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コアラは約20時間、野生のゾウは約2時間。動物の睡眠時間がバラバラすぎる理由

コアラは約20時間、野生のゾウは約2時間。動物の睡眠時間がバラバラすぎる理由

読む前に予想してみよう!

野生のアフリカゾウは、1日に平均2時間ほどしか眠らないという観察結果がある

研究カード(どんな研究?)
対象
野生のアフリカゾウ・グンカンドリ・ヒゲペンギンなど
規模
ゾウ2頭(約35日)ほか各研究は少数個体
研究の種類
野外での行動・脳波記録と総説
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

コアラは休息を含め1日18〜22時間ほど眠ると言われ、野生のゾウは約2時間。眠る長さは食べ物や天敵、暮らし方で大きく変わる。

ひとことで言うとコアラはほぼ一日中ねる。ゾウは2時間しかねない。動物の眠りはいろいろ!

もくじ
  1. コアラが寝てばかりいる理由
  2. 野生のゾウは1日わずか2時間
  3. 空を飛びながら寝る鳥、数秒ずつ寝るペンギン
  4. 主な動物の睡眠時間(目安)
  5. なぜこんなにちがうの?
  6. まとめ

「コアラは1日20時間寝る」——動物好きなら一度は聞いたことのある話です。

うらやましい…と思った人もいるかもしれません。でも動物の世界を見渡すと、ほとんど寝ない動物から、飛びながら寝る鳥、数秒ずつ1万回以上寝る鳥まで、眠り方は本当にバラバラ。

なぜこんなにちがうのでしょうか?

01コアラが寝てばかりいる理由

コアラは、休んでいる時間も含めて1日18〜22時間ほど眠ったりじっとしたりしている、とよく言われます。「約20時間」は、だいたい合っていると考えてよさそうです。ただし、この時間のすべてが脳波でいう「睡眠」とは限らず、起きたままじっと休んでいる時間もかなり含まれるとされます。

その理由は、主食のユーカリの葉にあります。ユーカリは栄養が少なく、硬い繊維や消化しにくい成分をたっぷり含んでいます。コアラは、その少ないエネルギーでやりくりするために、なるべく動かず、体力を節約しているのです。

ナマケモノと同じく「省エネ型」の暮らし方ですね。

02野生のゾウは1日わずか2時間

一方、大きな体のゾウは、とても短い睡眠で暮らしていました。

ゾウは体が大きいので、毎日たくさん食べ続けなければなりません。そのうえ、横になると無防備になり、立ち上がるのにも時間がかかります。眠るより、食べることと警戒することが優先なのかもしれません。

野生のゾウは、ほとんど立ったまま、短く眠る。
野生のゾウは、ほとんど立ったまま、短く眠る。

03空を飛びながら寝る鳥、数秒ずつ寝るペンギン

鳥の世界には、さらに驚きの眠り方があります。

グンカンドリは、海の上を何日も飛び続けます。2016年の研究(Rattenborg ら、『Nature Communications』)で脳波を測ると、なんと飛びながら眠っていたことがわかりました。脳の片側だけを眠らせることも多く、1日の睡眠は合計40分ほど。陸にいるときは、もっとずっと長く眠っていました。

ヒゲペンギンはもっと極端です。2023年に『Science』に載った研究(Libourel ら)では、子育て中のヒゲペンギンは、1回わずか数秒の「ちょい寝」を1日1万回以上くり返していました。合計すると、1日11時間ほどの眠りになります。卵や子どもを守りながら、こまめに眠りをかせいでいるのです。

04主な動物の睡眠時間(目安)

  • コアラ:休息を含めて約18〜22時間(よく言われる値)
  • ホオヒゲコウモリの仲間:約20時間(飼育下)
  • 人間(大人):約7〜8時間
  • ナマケモノ(野生):約10時間
  • ウマ:3時間前後(飼育下)
  • アフリカゾウ(野生のリーダー):約2時間

※測り方(飼育下か野生か、脳波か行動か)によって数字は大きく変わります。

05なぜこんなにちがうの?

