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ラーテルと鳥の「ハチミツ泥棒コンビ」は証拠が薄かった。本当に鳥と組んでいたのは人間だった

ラーテルと鳥の「ハチミツ泥棒コンビ」は証拠が薄かった。本当に鳥と組んでいたのは人間だった

読む前に予想してみよう!

ミツオシエは、ラーテル(ミツアナグマ)をハチの巣まで案内することが科学的に確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
ノドグロミツオシエと、ケニア・モザンビーク・タンザニアのはちみつ採り
規模
数十〜数百回の案内(各研究)
研究の種類
野外での行動観察・音声を使った比較実験
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

ミツオシエという鳥は人をハチの巣へ案内し、合図の声で案内される確率は約2倍に。一方「ラーテルを案内する」話には確かな証拠がほとんどない。

ひとことで言うと人を呼んでハチの巣まで道案内する鳥がいる。人の合図もわかっている!

もくじ
  1. 「ラーテルとのコンビ」はどこまで本当?
  2. 人間との協力は「本物」だった
  3. 鳥は「人間の方言」を聞き分けていた
  4. まとめ

ラーテル(ミツアナグマ)は、「世界一怖いもの知らずの動物」としてネットで人気者です。そのラーテルについて、こんな話をよく聞きます。

「ミツオシエという鳥がラーテルをハチの巣まで案内し、ラーテルが巣を壊したら、鳥がおこぼれの蜜ろうを食べる。最強のタッグだ」

ところが、研究者たちが記録を調べてみると、この話にはしっかりした証拠がほとんどありませんでした。代わりに、科学的にはっきり確かめられたのは、鳥と人間のタッグだったのです。

01「ラーテルとのコンビ」はどこまで本当?

ミツオシエ(ノドグロミツオシエ)は、アフリカにすむ、ムクドリくらいの大きさの鳥です。ハチの巣の中の蜜ろう(みつろう)を食べる、珍しい鳥です。でも、自分では硬い木の中の巣を壊せません。

1990年、南アフリカの鳥類学者ディーンさんたちは『Conservation Biology』で、ミツオシエの「案内」についての記録を見直しました。その結果、ラーテルを案内するという話は、多くが言い伝えや又聞きにもとづくもので、信頼できる観察記録はほとんどないと指摘しました。

ラーテルは夜に活動することが多く、ミツオシエは昼の鳥です。いっしょに行動する場面がそもそも少ないのでは、という見方もあります。今のところ、「ラーテルとのタッグ」は「ありえなくはないが、確かめられていない話」です。

02人間との協力は「本物」だった

一方、人間との協力については、しっかりした研究があります。

1989年、フセイン・イサックさんとハインツ=ウルリッヒ・ライヤーさんは『Science』で、ケニアのボラン族のはちみつ採りの人たちとミツオシエを調べた結果を発表しました。人々は「鳥の飛び方や止まる高さ、鳴き方で、巣の方向や距離がわかる」と話しており、鳥の行動を分析すると、その言い伝えは実際に当たっていました。

人が呼べば鳥が応え、鳥が案内すれば人が巣を見つけて煙でハチをおとなしくさせ、巣を割って蜜を採る。残った蜜ろうは鳥のごちそうになります。野生の動物と人間が、お互いに合図を送り合って協力する、世界でもとても珍しい例です。

人が呼び、鳥が答える。野生動物と人間の「会話」です。
人が呼び、鳥が答える。野生動物と人間の「会話」です。

03鳥は「人間の方言」を聞き分けていた

2023年、スポッティスウッドさんとアメリカのブライアン・ウッドさんは、さらに面白い発見を『Science』に発表しました。

タンザニアのハッザの人たちは、モザンビークとはまったく違う口笛のような合図を使います。実験すると、それぞれの地域のミツオシエは、地元の人たちの合図の方によく反応しました。鳥は生まれつき決まった声に反応するのではなく、その土地の人間の合図を学んでいると考えられます。

