土星の月タイタンには「メタンの海」と雨がある。2034年、ドローンが飛びに行く

読む前に予想してみよう!
地球以外で、表面に液体の湖や海があると確認された天体は見つかっていない
土星の衛星タイタンには、液体メタンやエタンの湖や海がある。
- 対象
- 土星の衛星タイタン
- 規模
- 探査機カッシーニ・ホイヘンスの観測
- 研究の種類
- レーダー観測などの観測研究
- 確かさ
- ★★★★☆
土星の衛星タイタンでは液体メタンの雨が降り、湖や海をつくる。地球以外で表面に液体がある唯一の天体だ。NASAはドローン型探査機を2034年に送り込む予定。
ひとことで言うと土星の月タイタンには、メタンの雨がふって、メタンの海があるよ。
雨が降り、川が流れ、湖や海がある。これだけ聞くと、地球の話のようですね。
でも、これは土星の月タイタンの話です。ただし、降っている雨は水ではありません。液体のメタンです。
NASAによると、タイタンは地球以外で、表面に液体があることが知られている唯一の天体。そしてこの不思議な世界に、NASAはドローンを飛ばしに行こうとしています。
01水星より大きい「月」
タイタンは土星最大の衛星で、直径は約5150km。なんと惑星の水星より大きいのです。
そして月としては珍しく、厚い大気をもっています。地表の気圧は地球の約1.5倍。大気の大部分は窒素で、そこにメタンが混じり、上空ではオレンジ色のもやがたちこめています。
地表の温度は約マイナス180℃。水はカチカチの氷で、岩のようにかたくなっています。この寒さでは、地球ではガスであるメタンやエタンが液体になるのです。
02カッシーニのレーダーが見た「黒い湖」
オレンジのもやに包まれたタイタンの地表は、ふつうのカメラではよく見えません。そこで活躍したのが、NASAとヨーロッパなどが協力した探査機カッシーニのレーダーでした。
その後の観測で、タイタンには大きな「海」もあることがわかりました。最大のクラーケン海は、日本の面積より広いと見積もられています。

03海の深さは160m、「消える島」まで
2014年、イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のマストロジュゼッペらは、カッシーニのレーダーの電波が海の底ではね返るまでの時間から、2番目に大きいリゲイア海の深さを測りました。いちばん深いところは約160m。液体はとても透明で、電波が底まで届いたのです。
さらに同じ2014年、アメリカ・コーネル大学のホフガートナーらは、リゲイア海に2013年に現れ、のちに消えた明るい部分を報告し、「魔法の島」と呼ばれました。波か、泡か、浮かんだ固体か——正体はまだはっきりしていません。
042034年、ドローンがタイタンの空を飛ぶ
この星を、もっと近くで調べたい。そこでNASAが計画しているのがドラゴンフライです。
ドラゴンフライは、プロペラで空を飛ぶドローン型の探査機(回転翼機)。NASAによると、打ち上げは2028年7月以降、タイタン到着は2034年後半の予定です(執筆時点)。1回の飛行で数km移動しながら、地面に降りては砂や氷を調べ、生命が生まれる前の化学(前生物化学)を探ります。
空気が厚く、重力が地球の約7分の1しかないタイタンは、じつは空を飛ぶのにぴったりの場所。地球よりずっと楽に飛べるのです。
05まとめ
- 土星の月タイタンでは、液体メタンの雨が降り、湖や海がある
- 海の深さは160mに達し、突然現れては消える「魔法の島」も見つかった
- NASAのドローン型探査機ドラゴンフライが、2034年に到着予定
マイナス180℃の世界で、メタンの雨が降る。生命がいるかどうかはわかりません。でも、生命が生まれる前の「材料づくり」の現場を見られるかもしれない星なのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSaturn's largest moon, Titan, is bigger than the planet Mercury and has a thick atmosphere made mostly of…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Titan is the biggest moon of Saturn. It is even bigger than the planet Mercury. Titan has thick air, and it has lakes and seas.
But they are not water! It is about minus 180 degrees Celsius there, so methane, a gas on Earth, becomes a liquid. Methane rain falls from the sky. As of writing, NASA plans for a flying robot called Dragonfly to arrive at Titan in 2034.
70 words ・ CEFR A2
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タイタンは土星で最も大きい月です。惑星の水星よりも大きいのです。タイタンには厚い空気があり、湖や海もあります。
でも、それは水ではありません。そこは約マイナス180℃なので、地球ではガスであるメタンが液体になるのです。空からはメタンの雨が降ります。執筆時点で、NASAはドラゴンフライという空飛ぶロボットを2034年にタイタンへ到着させる計画です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
土星の月タイタンの湖や海、メタンの雨について説明しているので A。
Q2. What are Titan's lakes and seas made of?
they are not water とあり、寒さでメタンが液体になると説明しているので C。
Q3. In this passage, "liquid" means something that ...
liquid は「液体」。地球ではガスのメタンが、水のように流れる状態になるということなので D。
Saturn's largest moon, Titan, is bigger than the planet Mercury and has a thick atmosphere made mostly of nitrogen. Its surface temperature is about minus 180 degrees Celsius, so cold that water ice is as hard as rock. At this temperature, methane and ethane, which are gases on Earth, become liquids. They fall as rain, run in rivers and collect in lakes and seas.
In fact, Titan is the only world besides Earth known to have liquids on its surface. Because a thick orange haze hides the ground, scientists used radar on the Cassini spacecraft to find dark lakes near the north pole. As of writing, NASA plans to send a drone-like rotorcraft called Dragonfly, expected to arrive in 2034.
