あなたの体の原子は、むかし星の中で作られた。金の指輪は“星の衝突”のおみやげ

読む前に予想してみよう!
人間の体の水素は、宇宙が始まってすぐのころに作られたものだ
水素はビッグバン直後にできた元素。体の水分などに含まれる水素原子は、約138億年前の生まれと考えられる。
- 対象
- 宇宙の元素の起源
- 規模
- 恒星・超新星・中性子星合体などの観測と理論
- 研究の種類
- 理論(元素合成)+観測
- 確かさ
- ★★★★☆
体の水素はビッグバン生まれ、炭素や酸素は星の中で、金などの重い元素は中性子星の合体などで作られたと考えられている。私たちは文字どおり星のかけら。
ひとことで言うとわたしたちの体は、むかしの星のかけらでできているんだよ!
「私たちは星のかけらでできている」。ロマンチックな詩の一節のように聞こえますが、これは科学的な事実です。
あなたの骨のカルシウム、血液の鉄、DNAの炭素、吸いこんでいる酸素。それらの原子の多くは、何十億年も前に、どこかの星の中で作られたものなのです。
01元素の「出生地」はバラバラ
私たちの体は、たくさんの種類の元素(原子の種類)でできています。重さで見ると、
- 酸素:約65%
- 炭素:約18%
- 水素:約10%
- 窒素:約3%
- そのほか(カルシウム、リン、鉄など)
この元素たちは、生まれた場所がそれぞれ違います。宇宙の歴史をたどってみましょう。
02①水素は「ビッグバン生まれ」
約138億年前、宇宙はビッグバンで始まりました。そのすぐあと、宇宙にできた元素は、ほとんどが水素とヘリウムでした。
あなたの体の水分(H₂O)に含まれる水素の原子は、そのころに生まれたものと考えられます。つまり、あなたの体の一部は、宇宙とほぼ同い年なのです。
03②炭素や酸素は「星のかまど」で
では、炭素や酸素はどこで生まれたのでしょう? 答えは、星の中心です。
星の中心では、ものすごい高温・高圧のもとで、軽い原子どうしがくっついて重い原子に変わる核融合が起きています。水素からヘリウムへ、ヘリウムから炭素や酸素へ。星はまさに元素を作るかまどなのです。
そして、重い星が一生の最後に超新星爆発を起こすと、作られた元素が宇宙にばらまかれます。太陽くらいの軽めの星も、年をとって大きくふくらんだ時期に、炭素などを星の風として宇宙に吹き出しています。それが新しい星や惑星の材料になり、やがて地球や私たちの体になりました。

04③金やプラチナは「星の衝突」で
ここからが、さらに「マジか!?」な話です。
金やプラチナのようなとても重い元素は、ふつうの星の核融合では作るのが難しいと考えられています。では、どこで生まれたのか。有力な候補が、中性子星どうしの合体です。
中性子星とは、超新星爆発のあとに残る、小さじ1杯で10億トン以上にもなるほど超高密度の星。その2つがぶつかり合うと、ばく大な数の中性子がまき散らされ、重い元素が一気に作られると考えられています。
2017年、重力波(時空のさざ波)の観測と、望遠鏡による観測の両方で、中性子星の合体がとらえられました。カセンらは同年、学術誌『Nature』で、そのときの光の分析から、金などの重い元素が大量に作られたことを示す研究を発表しています。
あなたの指輪やスマホの部品に含まれる金は、宇宙のどこかで星と星がぶつかったときのおみやげかもしれないのです。
アメリカの天文学者ジェニファー・ジョンソンは2019年、学術誌『Science』で、周期表の元素一つひとつが「ビッグバン」「軽い星」「重い星の爆発」「中性子星の合体」など、どこで作られたのかを色分けした“元素の出生地マップ”を発表しています。
05まとめ
- 体の水素はビッグバン生まれ
- 炭素や酸素は星の中で作られ、星の爆発で宇宙にまかれた
- 金などの重い元素は、中性子星の合体などで作られたと考えられている
夜空を見上げたとき、そこに輝く星々は、遠い親戚のようなもの。私たちは、宇宙が138億年かけて作り上げた「星のかけら」なのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBy mass, the human body is about 65 percent oxygen, 18 percent carbon, 10 percent hydrogen and 3 percent…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Our bodies are made of many kinds of atoms. The hydrogen in our bodies was made just after the Big Bang, about 13.8 billion years ago. Carbon and oxygen were made inside stars. When big stars exploded, these atoms spread into space.
