「ニンジンを食べると夜目がきく」は戦争中の"目くらまし"だった? 半分だけ正しい理由

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ビタミンAが十分な人でも、ニンジンをたくさん食べると夜の視力がどんどん上がる
ビタミンAは不足すれば夜盲症の原因になるが、足りている人がとっても夜目はよくならない。
- 対象
- ビタミンA欠乏の子ども・成人など
- 規模
- 多数の臨床・疫学研究
- 研究の種類
- レビュー(歴史的概観)
- 確かさ
- ★★★★☆
ビタミンAが足りないと暗い所で見えにくくなるのは本当。でも足りている人がニンジンを食べても夜目はよくならない。戦時中のイギリスで広まったとされる。
ひとことで言うとニンジンは目の栄養になる。でも食べても「暗視ゴーグル」にはならない!
「ニンジンを食べると、暗い所でもよく見えるようになるよ」
ニンジン嫌いの子どもを説得するための定番フレーズです。でもこの言葉、じつは戦争と深い関係があると言われています。
まずは科学の部分から。この話は「半分ホント」です。
01ビタミンAがないと、夜が見えない
目の奥の網膜には、暗い所で光を感じる桿体(かんたい)細胞があります。その中で光をキャッチしているのが、ロドプシンという色素です。
つまり、ビタミンAが足りないとロドプシンが作れず、暗い所で見えにくくなる「夜盲症」になります。ビタミンA欠乏そのものは昔から知られていて、今でも栄養状態の悪い地域では子どもの失明の大きな原因になっています。
ニンジンのオレンジ色のもとであるβカロテンは、体の中でビタミンAに変わります。だから「ニンジンは目にいい」は、ビタミンAが不足している人にとっては本当なのです。
02でも、足りている人には「上乗せ」なし
問題はここから。
ビタミンAが十分足りている人が、ニンジンをさらに食べても、夜の視力が人並み以上に上がることはありません。米国眼科学会も、ニンジンを食べても視力がよくなったり、メガネが不要になったりはしないと説明しています。
03夜空の"秘密兵器"を隠すために?
では、なぜ「ニンジンで夜目がきく」がこれほど有名になったのでしょう。よく語られるのが、第二次世界大戦中のイギリスの話です。
当時、ドイツ軍の夜間爆撃に悩まされていたイギリス空軍は、夜でも敵機を見つけられる機上レーダーを実用化しつつありました。その存在を敵に知られたくない。そこで、夜間戦闘機のパイロットが活躍するのは「ニンジンをたくさん食べて夜目がきくから」という話が広められた――と言われています。

ただし、歴史家の間では、この話がどこまで意図的な情報操作だったのかには議論があります。当時のイギリスは食料が配給制で、国内でたくさん採れるニンジンを食べてもらうためのキャンペーンも盛んでした。灯火管制で真っ暗な夜道を歩く市民に「ニンジンで夜目を」と勧める宣伝もあったようです。
どちらにせよ、栄養の知識と戦時中の宣伝がうまく組み合わさって、この話が世界中に広まったことは確かなようです。
04本当の「目にいいこと」は?
ニンジンに意味がないわけではありません。ビタミンAは目だけでなく、皮膚や免疫にも欠かせない栄養素です。ふだんの食事で野菜や卵、乳製品などをバランスよくとっていれば、多くの人は不足しません。
05まとめ
- ビタミンAが不足すると夜盲症になる。これは本当
- ビタミンAが足りている人がニンジンを食べても、夜目はよくならない
- 「ニンジンで夜目がきく」は、戦時中のイギリスで広まったとされる話
ニンジンは「暗視ゴーグル」ではなく、「目の材料をちゃんとそろえてくれる野菜」。それで十分えらいのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe idea that carrots help you see in the dark is only half true.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
People often say carrots help you see in the dark. This is half true. Your eyes need vitamin A to see in dim light. Carrots have beta-carotene, which your body changes into vitamin A. If you do not get enough vitamin A, you cannot see well at night.
But if you already get enough, eating more carrots will not help. The story became famous in Britain during World War II.
70 words ・ CEFR A2
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ニンジンを食べると暗い所でもよく見える、とよく言われます。これは半分だけ本当です。目が薄暗い所で見るには、ビタミンAが必要です。ニンジンにはβカロテンが含まれていて、体はそれをビタミンAに変えます。ビタミンAが足りないと、夜によく見えなくなります。
でも、すでに十分とれているなら、ニンジンをもっと食べても効果はありません。この話は、第二次世界大戦中のイギリスで有名になりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ニンジンで夜目がきくのかがテーマなので B。
Q2. What does the body change beta-carotene into?
beta-carotene, which your body changes into vitamin A とあるので C。
Q3. In this passage, "dim" means ...
dim は「薄暗い」。see in the dark(暗い所で見る)と同じ文脈なので A。
The idea that carrots help you see in the dark is only half true. In the retina, a pigment called rhodopsin detects dim light, and it is made partly from vitamin A. American scientist George Wald explained how this pigment works and won a Nobel Prize in 1967.
Without enough vitamin A, people develop night blindness. Carrots contain beta-carotene, which the body turns into vitamin A, so carrots help people who lack it. However, if you already get enough vitamin A, extra carrots will not improve your night vision. The myth is often said to have spread in Britain during World War II.
