月にも地震がある。しかも10分以上ゆれ続ける「月震」と、縮む月の関係

読む前に予想してみよう!
月はかたい岩のかたまりなので、地震(月震)は起きない
アポロの地震計が数千回の月震を記録。浅い月震はM5級に達したこともある。
- 対象
- 月の地震活動
- 規模
- アポロ地震計の記録(1969〜77年)+月周回機の画像
- 研究の種類
- 観測データの解析
- 確かさ
- ★★★★☆
アポロが置いた地震計は、1969〜77年に何千回もの「月震」を記録した。浅い月震はM5級で10分以上ゆれることも。月は冷えて縮み、いまも断層が動いているらしい。
ひとことで言うと月にも地しんがあるよ。月は少しずつちぢんでいて、そのときゆれるんだ。
地震があるのは地球だけ——そう思っていませんか?じつは月にも地震があります。名前は月震(げっしん)。
しかもその中には、マグニチュード5級に達し、10分以上もゆれ続けたものもあります。静かで動かない星に見える月は、いまも少しずつ縮みながら、ときどき身ぶるいしているのです。
01アポロが月に置いてきた「地震計」
月震がわかったのは、アポロ計画のおかげです。
宇宙飛行士たちは月面に地震計を設置しました。そのうちアポロ12・14・15・16号の地震計は、1969年から1977年までデータを地球に送り続け、何千回もの月のゆれを記録しました。
NASAによると、月震には大きく分けて4つのタイプがあります。
- 深い月震:地下数百kmで起きる。地球の引力(潮の力)が原因
- 浅い月震:地下20〜30kmほど。いちばん強く、最大でマグニチュード5.5ほど
- 熱による月震:昼夜の激しい温度差で、岩がのび縮みして起きる
- 隕石の衝突によるゆれ
02月は「ゆれが止まらない」
月震のふしぎなところは、ゆれの長さです。
地球の地震のゆれは、ふつう数十秒〜数分でおさまります。ところが月の浅い月震は、NASAによると10分以上続くことがあります。
アポロ12号では、役目を終えた着陸船の上半分を月面にわざと落とした実験で、50分以上もゆれが続いたと記録されています。当時は「月が鐘のように鳴った」と話題になりました。
月の岩はとても乾いていて、ゆれのエネルギーを吸収する水がほとんどありません。しかも表面近くはひびだらけで、ゆれが何度もはね返ってこだまのように残るのです。

03月は「干しぶどう」のように縮んでいる
浅い月震の原因として注目されているのが、月が縮んでいることです。
月の内部は、生まれたころの熱が少しずつ冷めています。冷えると、岩はわずかに縮みます。すると、表面のかたい地殻が押しつぶされて、段差のような崖(断層)ができる。ちょうど、ぶどうが干しぶどうになるとき、皮にしわが寄るようなイメージです。
04月面基地の「地震対策」
この話は、未来の月面基地にも関わります。
2024年、ワッターズらは、アメリカのアルテミス計画が着陸をめざす月の南極付近にも若い断層が集まっていることを報告しました。1970年代にこの近くで起きた強い浅い月震とも関係がありそうです。月震で斜面がくずれる(地すべり)おそれもあり、基地をどこに建てるかは慎重に選ぶ必要があります。
05まとめ
- 月にも月震がある。アポロの地震計が何千回も記録した
- 浅い月震はM5級、しかも10分以上ゆれ続けることがある
- 月は冷えて縮んでいて、いまも断層が動いているらしい
夜空の月は、いつも同じ顔でこちらを見ています。でもその内側では、何十億年もかけた「しわ寄せ」が、いまも静かに続いているのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEarthquakes do not happen only on Earth.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
The Moon has earthquakes too. They are called moonquakes. Apollo astronauts left machines on the Moon to measure shaking. From 1969 to 1977, these machines recorded thousands of moonquakes. Some shallow moonquakes were quite strong and shook for more than ten minutes.
