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火星はなぜ赤い? 正体は「サビ」。しかも2025年、それは“水のあるサビ”の可能性が出てきた

火星はなぜ赤い? 正体は「サビ」。しかも2025年、それは“水のあるサビ”の可能性が出てきた

読む前に予想してみよう!

火星が赤く見えるのは、表面がとても熱いからだ

研究カード(どんな研究?)
対象
火星のちり
規模
探査機の観測データ+実験室での再現
研究の種類
観測・実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

火星が赤いのは地表のちりにふくまれる鉄がサビたから。2025年の研究では、主役は水をふくむサビ「フェリハイドライト」で、昔の火星に水があった証拠かもしれない。

ひとことで言うと火星が赤いのは、星全体が「サビ」におおわれているから!

もくじ
  1. 星全体が「サビ色のちり」におおわれている
  2. これまでの説:乾いた火星で、ゆっくりサビた
  3. 2025年の新説:サビは「水をふくんでいた」
  4. まとめ

火星が赤いのは、地表をおおう細かいちりや岩にふくまれる「鉄」がサビているからです。鉄が酸素と結びついた酸化鉄は、赤茶色をしています。古い鉄くぎが赤くサビるのと、基本的には同じことです。

ここまでは昔から知られていた話。ところが2025年、「そのサビの正体」をめぐって、火星の歴史を書きかえるかもしれない研究が発表されました。

01星全体が「サビ色のちり」におおわれている

火星の表面は、パウダーのように細かいちりでおおわれています。火星では星全体をおおうほどの砂あらしが起きることもあり、ちりは風で運ばれて、あちこちに降り積もります。そのため、どこを見ても赤っぽく見えるのです。

実は、ちりの下の岩石そのものは、地球の溶岩と同じような黒っぽい玄武岩であることが多いのです。火星の「赤」は、いわば表面をうすくおおうサビのお化粧です。

赤いのは、岩をうすくおおう「サビのちり」
赤いのは、岩をうすくおおう「サビのちり」

ちなみに、火星の空は昼間はうっすらピンクがかった黄土色に見え、夕焼けは逆に青っぽくなります(くわしくは火星の青い夕焼け)。空の色まで、このちりが決めているのです。

02これまでの説:乾いた火星で、ゆっくりサビた

これまで多くの研究者は、火星の赤いちりは水のない乾いた環境で、長い時間をかけてゆっくりサビたヘマタイト(赤鉄鉱)などが主役だと考えてきました。

2006年、ヨーロッパの探査機「マーズ・エクスプレス」の観測データをまとめた研究では、火星の歴史を「粘土ができた水の多い時代」「硫酸塩ができた時代」「水がほとんどなく、ゆっくり酸化が進んだ時代」に分ける考え方が示されました。赤い色は、このいちばん新しい、乾いた時代の産物というわけです。

032025年の新説:サビは「水をふくんでいた」

フェリハイドライトは、地球では冷たい水がある場所で、鉄がすばやくサビるとできやすい鉱物です。今の火星の表面には液体の水はほとんどありません。だからこそ、水がないとできにくいサビが星じゅうに広がっているとしたら、それは過去の火星の環境を知る大きな手がかりになります。

つまり、火星の赤い色そのものが、「昔の火星には水があった」ことを語っているのかもしれないのです。

04まとめ

火星が赤いのは、地表のちりがサビ(酸化鉄)だから。そして最新の研究によると、そのサビは水があった時代に生まれたものかもしれません。

夜空に赤く光る火星。その色は、はるか昔の水の記憶なのかもしれないのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMars looks red because its surface is covered with fine dust containing iron oxide, or rust. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Mars looks red because its surface is covered with fine dust containing iron oxide, or rust. Dust storms carry this dust across the planet, so almost everywhere looks reddish, even though many of the rocks underneath are dark. For a long time, scientists believed that the rust formed slowly in a dry environment over billions of years.

In 2025, however, researchers compared data from spacecraft with dust that they made in a laboratory. They found that the main rust in Martian dust is probably ferrihydrite, a mineral that usually forms when cold water is present. If this is correct, the red color of Mars may be evidence that the planet once had liquid water.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

火星が赤く見えるのは、表面が酸化鉄、つまりサビをふくむ細かいちりにおおわれているからです。砂あらしがこのちりを星全体に運ぶので、その下の岩の多くは黒っぽいにもかかわらず、ほとんどどこを見ても赤っぽく見えるのです。長いあいだ、科学者たちは、このサビは乾いた環境で何十億年もかけてゆっくりできたと考えていました。

しかし2025年、研究者たちは探査機のデータを、実験室で作ったちりとくらべました。その結果、火星のちりの主なサビは、ふつう冷たい水があるときにできる鉱物、フェリハイドライトである可能性が高いことがわかりました。これが正しければ、火星の赤い色は、この惑星にかつて液体の水があった証拠なのかもしれません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. How did the researchers study the rust in 2025?

Q3. Why might the new finding be important?

重要単語

  • rustB1
    名詞・動詞サビ・サビるMars is covered with fine red rust. 形容詞 rusty「サビた・(腕が)なまった」。My English is a little rusty.「英語が少しなまっている」。
  • iron oxideB2
    名詞(句)酸化鉄Iron oxide gives Mars its red color. oxide は oxygen(酸素)と結びついた物質。carbon dioxide「二酸化炭素」の -oxide と同じ。
  • dustB1
    名詞ちり・ほこりDust storms can cover the whole planet. dust storm「砂あらし」。動詞では「ほこりを払う」。dusty「ほこりっぽい」。
  • mineralB1
    名詞鉱物Scientists identified the mineral from its spectrum. 栄養素の「ミネラル」も同じ語。mineral water「ミネラルウォーター」。
  • habitableC1
    形容詞生命が住めるWas Mars once habitable? inhabit「住む」、habitat「生息地」と同語源。habitable zone「生命居住可能領域」は宇宙の話の重要語。
  • oxidationC1
    名詞酸化Slow oxidation turned the iron red. 動詞 oxidize「酸化する」。食品の「酸化防止剤」は antioxidant。

4コマでわかる

火星はなぜ赤い? 正体は「サビ」。しかも2025年、それは“水のあるサビ”の可能性が出てきたの4コマ漫画
火星が赤いのは、地表のちりがサビ(酸化鉄)だから。これまでは乾いた環境でできたサビと考えられてきたけど、2025年の研究で主役は水をふくむサビの可能性が。赤い色そのものが、昔の火星の水の証拠かもしれないらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Valantinas et al. (2025) Detection of ferrihydrite in Martian red dust records ancient cold and wet conditions on Mars, Nature Communicationsdoi.org
  2. Bibring et al. (2006) Global Mineralogical and Aqueous Mars History Derived from OMEGA/Mars Express Data, Sciencedoi.org
  3. Ehlmann & Edwards (2014) Mineralogy of the Martian Surface, Annual Review of Earth and Planetary Sciencesdoi.org