カエルに飲み込まれても、胃の中で「爆発」して生還する。ミイデラゴミムシの100℃ガス砲

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ミイデラゴミムシは、飲み込まれたら必ずそのまま消化されてしまう
実験では、飲み込まれたミイデラゴミムシの43%が、カエルの体内で熱いガスを噴射して吐き出され、生きたまま脱出した。
- 対象
- ミイデラゴミムシとヒキガエル2種/アフリカのホソクビゴミムシ類
- 規模
- ヒキガエル数十匹(飲み込み実験)・数匹の甲虫(X線撮影)
- 研究の種類
- 実験室での捕食実験・高速度撮影・放射光X線イメージング
- 確かさ
- ★★★☆☆
ミイデラゴミムシはおしりから約100℃の刺激ガスを噴射する。神戸大学の実験では、ヒキガエルに飲み込まれても約4割が吐き出されて生還した。
ひとことで言うとミイデラゴミムシは、カエルのおなかの中でも熱いガスを出して、はき出してもらえる!
捕まえようとすると、「プッ」という小さな音とともに、おしりから熱いガスを噴き出す虫がいます。
それがミイデラゴミムシ。日本の野原や田んぼのまわりにもいる、黄色と黒の模様の小さな甲虫です。ガスの温度は約100℃。英語では「ボンバルディア・ビートル(爆撃する甲虫)」と呼ばれます。
その防御力は、カエルに丸のみされたあとでも発揮されることが、日本の研究でわかりました。
01おしりの中に「化学反応の部屋」がある
このガスは、体の中にある2つの部屋で作られます。
1つ目の部屋には、ヒドロキノンという物質と過酸化水素がためられています。いざというとき、これが2つ目の小さな部屋(反応室)に流れこみ、そこにある酵素と出会うと、一気に化学反応が起きます。反応で大量の熱が出て、液体が沸騰する温度になり、刺激の強い物質(キノン)を含んだ熱いしぶきが勢いよく噴き出すのです。
アメリカ・コーネル大学のトーマス・アイズナーさんたちは、この噴射を何十年も研究しました。1999年の論文では、アフリカのホソクビゴミムシの仲間が、おしりの先を回して、ほぼどの方向にもねらって噴射できることを写真で示しています。自分の脚の1本1本や、背中にまでねらいをつけられるのです。

02「連射」のしくみは、爆発が自分で弁を閉じる
噴射は、実は1回の長いシャワーではありません。とても短い爆発がくり返される「連射」です。
2015年、アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)などのチーム(Arndt ら)は、強力なX線(放射光)を使って、生きた甲虫の体の中で起きる爆発を直接撮影し、『Science』に発表しました。
その結果、反応室の入り口にある特別な構造が、爆発の圧力で押されて自動的に閉じ、圧力が下がるとまた開いて材料が流れこむ、というくり返しが起きていると考えられました。脳が1回ずつ命令しているのではなく、爆発そのものが弁を動かしているのです。こうすることで、反応室が熱で壊れるのを防いでいるのかもしれません。
03飲み込まれても、あきらめない
大きな甲虫ほど脱出に成功しやすく、小さなカエルほど吐き出しやすい、という傾向もありました。
107分といえば、映画1本分ほどの時間です。真っ暗なカエルの胃の中で、それだけの時間耐えて脱出するのは、まさに「不死身」と言いたくなるタフさです。
04まとめ
ミイデラゴミムシは、体の中の小さな「化学工場」で約100℃のガスを連射し、カエルに飲み込まれてもあきらめずに脱出する虫でした。
日本の身近な野原にも、こんなすごい生き物が暮らしている。見つけても、そっと観察するだけにしておきましょう。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBombardier beetles have a powerful defense.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
The bombardier beetle is a small insect that lives in Japan and other countries. When an enemy attacks, it shoots a very hot spray from its back end. The spray is about 100 degrees. Japanese scientists gave these beetles to toads. The toads swallowed them.
But in 43 percent of the cases, the toads spat the beetles out again. All of those beetles were alive and could walk away.
69 words ・ CEFR A2
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ミイデラゴミムシは、日本やほかの国にすむ小さな虫です。敵におそわれると、おしりの先からとても熱いしぶきを発射します。そのしぶきは約100度です。日本の科学者たちは、この虫をヒキガエルに与えました。ヒキガエルは虫を飲み込みました。
しかし43パーセントの場合で、ヒキガエルは虫を再び吐き出しました。吐き出された虫はすべて生きていて、歩いて立ち去ることができました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
熱いしぶきを出す虫が、飲み込まれても吐き出されて生き延びる話なので C。
Q2. How hot is the beetle's spray?
The spray is about 100 degrees. とあるので D。43はパーセントの数字。
Q3. In this passage, "spat ... out" means the toads ...
spit out(過去形 spat out)は「吐き出す」。口から外へ出すことなので A。
Bombardier beetles have a powerful defense. Inside their bodies, two chemicals are stored in one chamber. When the beetle is attacked, they flow into a small reaction chamber, where enzymes cause a sudden reaction. This produces so much heat that the liquid boils, and a spray of about 100 degrees shoots out.
In 2018, Shinji Sugiura and Takuya Sato of Kobe University fed these beetles to two kinds of toads. All the toads swallowed the beetles, but 43 percent of them vomited the beetles up between 12 and 107 minutes later. Every beetle that came out was alive. Beetles that had used up their spray beforehand were rarely vomited, which suggests that they had sprayed inside the toads.
