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「朝ごはんを食べる子は成績がいい」は本当? 36研究のレビューが教える"相関の落とし穴"

「朝ごはんを食べる子は成績がいい」は本当? 36研究のレビューが教える"相関の落とし穴"

読む前に予想してみよう!

朝ごはんを食べる子ほど成績が良いのは、朝ごはんが脳に効くから「だけ」である

研究カード(どんな研究?)
対象
子ども・10代
規模
36研究(+ウェールズ約3,000人の調査)
研究の種類
系統的レビュー・観察研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

朝ごはんを食べる子ほど成績が良い傾向は多くの研究で見られ、授業中の集中にもプラス。でも家庭環境などの影響も大きく、「食べれば成績アップ」とは言い切れない。

ひとことで言うと朝ごはんは集中の味方。でも「食べたら成績アップ」は言いすぎかも。

もくじ
  1. 36の研究をまとめたら
  2. イギリス・ウェールズの3,000人調査
  3. 「相関」と「因果」のちがい
  4. どんでん返し:くじ引き実験はまだ少ない
  5. まとめ

「朝ごはんを食べないと、頭が働かないよ!」。毎朝のように言われている人も多いでしょう。日本の全国学力・学習状況調査でも、朝食を毎日食べている子ほど平均正答率が高いという結果が毎年のように報告されています。

では、朝ごはんを食べれば成績は上がるのでしょうか。研究をていねいに見ていくと、「半分ホント、半分は相関の落とし穴」という答えが見えてきます。

0136の研究をまとめたら

02イギリス・ウェールズの3,000人調査

2016年、イギリス・カーディフ大学のLittlecottさんらは、ウェールズの9〜11歳(現地の学年で5〜6年生)の子ども約3,000人の朝ごはんの習慣と、6〜18か月後の全国テストの結果を照らし合わせました。

すると、朝ごはんを食べていた子は、全国テストで良い成績をとるオッズが約2倍でした。この関係は、性別や家庭の経済状況(給食費の補助を受けているか)を考慮しても残りました。さらに、果物や乳製品などの健康的な朝食メニューほど、成績との関係がプラスでした。

一方で、甘いお菓子やスナック菓子などの不健康なメニューの数は、成績と関係していませんでした。

朝ごはんと成績の両方に「生活リズム」が影響しているかもしれない
朝ごはんと成績の両方に「生活リズム」が影響しているかもしれない

03「相関」と「因果」のちがい

ここで大事なのが、相関と因果のちがいです。朝ごはんを毎日食べる子の家庭は、

  • 毎朝、時間に余裕を持って起きている(睡眠がしっかりとれている)
  • 生活リズムが規則正しい
  • 経済的にもある程度安定している

といった特徴を持っていることが多いと考えられます。これらは、朝ごはんとは別に、成績にも良い影響を与えうるものです。つまり、「朝ごはん→成績アップ」という一本の矢印だけでなく、生活全体の違いが両方に影響しているかもしれないのです。

04どんでん返し:くじ引き実験はまだ少ない

実際に、子どもをくじ引きで「朝ごはんを食べるグループ」と「食べないグループ」に分けて、何か月にもわたって成績を比べた実験は、ほとんどありません。

朝ごはんの「中身」と脳の働きを調べたAdolphusさんらの2016年のレビューでも、朝食が記憶や注意にプラスになる短期的な効果は示唆されたものの、朝食の中身の違いや長期的な効果については研究が少なく結果もばらついていると結論づけています。

05まとめ

朝ごはんを食べる子ほど成績が良い傾向は、多くの研究で確かめられています。授業中の集中にもプラスのようです。ただし、その差には睡眠や生活リズム、家庭環境なども混ざっていて、「食べれば必ず成績が上がる」とまでは言えません。

朝ごはんは、成績を上げる魔法ではなく、元気な1日のスタートを切るための土台。ムリなく続けられる形で、取り入れてみましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn Japan's national achievement survey, students who eat breakfast every day tend to score higher. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In Japan's national achievement survey, students who eat breakfast every day tend to score higher. But does breakfast really raise grades? In 2013, researchers at the University of Leeds reviewed 36 studies on breakfast, classroom behavior and school performance. They found that breakfast generally helped children stay on task in class, and that children who ate breakfast more often usually had better grades.

However, they warned that part of this link could be explained by other factors, such as family income. In Wales, a study of about 3,000 children aged 9 to 11 found that those who ate breakfast had about twice the odds of getting good test results. Healthy foods like fruit and dairy showed a positive link.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本の全国学力調査では、毎日朝ごはんを食べる生徒ほど点数が高い傾向があります。でも、朝ごはんは本当に成績を上げるのでしょうか。2013年、リーズ大学の研究者たちは、朝ごはん、授業中の行動、学業成績に関する36の研究を見直しました。その結果、朝ごはんはおおむね子どもが授業中に課題に集中するのを助けており、朝ごはんを食べる頻度が高い子どもほど、たいてい成績が良いことがわかりました。

しかし彼らは、この関係の一部は家庭の収入などのほかの要因で説明できるかもしれないと注意しました。ウェールズでは、9〜11歳の子ども約3,000人を対象にした研究で、朝ごはんを食べた子どもは、テストで良い結果を出すオッズが約2倍であることがわかりました。果物や乳製品のような健康的な食べ物も、成績とプラスの関係を示しました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 2013 review find about breakfast?

Q2. In the Welsh study, how high were the odds of good results for breakfast eaters?

Q3. Why did the researchers give a warning?

重要単語

  • breakfastA1
    名詞朝食I never skip breakfast before a test. break(破る)+fast(断食)=「夜の断食を破る食事」。skip breakfast「朝食を抜く」。
  • habitualC1
    形容詞習慣的なHabitual breakfast eating was linked to better grades. habit(習慣)の形容詞形。habitually(習慣的に)。
  • on-task behaviorC1
    名詞(句)課題に集中した行動Breakfast helped on-task behavior in class. on task は「課題に取り組んでいる」。反対は off-task(課題から外れた)。
  • confounderC1
    名詞交絡因子Family income is a possible confounder. 原因と結果の両方に影響して、見せかけの関係を作る第3の要因。confounding factor とも言う。
  • undernourishedC1
    形容詞栄養不足のThe effect was clearer in undernourished children. under-(不足)+nourish(栄養を与える)。名詞 nourishment(栄養)、malnutrition(栄養失調)も関連語。
  • causationC1
    名詞因果関係Correlation does not prove causation. cause(原因・引き起こす)の名詞形。correlation(相関)と対で入試長文に頻出。
「朝ごはんを食べる子は成績がいい」。36の研究を調べたレビューでは、たしかに朝食をよく食べる子ほど成績が良い傾向。授業中の集中にもプラスだった。でも研究者たちは「家庭環境などの影響も混ざっている」と注意していた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Adolphus, Lawton & Dye (2013) The effects of breakfast on behavior and academic performance in children and adolescents, Frontiers in Human Neurosciencedoi.org
  2. Adolphus et al. (2016) The Effects of Breakfast and Breakfast Composition on Cognition in Children and Adolescents: A Systematic Review, Advances in Nutritiondoi.org
  3. Littlecott et al. (2016) Association between breakfast consumption and educational outcomes in 9–11-year-old children, Public Health Nutritiondoi.org