Scientists think the Moon is slowly getting smaller as it cools. When it shrinks, the ground can crack and move.
62 words ・ CEFR A2
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月にも地震があります。それは月震と呼ばれます。アポロの宇宙飛行士たちは、ゆれを測る機械を月に残してきました。1969年から1977年まで、これらの機械は何千回もの月震を記録しました。浅いところで起きた月震の中にはかなり強いものもあり、10分以上ゆれ続けました。
科学者は、月が冷えるにつれて少しずつ小さくなっていると考えています。月が縮むと、地面が割れて動くことがあるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
月震の記録と、月が縮むことによる原因を述べているので B。
Q2. How long did some shallow moonquakes shake?
shook for more than ten minutes とあるので C。
Q3. In this passage, "shrinks" means ...
直前の getting smaller を shrinks で言いかえているので A。
Earthquakes do not happen only on Earth. Apollo astronauts placed seismometers on the Moon, and from 1969 to 1977 these instruments recorded thousands of moonquakes. Most were deep and weak, but some shallow ones reached about magnitude 5. Strangely, shallow moonquakes can keep shaking for more than ten minutes. This is because the Moon's rocks are very dry and full of cracks, so the vibrations bounce around instead of fading quickly.
Scientists believe some shallow moonquakes happen because the Moon is shrinking as its interior cools. Like a grape turning into a raisin, its surface forms wrinkles, which appear as cliffs along faults. This matters for future bases, because young faults have been found near the Moon's south pole.
119 words ・ CEFR B1
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地震は地球だけで起きるわけではありません。アポロの宇宙飛行士は月に地震計を設置し、1969年から1977年まで、これらの装置は何千回もの月震を記録しました。ほとんどは深くて弱いものでしたが、浅い月震の中にはマグニチュード5程度に達したものもありました。ふしぎなことに、浅い月震は10分以上ゆれ続けることがあります。これは、月の岩がとても乾いていてひびだらけなので、振動がすぐに弱まらずにあちこちではね返るからです。科学者は、浅い月震の一部は、月の内部が冷えるにつれて月が縮んでいるために起きると考えています。
ぶどうが干しぶどうになるように、月の表面にはしわができ、それが断層に沿った崖として現れるのです。これは将来の基地にとって重要です。月の南極の近くでも若い断層が見つかっているからです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
月震の記録・長く続く理由・原因(月の収縮)・将来の基地への影響を述べているので D。
Q2. Why can shallow moonquakes shake for a long time?
This is because the Moon's rocks are very dry and full of cracks とあるので A。
Q3. Why does the writer mention future bases?
若い断層が南極付近で見つかっていることを理由に This matters for future bases と述べており、月震が基地のリスクになりうると読み取れるので C。
The Moon may look geologically dead, but seismometers left by Apollo astronauts tell a different story. Between 1969 and 1977, instruments from four missions recorded thousands of moonquakes. Some were deep quakes linked to Earth's tidal pull. Others came from extreme temperature swings or meteorite impacts. The most powerful were shallow quakes, reaching up to about magnitude 5.5.
Shallow moonquakes also last unusually long, sometimes more than ten minutes, because the dry, heavily fractured lunar crust absorbs little energy and scatters the vibrations again and again. Their likely cause is global contraction. As the Moon's interior cools, the crust is squeezed and breaks along faults, forming cliff-like scarps. In 2019, a Smithsonian-led team reanalyzed the Apollo data and found that several shallow quakes occurred near young fault scarps, so some of those faults may still be active.
With only four stations, however, quake locations carry large errors, and the link is statistical rather than certain. This is more than an academic question. Young faults have been identified near the lunar south pole, where Artemis landings are planned, and mission planners now have to consider the risk of quakes and landslides there.
