心理学ホント

失恋のダメージは「思ったより小さかった」。人は別れのつらさを大きく見積もりすぎていた

失恋のダメージは「思ったより小さかった」。人は別れのつらさを大きく見積もりすぎていた

読む前に予想してみよう!

人は、失恋したときのつらさを実際より大きく予想しがちだ

研究カード(どんな研究?)
対象
米国の大学生
規模
数十〜百数十人
研究の種類
追跡調査+脳波を使った実験
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

交際中の人に「別れたらどれくらいつらいか」を予想してもらい、実際に別れた人を追跡すると、つらさは予想より小さかった。別れの後に"自分を取り戻す"成長も見られた。

ひとことで言うと失恋はつらい。でもそのつらさは、自分が思うより小さいかも!

もくじ
  1. 「別れたらどれくらいつらい?」を予想してもらう
  2. なぜ予想が外れるのか
  3. 別れのあとに「自分を取り戻す」こともある
  4. 立ち直りを助ける心の使い方
  5. まとめ

「この人と別れたら、もう生きていけない」——。

恋をしているとき、そんなふうに感じたことがある人もいるかもしれません。そして実際に失恋すると、世界が終わったような気持ちになることもあります。

でも、心理学の研究によると、私たちは失恋のつらさを、実際よりかなり大きく予想してしまうようなのです。

01「別れたらどれくらいつらい?」を予想してもらう

心理学では、未来の自分の気持ちを予想することを「感情予測」と呼びます。そして人は、つらい出来事について、「どれだけつらいか」「どれだけ長く続くか」を大きく見積もりすぎる傾向があることが、さまざまな場面で知られています。失恋でも、実際のつらさは予想より小さいことが確かめられました。ただし、予想が外れた原因は「最初のつらさの強さ」の見積もりで、つらさが薄れていく速さの予想には、ズレが見られませんでした。

02なぜ予想が外れるのか

予想が外れる理由のひとつは、予想するときに「別れ」のことしか考えていないからだと考えられています。

実際の生活には、友達との時間、部活、勉強、好きな音楽や動画など、ほかにもたくさんのことがあります。それらが少しずつ心を支え、気持ちを回復させていきます。でも、予想しているときは、そうした「ほかの出来事」が頭からすっぽり抜け落ちてしまうのです。

また、人の心には、つらい出来事を意味づけし直して乗り越える力が備わっています。この「心の回復力」を、私たちは自分でも過小評価しているのかもしれません。

心の天気予報は、いつも"大雨"を出しすぎる
心の天気予報は、いつも"大雨"を出しすぎる

03別れのあとに「自分を取り戻す」こともある

失恋にはつらさだけでなく、成長がともなうこともあります。

アメリカの研究では、半年以内に別れを経験した大学生155人を調べました。すると、付き合っていた間に自分が広がる感覚(新しい経験や視点を得る感覚)が少なかった関係を終えた人ほど、別れた後に「本当の自分を取り戻した」と感じ、前向きな感情や成長を報告していました。

04立ち直りを助ける心の使い方

では、失恋の後、気持ちを整理するにはどうすればいいのでしょうか。

アメリカの研究では、失恋で落ち込んでいる人に、元恋人の写真を見る前に3つの方法を試してもらい、気持ちと脳波を調べました。

  • 相手の欠点を思い出す:好きな気持ちは弱まったが、気分は不快寄りになった
  • 「好きな気持ちがあるのは自然」と受け入れる:気持ちの大きな変化はなかった
  • 楽しいことを考えて気をそらす:好きな気持ちは変わらなかったが、気分は明るくなった

そして3つとも、元恋人の写真に注意が引きつけられる反応を弱めていたのです。どれか1つが正解というより、目的に合わせて使い分けるのがよさそうです。

05まとめ

失恋はつらいもの。でも、研究によれば、そのつらさは私たちが予想するほど大きくはありません。

今まさに失恋の真っただ中にいる人へ。あなたの心は、あなたが思っているより、ずっと強くて回復力があります。焦らず、ゆっくり、晴れ間が来るのを待ちましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerPsychologists call predicting our future feelings "affective forecasting," and people often overestimate… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Psychologists call predicting our future feelings "affective forecasting," and people often overestimate how bad and how long-lasting their negative feelings will be. A 2008 study tested this with American university students who were dating. They predicted how upset they would feel after a breakup and then reported their feelings regularly. Those who actually broke up during the study felt less distress than they had predicted.

One reason is that when we imagine a breakup, we forget about other parts of life, such as friends, club activities, and music, that help us recover. Another study of 155 students found that people who ended relationships in which they had not grown much often reported positive feelings and personal growth afterwards.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

心理学者は、将来の自分の気持ちを予想することを「感情予測」と呼び、人はしばしば否定的な気持ちがどれほどひどく、どれほど長く続くかを大きく見積もりすぎます。2008年の研究は、交際中のアメリカの大学生でこれを検証しました。彼らは別れた後にどれくらい動揺するかを予想し、その後、定期的に自分の気持ちを報告しました。研究の期間中に実際に別れた人は、予想していたよりも苦痛を感じていませんでした。

理由の一つは、別れを想像するとき、私たちは友達や部活動、音楽など、回復を助けてくれる人生のほかの部分を忘れてしまうことです。155人の学生を対象にした別の研究では、あまり成長できなかった関係を終えた人は、その後、前向きな気持ちや個人的な成長を報告することが多いと分かりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is "affective forecasting"?

Q2. According to the passage, why do people's predictions go wrong?

Q3. What can we infer from the study of 155 students?

重要単語

  • forecastB2
    動詞・名詞予測する/予測It is hard to forecast our own feelings. weather forecast「天気予報」でおなじみ。fore(前もって)+cast(投げる)。
  • distressB2
    名詞苦痛、悩みThe news caused her great distress. stress より強い「心の苦しみ」。in distress「困っている・遭難して」。
  • recoverB1
    動詞回復するHe recovered quickly from the cold. recover from ~「~から回復する」。名詞 recovery。
  • reappraisalC1
    名詞とらえ直し、再評価Reappraisal can change how we feel. re+appraise(評価する)。感情調整の研究でよく出る用語。
  • distractionB2
    名詞気晴らし、気をそらすことMusic can be a good distraction. distract(気をそらす)の名詞形。勉強の「気を散らすもの」の意味でもよく使う。
  • exaggerateB2
    動詞大げさに言う、誇張するDon't exaggerate the problem. g が2つ重なるつづりに注意。名詞 exaggeration。
交際中の人に「もし別れたらどれくらいつらい?」と予想してもらい、本当に別れた人を追跡したら、実際のつらさは予想より小さかったらしい。人は失恋のダメージを大きく見積もりすぎる。心は思ったより強いのかも。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Eastwick et al. (2008) Mispredicting distress following romantic breakup: Revealing the time course of the affective forecasting error, Journal of Experimental Social Psychologydoi.org
  2. Lewandowski & Bizzoco (2007) Addition through subtraction: Growth following the dissolution of a low quality relationship, The Journal of Positive Psychologydoi.org
  3. Langeslag & Sanchez (2018) Down-regulation of love feelings after a romantic break-up: Self-report and electrophysiological data, Journal of Experimental Psychology: Generaldoi.org