4次元とは? 3次元の脳で「見えない方向」をイメージする方法と、4次元迷路を解いた人たち

読む前に予想してみよう!
物理学で「4次元」と言うときは、いつも空間の方向が4つある世界のことだ
相対性理論では、空間の3次元に時間を加えた「4次元時空」をよく使う。数学の4次元空間とは意味がちがう。
- 対象
- 成人の参加者
- 規模
- 少人数の実験
- 研究の種類
- VRを使った心理学実験
- 確かさ
- ★★☆☆☆
4次元とは、縦・横・高さに加えてもう1つ直角な方向がある世界。物理学では時間を加えた「時空」を指すことも。実験では人はVRで4次元の感覚を少し身につけた。
ひとことで言うと4次元は、縦・横・高さに「もう1つの方向」を足した世界!
4次元とは、縦・横・高さの3つの方向に加えて、それらすべてに直角な「もう1つの方向」がある世界のことです。私たちは3次元の世界に住んでいるので、その4つ目の方向を直接見ることも、指さすこともできません。
ただし、「4次元」という言葉には2つの意味があるので注意が必要です。数学の「空間が4方向ある世界」と、物理学の「空間3つ+時間1つの時空」。この記事では両方を整理したうえで、「人間は4次元を想像できるのか?」に挑んだ実験を紹介します。
01次元は「方向の数」
次元を、1つずつ上がっていくと考えてみましょう。
- 0次元:点
- 1次元:点を一方向に動かすと線
- 2次元:線を直角な方向に動かすと正方形
- 3次元:正方形を直角な方向に動かすと立方体
- 4次元:立方体を「4つ目の直角な方向」に動かすと超立方体(テッセラクト)
最後の一歩だけが想像できません。でも、ルールは同じ。点の数を数えると、2→4→8→16と倍になっていきます。
022次元の住人になって考えてみる
4次元を考えるコツは、1つ下の次元の住人になってみることです。紙の上に住む平面の生き物は、「上下」という方向を知りません。その世界をボールが通りぬけると、平面の住人には点が現れ、円が大きくなり、また小さくなって消えるように見えます。
同じように、4次元の物体が私たちの3次元世界を通りぬけたら、物体が突然現れ、形を変え、消えるように見えるはずです。

03VRの4次元迷路で、人は道を覚えた
研究チームは、人間の脳の空間感覚は、生まれつき3次元に固定された地図ではなく、練習しだいで別の空間にも応用できる柔軟なルールなのかもしれない、と考えています。ただし、その感覚は初歩的で長続きしないものだったとも報告されています。
04物理学の4次元と「余分な次元」
アインシュタインの相対性理論では、空間と時間をセットにした4次元時空で世界を表します。時間の流れ方が速さや重力で変わるのも、この時空の考え方で説明できます。
さらに一部の理論では、私たちに見えない小さな「余分な次元」がある可能性も考えられています。2007年、アメリカの研究チームは、ごく近い距離での重力の強さを精密に測り、もし余分な次元があってもその大きさは0.044mm以下でなければならないことを示しました。2018年には、極低温の原子を光でつくった格子に入れ、4次元の量子ホール効果に対応する現象を観測した実験も報告されています。
05まとめ
4次元とは、縦・横・高さに直角な「もう1つの方向」がある世界。そして物理学では、時間を加えた時空のことも指します。
3次元に生きる私たちにはむずかしい世界ですが、練習すれば、脳は4次元の迷路の道順を少し覚えられるようです。人間の想像力は、思っている以上に柔軟なのかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe fourth dimension is a direction at right angles to length, width, and height.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
We live in a world with three directions, which are length, width, and height. The fourth dimension adds one more direction at right angles to all three. We cannot see it or point to it.
In physics, people often call time the fourth dimension. Can our brains imagine 4D space? In one experiment, people played a 4D maze game on a computer. After some practice, they could point to the start of the maze.
74 words ・ CEFR A2
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私たちは、縦・横・高さという3つの方向がある世界に住んでいます。4次元は、その3つすべてに直角な、もう1つの方向を加えたものです。私たちはそれを見ることも、指さすこともできません。
物理学では、時間を4つ目の次元と呼ぶことがよくあります。私たちの脳は4次元の空間を想像できるのでしょうか。ある実験では、人々がコンピューターで4次元の迷路ゲームをしました。少し練習すると、迷路のスタート地点を指さすことができるようになりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
4次元とは何かを説明し、脳がそれを想像できるかという実験を紹介しているので D。
Q2. What could people do after practicing the 4D maze?
they could point to the start of the maze とあるので A。B は We cannot see it に反する。
Q3. In this passage, "at right angles" means ...
right angle は「直角」。at right angles to ~ は「~に対して直角に」なので C。right を「正しい」と読まないよう注意。
The fourth dimension is a direction at right angles to length, width, and height. Because we live in three dimensions, we cannot see it directly. One helpful trick is to imagine creatures living on a flat sheet of paper. If a ball passed through their world, they would see only a circle that grows and then shrinks.
In the same way, a 4D object passing through our world would seem to appear, change shape, and disappear. In physics, "four dimensions" often means spacetime, which combines three dimensions of space with one of time. In a 2008 study, people practiced moving through a 4D maze on a computer and became fairly good at pointing back to the starting point.
