ウソ?ホント?検証ビミョー

「1日30品目食べなさい」は、国の指針からとっくに消えていた

「1日30品目食べなさい」は、国の指針からとっくに消えていた

読む前に予想してみよう!

「1日30品目」は、今も国の食生活指針に書かれている目標だ

研究カード(どんな研究?)
対象
地域に住む高齢者
規模
数百人規模
研究の種類
前向きコホート研究(+国の指針)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

「1日30食品」は1985年の国の指針の目標だったが、2000年の新しい指針で数字は消えた。いろいろ食べること自体は今も大切。

ひとことで言うと「30」を数えなくてOK。いろんな色の食べ物を食べればいいよ!

もくじ
  1. 「30食品」は1985年の目標だった
  2. 2000年、数字はひっそり消えた
  3. でも「いろいろ食べる」は今も大切
  4. 数えるなら「品目」より「グループ」
  5. まとめ

「好き嫌いしないで、1日30品目食べなさい!」

給食の時間や家庭科の授業、おばあちゃんの口ぐせ……。日本で育った人なら、一度は聞いたことのあるフレーズでしょう。真面目な人ほど、「今日はまだ18品目しか食べてない」と数えたことがあるかもしれません。

でも実はこの「30品目」、今の国の食生活指針には書かれていないって、知っていましたか?

01「30食品」は1985年の目標だった

「1日30食品」という目標が登場したのは、1985年。当時の厚生省がまとめた「健康づくりのための食生活指針」の中で、「多様な食品で栄養バランスを」「1日30食品を目標に」と呼びかけたのが始まりです。

当時は、食生活が豊かになる一方で、栄養のかたよりも心配されていた時代。「いろいろなものを食べよう」というメッセージを、覚えやすい数字にしたわけです。この作戦は大成功し、「30品目」は国民的な合言葉になりました。

022000年、数字はひっそり消えた

2000年、当時の文部省・厚生省・農林水産省が新しい「食生活指針」をまとめました。そこでは「主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」といった言葉は残りましたが、「30」という数字は消えていたのです。

理由としてよく挙げられるのが、30という数を目指すと、食べる量そのものが増えてしまうという問題。品目を増やそうとおかずを1品、また1品と足していけば、カロリーも増えます。また、調味料や少量の薬味まで数えるかどうかなど、数え方があいまいなことも指摘されていました。

なお食生活指針は2016年に一部が改定されましたが、そこでも「30」という数字は復活していません。

また2005年には、何をどれだけ食べればいいかをコマの形のイラストで示した「食事バランスガイド」も作られています。

03でも「いろいろ食べる」は今も大切

ここまで読むと、「じゃあ30品目はウソだったの?」と思うかもしれません。でも、そう単純ではないのがこの話のポイントです。

国内の別の研究でも、食品の種類が多い高齢者ほど、フレイル(=年をとって心と体の活力が弱った状態)が少ない傾向が報告されています。ただしこれらは観察研究なので、「多様な食事をとれる人は、もともと元気で暮らしにゆとりがある」といった別の理由が混ざっている可能性もあります。つまり、「30」という数字は消えても、「いろいろ食べよう」という考え方そのものは、今も正しいと言えそうです。

品目を数えるより、「色」と「グループ」がそろっているかを見るほうが簡単
品目を数えるより、「色」と「グループ」がそろっているかを見るほうが簡単

04数えるなら「品目」より「グループ」

30品目を毎日数えるのは、正直かなり大変です。そこでおすすめなのが、食品のグループで考える方法。

05まとめ

  • 「1日30食品」は1985年の国の指針の目標。2000年の新しい指針で数字は消えた
  • 消えた理由のひとつは、数を追うと食べすぎにつながること
  • でも「いろいろな食品グループを食べる」ことの大切さは、研究でも支持されている

だから判定は「ビミョー(半分ホント)」。今日から「30」は数えなくて大丈夫。かわりに、お皿の上の“色の数”を数えてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Eat 30 different foods every day" was once a well-known health rule in Japan. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

"Eat 30 different foods every day" was once a well-known health rule in Japan. It came from the government's dietary guideline of 1985, which turned the message "eat a wide variety of foods" into an easy number.

However, when a new guideline was created in 2000, the number 30 was gone. One common reason given is that aiming for 30 items can lead people to add extra dishes and eat too many calories. It was also unclear what should be counted. Even so, variety is still important. A 2003 study of older adults found that those who ate from more of the ten food groups were less likely to lose abilities for intellectual activity and social roles.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「毎日30種類の食品を食べよう」は、かつて日本でよく知られた健康のルールでした。これは1985年の政府の食生活指針から来たもので、「いろいろな食品を食べよう」というメッセージを覚えやすい数字にしたものでした。

しかし、2000年に新しい指針が作られたとき、30という数字は消えていました。よく挙げられる理由の一つは、30品目を目指すと、おかずを追加してカロリーをとりすぎてしまうことです。また、何を数えるべきかもはっきりしていませんでした。それでも、多様性は今も大切です。高齢者を対象とした2003年の研究では、10の食品グループのうち多くのグループから食べている人ほど、知的な活動や社会的な役割を担う力を失いにくいことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why was the number 30 used in the 1985 guideline?

Q2. Which is given as a reason for removing the number 30?

Q3. What does the 2003 study suggest?

重要単語

  • guidelineB2
    名詞指針、目安The new guideline no longer mentions the number 30. 複数形 guidelines でよく使う。follow the guidelines「指針に従う」。
  • varietyB1
    名詞多様性、種類の多さDietary variety matters more than counting items. a variety of ~「さまざまな~」。形容詞 various、動詞 vary。
  • food groupB1
    名詞(句)食品群Try to eat from several food groups every day. 栄養学の基本語。food pyramid「食品ピラミッド」もセットで覚えたい。
  • overeatingB2
    名詞食べすぎChasing a number can lead to overeating. over-(過度に)+eat。overwork, oversleep など over- の付く語は多い。
  • independenceB2
    名詞自立Good nutrition helps older people keep their independence. 形容詞 independent of ~「~から独立した」。前置詞 of に注意(depend on と異なる)。
  • ambiguousC1
    形容詞あいまいなThe counting rules were ambiguous. ambi-(両方)=「2通りに解釈できる」。名詞 ambiguity。評論文の頻出語。
  • confoundC1
    動詞(要因を)混同させる、交絡させるIncome may confound the link between diet and health. confounding factor「交絡因子」。観察研究の限界を述べる際の必須語。

動画でもっと知る

4コマでわかる

「1日30品目食べなさい」は、国の指針からとっくに消えていたの4コマ漫画
「1日30品目食べなさい」って言われて育ったけど、この数字は1985年の国の指針にあったもので、2000年の新しい指針では消えていたらしい。数えるのに必死になると、食べすぎにつながるという指摘もあったとか。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. 熊谷修ほか (2003) 地域在宅高齢者における食品摂取の多様性と高次生活機能低下の関連, 日本公衆衛生雑誌pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Yoshizaki et al. (2019) Association of Dietary Variety with Nutrient and Food Group Intake and Frailty among Community-dwelling Japanese Older Adults, 栄養学雑誌doi.org
  3. 食生活指針について(農林水産省)maff.go.jp