睡眠・休息ホント

昼寝の直前にコーヒーを飲むのが正解だった。眠気を2段構えで消す「コーヒーナップ」

昼寝の直前にコーヒーを飲むのが正解だった。眠気を2段構えで消す「コーヒーナップ」

読む前に予想してみよう!

昼寝の直前にコーヒーを飲むと眠れなくなるので逆効果

研究カード(どんな研究?)
対象
健康な若い成人・眠い運転者
規模
各6〜12人
研究の種類
実験室での交差比較試験(複数)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

カフェインが効き始めるまでの時間差(約20〜30分)を使って15〜20分ほど昼寝すると、起きた瞬間にシャキッとしやすい。実験でも「昼寝だけ」より効果的だった。

ひとことで言うと昼寝の前にコーヒーを飲むと、起きる頃にちょうど効いてくる!

もくじ
  1. カフェインは「飲んだ瞬間」には効かない
  2. 20分の昼寝+時間差カフェイン=起きた瞬間にスッキリ
  3. うまくやるコツと、やってはいけないこと
  4. まとめ

「寝る前にコーヒーを飲んじゃダメ」。これはたぶん、睡眠の常識ランキングでもかなり上位に入るはず。

ところが昼寝に限っては、その真逆が正解かもしれないんです。コーヒーを飲んで、すぐ寝る。この一見ムチャな組み合わせが、研究者のあいだでは「コーヒーナップ(カフェインナップ)」と呼ばれる、れっきとした眠気対策になっています。

カギは、カフェインの「効くまでのタイムラグ」。今日はその仕組みを見ていきましょう。

01カフェインは「飲んだ瞬間」には効かない

コーヒーを飲むと、カフェインは胃や腸から吸収されて血液に乗り、やがて脳にたどり着きます。この旅にはそれなりに時間がかかり、効き始めるまでに20〜30分ほど、血中濃度のピークは飲んでから30〜60分後くらいとされています(胃の中身や体質で前後します)。

脳の中でカフェインがやることは、ひと言でいうと「眠気物質のブロック」。起きているあいだ、脳にはアデノシンという物質がたまっていきます。これは「そろそろ休め」というメモ書きのようなもので、たまるほど眠くなります。

カフェインはアデノシンとよく似た形をしていて、アデノシンが座るはずの「受け取り口(受容体)」に先回りして座ってしまう。だから眠気のメモが脳に届きにくくなるわけです。

カフェインは「眠気物質」の席を先に取ってしまう、ちゃっかり者
カフェインは「眠気物質」の席を先に取ってしまう、ちゃっかり者

0220分の昼寝+時間差カフェイン=起きた瞬間にスッキリ

ここで昼寝を組み合わせます。

  1. コーヒーを飲む
  2. すぐに横になる(または机に伏せる)
  3. 15〜20分ほど眠る
  4. 起きる頃、ちょうどカフェインが効き始める

短い昼寝そのものにも、たまったアデノシンを少し片づける効果があると考えられています。そこへ、起きるタイミングでカフェインが合流する。いわば眠気対策の2段ロケットです。

さらにもうひとつ、うれしい効果があります。昼寝の大敵は、起きた直後のボーッとした状態、「睡眠慣性」(寝起きの頭が“エンジンがかかりきらない車”のようになること)。カフェインはこの寝起きのモヤモヤを和らげる方向に働くことも報告されています。

03うまくやるコツと、やってはいけないこと

コーヒーナップのポイントは「長く寝すぎないこと」です。30分を超えて深い眠りに入ってしまうと、起きた時の睡眠慣性が強くなりがち。タイマーは20分前後にセットしておきましょう。

