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16万光年先の星の爆発を、岐阜の地下でとらえた。カミオカンデの「13秒間の11個」

16万光年先の星の爆発を、岐阜の地下でとらえた。カミオカンデの「13秒間の11個」

読む前に予想してみよう!

1987年の超新星では、爆発の光より先にニュートリノが地球に届いた

研究カード(どんな研究?)
対象
超新星1987A
規模
地下3施設で計20個余りのニュートリノ+宇宙望遠鏡
研究の種類
観測研究
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

1987年、16万光年先の超新星から来たニュートリノ11個を岐阜県のカミオカンデがとらえた。光より先に届いた「星の死の知らせ」で、ノーベル賞にもつながった。

ひとことで言うと遠い星のばくはつから飛んできた小さなつぶを、日本の地下の装置がつかまえたよ。

もくじ
  1. 光より先に届いた「幽霊の粒子」
  2. 「たった11個」がすごい理由
  3. 37年後の答え合わせ:やっぱり中性子星はありそうだ
  4. 次の超新星を、日本は待っている
  5. まとめ

1987年2月、南半球の夜空に新しい星が現れました。16万光年先の銀河「大マゼラン雲」で、重い星が一生の最後に大爆発したのです。これが超新星1987A。

ところが、この爆発の「最初の知らせ」を受け取ったのは、望遠鏡ではありませんでした。岐阜県・神岡鉱山の地下1000mにある巨大な水槽、カミオカンデだったのです。

01光より先に届いた「幽霊の粒子」

重い星が燃料を使い果たすと、中心が自分の重さに耐えきれず、一瞬でつぶれます。このとき、ニュートリノという小さな粒子が、ものすごい量で放たれます。

ニュートリノは、ほかの物質とほとんどぶつからない「幽霊のような粒子」。地球でさえ、たいていすり抜けてしまいます。だから星の中からも、すぐに外へ飛び出せます。

いっぽう光は、星の外側のガスに何度もぶつかり、外に出てくるまでに時間がかかります。そのためNASAによると、超新星1987Aでは、ニュートリノが光が見つかる約2時間前に地球に届きました。

02「たった11個」がすごい理由

11個と聞くと、少なく感じるかもしれません。

でも計算上は、このとき私たちの体にも、超新星1987Aから来たものすごい数のニュートリノが通り抜けていきました。そのほとんどは何にもぶつからず、すり抜けていったのです。3000トンの水で待ちかまえて、ようやく11個だけが水とぶつかって、かすかな光を残しました。

それでもこの11個は、天文学の歴史を変えました。

  • 超新星の中心で本当に星がつぶれていたことを、初めて直接示した
  • 太陽以外の天体から来たニュートリノを初めてとらえた
  • 「ニュートリノ天文学」という新しい分野が生まれた

この業績などにより、小柴さんは2002年のノーベル物理学賞を受賞しました。

地下の水槽で、ニュートリノがぶつかった瞬間のかすかな光をとらえる
地下の水槽で、ニュートリノがぶつかった瞬間のかすかな光をとらえる

0337年後の答え合わせ:やっぱり中性子星はありそうだ

超新星のあとには、中性子星かブラックホールが残るはずです。ニュートリノの観測は、中性子星かブラックホールのどちらかができたことを示していました。

ところが、肝心の中性子星そのものは、何十年も見つかりませんでした。爆発で飛び散ったちりに、すっぽり隠されていたのです。

04次の超新星を、日本は待っている

天の川銀河の中で超新星が起きるのは、100年に数回ほどと考えられています。前回、天の川銀河で肉眼で見えた超新星は1604年の「ケプラーの超新星」。そろそろ起きてもおかしくありません。

カミオカンデの後継機スーパーカミオカンデは、5万トンの水で、いまも次の超新星を待ちかまえています。もし天の川銀河の中で起これば、何千個ものニュートリノがとらえられると期待されています。

05まとめ

  • 1987年、16万光年先の超新星から届いたニュートリノを、カミオカンデが13秒間で11個とらえた
  • ニュートリノは光より約2時間先に到着した「星の死の知らせ」だった
  • 2024年、ウェッブ望遠鏡が中性子星の証拠を見つけ、37年越しの答え合わせとなった

