「セミは地上で7日」は本当? 実は数週間生きるらしい。しかも一生の大半は“地下と卵の中”だった

読む前に予想してみよう!
セミの成虫は、地上に出るとちょうど7日で寿命をむかえる
飼育ケースではすぐ死にやすいが、野外では1週間を超えて生きる成虫が珍しくないと考えられている。
- 対象
- 日本のセミ(アブラゼミ・クマゼミ)・北米の周期ゼミ
- 規模
- 野外観測・飼育実験・全国データ
- 研究の種類
- 観察研究・総説
- 確かさ
- ★★☆☆☆
「セミは地上で7日」は、飼育下ですぐ死にやすいことから広まった俗説と考えられる。野外では成虫が数週間生きる例が知られ、一生の大半は卵と地中で過ごす。
ひとことで言うとセミは地上で1週間よりもっと長く生きる。そして地下では何年も暮らしている!
「セミは何年も土の中にいて、地上に出たら7日で死んでしまう」――夏になると必ず聞く、ちょっと切ない話です。
結論から言うと、「セミは地上で7日」は言い過ぎで、野外では成虫が数週間生きる例が知られています。「1週間」のイメージは、捕まえて飼育ケースに入れたセミがすぐ死んでしまうことから広まったのではないか、とよく言われます。そして本当に驚くべきなのは、成虫の期間よりも、卵と地下で過ごす時間の長さのほうでした。
01「セミは地上で7日」はどこから来た?
セミは、木の幹に細い口を刺して汁を吸って生きています。ところが、虫かごや飼育ケースの中では、エサとなる生きた木がないため、数日で弱って死んでしまいやすいのです。
子どもの頃に捕まえたセミがすぐ動かなくなった経験は、多くの人にあるはず。こうした体験が「セミの命は1週間」というイメージにつながったと考えられています。
一方、野外で成虫に印をつけて追いかける調査からは、1週間よりずっと長く生きる個体がいることが報告されています。北米の「周期ゼミ」を扱った総説でも、成虫が地上で活動するのは数週間のスケールとされています。ただし、何日生きるかは種類・天気・鳥などの天敵に大きく左右され、「平均何日」とはっきり言えるほどのデータはまだ多くありません。
02セミの一生は「卵の中」から始まる長編ドラマ
セミの本当の「マジか!?」は、地上に出る前にあります。
つまりアブラゼミは、卵の中で1年近く。そのあと地面に潜り、木の根から汁を吸いながら、数年かけて幼虫として育ちます。北米の周期ゼミに至っては、13年または17年も地下で過ごす種類がいることで有名です。

03地上の時間が「短い」と感じるのはなぜ?
一生のうち、成虫として飛び回る期間は全体のごく一部。だからこそ「はかない命」に見えるのでしょう。
でも、見方を変えると、セミは地下で長い時間をかけて体をつくり、地上ではオスが鳴いてメスを呼び、子孫を残すという役割分担をしています。成虫期は、物語の「短い最終章」というより、長い準備の末のクライマックスなのです。
04温暖化でセミのカレンダーが変わってきた
最近の研究では、セミの暮らしに気候変動の影響も見えてきました。
2024年の研究は、気象庁や市民による長年の観測データを使い、全国のアブラゼミの初鳴き日を分析。前年の夏から冬にかけての気温が高いほど、初鳴きが早まる傾向があり、気温の上昇とともに初鳴きが早くなってきていることを示しました。地下の幼虫が、暖かさで速く育つためではないかと考えられています。
また、西日本に多いクマゼミについては、分布が北へ広がりつつあることを全国調査データから分析した研究もあります。
05まとめ
「セミは地上で7日」は言い過ぎ。野外では数週間生きることがあり、何より一生の大部分は、卵の中の約1年と地下での数年に費やされています。
今年の夏、鳴いているセミを見かけたら、「この子は何年前に生まれたんだろう?」と想像してみてください。セミの声が、ちょっと違って聞こえるはずです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA popular story says that cicadas spend years underground and then die only seven days after coming out.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Many people say that cicadas live only seven days after they come out of the ground. But this is not quite true. In the wild, some adult cicadas live for a few weeks. Cicadas often die quickly in a box because they cannot drink from a living tree.
