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光より速いものはある?「光速超えニュートリノ」騒動の犯人は、ゆるんだケーブルだった

光より速いものはある?「光速超えニュートリノ」騒動の犯人は、ゆるんだケーブルだった

読む前に予想してみよう!

宇宙の遠くの銀河の中には、私たちから光より速く遠ざかっているものがある

研究カード(どんな研究?)
対象
ニュートリノ・銀河など
規模
約730kmの飛行時間測定、超新星の観測など
研究の種類
物理学の実験・観測研究
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

物や情報は真空中の光より速く進めない。ただし宇宙の膨張で遠くの銀河が光より速く遠ざかる、水中で光より速い粒子が青く光るなど「例外っぽい現象」はある。

ひとことで言うと物は光より速くは進めない。でも宇宙の広がりは別のお話!

もくじ
  1. 2011年、光速を超えた!? と大騒ぎ
  2. 本当に「光より速い」もの①:宇宙の膨張
  3. 本当に「光より速い」もの②:水の中の粒子
  4. まとめ

物や情報が、真空中の光より速く進むことはできません。これはアインシュタインの相対性理論の柱であり、これまでのあらゆる実験で確かめられてきました。光の速さは秒速約30万km。地球を1秒で7周半する速さです。

ところが、「光より速い」ように見える現象は、実はいくつもあります。そして2011年には、「ニュートリノが光より速く飛んだ」というニュースが、世界中の物理学者をざわつかせました。

012011年、光速を超えた!? と大騒ぎ

ヨーロッパの研究所CERNから、約730km離れたイタリアのグランサッソ地下研究所へ、ニュートリノという素粒子を飛ばして到着時間を測る実験(OPERA)がありました。

2011年、研究チームは「ニュートリノが、光で飛んだ場合より約60ナノ秒(1億分の6秒)早く着いたように見える」と発表しました。本当なら相対性理論がくつがえる大発見です。研究チーム自身も「どこかにまちがいがないか、ほかの人も調べてほしい」と呼びかけていました。

科学のすごいところは、自分たちの「大発見」を、自分たちで疑って確かめ直したことです。

02本当に「光より速い」もの①:宇宙の膨張

では、光より速いものは何もないのでしょうか。実はあります。遠くの銀河が遠ざかる速さです。

宇宙は膨張していて、遠い銀河ほど速く遠ざかって見えます。ある距離より遠い銀河は、光より速く遠ざかっています。でもこれは、銀河が空間の中を突っ走っているのではなく、空間そのものが広がっているから。2004年の研究は、私たちが今見ている銀河の中にも、光より速く遠ざかっているものがあることを、わかりやすく整理しています。

銀河が動くのではなく、空間そのものが広がっている
銀河が動くのではなく、空間そのものが広がっている

03本当に「光より速い」もの②:水の中の粒子

光は、水の中では真空中の約4分の3の速さに落ちます。そのため、原子炉のプールの中では、高エネルギーの粒子が水中の光より速く飛ぶことがあります。

このとき出るのが、チェレンコフ光と呼ばれる青白い光。音速を超えた飛行機が衝撃波(ソニックブーム)を出すのと似たしくみです。

04まとめ

物や情報は、光より速くは進めない。2011年の「光速超え」騒動も、最後はケーブルの接続不良という、意外な結末でした。

でも宇宙の膨張のように、ルールの外側で「光より速い」ことも起きている。光の速さは、宇宙のルールを知るためのいちばん面白い入口なのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAccording to Einstein's theory of relativity, nothing that carries matter or information can travel faster… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

According to Einstein's theory of relativity, nothing that carries matter or information can travel faster than light in a vacuum. In 2011, however, an experiment called OPERA reported that neutrinos sent about 730 kilometers from CERN to an underground laboratory in Italy seemed to arrive about 60 nanoseconds too early. The team asked other scientists to help check for mistakes.

Later, they found that a fiber-optic cable had been loosely connected. After fixing the problem, they found no difference between the speed of the neutrinos and the speed of light. That said, some things can be "faster than light" in a sense. For example, very distant galaxies move away from us faster than light because space itself is expanding.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

アインシュタインの相対性理論によれば、物質や情報を運ぶものは、真空中の光より速く進むことはできません。ところが2011年、OPERAという実験が、CERNからイタリアの地下研究所まで約730キロメートル飛ばしたニュートリノが、約60ナノ秒早く到着したように見えると報告しました。研究チームは、ほかの科学者たちにまちがいがないか確認を手伝ってほしいと呼びかけました。

その後、光ファイバーケーブルの接続がゆるんでいたことがわかりました。問題を直したあと、ニュートリノの速さと光の速さに差は見つかりませんでした。それでも、ある意味で「光より速い」ものはあります。たとえば、とても遠くの銀河は、空間そのものが膨張しているため、光より速く私たちから遠ざかっているのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. How much earlier did the neutrinos seem to arrive in 2011?

Q3. What can we learn from the way the OPERA team acted?

重要単語

  • speed of lightB1
    名詞(句)光の速さThe speed of light is about 300,000 kilometers per second. the speed of sound「音速」とセットで。faster than light は略して FTL と書くこともある。
  • neutrinoC1
    名詞ニュートリノ(素粒子の一種)Neutrinos can pass through the Earth. イタリア語で「小さな中性のもの」。neutral(中性の)と同語源。日本のスーパーカミオカンデでも観測している。
  • expansionB2
    名詞膨張・拡大The expansion of the universe is speeding up. 動詞 expand の名詞形。economic expansion「経済の拡大」のようにも使う。
  • errorB1
    名詞誤差・まちがいA small error caused a big surprise. margin of error「誤差の範囲」は研究・統計の定番表現。trial and error「試行錯誤」。
  • causalityC1
    名詞因果律(原因が結果より先に来ること)Faster-than-light travel could break causality. cause(原因)から。causation「因果関係」とほぼ同じ意味で使われる。
  • vacuumB2
    名詞真空Light travels fastest in a vacuum. u が2つ並ぶつづりに注意。vacuum cleaner「掃除機」も同じ語。vacant(空いている)と同語源。

4コマでわかる

光より速いものはある?「光速超えニュートリノ」騒動の犯人は、ゆるんだケーブルだったの4コマ漫画
2011年「ニュートリノが光より速かった」というニュースが世界をかけめぐった。でも原因は光ファイバーケーブルの接続不良。とはいえ光より速いものは意外とある。遠くの銀河は宇宙の膨張で光より速く遠ざかっているらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. OPERA Collaboration (2012) Measurement of the neutrino velocity with the OPERA detector in the CNGS beam, Journal of High Energy Physicsdoi.org
  2. Davis & Lineweaver (2004) Expanding Confusion: Common Misconceptions of Cosmological Horizons and the Superluminal Expansion of the Universe, Publications of the Astronomical Society of Australiadoi.org
  3. Alcubierre (1994) The warp drive: hyper-fast travel within general relativity, Classical and Quantum Gravitydoi.org
  4. Einstein (1905) Zur Elektrodynamik bewegter Körper, Annalen der Physikdoi.org