ウソ?ホント?検証ビミョー

「年をとると骨が縮んで背が低くなる」は半分ホント。80歳までに女性は平均8cm低くなっていた

「年をとると骨が縮んで背が低くなる」は半分ホント。80歳までに女性は平均8cm低くなっていた

読む前に予想してみよう!

年をとって背が低くなるのは、主に手足の骨が短くなるからだ

研究カード(どんな研究?)
対象
17〜94歳の男女
規模
2,084人
研究の種類
長期追跡研究(縦断研究)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

背は30歳ごろから縮み始め、80歳までに男性で約5cm、女性で約8cm低くなる。ただ原因は骨そのものの縮みより、背骨のクッションや骨折、姿勢が大きい。

ひとことで言うと背は本当に縮む。でも犯人は"骨"より"背骨のすき間"!

もくじ
  1. 30歳から縮み始め、80歳で女性は約8cm
  2. 犯人1:背骨の"クッション"が薄くなる
  3. 犯人2:気づかないうちに背骨が"つぶれる"
  4. 犯人3:姿勢の変化
  5. 「縮み方」は健康のサインにも
  6. まとめ

「おじいちゃん、昔より小さくなったね」

久しぶりに会った祖父母に、そんなことを感じたことはありませんか。「年をとると骨が縮むんだよ」と説明された人もいるかもしれません。

背が縮むのは本当です。しかも、思っていたよりずっと早く、ずっと大きく縮みます。ただし、その原因は「骨が縮むから」だけではありませんでした。

0130歳から縮み始め、80歳で女性は約8cm

ポイントは、同じ人を何度も測った縦断研究だということです。違う年代の人を一度に比べるだけだと、「昔の人はもともと背が低かった」という時代の違いが混ざってしまいます。この研究は、それを避けて「本当にどれだけ縮むか」を測りました。

02犯人1:背骨の"クッション"が薄くなる

背骨は、24個ほどの小さな骨(椎骨)が積み重なってできています。その骨と骨の間には、椎間板という水分を多く含んだクッションがはさまっています。

骨と骨の間のクッション(椎間板)が薄くなると、そのぶん背が縮む
骨と骨の間のクッション(椎間板)が薄くなると、そのぶん背が縮む

年をとると、この椎間板の水分が減って少しずつ薄くなります。一つひとつはわずかでも、背骨全体では数cmの差になります。ちなみに、朝と夜で身長が変わるのも、この椎間板が日中につぶれ、寝ている間に戻るからです。

03犯人2:気づかないうちに背骨が"つぶれる"

もう一つの大きな原因が、骨粗しょう症による背骨の骨折です。骨がもろくなると、背骨の骨が上からの重さで少しずつつぶれる「圧迫骨折」が起きることがあります。

米国国立衛生研究所(NIH)の解説でも、背骨の骨折の症状として身長が縮むことや背中が丸くなることが挙げられています。そして、背骨の骨折は3分の2以上が見つからないままだという報告もあります(シミノスキーら、2005年)。

骨粗しょう症の女性985人を3年間追った研究(シミノスキーら、2005年)では、新しく背骨が骨折するたびに、身長が約1cmずつ縮む関係が見られました。

04犯人3:姿勢の変化

さらに、背中が丸くなる姿勢の変化も、身長の低下に関わると考えられています。

つまり「骨が縮む」というより、骨の間が詰まり、骨がつぶれ、姿勢が曲がることが、背が低くなる主な理由なのです。

05「縮み方」は健康のサインにも

英国の男性4,213人を20年以上追った研究(ワナメシーら、2006年)では、中年から20年で3cm以上背が縮んだ人は、ほとんど縮まなかった人に比べて、その後の死亡リスクが高い傾向がありました。もちろん、背が縮むこと自体が原因というより、骨や体の衰えを映すサインと考えられます。

06まとめ

  • 背は30歳ごろから縮み始め、80歳までに男性約5cm、女性約8cm低くなる
  • 主な原因は「骨が縮む」より、椎間板が薄くなる・背骨の圧迫骨折・姿勢の変化
  • 急な身長の低下は、骨の健康のサインかもしれない

判定は「ビミョー」。背が縮むのはホント、でも"骨が縮む"は半分だけ。身長計は、骨の健康をはかる身近なものさしでもあったのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIt is true that people get shorter as they age. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

It is true that people get shorter as they age. A long-term study in Baltimore measured more than 2,000 people again and again over many years. Height began to decrease around age 30, and the loss became faster with age. By 80, men had lost about 5 cm and women about 8 cm.

However, the main reason is not that bones shrink. The spine is made of small bones with soft, watery discs between them, and these discs become thinner with age. Weak bones caused by osteoporosis can also lead to small fractures in the spine, which often happen without pain. Changes in posture also play a part.

108 words ・ CEFR B1

和訳を見る

人が年とともに背が低くなるのは本当です。ボルチモアでの長期研究では、2,000人以上の身長を何年にもわたってくり返し測りました。身長は30歳ごろから低くなり始め、年をとるほど縮み方が速くなりました。80歳までに、男性は約5cm、女性は約8cm低くなっていました。

しかし、主な理由は骨が縮むことではありません。背骨は小さな骨でできていて、その間には水分を含んだやわらかい円板(椎間板)があり、この円板が年とともに薄くなるのです。骨粗しょう症で骨が弱くなると、背骨に小さな骨折が起きることもあり、それは痛みのないまま起きることがよくあります。姿勢の変化も関係しています。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. When did height begin to decrease in the study?

Q3. Why might a sudden loss of height be a warning sign?

重要単語

  • spineB2
    名詞背骨The spine is made of many small bones. backbone と同じ意味。形容詞 spinal(spinal cord=脊髄)。本の「背」も spine。
  • osteoporosisC1
    名詞骨粗しょう症Osteoporosis makes bones weak and easy to break. osteo-(骨)+poro(穴)+-sis(状態)=穴だらけの骨。
  • longitudinalC1
    形容詞縦断的な(長期追跡の)A longitudinal study follows the same people for years. 反対は cross-sectional(横断的な)。研究デザインの対比として出題される。
  • fractureC1
    名詞骨折Some spinal fractures cause no pain. compression fracture は「圧迫骨折」。fract-(割る)は fraction(分数)と同じ語根。
  • postureB2
    名詞姿勢Good posture is important at any age. position と同語源。bad posture(悪い姿勢)、improve your posture など。
  • vertebraC1
    名詞椎骨(背骨の一つひとつの骨)Each vertebra is separated by a soft disc. 複数形は vertebrae(ヴァーテブリー)。vertebrate(脊椎動物)も同じ語根。

4コマでわかる

「年をとると骨が縮んで背が低くなる」は半分ホント。80歳までに女性は平均8cm低くなっていたの4コマ漫画
「年をとると背が縮む」はホント。アメリカの長期追跡研究では、80歳までに男性で約5cm、女性で約8cm低くなっていたらしい。ただし犯人は"骨が縮む"より、背骨のクッションのすり減りや気づかない骨折だった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Sorkin, Muller & Andres (1999) Longitudinal change in height of men and women: implications for interpretation of the body mass index, American Journal of Epidemiologydoi.org
  2. Wannamethee et al. (2006) Height loss in older men: associations with total mortality and incidence of cardiovascular disease, Archives of Internal Medicinedoi.org
  3. Siminoski et al. (2005) Accuracy of height loss during prospective monitoring for detection of incident vertebral fractures, Osteoporosis Internationaldoi.org