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黙読より「声に出す」と覚えられる。音読が記憶を強くする“プロダクション効果”

黙読より「声に出す」と覚えられる。音読が記憶を強くする“プロダクション効果”

読む前に予想してみよう!

自分の声で読み上げた単語は、同じ単語を黙読するより覚えやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生
規模
数十人規模の実験多数+メタ分析
研究の種類
実験研究+メタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

声に出して読んだ言葉は、黙読した言葉より記憶に残りやすい。ポイントは「全部」ではなく「大事な所だけ」声に出すこと。

ひとことで言うと大事なところだけ声に出して読むと、覚えやすくなる!

もくじ
  1. 声に出した単語は、テストで目立つ
  2. 一番効いたのは「自分がその場で言う」
  3. 落とし穴:全部音読すると効果が薄れる
  4. 声が出せない場所ではどうする?
  5. まとめ

英単語を覚えるとき、黙って眺めていますか? それとも口に出していますか?

実は、声に出して読んだ言葉の方が記憶に残りやすいことが、心理学の実験で何度も確かめられています。名前はプロダクション効果。プロダクションは「作り出す」という意味で、ここでは「自分で声を作り出す」ことを指します。

ただし、この効果には知っておくべき「クセ」があります。全部を音読すればいい、というわけではないんです。

01声に出した単語は、テストで目立つ

なぜ効くのか。有力な説明は目立ち方の違いです。

声に出した単語には「口を動かした」「自分の声が聞こえた」という追加の手がかりがくっつきます。あとで思い出すとき、「あ、これは言ったやつだ」と区別しやすくなるんですね。

アルバムの中で、何枚かの写真にだけ付せんが貼ってあると見つけやすい。そんなイメージです。

02一番効いたのは「自分がその場で言う」

2018年、同じカナダのフォリンとマクラウドは、さらに細かく比べました。

  • 黙って読む
  • 他の人が読み上げるのを聞く
  • 前に録音した自分の声を聞く
  • 自分でその場で声に出す

結果、一番よく覚えていたのは、自分でその場で声に出したときでした。「口を動かす」と「自分の声を聞く」が組み合わさるのが強いようです。

声に出した言葉は、記憶の中で「付せん付き」になる
声に出した言葉は、記憶の中で「付せん付き」になる

03落とし穴:全部音読すると効果が薄れる

ここが大事なポイント。プロダクション効果は、「声に出したもの」と「出していないもの」が混ざっているときに強く出やすいことが分かっています。

全部を音読すると、全部に付せんが貼られた状態になり、目立つものが少なくなってしまう。だから「教科書を最初から最後まで音読」は、思ったほど効かない可能性があります。

ただし、効果がゼロになるわけではありません。「全部音読する人」と「全部黙読する人」を比べた研究をまとめた2013年のメタ分析でも、音読グループの方が再認テストの成績が良く、効果は中程度(g=0.37)でした。それでも効果は残る、ということです。

04声が出せない場所ではどうする?

図書館や電車の中では、さすがに声は出せませんよね。そんなときも、あきらめる必要はありません。

マクラウドらの研究では、声に出すほどではないものの、口だけ動かす(口パク)でも、黙読より覚えやすくなる傾向が報告されています。「自分で何かを作り出す動き」が加わることが大事なようです。

また、黙読する場合でも、大事な単語だけ指でなぞる、紙に書き出すなど、ひと手間をかけると「ほかとは違う」目印になります。場所に合わせて、使える方法を選びましょう。

音読は英語学習とも相性抜群です。スペルを見て、発音して、自分の耳で聞く。目・口・耳を同時に使うので、単語が「文字だけの情報」から「音も持った情報」に変わります。リスニングで聞き取れる単語が増える、といううれしいおまけもあるかもしれません(ここは記憶研究とは別の話なので、あくまで期待です)。

05まとめ

音読は、子どもっぽい勉強法どころか、ちゃんと根拠のある記憶ワザでした。コツは「ここぞ」という所だけ声に出すこと。

次に単語帳を開いたら、苦手な単語だけ、ちょっと大きめの声で読んでみてください。記憶に「付せん」が1枚増えるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSaying words out loud helps you remember them, according to research on the production effect. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Saying words out loud helps you remember them, according to research on the production effect. In 2010, MacLeod and colleagues at the University of Waterloo in Canada showed people a list of words and asked them to read some aloud and some silently. On a later test, the words read aloud were remembered better.

One explanation is that spoken words become distinctive because they carry extra information, such as the movement of your mouth and the sound of your voice. A 2018 study found that saying a word yourself worked better than hearing a recording of your own voice. However, the effect is strongest when only some items are spoken, so reading a whole textbook aloud may help less.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

プロダクション効果に関する研究によると、言葉を声に出して言うと覚えやすくなります。2010年、カナダのウォータールー大学のマクラウドらは、人々に単語のリストを見せ、一部は声に出して、一部は黙って読むよう求めました。後のテストでは、声に出して読んだ単語の方がよく覚えられていました。一つの説明は、声に出した単語が目立つようになるというものです。

口の動きや自分の声の響きといった追加の情報を持つからです。2018年の研究では、自分で単語を言う方が、録音した自分の声を聞くよりも効果的だと分かりました。しかし、この効果は一部の項目だけを声に出すときに最も強いので、教科書全体を音読してもあまり役に立たないかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2010 study ask people to do?

Q2. What did the 2018 study find?

Q3. Why might reading a whole textbook aloud help less?

重要単語

  • read aloudB1
    動詞(句)音読するRead the key sentences aloud. aloud は「声に出して」、loudly は「大声で」と意味が違う。read out loud も同じ意味。
  • productionB2
    名詞産出、作り出すことThe production effect comes from saying words yourself. produce(生産する)の名詞形。言語学では「話す・書く」=産出(production)、「聞く・読む」=受容(reception)。
  • distinctiveB2
    形容詞目立つ、独特のSpoken words become more distinctive in memory. distinct(はっきり異なる)と混同注意。distinctive は「他と区別できる特徴的な」。名詞 distinctiveness。
  • silentlyB1
    副詞黙って、声を出さずにMost students read silently in the library. silent(静かな)の副詞形。silent letter(発音しない文字、knife の k など)も一緒に。
  • recognitionB2
    名詞再認(見覚えがあるか判断すること)The recognition test asked which words you had seen. recognize(認識する)の名詞形。記憶研究では recall(再生)と recognition(再認)の区別が重要。
  • auditoryC1
    形容詞聴覚のSpeaking adds auditory information to memory. audi-は「聞く」(audio・audience・audition)。visual(視覚の)と対で覚える。
  • genuineB2
    形容詞本物のReading aloud is a genuine memory aid. 発音は「ジェニュイン」。a genuine interest(心からの関心)のようにも使う。real より硬い語。
声に出して読んだ単語は、黙読した単語より覚えていられる「プロダクション効果」。しかも一番効いたのは、自分の声を録音して聞くより“その場で自分が言う”ことだったらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. MacLeod, Gopie, Hourihan, Neary & Ozubko (2010) The production effect: Delineation of a phenomenon, Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognitiondoi.org
  2. Forrin & MacLeod (2018) This time it's personal: The memory benefit of hearing oneself, Memorydoi.org
  3. MacLeod & Bodner (2017) The production effect in memory, Current Directions in Psychological Sciencedoi.org
  4. Fawcett (2013) The production effect benefits performance in between-subject designs: A meta-analysis, Acta Psychologicadoi.org