テクノロジー・未来

ドローン宅配、実はもう約10年前から「血液」を空輸していた。日本ではどこまで飛べる?

ドローン宅配、実はもう約10年前から「血液」を空輸していた。日本ではどこまで飛べる?

読む前に予想してみよう!

日本では、人がいる地域の上をドローンが目視外で飛ぶことは一切禁止されている

研究カード(どんな研究?)
対象
ルワンダの医療施設20か所
規模
血液製剤の配送1万2733件
研究の種類
後ろ向き横断研究・時系列分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ルワンダでは2016年からドローンが輸血用の血液を病院へ運ぶ。日本も2022年にレベル4飛行が解禁。ただ天候・重さ・コストの壁は大きい。

ひとことで言うとドローン配達はもう現実。ただし「どこでも何でも」はまだムリ!

もくじ
  1. 道路が苦手な場所ほど、空が強い
  2. 日本は「レベル4」解禁で新しい段階へ
  3. 「玄関まで何でも届く」はまだ先
  4. まとめ

「ドローンで荷物が届く未来」と聞くと、まだSFの世界だと思うかもしれません。

でも実は、アフリカのある国では、約10年前からドローンが毎日のように命を運んでいます。届けているのは、ピザでもスマホでもなく――輸血用の血液です。

ドローン配送は、いまどこまで現実になっていて、何がまだ難しいのでしょうか。

01道路が苦手な場所ほど、空が強い

アフリカのルワンダは「千の丘の国」と呼ばれるほど山が多く、雨の季節には道路が通りにくくなることもあります。輸血用の血液は長く保存しにくいため、地方の病院では「必要なときに手元にない」ことが大きな問題でした。

そこで2016年、米国の企業がルワンダ政府と協力し、固定翼型(飛行機型)のドローンで血液を病院に届けるサービスを始めました。ドローンは病院の上空で荷物をパラシュートで落とし、着陸せずに基地に戻っていきます。

着陸せず、パラシュートで荷物を落として帰る配送スタイル。
着陸せず、パラシュートで荷物を落として帰る配送スタイル。

02日本は「レベル4」解禁で新しい段階へ

日本のドローンのルールには、飛び方に応じた「レベル」があります。

2022年12月の制度改正で、国の認証を受けた機体と、国家資格を持つ操縦者などの条件を満たせば、レベル4飛行が可能になりました。2023年3月には、東京都奥多摩町で郵便物を運ぶ、国内初のレベル4飛行も行われました。

現在は、山間部や離島など、トラックや船だと時間がかかる場所での配送実験・サービスが中心です。

03「玄関まで何でも届く」はまだ先

ドローン配送の主な壁は、こんなところです。

  • 天気:強い風・雨・雪に弱く、毎日確実に飛べるとは限らない
  • 重さ:運べる荷物は軽いものが中心。重くなるほどバッテリーがもたない
  • 受け取り方:どこに降ろす? 誰が受け取る? 盗難は?
  • コスト:機体・保険・操縦者・管理の費用を、配送料でまかなえるか
  • 環境:小型ドローンで軽い荷物を運ぶならトラックより省エネになりうる一方、倉庫を増やす必要があると効果が薄れる、という試算もある(Stolaroff ら, 2018)

04まとめ

ドローン配送は、医療品や山間部への配送のように「道路が苦手な場所」から、すでに現実になっています。日本でもレベル4が解禁され、新しい段階に入りました。

ただし「どこでも・何でも・いつでも」はまだ先。空の宅配便は、本当に困っている場所から少しずつ広がっていくのかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDrone delivery is not just a dream for the future. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Drone delivery is not just a dream for the future. In Rwanda, a hilly country where roads can be hard to travel in the rainy season, an American company began using airplane-shaped drones to deliver blood to hospitals in 2016. The drones drop packages by parachute without landing.

A 2022 study of 20 health facilities found that emergency deliveries took about 50 minutes on average, about 79 minutes faster than the estimated time by road. Blood wasted because it had expired also fell by about 67% after a year. In Japan, rules changed in December 2022 to allow "Level 4" flights, in which drones fly beyond the pilot's sight over populated areas. However, weather, weight limits and cost still make everyday delivery difficult.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ドローン配送は、単なる未来の夢ではありません。雨の季節には道路が通りにくくなることもある丘の多い国ルワンダでは、2016年にアメリカの企業が飛行機型のドローンを使って病院に血液を届け始めました。ドローンは着陸せずに、パラシュートで荷物を落とします。

20の医療施設を対象にした2022年の研究では、緊急の配送は平均約50分で、道路で運ぶ場合の推定時間より約79分速かったことがわかりました。期限切れで捨てられる血液も、1年後には約67%減りました。日本では、2022年12月にルールが変わり、ドローンが人のいる地域の上を操縦者の目の届かない所まで飛ぶ「レベル4」飛行が認められました。しかし、天候、重量制限、費用のために、日常的な配送はまだ難しいのです。

4択リーディングクイズ

Q1. How much faster were emergency drone deliveries than the estimated time by road?

Q2. What is a "Level 4" flight in Japan?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • droneB1
    名詞ドローン(無人航空機)A drone dropped the package by parachute. もとは「雄バチ」「ブーンという音」。正式には unmanned aerial vehicle(UAV)。
  • beyond visual line of sightC1
    句目視外(操縦者から見えない範囲)Level 4 allows flights beyond visual line of sight over towns. 略して BVLOS。line of sight は「視線・見通し線」。beyond は「~の向こうに・~を超えて」。
  • remoteB1
    形容詞遠く離れた、へき地のDrones help remote clinics get supplies quickly. remote control(リモコン)、remote work(在宅勤務)でもおなじみ。remote area「へき地」。
  • wastageC1
    名詞無駄、廃棄量Blood wastage fell after drone delivery began. waste(無駄)+-age。量としての「損失」を表す硬い語。
  • payloadC1
    名詞積載物、運べる荷物の重さSmall drones can carry only a light payload. pay(運賃を払う)+load(荷)=「運賃を生む荷物」。ロケットの搭載物にも使う。
  • logisticsC1
    名詞物流、段取りDrones are changing medical logistics. もとは軍事用語の「兵站(へいたん)」。ビジネス英語の頻出語。
  • terrainC1
    名詞地形、土地The mountainous terrain makes travel by road difficult. terra(大地)= territory, Mediterranean と同語源。mountainous / rough terrain の形でよく出る。

動画でもっと知る

「ドローン宅配はまだ未来の話」と思ったら、アフリカのルワンダでは2016年からドローンが病院に輸血用の血液を届けていたらしい。日本も2022年に“人のいる街の上”を見えない所まで飛ぶ飛行が解禁された。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Nisingizwe et al. (2022) Effect of unmanned aerial vehicle (drone) delivery on blood product delivery time and wastage in Rwanda, The Lancet Global Healthdoi.org
  2. Stolaroff et al. (2018) Energy use and life cycle greenhouse gas emissions of drones for commercial package delivery, Nature Communicationsdoi.org
  3. Aurambout, Gkoumas & Ciuffo (2019) Last mile delivery by drones: an estimation of viable market potential and access to citizens across European cities, European Transport Research Reviewdoi.org
  4. 国土交通省: 無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールmlit.go.jp