宇宙・NASAホント

織姫と彦星は約15光年はなれている。ボイジャーの速さで会いに行くと25万年

織姫と彦星は約15光年はなれている。ボイジャーの速さで会いに行くと25万年

読む前に予想してみよう!

織姫星と彦星は、地球から見ると近いので、宇宙でも隣どうしにある

研究カード(どんな研究?)
対象
ベガとアルタイル
規模
2つの恒星
研究の種類
位置天文衛星の年周視差測定+干渉計観測
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

織姫星ベガは約25光年、彦星アルタイルは約17光年先。2つの星は約15光年はなれ、光の手紙でも片道約15年、ボイジャーの速さなら25万年以上かかる。

ひとことで言うと織ひめと彦星は、光でも15年かかるほどはなれているよ。

もくじ
  1. 地球からの距離は「25光年」と「17光年」
  2. 2つの星のあいだは「約15光年」
  3. 光の手紙でも、返事は30年後
  4. どちらも「猛スピードで回るコマ」
  5. まとめ

7月7日、七夕。天の川をはさんで、織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が年に一度だけ会える日です。

織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイル。夏の夜空で、どちらも明るく輝いて見えます。

では、この2つの星、宇宙ではどれくらい離れているのでしょう?計算してみると、ロマンチックな気分が少しだけ吹き飛ぶ数字が出てきます。

01地球からの距離は「25光年」と「17光年」

星までの距離は、地球が太陽のまわりを回ることで生じる、星の見かけの位置のわずかなずれ(年周視差)から測ります。ヨーロッパの位置天文衛星ヒッパルコスのデータを最新の方法で解析し直した結果(ファン・レーベン、2007年)から計算すると、

  • 織姫星ベガ:約25光年
  • 彦星アルタイル:約17光年

になります。1光年は、光が1年かけて進む距離で、約9兆5000億km。いま見えているベガの光は、約25年前に星を出発した光です。

022つの星のあいだは「約15光年」

地球から見ると、ベガとアルタイルは空の上で約34度はなれて見えます。手をいっぱいにのばしたとき、げんこつ3〜4個分くらいです。

この角度と、それぞれまでの距離を使って三角形を描くと、2つの星のあいだの距離が計算できます。答えは、約14.6光年。およそ15光年です。

地球からの距離と見かけの角度から、2つの星のあいだの距離がわかる
地球からの距離と見かけの角度から、2つの星のあいだの距離がわかる

03光の手紙でも、返事は30年後

もし彦星が「会いたい」と光(電波)でメッセージを送ったら、織姫に届くのは約15年後。返事が戻ってくるのは、約30年後です。

では、会いに行くとしたら?人類がつくった探査機の中でも遠くまで旅をしているボイジャー1号は、秒速およそ17km。この速さで約15光年を進むと、25万年以上かかります。

「年に一度」どころか、一生に一度も会えない距離なのです。

04どちらも「猛スピードで回るコマ」

ふたりの星には、もうひとつ共通点があります。どちらもとても速く自転しているのです。

アメリカ・ミシガン大学のモニエらは2007年、複数の望遠鏡を組み合わせる技術(干渉計)でアルタイルの表面の画像を撮りました。アルタイルは速く回りすぎて、赤道の方向にふくらんだ形をしていて、赤道付近は極より温度が低いことがわかりました。

ベガも、2006年にアメリカの研究チーム(ピーターソンら)が、ほぼ極の方向から見ている高速回転の星だと報告しています。織姫と彦星は、どちらも宇宙のスピンの達人だったのです。

05まとめ

  • 織姫星ベガは約25光年、彦星アルタイルは約17光年先
  • 2つの星のあいだは約15光年。光の手紙の返事は約30年後
  • どちらも高速で自転する、つぶれた形の星

七夕の伝説は、星の本当の距離を知ると、ちょっと切ない話になります。でも、15光年はなれていても同じ夜空で輝いている。それもまた、ロマンチックではありませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn the Tanabata legend, Orihime and Hikoboshi can meet only once a year. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In the Tanabata legend, Orihime and Hikoboshi can meet only once a year. In the real sky, Orihime is the star Vega and Hikoboshi is Altair. Using data from the European satellite Hipparcos, astronomers found that Vega is about 25 light-years from Earth and Altair is about 17 light-years away.

From Earth, the two stars appear about 34 degrees apart, so we can calculate that they are about 15 light-years from each other. If Hikoboshi sent a radio message, Orihime would receive it about 15 years later, and the reply would come back after about 30 years. Traveling at the speed of the Voyager 1 spacecraft, the trip would take more than 250,000 years.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

七夕の伝説では、織姫と彦星は年に一度しか会えません。実際の空では、織姫はベガという星で、彦星はアルタイルです。ヨーロッパの衛星ヒッパルコスのデータを使って、天文学者たちはベガが地球から約25光年、アルタイルが約17光年の距離にあることを突き止めました。

地球から見ると2つの星は約34度はなれて見えるので、計算すると、2つの星のあいだは約15光年だと分かります。もし彦星が電波でメッセージを送ったら、織姫がそれを受け取るのは約15年後で、返事が戻ってくるのは約30年後です。探査機ボイジャー1号の速さで旅をすると、25万年以上かかるでしょう。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. How long would it take for a reply to come back?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • light-yearB1
    名詞光年Vega is about 25 light-years away. 「時間」ではなく「距離」の単位。光が1年で進む距離で、約9兆5000億km。
  • parallaxC1
    名詞視差Astronomers measure distance with parallax. 見る位置を変えると物の位置がずれて見える現象。片目ずつ指を見ると体験できる。annual parallax「年周視差」。
  • rotateB1
    動詞自転する、回転するAltair rotates very quickly. rotate は自転、revolve(around)は公転。名詞 rotation/revolution もセットで。
  • flattenedB2
    形容詞平たくつぶれたAltair has a flattened shape. flat(平らな)+-en(~にする)の過去分詞。高速で回ると遠心力で赤道方向に広がる。
  • apartA2
    副詞離れてThe two stars are far apart. 数字+apart で「~離れて」。fall apart「ばらばらになる」、tell A and B apart「AとBを見分ける」。
  • legendB1
    名詞伝説The Tanabata legend comes from China. 形容詞 legendary「伝説的な」。人に対して a living legend「生ける伝説」とも言う。
  • bulgeC1
    動詞・名詞ふくらむ/ふくらみAltair bulges at its equator. ポケットや袋がふくらむ様子にも使う。天文学では銀河の中心のふくらみも bulge。

4コマでわかる

織姫と彦星は約15光年はなれている。ボイジャーの速さで会いに行くと25万年の4コマ漫画
七夕の織姫星(ベガ)と彦星(アルタイル)は、じつは約15光年はなれている。光で「会いたい」と送っても届くのは約15年後、返事が来るのは約30年後。ボイジャーの速さで会いに行くと25万年以上かかるらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. van Leeuwen (2007) Validation of the new Hipparcos reduction, Astronomy & Astrophysicsdoi.org
  2. Monnier et al. (2007) Imaging the Surface of Altair, Sciencedoi.org
  3. Peterson et al. (2006) Vega is a rapidly rotating star, Naturedoi.org
  4. 国立天文台, スター・ウィークと伝統的七夕(2026年8月)nao.ac.jp