103 words ・ CEFR B1
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ニンジンを食べると暗い所でもよく見えるという考えは、半分しか正しくありません。網膜では、ロドプシンという色素が薄暗い光を感じとっており、この色素はビタミンAを材料の一部にしています。
アメリカの科学者ジョージ・ワルドは、この色素の働きを解明し、1967年にノーベル賞を受賞しました。ビタミンAが足りないと、夜盲症になります。ニンジンには体がビタミンAに変えるβカロテンが含まれているので、ビタミンAが不足している人には役立ちます。しかし、すでにビタミンAを十分とっているなら、ニンジンを余分に食べても夜の視力はよくなりません。この俗説は、第二次世界大戦中のイギリスで広まったとよく言われます。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
ビタミンAが不足している人には役立つが、足りている人には効果がない、という内容なので D。
Q2. What is rhodopsin?
a pigment called rhodopsin detects dim light とあるので B。
Q3. Who would most likely benefit from eating more carrots?
carrots help people who lack it とあり、ビタミンAが不足している人が得をするので A。
Telling children that carrots help them see in the dark contains a grain of truth. Night vision depends on rod cells in the retina, which detect light using a pigment called rhodopsin. George Wald, who received a Nobel Prize in 1967, showed that rhodopsin combines a protein with a compound made from vitamin A and changes shape when it absorbs light, triggering a visual signal.
Without enough vitamin A, the body cannot make sufficient rhodopsin, leading to night blindness, and the deficiency remains a major cause of childhood blindness where nutrition is poor. Because carrots are rich in beta-carotene, which the body converts into vitamin A, they help those who are deficient. For people with enough vitamin A, however, eating more carrots does not sharpen night vision, as eye specialists point out.
Why, then, did the myth become so popular? A widely told story holds that during World War II, Britain credited the success of its night-fighter pilots to carrots in order to hide its new airborne radar. Historians, however, debate how deliberate this deception was, since Britain was also encouraging people to eat home-grown carrots during wartime rationing.
189 words ・ CEFR B2
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子どもに「ニンジンを食べると暗い所でもよく見える」と言うのには、少しだけ真実が含まれています。夜の視力は網膜の桿体細胞に頼っており、この細胞はロドプシンという色素を使って光を感じとります。1967年にノーベル賞を受賞したジョージ・ワルドは、ロドプシンがたんぱく質とビタミンAからできる化合物の組み合わせで、光を吸収すると形を変えて視覚の信号を生み出すことを示しました。
ビタミンAが足りないと、体は十分なロドプシンを作れず夜盲症になり、ビタミンAの欠乏は栄養状態の悪い地域では今も子どもの失明の大きな原因になっています。ニンジンには体がビタミンAに変えるβカロテンが豊富なので、不足している人には役立ちます。しかし、眼科の専門家が指摘するように、ビタミンAが足りている人がニンジンをもっと食べても、夜の視力は鋭くなりません。では、なぜこの俗説はこれほど広まったのでしょうか?
よく語られる話では、第二次世界大戦中、イギリスは新しい機上レーダーを隠すために、夜間戦闘機のパイロットの活躍をニンジンのおかげだとしたと言われます。しかし歴史家の間では、この目くらましがどこまで意図的だったのかについて議論があります。イギリスは戦時中の配給制のもとで、国内で採れるニンジンを食べるよう国民に勧めてもいたからです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why can vitamin A deficiency cause night blindness?
Without enough vitamin A, the body cannot make sufficient rhodopsin, leading to night blindness とあるので A。
Q2. According to the widely told story, why did Britain credit its pilots' success to carrots?
in order to hide its new airborne radar とあるので D。
Q3. How does the author treat the wartime story?
Historians, however, debate how deliberate this deception was とあり、意図的だったかは議論中と扱っているので B。
重要単語
- night blindnessC1名詞(句)夜盲症(暗い所で見えにくくなること)Night blindness can be caused by a lack of vitamin A.
color blindness(色覚異常)と同じ作り。blind as a bat など blind を使う表現とあわせて覚える。 - deficiencyC1名詞欠乏、不足Vitamin A deficiency is common in some countries.
形容詞 deficient(不足した)。be deficient in ~「~が不足している」の形で使う。 - propagandaC1名詞(政治的な)宣伝活動Wartime propaganda shaped what people believed.
propagate(広める)と同語源。ふつう「事実をゆがめた宣伝」という否定的な響きがある。 - pigmentC1名詞色素The eye uses a pigment to detect light.
絵の具の「顔料」も pigment。skin pigment(皮膚の色素)のように生物でも使う。 - beta-caroteneC1名詞βカロテンCarrots are rich in beta-carotene.
carrot(ニンジン)と同語源。be rich in ~「~が豊富だ」とセットで覚えたい。 - deliberateB2形容詞意図的な、慎重なIt was a deliberate attempt to hide the truth.
副詞 deliberately(わざと)。動詞の deliberate(熟考する)は語尾の発音が /-eɪt/ に変わる。
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第二次大戦中のイギリス空軍のパイロットが夜に敵機を次々見つけられたのは「ニンジンを食べているから」と宣伝されたという話がある。本当の秘密は新兵器のレーダーだったらしい。ニンジンは"目くらまし"に使われた?
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※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












