天才犬は「盗み聞き」で言葉を覚える。1歳半の子どもと同じ学び方だった

読む前に予想してみよう!
この研究の結果は、どの家庭の犬にも当てはまる
対象は、おもちゃの名前を大量に覚えた「ギフテッド・ワード・ラーナー」と呼ばれるごく珍しい犬たちだけ。
- 対象
- おもちゃの名前を多数覚えた犬(GWL犬)
- 規模
- 10匹(実験1)
- 研究の種類
- 家庭での行動実験
- 確かさ
- ★★☆☆☆
たくさんのおもちゃの名前を覚えている特別な犬10匹のうち7匹が、飼い主とほかの人の会話を聞いているだけで新しいおもちゃの名前を覚えた。
ひとことで言うと言葉の得意な犬は、人の会話を聞くだけで新しい言葉を覚えた!
家族の会話を、横で聞いている犬。もしかすると、ただ聞き流しているわけではないのかもしれません。
2026年1月、ヨーロッパの研究チームが、言葉の得意な犬は、人同士の会話を「盗み聞き」するだけで新しい言葉を覚えられることを、実験で確かめました。
これは、人間の子どもでも1歳半ごろにできるようになる学び方です。
01「ギフテッド・ワード・ラーナー」という天才犬
ふつうの犬は、「おすわり」「まて」のような動作の言葉は覚えても、物の名前をたくさん覚えることはほとんどありません。
ところが世界には、何十〜何百ものおもちゃの名前を覚えている、ごく珍しい犬がいます。研究チームはこうした犬を「ギフテッド・ワード・ラーナー」と呼び、世界中から探し出して研究してきました。ボーダーコリーが多いことも知られています。
02横で聞いているだけで、名前を覚えた
実験は2つの条件で行われました。
- 直接教える条件:飼い主が犬に向かっておもちゃを見せ、名前を呼ぶ
- 盗み聞き条件:飼い主がほかの人と、犬の前でおもちゃについて会話しながら名前を言う。犬には直接話しかけない
どちらも、1つのおもちゃの名前を聞いたのは合計8分ほどの短い時間だけ。そのあと、いくつかのおもちゃの中から「○○を持ってきて」と頼んで、正しいものを選んで持ってこられるかを調べました。
結果、10匹中7匹が、どちらの条件でも新しいおもちゃの名前を覚えられました。盗み聞きでも、直接教えたときと同じくらいの成績だったのです。

03「見ていないとき」に聞いた名前でもOK
さらに研究チームは、おもちゃを見せるタイミングと名前を言うタイミングをずらす実験もしました。名前を聞いたとき、そのおもちゃは目の前に見えていない、という状況です。
それでも、多くの天才犬は名前とおもちゃを正しく結びつけられました。これも、人間の子どもが言葉を覚えるときに見られる高度な能力です。
研究チームは、こうした犬たちには1歳半(生後18か月)ごろの子どもと機能的に似た、社会的な学びの力がある、と考えています。
どれくらい珍しいかというと、2021年に発表された同じグループの研究では、ふつうの家庭犬20匹に、遊びの中で直接おもちゃの名前を教えても、名前を覚えた犬は1匹もいませんでした。
04まとめ
言葉は、直接教えられるだけでなく、周りの会話からも学べる。そんな人間らしい学び方が、一部の犬にもできることが分かりました。
あなたの家の犬は、天才犬ではないかもしれません。でも、家族の会話に耳を立てているその横顔を見ると、「何か聞いてるのかな?」と、ちょっと気になってしまいますね。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost dogs can learn action words like "sit," but very few can learn the names of objects.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some rare dogs know the names of many toys. Scientists call them "gifted word learners." In 2026, a team in Europe tested ten of these dogs. Each owner talked with another person about a new toy, but did not speak to the dog.
Later, the dogs were asked to bring that toy. Seven of the ten dogs brought the right one. They learned just by listening, like children of about one and a half.
74 words ・ CEFR A2
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まれな犬の中には、たくさんのおもちゃの名前を知っている犬がいます。科学者たちは、そうした犬を「ギフテッド・ワード・ラーナー(言葉の才能がある学習者)」と呼んでいます。2026年、ヨーロッパのチームがこうした犬10匹を調べました。飼い主がほかの人と新しいおもちゃについて話しましたが、犬には話しかけませんでした。
あとで、犬たちはそのおもちゃを持ってくるように頼まれました。10匹のうち7匹が正しいおもちゃを持ってきました。犬たちは、1歳半くらいの子どものように、聞いているだけで覚えたのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
特別な犬が、人の会話を聞くだけで新しいおもちゃの名前を覚えたという内容なので C。
Q2. How many dogs brought the right toy?
Seven of the ten dogs brought the right one. とあるので D。10は調べた犬の数。
Q3. In this passage, "rare" means ...
rare は「珍しい・まれな」。こうした犬はめったにいないという意味なので A。ステーキの焼き方の rare とは別の意味。
Most dogs can learn action words like "sit," but very few can learn the names of objects. A small number of dogs, called gifted word learners, know the names of dozens or even hundreds of toys. In 2026, researchers in Austria and Hungary tested ten such dogs at home. In one condition, the owners showed a new toy to the dog and said its name.
In another, the owners talked about the toy with someone else without speaking to the dog. Each dog heard a toy's name for only about eight minutes in total. Afterwards, seven of the ten dogs could bring the correct toy in both conditions. Learning by overhearing worked about as well as direct teaching.