Also, most of a cicada's life happens before summer. An egg waits for almost a year, and then the young cicada grows under the ground for several years.
76 words ・ CEFR A2
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セミは地面から出てきて7日しか生きないと、多くの人が言います。しかし、これは正しいとは言えません。野外では、数週間生きる成虫のセミもいます。セミが箱の中ですぐ死んでしまうことが多いのは、生きた木から汁を吸えないからです。
また、セミの一生の大部分は夏の前に過ぎています。卵は1年近く待ち、そのあと幼いセミは地面の下で何年も育つのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
「地上で7日」は本当ではなく、セミの一生は実はもっと長い、という内容なので C。
Q2. Why do cicadas often die quickly in a box?
because they cannot drink from a living tree とあるので A。
Q3. In the passage, "in the wild" means ...
in the wild は「野生で・自然の中で」。人に飼われていない状態なので D。
A popular story says that cicadas spend years underground and then die only seven days after coming out. However, this seems to be an exaggeration. Studies that mark adult cicadas in the wild show that some live much longer than a week, and adults of some species are active for several weeks.
The seven-day idea may come from the fact that captured cicadas die quickly, since they cannot feed on living trees in a cage. What is truly surprising is how long cicadas spend before becoming adults. Japanese researchers found that the eggs of two common species do not hatch until the next summer, so they stay in the egg for 10 to 12 months before living underground for several years.
121 words ・ CEFR B1
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セミは何年も地下で過ごし、地上に出てわずか7日で死ぬ、というよく知られた話があります。しかし、これは誇張のようです。野外で成虫のセミに印をつける研究からは、1週間よりずっと長く生きる個体がいること、そして一部の種の成虫が数週間活動することがわかっています。7日という考えは、捕まえたセミがすぐ死んでしまうことから来ているのかもしれません。
かごの中では生きた木から栄養をとれないからです。本当に驚くべきなのは、セミが成虫になるまでに過ごす時間の長さです。日本の研究者たちは、よく見られる2種のセミの卵が翌年の夏まで孵化しないことを発見しました。つまり卵の中で10〜12か月過ごし、そのあと何年も地下で暮らすのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
「7日」は誇張であり、一生の大半は成虫になる前に過ごされる、という2点が主旨なので B。
Q2. How long do the eggs of the two Japanese species stay in the egg?
they stay in the egg for 10 to 12 months とあるので C。
Q3. Why could watching captured cicadas give a wrong idea about their lifespan?
かごでは生きた木から栄養をとれずすぐ死ぬので、野外より短い寿命に見えてしまうと推測できる。A が正解。
Keep a cicada in a cage and it will probably weaken within days, because there is no living tree for it to feed on. That experience is the likely source of the popular claim that cicadas survive only seven days above ground.
Researchers who mark adults and later recapture them have found some individuals living well beyond a week, and a review of North American periodical cicadas describes adult activity lasting several weeks. Reliable averages are scarce. Many marked insects fly away or are eaten before they can be caught again, so field estimates tend to run short. Temperature also shapes the cicada calendar. A 2024 analysis of long-term records found that warmer weather from the previous summer through winter went along with earlier first songs, although observational records of this kind cannot establish the cause.
Warmth matters for eggs, too. A 2008 study of two common Japanese species showed that their eggs enter dormancy and overwinter, hatching only the following summer after collecting enough heat. The egg stage alone lasts 10 to 12 months. The nymphs then live underground for several years, feeding on sap from roots, and some North American species stay down there for 13 or 17 years.
