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英語は早く始めた子が勝つ? 学校の授業なら「開始年齢より総学習時間」だった

英語は早く始めた子が勝つ? 学校の授業なら「開始年齢より総学習時間」だった

読む前に予想してみよう!

学校の授業で英語を学ぶ場合、早く始めた子どもは何年たってもずっと有利が続く

研究カード(どんな研究?)
対象
学校で外国語を学ぶ子ども
規模
数千人規模の追跡を含む
研究の種類
縦断研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

英語に囲まれて暮らす環境なら早く始めるほど有利。でも週数時間の授業中心の環境では、早く始めた子の優位は小さく、後から始めた子が追いつく研究が多い。

ひとことで言うと週に少しだけの英語なら、始める年より「どれだけ触れたか」が大事!

もくじ
  1. 「早く始めた子」が追いつかれる
  2. カギは「開始年齢」より「総量」
  3. 年上で始めることの強み
  4. まとめ

「英語は小さいうちに始めないと手遅れ」。そんな言葉に背中を押されて、幼児向け英語教室を探す保護者は少なくありません。日本でも2020年度から、小学校5・6年生で英語が正式な教科になりました。

たしかに、移民の子どものように英語に囲まれて暮らす場合、早く始めた子ほど母語話者に近いレベルに到達しやすいことは、多くの研究で知られています。

でも、日本のように英語に触れるのが主に学校の授業だけの環境ではどうでしょう。ここでは話が大きく変わってきます。

01「早く始めた子」が追いつかれる

「早く始めればずっと有利」という単純なイメージとは、かなりちがいますね。

02カギは「開始年齢」より「総量」

スペインの研究者ムニョスは、長年にわたって英語学習者の開始年齢を調べ、2011年の論文でこう報告しています。長い目で見ると、英語力をよりよく予測したのは、開始年齢ではなく、英語に触れた量(インプット)だった、と。

考えてみれば当然かもしれません。英語圏で暮らす子どもは、1年で何千時間も英語を浴びます。一方、学校の授業が週に1〜2時間なら、1年で数十時間。同じ「早期開始」でも、中身の量がまるでちがうのです。

日本の大学生を調べた研究では、子どものころに英語を始めた人のほうが、音の聞き分けで高い得点でした(文法の判断では群間の差は出ませんでした)。ただし研究者は、こうした年齢の効果は、英語に触れた量がかなり多くなるまで表れないかもしれないと述べています。

いつ始めたかより、どれだけ砂(英語)が落ちたか
いつ始めたかより、どれだけ砂(英語)が落ちたか

03年上で始めることの強み

年上で始める子には、文字が読める、ルールを理解できる、勉強の仕方を工夫できるといった強みがあります。授業という限られた時間の中では、こうした力が学習スピードを上げるのです。

もちろん、早く始めることに意味がないわけではありません。英語を「楽しいもの」と感じたり、英語の音に親しんだりする経験は、その後の学習の土台になりえます。大切なのは、早く始めること自体を目的にしないことです。

04まとめ

学校で英語を学ぶ環境では、「早く始めた子が勝つ」より、「たくさん触れた子が伸びる」のほうが研究の結果に近いようです。

開始年齢は過去のこと。でも、英語に触れる時間は今日から増やせます。焦るより、楽しく続けられる「量」を積み上げていきましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIt is widely believed that children should start learning English as early as possible. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

It is widely believed that children should start learning English as early as possible. Starting early clearly helps children who are surrounded by a language every day, such as immigrant children. However, the situation is different when English is learned mainly in school classes. A Swiss study followed children who started English at about eight and others who started at about thirteen.

The later starters caught up in a short time, and in the long run there was little difference. In a large German study, children who started in first grade led at first, but those who started in third grade caught up and later did better in reading and listening. A Spanish researcher found that the amount of input predicted English ability better than starting age.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

子どもはできるだけ早く英語の学習を始めるべきだと広く信じられています。移民の子どものように、毎日その言語に囲まれている子どもには、早く始めることが明らかに役立ちます。しかし、英語を主に学校の授業で学ぶ場合は状況が違います。スイスのある研究は、8歳ごろに英語を始めた子どもと13歳ごろに始めた子どもを追跡しました。

遅く始めた子どもは短期間で追いつき、長い目で見るとほとんど差はありませんでした。ドイツの大規模な研究では、1年生で始めた子どもが最初はリードしていましたが、3年生で始めた子どもが追いつき、後には読む力と聞く力で上回りました。スペインのある研究者は、開始年齢よりもインプットの量のほうが英語力をよりよく予測することを見出しました。

4択リーディングクイズ

Q1. For which children does starting early clearly help?

Q2. What happened in the German study?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • inputB2
    名詞インプット(聞く・読むで受け取る言語)More input usually means more learning. SLAの最重要語。output(話す・書く)と対。「量」と「理解できるか」の両方が大切とされる。
  • starting ageB1
    名詞(句)開始年齢Starting age is not the only factor in language learning. 研究では age of onset(AO)とも言う。onset は「始まり」。
  • longitudinal studyC1
    名詞(句)縦断研究(同じ人を長期間追跡する研究)The longitudinal study followed students for several years. longitude(経度=縦の線)と同語源。cross-sectional study(横断研究)と対で覚える。
  • immersionC1
    名詞イマージョン(言語にどっぷり浸かる環境)Immersion gives children thousands of hours of input. immerse「浸す」。be immersed in ~「~に浸っている」。
  • catch upB1
    句動詞追いつくLate starters caught up quickly. catch up with ~「~に追いつく」。keep up with ~(遅れずについていく)と区別。
  • attainmentC1
    名詞到達(度)・達成Ultimate attainment depends on many factors. attain「達成する」の名詞形。SLAでは ultimate attainment「最終到達度」が年齢研究の定番語。
  • cumulativeC1
    形容詞累積の・積み重なったCumulative study time matters more than you think. accumulate「蓄積する」と同語源。cumulative effect「累積効果」。

動画でもっと知る

「英語は早く始めるほど有利」は本当? スイスやドイツの学校で追跡した研究では、遅く始めた子が短期間〜数年で早く始めた子に追いつき、ドイツでは逆転する結果まで出たらしい。カギは開始年齢より“英語に触れた総量”だった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Muñoz (2011) Input and long-term effects of starting age in foreign language learning, IRALdoi.org
  2. Larson-Hall (2008) Weighing the benefits of studying a foreign language at a younger starting age in a minimal input situation, Second Language Researchdoi.org
  3. Pfenninger & Singleton (2017) Beyond Age Effects in Instructional L2 Learning, Multilingual Mattersdoi.org
  4. Jaekel et al. (2017) From early starters to late finishers? A longitudinal study of early foreign language learning in school, Language Learningdoi.org