118 words ・ CEFR B1
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4次元とは、縦・横・高さのすべてに直角な方向のことです。私たちは3次元に住んでいるので、それを直接見ることはできません。役に立つコツの一つは、平らな紙の上に住む生き物を想像することです。もし彼らの世界をボールが通りぬけたら、彼らには大きくなってから小さくなる円しか見えないでしょう。
同じように、4次元の物体が私たちの世界を通りぬけたら、現れて、形を変えて、消えるように見えるはずです。物理学で「4次元」と言うと、空間の3つと時間の1つを合わせた「時空」を指すことがよくあります。2008年の研究では、人々がコンピューター上の4次元の迷路を進む練習をし、スタート地点の方向をかなりうまく指せるようになりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
平面の生き物のたとえや時空の説明、迷路の実験など、4次元を理解する方法を紹介しているので C。
Q2. What would flat creatures see if a ball passed through their world?
they would see only a circle that grows and then shrinks とあるので A。
Q3. What does the 2008 study suggest about the human brain?
練習するとスタート地点の方向をかなりうまく指せるようになったので、脳は練習で4次元空間の感覚をある程度身につけられると推測できる。正解は D。
The phrase "fourth dimension" means two different things. In mathematics, it is an extra direction in space, at right angles to length, width and height. In physics, especially relativity, it usually refers to spacetime, which joins the three dimensions of space with time. Nobody can see the mathematical version, but a pattern helps.
Move a point and you get a line, move the line and you get a square, and a square becomes a cube. Push the cube in a fourth perpendicular direction and you get a tesseract, with the number of corners doubling from 2 to 16. Flat beings offer another trick.
A sphere passing through their world would appear to them as a circle that grows and shrinks. People may develop some feel for four dimensions. In a 2008 Princeton study, people exploring a virtual 4D maze learned to point fairly accurately back to an unseen starting point.
A 2009 Illinois study found that people could use fourth-dimensional information to judge lengths and angles after little training. This sense was reported to be primitive and short-lived. Physicists hunting for tiny extra dimensions found in 2007 that any such dimension must be no larger than 0.044 millimeters.
198 words ・ CEFR B2
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「4次元」という言葉には、2つの異なる意味があります。数学では、縦・横・高さに直角な、もう1つの空間の方向を指します。物理学、特に相対性理論では、ふつう空間の3つの次元と時間を結びつけた「時空」を指します。数学の4次元は誰にも見えませんが、あるパターンが助けになります。
点を動かすと線ができ、線を動かすと正方形ができ、正方形は立方体になります。立方体を4つ目の直角な方向に押し出すと超立方体(テッセラクト)ができ、角の数は2から16まで倍々に増えていきます。平面の生き物を考えるのも、もう一つの手です。
球が彼らの世界を通り抜けると、彼らには大きくなってから小さくなる円に見えるでしょう。人は4次元の感覚をある程度身につけられるかもしれません。2008年のプリンストン大学の研究では、仮想の4次元迷路を進んだ人たちが、見えないスタート地点の方向をかなり正確に指せるようになりました。
2009年のイリノイ大学の研究では、人々がわずかな訓練の後、4つ目の次元の情報を使って長さや角度を判断できることがわかりました。ただ、この感覚は初歩的で長続きしないものだったと報告されています。ごく小さな余分な次元を探している物理学者たちは2007年、もしそうした次元があっても、その大きさは0.044ミリメートル以下でなければならないことを明らかにしました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
4次元の2つの意味と、人が4次元を把握できるかについての実験を説明しているので A。B は「0.044mm以下でなければならない」という制約であって存在の否定ではない。
Q2. What did the 2007 study show?
any such dimension must be no larger than 0.044 millimeters とあるので C。超立方体の角は16個。
Q3. Why does the writer add that this sense was "vague and short-lived"?
直前で人が4次元の感覚を身につけられた実験を紹介したあと、その感覚は primitive and short-lived だったと限界を加えているので、効果を言いすぎないための補足だとわかる。正解は B。
重要単語
- dimensionB2名詞次元・側面We live in a world of three dimensions.
3D は three-dimensional の略。「(問題の)側面」の意味でも長文に出る:a new dimension to the problem。 - perpendicularC1形容詞垂直な・直角なThe fourth direction is perpendicular to all the others.
be perpendicular to ~「~に垂直だ」。parallel(平行な)と対で覚える。 - spacetimeC1名詞時空In relativity, space and time are joined into spacetime.
space-time とハイフンでつなぐこともある。相対性理論の基本用語。 - projectionC1名詞投影A shadow is a projection of a 3D object.
動詞 project「映し出す・予測する」。projector(映写機)と同じ。「予測(値)」の意味もある。 - intuitionC1名詞直感It is hard to build an intuition for 4D space.
形容詞 intuitive「直感的な」。counterintuitive「直感に反する」もセットで覚えたい。 - navigateB2動詞進路を見つけて進むParticipants navigated a virtual maze.
もとは「船を操縦する」。カーナビの navigation と同語源。navigate the website「サイト内を移動する」。
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4次元って、縦・横・高さのほかに「もう1つ直角な方向」がある世界。3次元に生きる人間には想像できないと思いきや、VRの4次元迷路を練習した人は、ゴールからスタートの方向をちゃんと指させるようになったらしい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Aflalo & Graziano (2008) Four-dimensional spatial reasoning in humans, Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performancedoi.org
- Ambinder et al. (2009) Human four-dimensional spatial intuition in virtual reality, Psychonomic Bulletin & Reviewdoi.org
- Kapner et al. (2007) Tests of the Gravitational Inverse-Square Law below the Dark-Energy Length Scale, Physical Review Lettersdoi.org
- Lohse et al. (2018) Exploring 4D quantum Hall physics with a 2D topological charge pump, Naturedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












