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ゲーム機を買ってあげたら成績は下がる? 「くじ引き実験」と19万人データの答えがちがった

ゲーム機を買ってあげたら成績は下がる? 「くじ引き実験」と19万人データの答えがちがった

読む前に予想してみよう!

ゲームをする子は、しない子よりも必ず学力が低い

研究カード(どんな研究?)
対象
6〜9歳の男の子(米国)/15歳(22か国)
規模
64人のRCT+約19万人の調査
研究の種類
ランダム化比較試験・大規模横断調査
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ゲーム機をすぐもらった男の子は4か月後に読み書きの成績が低下。でも19万人のデータではゲーム頻度と学力の差はごくわずか。カギは「何の時間を削るか」。

ひとことで言うとゲームそのものより、「宿題や読書の時間を食べちゃう」のが問題かも。

もくじ
  1. ゲーム機をプレゼントする「くじ引き実験」
  2. ところが19万人のデータでは「ほぼ差なし」
  3. 2つの結果をつなぐカギ:「何の時間を削ったか」
  4. まとめ

「ゲームばっかりしてると、頭が悪くなるよ!」。多くの家庭で一度は飛び交ったことのあるセリフです。

では実際、ゲームは成績を下げるのでしょうか。調べてみると、小さなくじ引き実験と19万人の国際データで、ちょっとちがう答えが出ていました。そして、その「ちがい」こそが一番のヒントになります。

01ゲーム機をプレゼントする「くじ引き実験」

これは「ゲーム機の有無」をくじ引きで決めた、因果関係に迫れる実験です。ゲームが成績に影響しうる、という結果はかなり重みがあります。

02ところが19万人のデータでは「ほぼ差なし」

一方、ニュージーランドとオーストラリアの研究者DrummondさんとSauerさんは2014年、国際学力調査PISA 2009の22か国・約19万2000人の15歳のデータを分析しました。

結果、ゲームをする頻度によって、理科・数学・読解の成績の差はごくわずかでした。論文のタイトルは、ずばり「ゲームは10代の学力に悪影響を与えない」です。

さらにアメリカの約1万人の子どものデータを使った2022年のSauceさんらの研究では、遺伝的な傾向や家庭の経済状況を考慮しても、ゲームの時間が長い子の方が、2年後の知能テストの伸びがやや大きいという結果まで出ています。

天秤を動かしているのは「ゲーム」より「時間の配分」?
天秤を動かしているのは「ゲーム」より「時間の配分」?

032つの結果をつなぐカギ:「何の時間を削ったか」

この矛盾をとくカギは、くじ引き実験の中にありました。ゲーム機をもらった男の子は、放課後の勉強的な活動の時間が減っていたのです。

つまり、問題はゲームそのものより、ゲームが読書や宿題の時間を「押しのける」ことなのかもしれません。とくに、読み書きを覚えている最中の低学年では、その影響が出やすい可能性があります。

Drummondさんらは2020年、PISAのデータを使ってこの点をさらに調べ、平日の「登校前」にゲームをする生徒は成績がやや低い一方、放課後のゲームではそうした関係がほとんど見られないことを報告しています。ただし著者らは、既存の理論ではこの結果をうまく説明できないとして、ゲームそのものではなく別の要因(第三の変数)が背景にある可能性が高いと考えています。

04まとめ

ゲーム機をすぐにもらった男の子は、読み書きの成績が下がった。でも大規模データでは、ゲームの頻度と学力の差はごくわずかでした。

ポイントは「ゲームをするかしないか」ではなく、ゲームが何の時間を削っているか。宿題と読書と睡眠を守れているなら、ゲームを必要以上に悪者にしなくてもよさそうです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany parents worry that video games will hurt their children's grades. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many parents worry that video games will hurt their children's grades. In a 2010 study, researchers promised game consoles to boys aged 6 to 9 who did not have one. By lottery, half received a console immediately and half four months later. After four months, the first group spent more time playing and less time on academic activities after school, and they had lower reading and writing scores.

However, an analysis of about 192,000 fifteen-year-olds in 22 countries found that how often teenagers played games made only a tiny difference to their science, math and reading scores. The key may be what games replace. Playing before school on weekdays was linked to slightly lower scores, but playing after school was not.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの親は、テレビゲームが子どもの成績を下げるのではないかと心配しています。2010年の研究で、研究者たちは、ゲーム機を持っていない6〜9歳の男の子たちにゲーム機をあげると約束しました。くじ引きで、半分はすぐに、半分は4か月後にゲーム機を受け取りました。4か月後、先にもらったグループは、放課後にゲームをする時間が長く、勉強的な活動の時間が短くなっており、読み書きの点数が低くなっていました。

しかし、22か国の15歳約19万2000人の分析では、10代がゲームをする頻度は、理科・数学・読解の点数にごくわずかな差しか生んでいませんでした。カギは、ゲームが何の代わりになっているかなのかもしれません。平日の登校前にゲームをすることはわずかに低い点数と結びついていましたが、放課後のゲームはそうではありませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. How were the boys divided into two groups?

Q2. What did the study of 22 countries find?

Q3. What does "what games replace" suggest?

重要単語

  • consoleB2
    名詞ゲーム機He got a new game console for his birthday. 名詞のアクセントは前(CON-sole)。動詞 console(慰める)はアクセントが後ろで別語。
  • displaceC1
    動詞押しのける・取って代わるGames may displace time for reading. dis-(離れて)+place(置く)。名詞 displacement。「(人を)避難させる」の意味でも使う。
  • negligibleC1
    形容詞ごくわずかなThe difference in scores was negligible. neglect(無視する)+-ible。「無視できるほど小さい」。研究の結果説明で頻出。
  • screen timeB1
    名詞(句)画面を見る時間Parents often worry about screen time. スマホ・テレビ・ゲームなど画面を見ている時間の総称。近年の入試長文で頻出。
  • weekdayA2
    名詞平日Playing games before school on weekdays was linked to lower scores. on weekdays「平日に」。反対は weekend(週末)。
  • confoundingC1
    形容詞交絡する(見せかけの関係を生む)Family income can be a confounding factor. confound は「混乱させる」。confounding factor(交絡因子)は観察研究の限界を語るときの必須語。
ゲーム機を持っていない男の子に、くじ引きでゲーム機をあげたら4か月後に読み書きの成績が下がったらしい。でも22か国19万人のデータでは、ゲームの頻度と学力の差はごくわずか。問題は「ゲーム」より「削られる時間」?

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Weis & Cerankosky (2010) Effects of Video-Game Ownership on Young Boys' Academic and Behavioral Functioning: A Randomized, Controlled Study, Psychological Sciencedoi.org
  2. Drummond & Sauer (2014) Video-Games Do Not Negatively Impact Adolescent Academic Performance in Science, Mathematics or Reading, PLOS ONEdoi.org
  3. Drummond & Sauer (2020) Timesplitters: Playing video games before (but not after) school on weekdays is associated with poorer adolescent academic performance, Computers & Educationdoi.org
  4. Sauce et al. (2022) The impact of digital media on children's intelligence while controlling for genetic differences in cognition and socioeconomic background, Scientific Reportsdoi.org