ちなみに「昼寝は何分がベストか」については、NASAがパイロットで調べた有名な研究があります(別記事「NASAの26分昼寝」で詳しく紹介しています)。

04まとめ

「コーヒーを飲んでから寝る」は、夜なら最悪の組み合わせ。でも昼の20分なら、むしろ最強コンビになりえます。

ただし、コーヒーナップはあくまで「応急処置」。そもそも夜の睡眠が足りていなければ、どんなワザも焼け石に水です。午後の眠気が毎日ひどいなら、まずは夜の眠りを見直すところから始めてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDrinking coffee right before sleeping sounds like a bad idea, but for a short daytime nap it may actually… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Drinking coffee right before sleeping sounds like a bad idea, but for a short daytime nap it may actually work well. After you drink coffee, caffeine takes about 20 to 30 minutes to reach the brain and start working. There, it blocks adenosine, a substance that builds up while we are awake and makes us sleepy.

If you take a nap of about 15 to 20 minutes right after drinking coffee, the caffeine begins to act just as you wake up. In a 2003 Japanese study with ten young adults, caffeine plus a 20-minute nap reduced sleepiness and improved performance more than a nap alone. The key is to keep the nap short, because a deeper sleep can leave you feeling groggy.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

眠る直前にコーヒーを飲むのは悪い考えに聞こえますが、昼間の短い昼寝なら実はうまくいくかもしれません。コーヒーを飲んだ後、カフェインが脳に届いて効き始めるまでに約20〜30分かかります。脳の中でカフェインは、起きている間にたまって私たちを眠くさせる物質、アデノシンをブロックします。コーヒーを飲んですぐに15〜20分ほど昼寝をすると、ちょうど目覚めるときにカフェインが働き始めます。

10人の若い成人を対象とした2003年の日本の研究では、カフェインと20分の昼寝の組み合わせは、昼寝だけよりも眠気を減らし、作業成績を向上させました。大切なのは昼寝を短くすることです。深い眠りに入ると、ぼんやりした感じが残ることがあるからです。

4択リーディングクイズ

Q1. What does caffeine do in the brain?

Q2. What did the 2003 Japanese study find?

Q3. Why should the nap be kept short?

重要単語

  • caffeineB1
    名詞カフェインCaffeine takes some time to reach your brain. 発音は /kæˈfiːn/(キャフィーン)。カタカナ読みとの違いに注意。
  • adenosineC1
    名詞アデノシン(眠気のもとになる物質)Adenosine builds up in the brain while we are awake. build up「たまる、蓄積する」とセットで覚えると説明文が読みやすい。
  • receptorC1
    名詞受容体Caffeine blocks the receptors that adenosine uses. receive(受け取る)+-or。「受け取るもの」というイメージ。
  • drowsyB2
    形容詞眠い、うとうとしたNever drive when you feel drowsy. drowsy driving「居眠り運転」。sleepy よりややかたい語。
  • placeboC1
    名詞偽薬Half of the participants received a placebo instead of caffeine. ラテン語で「私は喜ばせるだろう」。placebo effect「プラセボ効果」は入試長文の定番。
  • deliberatelyB2
    副詞わざと、意図的にThe coffee nap deliberately combines caffeine and sleep. on purpose と同義。形容詞 deliberate は「意図的な・慎重な」。
  • accumulateC1
    動詞蓄積する、たまるAdenosine accumulates during waking hours. ac-(~へ)+cumul(積み重ねる)。cumulative「累積的な」も同語源。

動画でもっと知る

「寝る前にコーヒー」は普通NG。でも昼寝の直前だけは話が別らしい。カフェインが効くまでの20分を寝て過ごすと、起きた時のスッキリ感が段違いになるという実験がある。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Hayashi et al. (2003) The alerting effects of caffeine, bright light and face washing after a short daytime nap, Clinical Neurophysiologydoi.org
  2. Reyner & Horne (1997) Suppression of sleepiness in drivers: combination of caffeine with a short nap, Psychophysiologydoi.org
  3. Centofanti et al. (2020) A pilot study investigating the impact of a caffeine-nap on alertness during a simulated night shift, Chronobiology Internationaldoi.org
  4. Hilditch & McHill (2019) Sleep inertia: current insights, Nature and Science of Sleepdoi.org