118 words ・ CEFR B1
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ほとんどの犬は「おすわり」のような動作の言葉は覚えられますが、物の名前を覚えられる犬はごくわずかです。「ギフテッド・ワード・ラーナー」と呼ばれる少数の犬は、何十、ときには何百ものおもちゃの名前を知っています。2026年、オーストリアとハンガリーの研究者たちは、こうした犬10匹を家庭で調べました。一方の条件では、飼い主が犬に新しいおもちゃを見せて名前を言いました。
もう一方の条件では、飼い主が犬には話しかけずに、ほかの人とそのおもちゃについて話しました。どの犬も、おもちゃの名前を聞いたのは合計で約8分だけでした。その後、10匹のうち7匹が、どちらの条件でも正しいおもちゃを持ってくることができました。盗み聞きによる学習は、直接教えるのとほぼ同じくらいうまくいったのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What makes gifted word learners special?
know the names of dozens or even hundreds of toys とあるので B。動作の言葉しか覚えないのはふつうの犬。
Q2. In the overhearing condition, what did the owners do?
the owners talked about the toy with someone else without speaking to the dog とあるので A。C は直接教える条件。
Q3. What can we infer from the passage?
Learning by overhearing worked about as well as direct teaching から、自分に向けられていない会話からも学べると推測できるので D。対象は特別な犬だけなので C は言えない。
Children learn many words not from direct instruction but by overhearing conversations, an ability that typically emerges around 18 months of age. A study published in Science in 2026 by researchers in Austria and Hungary suggests that some dogs can do the same. The team worked with ten "gifted word learner" dogs, rare animals that know the names of dozens to hundreds of toys. In a home-based experiment, each dog heard the names of new toys either when its owner addressed it directly or when its owner discussed the toy with another person, with roughly eight minutes of naming per toy.
When later asked to retrieve the toys, seven of the ten dogs succeeded in both conditions, performing about as well after overhearing as after direct teaching. Many could even link a name to a toy that was out of sight when the name was spoken. However, these dogs are highly unusual: in an earlier study by the same group, none of twenty ordinary family dogs learned toy names even with direct teaching. The sample was tiny, and behavioral similarity to infants does not necessarily mean that the same mental processes are involved.
193 words ・ CEFR B2
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子どもは多くの言葉を、直接教わることによってではなく、会話を漏れ聞くことで覚えます。この能力はふつう生後18か月ごろに現れます。オーストリアとハンガリーの研究者たちが2026年に『Science』で発表した研究は、一部の犬も同じことができることを示しています。チームは、何十〜何百ものおもちゃの名前を知っている珍しい「ギフテッド・ワード・ラーナー」の犬10匹を対象にしました。家庭で行われた実験で、それぞれの犬は、飼い主が直接話しかけるか、飼い主がほかの人とおもちゃについて話し合うかのどちらかの形で新しいおもちゃの名前を聞き、名前を聞いた時間はおもちゃ1つにつき約8分でした。
あとでおもちゃを持ってくるよう頼まれると、10匹のうち7匹がどちらの条件でも成功し、盗み聞きの後でも直接教わった後とほぼ同じ成績を示しました。多くの犬は、名前が言われたときに見えていなかったおもちゃとその名前を結びつけることさえできました。しかし、これらの犬は非常に特殊です。同じグループによる以前の研究では、ふつうの家庭犬20匹は、直接教えてもおもちゃの名前を1匹も覚えませんでした。サンプルはごく小さく、行動が乳児と似ているからといって、同じ心の仕組みが働いているとは限りません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
第2文 some dogs can do the same(子どもと同じく盗み聞きで言葉を学べる)が主旨。対象は珍しい犬なので C。
Q2. What did the earlier study by the same group find?
none of twenty ordinary family dogs learned toy names even with direct teaching とあるので B。
Q3. Why does the author warn against comparing these dogs too closely to infants?
最終文 behavioral similarity to infants does not necessarily mean that the same mental processes are involved とあるので A。実験は家庭で行われたので D は誤り。
重要単語
- overhearB2動詞(偶然)耳にする、漏れ聞くI overheard my parents talking about a trip.
overhear O doing / O do の知覚動詞の形をとる。過去形は overheard。eavesdrop(わざと盗み聞きする)との違いにも注意。 - labelB1名詞名前、呼び名The dog learned a new label for the toy.
発音は /ˈleɪbəl/(レイブル)。「ラベル」ではない点が発音問題の定番。 - vocabularyB1名詞語彙Reading helps you build a larger vocabulary.
数えるときは「語の集まり」なので a large vocabulary(×many vocabularies)。 - retrieveB2動詞取ってくる、回収するThe dog retrieved the ball from the next room.
犬種のレトリーバー(retriever)はこの語から。記憶を「取り出す」意味でも使う。 - giftedB2形容詞才能に恵まれたOnly a few gifted dogs can do this.
gift(贈り物)→ 天から与えられた才能。gifted children「才能のある子ども」。 - conditionB2名詞(実験の)条件The dogs did well in both conditions.
研究文では「実験条件」の意味で頻出。under ~ conditions「~の条件下で」。
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- How dogs learn by overhearing(ウィーン獣医科大学)vetmeduni.ac.at
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おもちゃの名前を何十〜何百個も覚えている「天才犬」10匹で実験したら、7匹が、飼い主とほかの人の会話を横で聞いているだけで新しいおもちゃの名前を覚えたらしい。直接教えたときと同じくらいの成績。1歳半の子どもと同じ学び方。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Dror et al. (2026) Dogs with a large vocabulary of object labels learn new labels by overhearing like 1.5-year-old infants, Sciencedoi.org
- Fugazza et al. (2021) Rapid learning of object names in dogs, Scientific Reportsdoi.org
- Dror et al. (2023) A citizen science model turns anecdotes into evidence by revealing similar characteristics among Gifted Word Learner dogs, Scientific Reportsdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