アメリカの睡眠研究者ジェローム・シーゲルさんは、2005年に『Nature』の総説で、動物の睡眠時間は、体の大きさ、食べ物の種類、天敵の多さ、寝る場所の安全さなど、暮らし方全体と深く関わっていると論じています。

眠りは、ただの「お休み」ではなく、それぞれの動物が環境に合わせて調整してきた生き残りの戦略なのです。

06まとめ

コアラは約20時間、野生のゾウは約2時間、飛びながら寝る鳥に、数秒ずつ寝るペンギン。動物の眠りは、驚くほど多様でした。

「よく眠る」のも「ほとんど眠らない」のも、それぞれの暮らしに合わせた答え。今夜のあなたの眠りは、どんな暮らしに合わせたものでしょうか。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSleep time varies surprisingly widely among animals. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Sleep time varies surprisingly widely among animals. Koalas are said to sleep or rest for about 18 to 22 hours a day, mainly because eucalyptus leaves provide little energy and are hard to digest. In contrast, a 2017 study of two wild African elephants in Botswana found that they slept only about two hours a day, mostly standing up, and lay down only every three or four days.

Birds have even stranger habits. Frigatebirds can sleep while flying, sometimes with only half of the brain asleep. Chinstrap penguins raising chicks take more than 10,000 tiny naps a day, each lasting only a few seconds. Scientists think that body size, diet, predators and safe sleeping places are all linked to how long animals sleep.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

動物の睡眠時間は驚くほど幅広く異なります。コアラは1日に約18〜22時間眠ったり休んだりしていると言われますが、それは主にユーカリの葉がエネルギーをほとんど与えず、消化しにくいからです。対照的に、ボツワナの野生のアフリカゾウ2頭を調べた2017年の研究では、ゾウは1日に約2時間しか眠らず、ほとんど立ったまま眠り、横になるのは3〜4日に一度だけでした。

鳥にはさらに奇妙な習慣があります。グンカンドリは飛びながら眠ることができ、ときには脳の半分だけを眠らせます。子育て中のヒゲペンギンは、1回わずか数秒の小さな眠りを1日に1万回以上とります。科学者たちは、体の大きさ、食べ物、天敵、安全な寝場所のすべてが、動物の睡眠時間と関係していると考えています。

4択リーディングクイズ

Q1. How often did the wild elephants lie down to sleep?

Q2. What is special about chinstrap penguins' sleep?

Q3. According to the passage, which factor is NOT mentioned as affecting sleep time?

重要単語

  • sleep durationB2
    名詞(句)睡眠時間Sleep duration differs widely between species. duration は「持続時間」。during と同語源。
  • predatorB2
    名詞天敵、捕食者Animals with many predators often sleep less. prey(獲物)とセットで。predation は「捕食」。
  • in captivityB2
    熟語飼育下でSloths sleep longer in captivity than in the wild. 反対は in the wild(野生で)。capture(捕らえる)と同語源。
  • unihemisphericC1
    形容詞脳の片側だけのSome birds use unihemispheric sleep while flying. uni-(1つ)+hemisphere(半球)。北半球は the Northern Hemisphere。
  • microsleepC1
    名詞数秒間の短い眠りPenguins take thousands of microsleeps a day. micro-(小さい)+sleep。人間では居眠り運転の原因として話題になる。
  • conserveB2
    動詞節約する、保存するKoalas move little to conserve energy. conserve energy「エネルギーを節約する」。名詞 conservation(保護・保存)。
コアラは1日20時間くらい寝ていると言われるけど、野生のアフリカゾウのおばあちゃんは1日たった2時間ほどしか寝ていなかったらしい。空を飛びながら寝る鳥や、1日1万回以上「数秒だけ寝る」ペンギンまでいる。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Gravett et al. (2017) Inactivity/sleep in two wild free-roaming African elephant matriarchs – Does large body size make elephants the shortest mammalian sleepers?, PLoS ONEdoi.org
  2. Rattenborg et al. (2016) Evidence that birds sleep in mid-flight, Nature Communicationsdoi.org
  3. Libourel et al. (2023) Nesting chinstrap penguins accrue large quantities of sleep through seconds-long microsleeps, Sciencedoi.org
  4. Rattenborg et al. (2008) Sleeping outside the box: electroencephalographic measures of sleep in sloths inhabiting a rainforest, Biology Lettersdoi.org
  5. Siegel (2005) Clues to the functions of mammalian sleep, Naturedoi.org