心理学ホント

「理想のタイプ」は当てにならない? 会う前の100項目アンケートでも"相性"は予測できなかった

「理想のタイプ」は当てにならない? 会う前の100項目アンケートでも"相性"は予測できなかった

読む前に予想してみよう!

事前に「理想のタイプ」を細かく聞いておけば、実際に誰に惹かれるかをかなり正確に予測できる

研究カード(どんな研究?)
対象
米国の大学生
規模
数百人の出会いイベント参加者
研究の種類
前向き調査+機械学習による予測
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

出会いイベント前に聞いた「理想のタイプ」は、実際に誰に惹かれるかをほぼ予測しなかった。100項目以上のアンケートとAIでも、2人の"相性"は当てられなかった。

ひとことで言うと「理想のタイプ」と「実際に好きになる人」は、けっこう違う!

もくじ
  1. 理想と現実は「つながっていなかった」
  2. AIと100項目でも、相性は予測できなかった
  3. 「誰にでも好意を見せる」は逆効果?
  4. まとめ

「好きなタイプは?」——友達同士の会話で、よく出てくる質問ですよね。「優しい人」「おもしろい人」「頭がいい人」「背が高い人」……。人それぞれ、"理想のタイプ"を持っているものです。

でも、ちょっと思い出してみてください。実際に好きになった人は、その理想のタイプにぴったり当てはまっていましたか?

アメリカの心理学者たちは、この疑問を本気で確かめました。その結果、理想のタイプは、実際に誰に惹かれるかをほとんど予測しないことが分かってきたのです。

01理想と現実は「つながっていなかった」

たとえば「見た目は大事じゃない」と答えた人も、「見た目がとても大事」と答えた人も、実際の惹かれ方の傾向はあまり変わりませんでした。私たちは、自分が何に惹かれるのかを、自分でもよく分かっていないのかもしれません。

02AIと100項目でも、相性は予測できなかった

「質問が少なすぎたのでは?」と思うかもしれません。そこで2017年、研究者たちは最新の方法で再挑戦しました。

出会いイベントの参加者に、事前に性格や価値観、好みなど100項目以上のアンケートに答えてもらい、そのデータを機械学習(AI)に分析させて、「誰が誰に惹かれるか」を予測させたのです。

結果はこうでした。

  • 「この人は、いろいろな人に惹かれやすい」という本人の傾向は、少しだけ予測できた
  • 「この人は、いろいろな人から好かれやすい」という相手側の傾向も、少しだけ予測できた
  • でも、「この2人だからこそ惹かれ合う」という"相性"の部分は、まったく予測できなかった

どんなにたくさんのデータを集めても、2人が実際に会ってみるまで、相性は分からなかったのです。

100項目のデータとAIでも、"2人の相性"は予測できなかった
100項目のデータとAIでも、"2人の相性"は予測できなかった

03「誰にでも好意を見せる」は逆効果?

同じ研究グループは、出会いイベントでのもうひとつの興味深い現象も報告しています。

「自分を好きになってくれた人を好きになる」——これは友人関係ではよく知られた傾向です。ところが出会いイベントでは、誰に対しても好意を示す人は、相手から好かれにくい傾向がありました。一方で、「特にこの人に」という選んだ好意を示された場合は、相手もその人に好意を返しやすかったのです。

「誰でもいい」ではなく、「あなただから」という気持ちのほうが、相手の心に届くのかもしれません。

04まとめ

「理想のタイプ」は、実際に誰に惹かれるかをほとんど予測しませんでした。100項目以上のデータとAIを使っても、2人ならではの相性は、会う前には分からなかったのです。

人の心は、チェックリストでは測りきれません。だからこそ、出会いはおもしろい。理想にこだわりすぎず、目の前の人と実際に話してみること。それが、いちばん確かな"相性診断"なのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAsk people about their "ideal type," and most can describe one easily. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Ask people about their "ideal type," and most can describe one easily. But does it predict real attraction? In a 2008 study, American university students listed what they wanted in a partner, such as good looks or earning potential, before attending a speed-dating event, where they talked briefly with many people. Their stated preferences did not predict whom they actually liked at the event.

In 2017, researchers tried again with more than 100 questions about personality, values, and preferences, and used machine learning. They could predict a little about how much a person liked others in general and how much others liked that person. However, they could not predict the special chemistry between two particular people.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

人に「理想のタイプ」をたずねると、ほとんどの人は簡単に説明できます。でも、それは実際に惹かれる相手を予測するのでしょうか。2008年の研究では、アメリカの大学生が、多くの人と短く話すスピードデートのイベントに参加する前に、見た目の良さや稼ぐ力など、相手に求めることを挙げました。彼らが述べた好みは、イベントで実際に誰を好きになったかを予測しませんでした。

2017年、研究者たちは性格、価値観、好みについての100以上の質問で再挑戦し、機械学習を使いました。彼らは、ある人が一般的にどれくらい他人を好きになるか、そして他人がその人をどれくらい好きになるかについては、少しだけ予測できました。しかし、特定の2人の間の特別な相性は予測できませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2008 study find?

Q2. What could the 2017 study NOT predict?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • idealB1
    形容詞・名詞理想の/理想What is your ideal weekend? 動詞 idealize(理想化する)。ideal for ~「~にうってつけの」。
  • preferenceB1
    名詞好みHer preference is for quiet places. stated preference(述べられた好み)と実際の行動のズレは心理学の重要テーマ。
  • compatibilityC1
    名詞相性、両立性Compatibility matters in teamwork too. 形容詞 compatible。パソコンの「互換性」の意味でも使う。
  • selectiveB2
    形容詞えり好みする、選択的なHe is very selective about books. select(選ぶ)の形容詞形。be selective about ~「~をよく選ぶ」。
  • reciprocityC1
    名詞お互いさま、相互性Friendship is built on reciprocity. 動詞 reciprocate(お返しをする)。the norm of reciprocity「返報性の規範」。
  • chemistryB2
    名詞(人と人の)相性There was good chemistry between the two players. 本来は「化学」。人間関係では「相性・ウマが合うこと」の意味になる。

4コマでわかる

「理想のタイプ」は当てにならない? 会う前の100項目アンケートでも"相性"は予測できなかったの4コマ漫画
出会いイベントの前に100項目以上のアンケートに答えてもらい、AIで「誰と誰が惹かれ合うか」を予測しようとしたら、2人ならではの"相性"はまったく予測できなかったらしい。理想のタイプを語っても、実際に会うまで分からない。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Eastwick & Finkel (2008) Sex differences in mate preferences revisited: Do people know what they initially desire in a romantic partner?, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  2. Joel, Eastwick & Finkel (2017) Is romantic desire predictable? Machine learning applied to initial romantic attraction, Psychological Sciencedoi.org
  3. Eastwick et al. (2007) Selective versus unselective romantic desire: Not all reciprocity is created equal, Psychological Sciencedoi.org