人間の文化(合図)と鳥の行動が、地域ごとに組み合わさっている。まるで「方言」のような関係です。

04まとめ

「ラーテルと鳥の最強タッグ」はロマンのある話ですが、確かな証拠はまだありません。一方で、鳥と人間が合図を送り合ってハチの巣を探すという、もっと驚くべき協力は本当にありました。

都市化や砂糖の普及で、伝統的なはちみつ採りは減りつつあります。この不思議な協力関係が、これからも続いていくといいですね。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA popular story says that a bird called the honeyguide leads honey badgers to bees' nests and then eats the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A popular story says that a bird called the honeyguide leads honey badgers to bees' nests and then eats the beeswax they leave behind. However, when researchers checked the records in 1990, they found that this story was based mostly on hearsay, with very few reliable observations.

On the other hand, the bird's partnership with humans is real. In 2016, Claire Spottiswoode and her team tested a special call used by Yao honey hunters in Mozambique. When they played this call, the chance of being guided by a honeyguide rose from about 33 percent to about 66 percent. The chance of finding a nest also increased, from about 17 percent to about 54 percent.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

よく知られた話では、ミツオシエという鳥がラーテルをハチの巣まで案内し、ラーテルが残した蜜ろうを食べると言われています。しかし1990年に研究者たちが記録を調べたところ、この話はほとんど又聞きにもとづいていて、信頼できる観察はごくわずかしかないことがわかりました。

一方、この鳥と人間との協力関係は本物です。2016年、クレア・スポッティスウッドさんのチームは、モザンビークのヤオ族のはちみつ採りが使う特別な呼び声を試しました。この呼び声を流すと、ミツオシエに案内される確率は約33パーセントから約66パーセントに上がりました。巣を見つける確率も、約17パーセントから約54パーセントに増えました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did researchers find about the honey badger story in 1990?

Q2. How much did the chance of finding a nest increase?

Q3. What does the passage suggest about the honeyguide and humans?

重要単語

  • mutualismC1
    名詞相利共生The honeyguide and humans have a mutualism. mutual(相互の)+-ism。mutual understanding「相互理解」も頻出。
  • guideA2
    動詞・名詞案内する、案内人The bird guides people to the bees' nest. guide A to B「AをBへ案内する」。lead A to B とほぼ同じ形で使える。
  • beeswaxC1
    名詞蜜ろうHoneyguides eat beeswax left behind by people. bee's + wax(ろう)。ろうそくやリップクリームの原料にもなる。
  • anecdoteC1
    名詞逸話、うわさ話The honey badger story is based mainly on anecdotes. 形容詞 anecdotal evidence は「体験談レベルの証拠」。科学的証拠と対比される。
  • signalB1
    名詞・動詞合図(する)Hunters use a special signal to call the bird. sign(しるし)の仲間。reciprocal signaling は「双方向の合図」。
  • reciprocalC1
    形容詞相互の、互恵的なThe study showed reciprocal signaling between birds and people. re-(戻る)+pro-(前へ)が語源で「行ったり来たり」。reciprocal relationship「持ちつ持たれつの関係」。

動画でもっと知る

4コマでわかる

ラーテルと鳥の「ハチミツ泥棒コンビ」は証拠が薄かった。本当に鳥と組んでいたのは人間だったの4コマ漫画
アフリカのミツオシエという鳥は、人間をハチの巣まで道案内するらしい。決まった合図の声を出すと、案内される確率が約33%→66%に倍増。地域ごとの「方言」の合図まで聞き分ける。有名な「ラーテルを案内する」話は証拠が薄い。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Isack & Reyer (1989) Honeyguides and Honey Gatherers: Interspecific Communication in a Symbiotic Relationship, Sciencedoi.org
  2. Dean, Siegfried & Macdonald (1990) The Fallacy, Fact, and Fate of Guiding Behavior in the Greater Honeyguide, Conservation Biologydoi.org
  3. Spottiswoode, Begg & Begg (2016) Reciprocal signaling in honeyguide-human mutualism, Sciencedoi.org
  4. Spottiswoode & Wood (2023) Culturally determined interspecies communication between humans and honeyguides, Sciencedoi.org