Later, they became part of the Earth and of us. Much of the gold on Earth may come from crashes between dead stars. We really are made of stardust.
71 words ・ CEFR A2
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私たちの体は、たくさんの種類の原子でできています。体の中の水素は、約138億年前のビッグバンの直後に作られました。炭素や酸素は星の中で作られました。大きな星が爆発したとき、これらの原子が宇宙に広がりました。
その後、それらは地球や私たちの一部になりました。地球にある金の多くは、死んだ星どうしの衝突から来たのかもしれません。私たちは本当に星くずでできているのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
体の原子がビッグバンや星の中で作られたという話なので A。
Q2. Where were carbon and oxygen made?
Carbon and oxygen were made inside stars. とあるので B。水素はビッグバン。
Q3. In this passage, "stardust" means ...
star+dust で「星のちり・星くず」。星の中で作られ宇宙にまかれた物質のことなので C。
By mass, the human body is about 65 percent oxygen, 18 percent carbon, 10 percent hydrogen and 3 percent nitrogen. These elements were born in different places. Soon after the Big Bang about 13.8 billion years ago, the universe contained almost nothing but hydrogen and helium. The hydrogen in the water in our bodies dates from that time.
Heavier elements such as carbon and oxygen were made by nuclear fusion in the hot centers of stars. When massive stars exploded as supernovae, these elements were scattered into space, and smaller stars like the Sun also blow out carbon late in their lives. This material later formed new stars, planets and, eventually, us. A famous 1957 paper explained this process in great detail.
122 words ・ CEFR B1
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重さで見ると、人間の体は約65%が酸素、18%が炭素、10%が水素、3%が窒素です。これらの元素は、別々の場所で生まれました。約138億年前のビッグバンの直後、宇宙にはほとんど水素とヘリウムしかありませんでした。私たちの体の水に含まれる水素は、その時代にさかのぼります。炭素や酸素のようなもっと重い元素は、星の熱い中心部での核融合によって作られました。
重い星が超新星として爆発すると、これらの元素は宇宙にまき散らされました。また、太陽のような小さめの星も、晩年には炭素を吹き出します。この物質が後に新しい星や惑星、そしてついには私たちを作ったのです。1957年の有名な論文が、この過程をくわしく説明しました。
4択リーディングクイズ
Q1. Which element makes up the largest part of the human body by mass?
about 65 percent oxygen とあり、最も多いのは酸素なので D。
Q2. How were carbon and oxygen made?
made by nuclear fusion in the hot centers of stars とあるので A。
Q3. What can we infer from the passage?
水素はビッグバン、炭素や酸素は星の中と、出生地が違うので、体の原子の起源や年齢はさまざまだと推論できる。B。
The phrase "we are made of stardust" sounds like poetry, but it is science. Most of the hydrogen in our bodies formed shortly after the Big Bang, when the universe contained almost nothing but hydrogen and helium. Heavier elements came later. Inside stars, nuclear fusion builds carbon, oxygen and other elements, which are released when massive stars explode as supernovae or when aging stars like the Sun shed their outer layers.
A landmark 1957 paper by Burbidge, Burbidge, Fowler and Hoyle laid out how stars produce many of these elements. The heaviest ones, such as gold and platinum, are hard to make through ordinary fusion. In 2017, astronomers observed two neutron stars merging, through both gravitational waves and telescopes, and a study of the resulting light indicated that large amounts of heavy elements had been created.
The popular version of the story leaves out some details. Much of our carbon and nitrogen probably came from aging low- and medium-mass stars rather than supernovae. Neutron star mergers may also be too rare or too slow to explain the heavy elements found in very old stars, so astronomers are looking at certain unusual supernovae as another source.