201 words ・ CEFR B2
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セミをかごで飼うと、栄養をとる生きた木がないため、たいてい数日のうちに弱ってしまいます。セミは地上でわずか7日しか生きないというよく知られた話は、おそらくこうした経験から生まれたものでしょう。
成虫に印をつけて後で再び捕まえる研究者たちは、1週間をはるかに超えて生きる個体を見つけており、北米の周期ゼミに関する総説も、成虫の活動は数週間続くとしています。信頼できる平均値はほとんどありません。印をつけた虫の多くは、再び捕まえる前に飛び去ったり食べられたりするので、野外での推定は短めになりがちです。気温もセミのカレンダーを左右します。長期の記録を分析した2024年の研究では、前年の夏から冬にかけての気温が高いと初鳴きが早くなる傾向が見つかりましたが、この種の観察記録だけでは原因を確定することはできません。
暖かさは卵にも関わります。日本のよく見られる2種のセミを調べた2008年の研究では、卵が休眠して冬を越し、十分な熱をためてから翌年の夏にようやく孵化することが示されました。卵の期間だけで10〜12か月続きます。その後、幼虫は地下で何年も木の根の汁を吸って暮らし、北米には13年または17年も地下にとどまる種もいます。
4択リーディングクイズ
Q1. Which statement best summarizes the passage?
「7日」はかごで飼った経験から来た誇張であること、一生の大半は卵と地下の幼虫として過ごすことをまとめた D が正解。
Q2. Why might field estimates of adult lifespan be too short?
Many marked insects fly away or are eaten before they can be caught again, so field estimates tend to run short. とあるので A。run short は「(数値が)短めに出る」。
Q3. What does the 2024 analysis suggest, and what is its limitation?
warmer weather ... went along with earlier first songs と、observational records of this kind cannot establish the cause の両方を正しく表すのは B。
重要単語
- cicadaB2名詞セミCicadas sing loudly on hot summer days.
発音は /sɪˈkeɪdə/(シケイダ)。英語圏ではセミが少ない地域も多く、鳴き声を「騒音」と感じる人もいる。 - nymphC1名詞(不完全変態の昆虫の)幼虫The nymph lives underground for years.
チョウなど完全変態の幼虫は larva。セミやトンボのように蛹にならない昆虫の幼虫が nymph。 - emergeB2動詞出てくる、羽化するCicadas emerge from the ground at night.
e-(外へ)+merge(沈む)。「(問題・事実が)明らかになる」の意味でも頻出。名詞 emergence。emergency(緊急事態)も同語源。 - lifespanB2名詞寿命The lifespan of an adult cicada is longer than many think.
life+span(期間・長さ)。attention span「集中力の続く時間」も同じ span。 - dormancyC1名詞休眠The eggs enter dormancy and survive the winter.
dormant(眠っている・休止中の)の名詞形。a dormant volcano「休火山」も入試で見かける。dormitory(寮)と同語源。 - phenologyC1名詞生物季節(生き物の季節現象)Climate change is shifting insect phenology.
開花日や初鳴き日など、季節ごとの生き物の変化を研究する分野。phenomenon(現象)と同じ語源。
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「セミは地上に出て7日で死ぬ」はどうも言い過ぎらしい。野外では成虫が数週間生きる例が知られている。しかもアブラゼミは卵のまま約1年すごし、地下で数年育つ。地上の夏はほんの最終章だった。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Williams & Simon (1995) The Ecology, Behavior, and Evolution of Periodical Cicadas, Annual Review of Entomologydoi.org
- Moriyama & Numata (2008) Diapause and prolonged development in the embryo and their ecological significance in two cicadas, Cryptotympana facialis and Graptopsaltria nigrofuscata, Journal of Insect Physiologydoi.org
- Tsujimoto, Koide & Kumagai (2024) Exploring the factors influencing the first singing date of a cicada, Graptopsaltria nigrofuscata, Ecological Entomologydoi.org
- Saito, Kurashima & Ito (2016) Climate change and the northward shift of Cryptotympana facialis in Japan, Climate Researchdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