191 words ・ CEFR B2
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月は地質学的に死んだ天体に見えるかもしれませんが、アポロの宇宙飛行士が残した地震計は違う物語を語っています。1969年から1977年にかけて、4つのミッションの装置が何千回もの月震を記録しました。地球の潮汐の力と結びついた深い月震もありました。激しい温度変化や隕石の衝突によるものもありました。最も強力だったのは浅い月震で、マグニチュード5.5程度にまで達しました。浅い月震は持続時間も異常に長く、ときには10分以上ゆれ続けます。
乾燥してひび割れだらけの月の地殻はエネルギーをほとんど吸収せず、振動を何度も散乱させるからです。その原因として考えられるのは月全体の収縮です。月の内部が冷えると地殻が押し縮められて断層に沿って割れ、崖のような地形ができます。2019年、スミソニアン博物館が率いるチームはアポロのデータを解析し直し、いくつかの浅い月震が若い断層崖の近くで起きていたことを見いだしました。つまり、そうした断層の一部はいまも活動しているのかもしれません。
ただし観測点は4つしかないため、震源の位置には大きな誤差があり、両者の結びつきは確実なものではなく統計的なものです。これは学問上の問題にとどまりません。アルテミス計画の着陸が予定されている月の南極付近でも若い断層が確認されており、ミッションの計画者は、そこでの月震や地すべりの危険を考えに入れなければならなくなっています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
第1文で「死んだ天体ではない」と述べ、断層がいまも活動している可能性と南極の着陸地への影響まで論じているので A。
Q2. Why does the author say the link between quakes and faults is "statistical rather than certain"?
With only four stations, however, quake locations carry large errors とあり、観測点の少なさによる位置の誤差が理由なので D。
Q3. The word "contraction" in the passage is closest in meaning to ...
直後に As the Moon's interior cools, the crust is squeezed と説明があり、冷えて縮むことを指すので B。expansion(膨張)は反対語。
重要単語
- moonquakeB2名詞月震(月の地震)The Apollo seismometers recorded many moonquakes.
moon+quake(ゆれ)。earthquake にならった造語。marsquake(火星の地震)もある。 - seismometerC1名詞地震計Astronauts placed a seismometer on the Moon.
seismo-(地震)+meter(計器)。seismic(地震の)、seismology(地震学)もセットで。 - faultB2名詞断層A young fault may still be active.
日常語の「欠点・責任(It's my fault.)」と同じつづり。地学では「断層」。active fault「活断層」。 - contractB2動詞縮む、収縮するThe Moon contracts as it cools.
名詞 contraction「収縮」。反対は expand(膨張する)。名詞の contract「契約」とアクセント位置が違うことが多い。 - scarpC1名詞崖、断層崖Lobate scarps are signs of a shrinking Moon.
escarpment の短縮形。lobate scarp は月や水星で見られる「舌状の断層崖」。 - landslideB2名詞地すべりMoonquakes could trigger landslides.
land+slide(すべる)。選挙の「圧勝」も a landslide victory と言う。 - geologicallyC1副詞地質学的にThe Moon is not geologically dead.
geo-(地球・大地)+-logy(学問)。geologically active「地質学的に活動している」は惑星科学の定番表現。
公式・一次情報をチェック
- Moonquakes(NASA Science)science.nasa.gov
- Shrinking Moon May Be Generating Moonquakes(NASA)nasa.gov
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月にも地震がある。アポロが置いた地震計は何千回もの「月震」を記録していて、浅い月震はマグニチュード5級、しかも10分以上ゆれ続けることも。月は冷えながら縮んでいて、いまも断層が動いているらしい。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Watters et al. (2019) Shallow seismic activity and young thrust faults on the Moon, Nature Geosciencedoi.org
- Watters et al. (2024) Tectonics and Seismicity of the Lunar South Polar Region, The Planetary Science Journaldoi.org
- Nakamura (1977) HFT events: Shallow moonquakes?, Physics of the Earth and Planetary Interiorsdoi.org
- NASA Science, Moonquakesscience.nasa.gov
- NASA, Shrinking Moon May Be Generating Moonquakes (2019)nasa.gov
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