195 words ・ CEFR B2
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「私たちは星くずでできている」という言葉は詩のように聞こえますが、科学です。私たちの体の水素のほとんどは、宇宙に水素とヘリウムしかほぼ存在しなかったビッグバンの直後にできました。より重い元素は後から生まれました。星の内部では、核融合によって炭素や酸素などの元素が作られます。それらは、重い星が超新星として爆発するときや、太陽のような年老いた星が外側の層を放出するときに、宇宙へ放たれます。
バービッジ、バービッジ、ファウラー、ホイルによる1957年の画期的な論文は、星がこれらの元素の多くをどう作り出すかを示しました。金やプラチナのような最も重い元素は、ふつうの核融合では作るのが難しいものです。2017年、天文学者たちは2つの中性子星の合体を重力波と望遠鏡の両方で観測し、そこで生じた光の研究から、大量の重い元素が作られたことが示されました。
よく語られる話では、いくつかの細部が省かれています。私たちの体の炭素や窒素の多くは、おそらく超新星よりも、年老いた低質量・中質量の星から来たものです。また、中性子星の合体は、とても古い星に見られる重い元素を説明するには、まれすぎるか遅すぎるかもしれません。そのため天文学者たちは、ある種の特殊な超新星をもう一つの供給源として調べています。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the study of the 2017 neutron star merger indicate?
a study of the resulting light indicated that large amounts of heavy elements had been created とあるので B。
Q2. Why does the author say the popular version of the story "leaves out some details"?
Much of our carbon and nitrogen probably came from aging low- and medium-mass stars rather than supernovae とあるので D。
Q3. Why are certain unusual supernovae being considered?
中性子星の合体はまれすぎるか遅すぎて古い星の重い元素を説明しきれないかもしれない、と理由が書かれているので A。
重要単語
- elementB1名詞元素・要素Oxygen is the most common element in your body by mass.
化学の「元素」のほか「要素」の意味でも頻出。a key element of success「成功の重要な要素」。 - nuclear fusionC1名詞(句)核融合Nuclear fusion in stars makes carbon and oxygen.
fuse(溶けて一つになる)から。料理の「フュージョン」も同じ語。 - supernovaC1名詞超新星(爆発)A supernova scatters new elements into space.
複数形は supernovae / supernovas。nova はラテン語で「新しい」。 - neutron starC1名詞(句)中性子星A neutron star is incredibly dense.
neutron(中性子)は neutral(中性の)と同語源。小さじ1杯で10億トン以上になるほど高密度。 - nucleosynthesisC1名詞元素合成Nucleosynthesis explains where elements come from.
nucleo-(原子核)+synthesis(合成)。photosynthesis(光合成)と同じ synthesis。 - landmarkB2形容詞・名詞画期的な(もの)/目印The 1957 paper was a landmark in astronomy.
もとは「陸の目印」。a landmark study / decision「画期的な研究・判決」は報道・学術英語で頻出。 - scatterB2動詞まき散らす・散らばるExploding stars scatter elements across space.
be scattered「散らばっている」の受け身で使うことが多い。scattered showers「ところにより雨」。
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- GW170817 Press Release(LIGO Lab, Caltech)ligo.caltech.edu
- Stars(NASA Science)science.nasa.gov
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あなたの体の炭素や酸素は、大昔の星の中で作られて、星が死んだときに宇宙にまかれたもの。水素はビッグバン生まれ。そして金の多くは、中性子星どうしの衝突で作られたらしい。私たちは文字どおり「星のかけら」。
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- Burbidge, Burbidge, Fowler & Hoyle (1957) Synthesis of the Elements in Stars, Reviews of Modern Physicsdoi.org
- Johnson (2019) Populating the periodic table: Nucleosynthesis of the elements, Sciencedoi.org
- Kasen et al. (2017) Origin of the heavy elements in binary neutron-star mergers from a gravitational-wave event, Naturedoi.org
- LIGO Lab (2017) GW170817 Press Release, LIGO Laboratory / Caltechligo.caltech.edu
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












