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カエルに飲み込まれても、胃の中で「爆発」して生還する。ミイデラゴミムシの100℃ガス砲

カエルに飲み込まれても、胃の中で「爆発」して生還する。ミイデラゴミムシの100℃ガス砲

読む前に予想してみよう!

ミイデラゴミムシは、飲み込まれたら必ずそのまま消化されてしまう

研究カード(どんな研究?)
対象
ミイデラゴミムシとヒキガエル2種/アフリカのホソクビゴミムシ類
規模
ヒキガエル数十匹(飲み込み実験)・数匹の甲虫(X線撮影)
研究の種類
実験室での捕食実験・高速度撮影・放射光X線イメージング
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ミイデラゴミムシはおしりから約100℃の刺激ガスを噴射する。神戸大学の実験では、ヒキガエルに飲み込まれても約4割が吐き出されて生還した。

ひとことで言うとミイデラゴミムシは、カエルのおなかの中でも熱いガスを出して、はき出してもらえる!

もくじ
  1. おしりの中に「化学反応の部屋」がある
  2. 「連射」のしくみは、爆発が自分で弁を閉じる
  3. 飲み込まれても、あきらめない
  4. まとめ

捕まえようとすると、「プッ」という小さな音とともに、おしりから熱いガスを噴き出す虫がいます。

それがミイデラゴミムシ。日本の野原や田んぼのまわりにもいる、黄色と黒の模様の小さな甲虫です。ガスの温度は約100℃。英語では「ボンバルディア・ビートル(爆撃する甲虫)」と呼ばれます。

その防御力は、カエルに丸のみされたあとでも発揮されることが、日本の研究でわかりました。

01おしりの中に「化学反応の部屋」がある

このガスは、体の中にある2つの部屋で作られます。

1つ目の部屋には、ヒドロキノンという物質と過酸化水素がためられています。いざというとき、これが2つ目の小さな部屋(反応室)に流れこみ、そこにある酵素と出会うと、一気に化学反応が起きます。反応で大量の熱が出て、液体が沸騰する温度になり、刺激の強い物質(キノン)を含んだ熱いしぶきが勢いよく噴き出すのです。

アメリカ・コーネル大学のトーマス・アイズナーさんたちは、この噴射を何十年も研究しました。1999年の論文では、アフリカのホソクビゴミムシの仲間が、おしりの先を回して、ほぼどの方向にもねらって噴射できることを写真で示しています。自分の脚の1本1本や、背中にまでねらいをつけられるのです。

2つの材料を反応室で混ぜると、一瞬で沸騰するほどの熱が生まれる。
2つの材料を反応室で混ぜると、一瞬で沸騰するほどの熱が生まれる。

02「連射」のしくみは、爆発が自分で弁を閉じる

噴射は、実は1回の長いシャワーではありません。とても短い爆発がくり返される「連射」です。

2015年、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)などのチーム(Arndt ら)は、強力なX線(放射光)を使って、生きた甲虫の体の中で起きる爆発を直接撮影し、『Science』に発表しました。

その結果、反応室の入り口にある特別な構造が、爆発の圧力で押されて自動的に閉じ、圧力が下がるとまた開いて材料が流れこむ、というくり返しが起きていると考えられました。脳が1回ずつ命令しているのではなく、爆発そのものが弁を動かしているのです。こうすることで、反応室が熱で壊れるのを防いでいるのかもしれません。

03飲み込まれても、あきらめない

大きな甲虫ほど脱出に成功しやすく、小さなカエルほど吐き出しやすい、という傾向もありました。

107分といえば、映画1本分ほどの時間です。真っ暗なカエルの胃の中で、それだけの時間耐えて脱出するのは、まさに「不死身」と言いたくなるタフさです。

04まとめ

ミイデラゴミムシは、体の中の小さな「化学工場」で約100℃のガスを連射し、カエルに飲み込まれてもあきらめずに脱出する虫でした。

日本の身近な野原にも、こんなすごい生き物が暮らしている。見つけても、そっと観察するだけにしておきましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBombardier beetles have a powerful defense. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Bombardier beetles have a powerful defense. Inside their bodies, two chemicals are stored in one chamber. When the beetle is attacked, they flow into a small reaction chamber, where enzymes cause a sudden reaction. This produces so much heat that the liquid boils, and a spray of about 100 degrees shoots out.

In 2018, Shinji Sugiura and Takuya Sato of Kobe University fed these beetles to two kinds of toads. All the toads swallowed the beetles, but 43 percent of them vomited the beetles up between 12 and 107 minutes later. Every beetle that came out was alive. Beetles that had used up their spray beforehand were rarely vomited, which suggests that they had sprayed inside the toads.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ミイデラゴミムシは強力な防御手段を持っています。体の中では、2つの化学物質が1つの部屋にためられています。虫がおそわれると、それらが小さな反応室に流れこみ、そこで酵素が急激な反応を起こします。これによって液体が沸騰するほどの熱が生まれ、約100度のしぶきが噴き出します。

2018年、神戸大学の杉浦真治さんと佐藤拓哉さんは、この虫を2種類のヒキガエルに与えました。ヒキガエルはどれも虫を飲み込みましたが、そのうち43パーセントは、12分から107分後に虫を吐き出しました。出てきた虫はすべて生きていました。あらかじめしぶきを使い切らせた虫はほとんど吐き出されなかったことから、虫はヒキガエルの体の中で噴射していたと考えられます。

4択リーディングクイズ

Q1. Where does the sudden chemical reaction happen?

Q2. How long after being swallowed were the beetles vomited up?

Q3. Why did the researchers think the beetles sprayed inside the toads?

重要単語

  • sprayB1
    名詞・動詞噴射(する)、しぶきThe beetle sprays a hot chemical. hair spray のスプレーと同じ。spray A with B「AにBを吹きかける」。
  • swallowB1
    動詞飲み込むThe toad swallowed the beetle whole. 名詞では鳥の「ツバメ」。swallow one's pride「プライドを捨てる」という比喩も。
  • vomitB2
    動詞吐くThe toad vomited the beetle back up. vomit up で「吐き出す」。日常会話では throw up が一般的。
  • reaction chamberC1
    名詞(句)反応室The chemicals mix inside a reaction chamber. chamber は「部屋・室」。the heart's chambers「心臓の各室」にも使う。
  • explosionB2
    名詞爆発Tiny explosions produce a pulsed spray. 動詞 explode。population explosion「人口爆発」も入試頻出。
  • irritatingB2
    形容詞刺激性の、いらいらさせるThe spray contains an irritating chemical. irritate「刺激する・いらだたせる」。skin irritation「皮ふのかぶれ」。

4コマでわかる

カエルに飲み込まれても、胃の中で「爆発」して生還する。ミイデラゴミムシの100℃ガス砲の4コマ漫画
ミイデラゴミムシという虫は、おしりから約100℃の刺激ガスを「ポンポン」と連射する。神戸大学の実験では、ヒキガエルに丸のみされても、お腹の中でガスを噴いて43%が吐き出されて生還したらしい。最長で107分後に脱出。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Eisner & Aneshansley (1999) Spray aiming in the bombardier beetle: Photographic evidence, PNASdoi.org
  2. Arndt et al. (2015) Mechanistic origins of bombardier beetle (Brachinini) explosion-induced defensive spray pulsation, Sciencedoi.org
  3. Sugiura & Sato (2018) Successful escape of bombardier beetles from predator digestive systems, Biology Lettersdoi.org