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フォニックスは英語を「読める」ようにする? 38の実験のまとめと、日本の子どもへの効き方

フォニックスは英語を「読める」ようにする? 38の実験のまとめと、日本の子どもへの効き方

読む前に予想してみよう!

フォニックスは、英語を外国語として学ぶ子どもの文章読解力を確実に伸ばすことが証明されている

研究カード(どんな研究?)
対象
英語を学ぶ子ども(母語・外国語)
規模
38実験・66比較のメタ分析ほか
研究の種類
メタ分析+系統的レビュー
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

文字と音のルールを体系的に教えるフォニックスは、英語圏では読み始めに効果あり。外国語として学ぶ子では、音の力は伸びるが読解への効果はまだはっきりしない。

ひとことで言うと文字と音のルールを知ると、知らない単語も読めるようになる!

もくじ
  1. 英語のつづりは「クセが強い」
  2. 英語圏の結論:「読み始め」に効く
  3. 外国語として学ぶ子では?
  4. まとめ

「c」は「ク」、「a」は「ア」、「t」は「トゥ」。つなげて cat(キャット)。

英語の文字と音のルールを教えるフォニックス。英語圏の小学校では定番で、日本でも英語教室や家庭学習で人気です。

でも、日本の子どもにも同じように効くのでしょうか。研究をたどると、「効くところ」と「まだわからないところ」がはっきり分かれていました。

01英語のつづりは「クセが強い」

日本語のひらがなは、1文字がほぼ1つの音に対応します。ところが英語は、

  • a が cat では「ア」、cake では「エイ」、father では「アー」
  • 同じ「イー」の音でも、see・sea・key・piece とつづりがバラバラ

と、文字と音の関係がかなり複雑です。だからこそ、ルールを順序立てて教えるフォニックスが役立つと考えられてきました。

02英語圏の結論:「読み始め」に効く

その後の研究でも、「読み始めの段階では、文字と音の対応を明示的に教えることが大切」という結論はおおむね支持されています。

ただし、イギリスの研究者らが2019年に過去のレビューを総点検したところ、フォニックスを支持する証拠はあるものの、研究の質は思われているほど高くないことも指摘されました。「フォニックスだけやればいい」とまでは言えないのです。

文字と音の対応は、「読む」世界への飛び石
文字と音の対応は、「読む」世界への飛び石

03外国語として学ぶ子では?

では、日本のように英語を外国語として学ぶ子どもではどうでしょう。

2017年に発表された研究では、外国語として英語を学ぶ小学生を対象にした15の研究をまとめました。その結果、

  • 音を聞き分ける力や、知らない(架空の)単語を音にする力には、一貫して効果があった
  • 一方、実際の単語をすばやく読む力や文章の読解への効果は、研究によってばらつきが大きかった
  • 多くの研究には方法上の弱点があり、結果は慎重に解釈すべき

という結論でした。

英語圏の子どもは、すでに話し言葉として何千もの単語を知っています。だから、文字を音にできれば「あ、あの単語だ!」と意味につながる。でも外国語として学ぶ子は、音にできても、その単語の意味を知らないことが多いのです。

04まとめ

フォニックスは、英語の「読み始め」を助ける、しっかりした道具でした。ただ、日本の子どもにとっては、それだけで英語の本が読めるようになるわけではありません。

音に慣れる・単語の意味を知る・文字と音をつなぐ。この3つをそろえてこそ、フォニックスは本領を発揮します。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEnglish spelling is complicated. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

English spelling is complicated. The letter 'a' sounds different in 'cat', 'cake' and 'father'. Phonics teaches the rules that connect letters and sounds step by step. In 2001, Ehri and colleagues reviewed 38 experiments for the US National Reading Panel. They found that systematic phonics had a moderate effect, and the effect was larger when children started early.

However, a 2017 review of 15 studies of children learning English as a foreign language found that phonics improved sound skills, but its effects on reading real words quickly and on reading comprehension varied. One possible reason is that these children often do not know the meanings of the words they can sound out.

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英語のつづりは複雑です。a という文字は cat、cake、father でそれぞれ違う音になります。フォニックスは、文字と音を結びつけるルールを段階的に教えます。2001年、エーリらは全米読書委員会のために38の実験を検討しました。彼らは、体系的なフォニックスには中程度の効果があり、子どもが早く始めるほど効果が大きいことを見いだしました。

しかし、英語を外国語として学ぶ子どもについての15の研究をまとめた2017年のレビューでは、フォニックスは音を扱う力を伸ばしたものの、実際の単語をすばやく読む力や文章の読解への効果はまちまちでした。考えられる理由のひとつは、こうした子どもたちが、音にできる単語の意味を知らないことが多いからです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2001 analysis find?

Q2. How many studies of foreign-language learners were reviewed in 2017?

Q3. Why might phonics not improve reading comprehension for children in Japan?

重要単語

  • phonicsB2
    名詞フォニックス(文字と音の対応を教える方法)Phonics helps children read new words. phon-(音)は telephone, microphone と同語源。-ics は学問・技術を表す(physics, economics)。
  • decodeB2
    動詞(文字を音に)解読するShe can decode simple words like "cat". de(逆に)+code(暗号)。「暗号を解く」から、読みの研究では「文字を音に変える」の意味。
  • phonemic awarenessC1
    名詞(句)音素認識(単語を小さな音に分けて意識する力)Phonemic awareness is a key reading skill. phoneme(音素)は意味を区別する最小の音の単位。awareness は「意識、気づき」。
  • spellingA2
    名詞つづりPhonics also improves spelling. spell は「つづる」。日本語の「スペル」は和製英語的で、英語では spelling が名詞。
  • systematicB2
    形容詞体系的なSystematic teaching follows a clear order. system の形容詞。systematic review(系統的レビュー)は研究をまとめる方法として頻出。
  • reading comprehensionB2
    名詞(句)読解力Reading comprehension needs vocabulary, too. comprehend(理解する)の名詞。入試の「長文読解」は reading comprehension。
  • correspondenceC1
    名詞対応(関係)、文通Phonics teaches letter-sound correspondences. correspond to ~「~に対応する」、correspond with ~「~と文通する」で前置詞により意味が変わる。

動画でもっと知る

文字と音のルールを教えるフォニックスは、38の実験をまとめた分析で、読み始めの子に効果ありと判定された。ただ英語を外国語として学ぶ子の研究では、音を扱う力は伸びるのに、文章の読解までつながるかはまだ不確かだった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Ehri et al. (2001) Systematic Phonics Instruction Helps Students Learn to Read: Evidence from the National Reading Panel's Meta-Analysis, Review of Educational Researchdoi.org
  2. Torgerson et al. (2019) Phonics: reading policy and the evidence of effectiveness from a systematic 'tertiary' review, Research Papers in Educationdoi.org
  3. Huo & Wang (2017) The Effectiveness of Phonological-Based Instruction in English As a Foreign Language Students at Primary School Level: A Research Synthesis, Frontiers in Educationdoi.org
  4. Castles, Rastle & Nation (2018) Ending the Reading Wars: Reading Acquisition From Novice to Expert, Psychological Science in the Public Interestdoi.org