120 words ・ CEFR B1
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土星最大の月タイタンは惑星の水星より大きく、おもに窒素からなる厚い大気をもっています。地表の温度は約マイナス180℃で、水の氷が岩のようにかたくなるほどの寒さです。この温度では、地球ではガスであるメタンやエタンが液体になります。それらは雨として降り、川となって流れ、湖や海にたまります。
実際、タイタンは地球以外で表面に液体があることが知られている唯一の天体です。厚いオレンジ色のもやが地表を隠しているため、科学者は探査機カッシーニのレーダーを使って、北極付近の黒い湖を見つけました。執筆時点で、NASAはドラゴンフライというドローンのような回転翼機を送る計画で、2034年に到着する予定です。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
タイタンの液体の湖や海、カッシーニの観測、ドラゴンフライの計画を述べているので B。
Q2. Why did scientists use radar to study Titan's surface?
Because a thick orange haze hides the ground, scientists used radar とあるので A。
Q3. What can we infer from the passage?
地球ではガスのメタンが、極寒のタイタンでは液体になることから、液体かどうかは温度しだいと推測できるので C。
Saturn's moon Titan, about 5,150 kilometers across and larger than the planet Mercury, is unusual among moons in having a thick atmosphere, with a surface pressure about 1.5 times Earth's. At roughly minus 180 degrees Celsius, water ice is as hard as rock, while methane and ethane exist as liquids that fall as rain and gather in lakes and seas.
According to NASA, Titan is the only world besides Earth known to have liquid on its surface. An orange haze hides the ground, so the Cassini spacecraft relied on radar. In 2007, researchers identified numerous radar-dark areas near the north pole as hydrocarbon lakes, and later observations revealed vast seas. In 2014, radar echoes from the seabed showed that Ligeia Mare is up to about 160 meters deep.
For radar to pass through that much liquid, it has to be extremely clear. That same year, researchers reported a bright feature that appeared in the sea and then vanished. Nicknamed the "magic island," it may have been waves, bubbles or floating solids, though no one has pinned down which. As of writing, NASA's Dragonfly rotorcraft is scheduled to launch no earlier than July 2028 and arrive in 2034 to study prebiotic chemistry.
201 words ・ CEFR B2
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土星の月タイタンは直径約5150キロメートルで惑星の水星より大きく、厚い大気をもつという点で衛星の中では珍しい存在です。地表の気圧は地球の約1.5倍あります。
およそマイナス180℃の環境では、水の氷は岩のようにかたく、一方でメタンやエタンは液体として存在し、雨となって降り、湖や海にたまります。NASAによると、タイタンは地球以外で表面に液体があることが知られている唯一の天体です。オレンジ色のもやが地表を隠しているため、探査機カッシーニはレーダーに頼りました。2007年、研究者たちは北極付近でレーダーの電波をほとんど返さない多数の領域を炭化水素の湖だと特定し、その後の観測で広大な海も明らかになりました。2014年には、海底からのレーダーの反射によって、リゲイア海の深さが最大約160メートルあることが分かりました。
レーダーがそれほど厚い液体を通り抜けるには、液体がきわめて透明でなければなりません。同じ年、研究者たちは、その海に現れてやがて消えた明るい部分を報告しました。それは「魔法の島」と呼ばれ、波、泡、浮かんだ固体のいずれかだった可能性がありますが、どれなのかは誰も突き止めていません。執筆時点で、NASAの回転翼機ドラゴンフライは2028年7月以降に打ち上げられ、2034年に到着して、生命誕生以前の化学を調べる予定です。
4択リーディングクイズ
Q1. Which best describes the passage?
タイタンの液体、カッシーニの発見(湖・深さ・魔法の島)、ドラゴンフライ計画をまとめて紹介しているので D。生命の存在は主張していない。
Q2. What did radar echoes from the seabed reveal about Ligeia Mare?
radar echoes from the seabed showed that Ligeia Mare is up to about 160 meters deep とあるので B。
Q3. What does the passage suggest about the "magic island"?
it may have been waves, bubbles or floating solids, though no one has pinned down which とあり、正体は分かっていないので A。
重要単語
- methaneB2名詞メタンOn Titan, methane falls as rain.
発音は /ˈmeθeɪn/(メセイン。英国では /ˈmiːθeɪn/ ミーセインとも)。天然ガスの主成分で、温室効果ガスとしても入試頻出。 - hydrocarbonC1名詞炭化水素Titan's seas are made of hydrocarbons.
hydro(水素)+carbon(炭素)。石油や天然ガスの成分。 - rotorcraftC1名詞回転翼機Dragonfly is a rotorcraft that will fly on Titan.
rotor(回転翼)+craft(乗り物)。ヘリコプターやドローンの総称。aircraft, spacecraft と同じ作り。 - radarB2名詞レーダーCassini used radar to see through the haze.
radio detection and ranging の頭文字。前から読んでも後ろから読んでも同じ回文。 - hazeC1名詞もや、かすみA thick orange haze covers Titan.
形容詞 hazy は「かすんだ、(記憶が)ぼんやりした」。fog(霧)より薄いイメージ。 - prebioticC1形容詞生命誕生以前のScientists study prebiotic chemistry on Titan.
pre-(前の)+biotic(生命の)。腸内環境の「プレバイオティクス」とは別の文脈なので注意。 - obscureC1動詞・形容詞見えにくくする/はっきりしないAn orange haze obscures the ground.
形容詞では an obscure meaning「あいまいな意味」。名詞 obscurity。
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動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
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- Dragonfly(NASA Science)science.nasa.gov
- Titan(NASA Science)science.nasa.gov
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土星の月タイタンでは、水ではなく「液体メタン」の雨が降り、川が流れ、深さ100m以上の海まである。地球以外で表面に液体があるのはここだけ。NASAはこの星にドローン型の探査機を飛ばす計画で、到着は2034年の予定らしい。
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※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










