memory capacity limited, and why?, Current Directions in Psychological Sciencedoi.org
- Chase & Simon (1973) Perception in chess, Cognitive Psychologydoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。








