脳と心理ホント

マンデラ効果とは? 大勢が「同じ記憶違い」をすることを、実験で確かめた研究がある

マンデラ効果とは? 大勢が「同じ記憶違い」をすることを、実験で確かめた研究がある

読む前に予想してみよう!

「マンデラ効果」は、パラレルワールドから記憶が流れこんでいる証拠だと科学的に考えられている

研究カード(どんな研究?)
対象
成人
規模
実験ごとに50〜100人
研究の種類
実験研究(追試あり)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

マンデラ効果は、大勢の人が同じ記憶違いをする現象。2022年の実験で、40個中7個のキャラクターやロゴで「みんな同じ間違い」が確認され、追試でも再現された。

ひとことで言うとみんなが同じ所をカンちがいして覚えている、ふしぎな現象!

もくじ
  1. 「ピカチュウのしっぽ」で試してみた
  2. 見た回数のせいではなかった
  3. 犯人候補は「ありがちな型」
  4. どんでん返し:追試でも再現された
  5. まとめ

マンデラ効果とは、「大勢の人が、同じものを、同じように記憶違いしている」現象のことです。名前の由来は、南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領。実際は2013年に亡くなったのに、「1980年代に獄中で亡くなったはず」と覚えている人が大勢いた、という話がネットで広まったのがきっかけです。

「パラレルワールドから記憶が混ざった」なんて説まで飛び出しましたが、心理学者はもっと地に足のついた方法で、この現象を本当に実験で確かめました。

01「ピカチュウのしっぽ」で試してみた

あなたはいくつ当たりましたか? ここで大事なのは、ランダムな記憶違いではなく、みんなが「同じ方向」にまちがえるという点です。

02見た回数のせいではなかった

「本物をちゃんと見ていなかったからでは?」と考えたくなります。ところが研究チームが調べると、目の動きのように画像のどこを見ているかや、ネット上で目にする画像の種類には、記憶違いを説明できるほどの差がありませんでした。

多くの人は本物の画像ばかり見ているのに、同じ偽物を覚えている。ここが、マンデラ効果のいちばん不思議なところです。

脳は「ありがちな形」で記憶をこっそり補っている?
脳は「ありがちな形」で記憶をこっそり補っている?

03犯人候補は「ありがちな型」

よく挙げられる説明の一つが、スキーマ(頭の中の「ありがちな型」)です。

「お金持ちのおじさん紳士なら片めがね」「黄色い動物キャラのしっぽの先は黒い」――こうしたありそうなイメージに合わせて、脳が記憶のすき間を埋めてしまうのです。

似た現象は、1995年の有名な実験でも示されています。「ベッド・休む・夢・いびき……」と、眠りに関係する単語を聞かせると、リストになかった「眠る」という単語を「聞いた」と思い出す人がたくさんいました。脳は、意味のつながりから「あったはずのもの」を作り出すのです。

04どんでん返し:追試でも再現された

心理学では、有名な実験が追試で再現されないことがよくあります。でもこの研究は、2024年に別の研究者が同じ方法で追試したところ、同じ7つの画像で同じ記憶違いが再現されたと報告されています(論文の査読前の公開原稿)。

さらに、この研究で確かめられたことではありませんが、人と話すうちに記憶が似てくる現象は心理学でも研究されていて、ネットで話題になること自体が、記憶違いを広げている可能性もあります。

ただし、「なぜその7つなのか」は、まだはっきりわかっていません。スキーマ説も有力な候補の一つにすぎず、研究は続いています。

05まとめ

マンデラ効果は、パラレルワールドの証拠ではありません。私たちの記憶が「録画」ではなく、つくり直される「再構成」であることを示す一例だと考えられています。

自信満々な記憶ほど、ちょっと疑ってみる。それが、まちがった情報に流されないための、いちばんシンプルな科学的態度です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Mandela effect is named after Nelson Mandela. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Mandela effect is named after Nelson Mandela. Many people believed that he had died in prison in the 1980s, but in fact he died in 2013. In 2022, two psychologists at the University of Chicago tested this kind of shared false memory. They showed 100 adults 40 famous characters and logos, each with the real version and two slightly changed versions. For 7 of the 40 images, many people chose the same wrong version, and confidence in these images stayed high.

For example, many believed that the Monopoly man wears a monocle, although he does not. The researchers found that these errors could not be explained by where people looked or by which images they usually saw online.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

マンデラ効果は、ネルソン・マンデラにちなんで名づけられました。多くの人が、彼は1980年代に獄中で亡くなったと信じていましたが、実際には2013年に亡くなりました。2022年、シカゴ大学の2人の心理学者が、この種の「共有された偽りの記憶」を調べました。彼らは100人の大人に、有名なキャラクターやロゴ40個を、それぞれ本物と少しだけ変えた2つのバージョンとともに見せました。40個のうち7個では、多くの人が同じまちがったバージョンを選び、しかもこれらの画像への自信は高いままでした。

たとえば、多くの人がモノポリーのおじさんは片めがねをかけていると思っていましたが、実際にはかけていません。研究者たちは、こうしたまちがいは、人々が画像のどこを見ていたかや、ふだんネットでどんな画像を見ているかでは説明できないことを見つけました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the participants do in the study?

Q3. What does the result about confidence suggest?

重要単語

  • false memoryB2
    名詞(句)偽りの記憶A false memory can feel completely real. false は「誤った」。心理学の重要テーマで、目撃証言の信頼性の話と一緒に長文で出やすい。
  • misrememberC1
    動詞覚えまちがえるMany people misremember the logo. mis-(誤って)+remember。misunderstand, mislead と同じ mis- の仲間。
  • schemaC1
    名詞スキーマ(頭の中の「ありがちな型」)Our schemas fill in missing details. 複数形は schemas または schemata。「レストランではまず席に案内される」のような知識の枠組み。
  • confidentB1
    形容詞自信のあるShe was confident, but she was wrong. be confident of/about ~「~に自信がある」。名詞 confidence。confidential(機密の)と混同しないこと。
  • replicateC1
    動詞(実験を)再現するThe new study replicated the original result. 名詞 replication「追試」。心理学の「再現性の危機(replication crisis)」は入試長文の定番テーマ。
  • plausibleC1
    形容詞もっともらしい・妥当なThe schema idea is a plausible explanation. a plausible explanation の形で頻出。反対語は implausible「ありそうにない」。

4コマでわかる

マンデラ効果とは? 大勢が「同じ記憶違い」をすることを、実験で確かめた研究があるの4コマ漫画
ピカチュウのしっぽの先は黒くない。モノポリーのおじさんは片めがねをしてない。「え、マジか!?」となったらそれがマンデラ効果。2022年の実験で、大勢が“同じ記憶違い”をすることが確かめられ、追試でも再現されたらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Prasad & Bainbridge (2022) The Visual Mandela Effect as Evidence for Shared and Specific False Memories Across People, Psychological Sciencedoi.org
  2. Handley-Miner & Metskas (2024) Replication of a study from "The Visual Mandela Effect…", PsyArXivdoi.org
  3. Roediger & McDermott (1995) Creating false memories: Remembering words not presented in lists, Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognitiondoi.org