地下1000mの暗闇で、宇宙のはるか彼方の星の最期を待つ。次の「知らせ」は、明日届くかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn February 1987, a massive star in the Large Magellanic Cloud, a galaxy 160,000 light-years away, exploded… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In February 1987, a massive star in the Large Magellanic Cloud, a galaxy 160,000 light-years away, exploded as a supernova. When such a star runs out of fuel, its core suddenly collapses and releases huge numbers of neutrinos, tiny particles that pass through almost everything. Because neutrinos escape the star quickly while light is delayed by the star's outer gas, the neutrinos reached Earth about two hours before the light was spotted.

Kamiokande, a huge water tank 1,000 meters underground in Gifu, Japan, detected 11 neutrinos in about 13 seconds, and a US detector caught 8 at the same time. This was the first detection of neutrinos from beyond the Sun, and it led to a Nobel Prize in 2002.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1987年2月、16万光年離れた銀河である大マゼラン雲にある重い星が、超新星として爆発しました。こうした星は燃料を使い果たすと、中心核が突然つぶれ、ほとんど何でもすり抜けてしまう小さな粒子、ニュートリノを大量に放出します。ニュートリノはすぐに星から飛び出す一方、光は星の外側のガスに足止めされるため、ニュートリノは光が見つかる約2時間前に地球に届きました。

岐阜県の地下1000メートルにある巨大な水槽カミオカンデは、約13秒間に11個のニュートリノを検出し、アメリカの検出器も同時に8個をとらえました。これは太陽以外から来たニュートリノの初めての検出で、2002年のノーベル賞につながりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Why did the neutrinos arrive before the light?

Q3. Why was it important that a US detector caught neutrinos at the same time?

重要単語

  • supernovaB2
    名詞超新星A supernova is the explosion of a massive star. nova はラテン語で「新しい(星)」。複数形は supernovae または supernovas。
  • neutrinoC1
    名詞ニュートリノNeutrinos pass through almost everything. イタリア語で「小さな中性のもの」。neutral(中性の)+-ino(小さい)。
  • detectorB2
    名詞検出器The detector was built deep underground. detect(検出する)+-or。smoke detector「煙探知機」、lie detector「うそ発見器」。
  • burstB2
    名詞(短時間の)大量放出A burst of neutrinos lasted only seconds. a burst of ~「~の噴出・突発」。a burst of laughter「どっと起こる笑い」。
  • remnantC1
    名詞残骸Astronomers studied the supernova remnant. remain(残る)と同語源。supernova remnant「超新星残骸」は定番表現。
  • collapseB2
    名詞・動詞崩壊(する)The core collapse produced many neutrinos. col-(共に)+lapse(落ちる)。建物の倒壊、経済の破綻、人が倒れることにも使う。
  • simultaneouslyC1
    副詞同時にTwo detectors simultaneously recorded the signal. at the same time の硬い言い方。simultaneous interpretation「同時通訳」。

4コマでわかる

16万光年先の星の爆発を、岐阜の地下でとらえた。カミオカンデの「13秒間の11個」の4コマ漫画
1987年、16万光年先で星が大爆発。その「知らせ」は光より先に、幽霊のような粒子ニュートリノとして地球に届き、岐阜県の地下にあるカミオカンデが13秒間で11個をとらえた。これがのちのノーベル賞につながったらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Hirata et al. (1987) Observation of a neutrino burst from the supernova SN1987A, Physical Review Lettersdoi.org
  2. Bionta et al. (1987) Observation of a neutrino burst in coincidence with supernova 1987A in the Large Magellanic Cloud, Physical Review Lettersdoi.org
  3. Fransson et al. (2024) Emission lines due to ionizing radiation from a compact object in the remnant of Supernova 1987A, Sciencedoi.org
  4. NASA (2024) Webb Finds Evidence for Neutron Star at Heart of Young Supernova Remnantscience.nasa.gov
  5. NobelPrize.org, The Nobel Prize in Physics 2002nobelprize.org