118 words ・ CEFR B1
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ミイデラゴミムシは強力な防御手段を持っています。体の中では、2つの化学物質が1つの部屋にためられています。虫がおそわれると、それらが小さな反応室に流れこみ、そこで酵素が急激な反応を起こします。これによって液体が沸騰するほどの熱が生まれ、約100度のしぶきが噴き出します。
2018年、神戸大学の杉浦真治さんと佐藤拓哉さんは、この虫を2種類のヒキガエルに与えました。ヒキガエルはどれも虫を飲み込みましたが、そのうち43パーセントは、12分から107分後に虫を吐き出しました。出てきた虫はすべて生きていました。あらかじめしぶきを使い切らせた虫はほとんど吐き出されなかったことから、虫はヒキガエルの体の中で噴射していたと考えられます。
4択リーディングクイズ
Q1. Where does the sudden chemical reaction happen?
they flow into a small reaction chamber, where enzymes cause a sudden reaction とあるので D。
Q2. How long after being swallowed were the beetles vomited up?
between 12 and 107 minutes later とあるので C。
Q3. Why did the researchers think the beetles sprayed inside the toads?
しぶきを使い切った虫はほとんど吐き出されなかった、という比較から推論しているので B。
Shinji Sugiura and Takuya Sato of Kobe University fed bombardier beetles to two species of Japanese toads in 2018. Every toad swallowed its beetle. Within 12 to 107 minutes, though, 43 percent of the toads vomited their beetles back up, and all of those beetles survived.
Beetles whose spray had been used up beforehand were rarely rejected, so the beetles must have been spraying from inside the toad. Larger beetles escaped more often. The trials took place in a laboratory, and nobody knows how often such escapes happen in the wild. The weapon behind them is chemical.
Hydroquinones and hydrogen peroxide stored in one compartment are released into a small reaction chamber, where enzymes set off a reaction that heats the mixture to boiling. The beetle then expels an irritating spray of about 100 degrees. In 1999, Thomas Eisner showed that an African relative can aim this spray in almost any direction.
The spray comes out in pulses. In 2015, a team using powerful synchrotron X-rays filmed the explosions inside living beetles. Their results suggested that each blast pushes a structure at the chamber entrance shut, after which it reopens, so the explosions themselves set the rhythm.
197 words ・ CEFR B2
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2018年、神戸大学の杉浦真治さんと佐藤拓哉さんは、ミイデラゴミムシを日本のヒキガエル2種に与えました。どのヒキガエルも甲虫を飲み込みました。ところが、12分から107分のうちに、43パーセントのヒキガエルが甲虫を吐き出し、吐き出された甲虫はすべて生き延びました。
あらかじめしぶきを出し尽くさせた甲虫はほとんど吐き出されなかったので、甲虫はヒキガエルの体内から噴射していたにちがいありません。大きな甲虫ほど脱出に成功しやすい傾向がありました。実験は実験室で行われたもので、野生でこうした脱出がどれくらい起きているのかは誰にもわかりません。脱出を可能にしている武器は化学的なものです。
1つの区画にためられたヒドロキノンと過酸化水素が小さな反応室に放出され、そこで酵素が反応を引き起こして混合物を沸騰するまで熱します。そして甲虫は、約100度の刺激性のしぶきを噴き出すのです。1999年、トーマス・アイズナーさんは、アフリカの近縁種がこのしぶきをほぼどの方向にもねらえることを示しました。
しぶきは断続的に出ます。2015年には、強力な放射光X線を使ったチームが、生きた甲虫の体内の爆発を撮影しました。その結果は、爆発のたびに反応室の入り口の構造が押されて閉じ、その後再び開くので、爆発そのものがリズムを生んでいることを示していました。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 2015 X-ray study suggest about the pulsed spray?
each blast pushes a structure at the chamber entrance shut ... so the explosions themselves set the rhythm とあるので C。
Q2. Which beetles were most likely to escape?
Larger beetles escaped more often. とあるので D。
Q3. What limitation does the writer point out?
The trials took place in a laboratory, and nobody knows how often such escapes happen in the wild. とあるので A。
重要単語
- sprayB1名詞・動詞噴射(する)、しぶきThe beetle sprays a hot chemical.
hair spray のスプレーと同じ。spray A with B「AにBを吹きかける」。 - swallowB1動詞飲み込むThe toad swallowed the beetle whole.
名詞では鳥の「ツバメ」。swallow one's pride「プライドを捨てる」という比喩も。 - vomitB2動詞吐くThe toad vomited the beetle back up.
vomit up で「吐き出す」。日常会話では throw up が一般的。 - reaction chamberC1名詞(句)反応室The chemicals mix inside a reaction chamber.
chamber は「部屋・室」。the heart's chambers「心臓の各室」にも使う。 - explosionB2名詞爆発Tiny explosions produce a pulsed spray.
動詞 explode。population explosion「人口爆発」も入試頻出。 - irritatingB2形容詞刺激性の、いらいらさせるThe spray contains an irritating chemical.
irritate「刺激する・いらだたせる」。skin irritation「皮ふのかぶれ」。
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ミイデラゴミムシという虫は、おしりから約100℃の刺激ガスを「ポンポン」と連射する。神戸大学の実験では、ヒキガエルに丸のみされても、お腹の中でガスを噴いて43%が吐き出されて生還したらしい。最長で107分後に脱出。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Eisner & Aneshansley (1999) Spray aiming in the bombardier beetle: Photographic evidence, PNASdoi.org
- Arndt et al. (2015) Mechanistic origins of bombardier beetle (Brachinini) explosion-induced defensive spray pulsation, Sciencedoi.org
- Sugiura & Sato (2018) Successful escape of bombardier beetles from predator digestive systems, Biology Lettersdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。














