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宇宙誕生から3億年の銀河が見えた。ウェッブ望遠鏡が見つけた“想定外”たち

宇宙誕生から3億年の銀河が見えた。ウェッブ望遠鏡が見つけた“想定外”たち

読む前に予想してみよう!

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、地球のまわりを回っている

研究カード(どんな研究?)
対象
初期宇宙の銀河・系外惑星WASP-39b
規模
個別天体〜6個の重い銀河候補
研究の種類
宇宙望遠鏡による観測(分光・撮像)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

ウェッブ望遠鏡は宇宙誕生から約3億年後の銀河をとらえ、遠い惑星の大気から二酸化炭素も検出。予想より明るく育った初期銀河の謎も生まれた。

ひとことで言うとすごい望遠鏡が、宇宙のあかちゃん時代の銀河を見つけたよ!

もくじ
  1. そもそも何がすごい望遠鏡なの?
  2. 発見①:宇宙誕生から約3億年後の銀河
  3. 発見②:「育ちすぎた赤ちゃん銀河」という謎
  4. 発見③:遠い惑星の「空気」を読む
  5. まとめ

2021年のクリスマス。南米フランス領ギアナから、人類史上最大級の宇宙望遠鏡が打ち上げられました。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)です。

それから数年。ウェッブ望遠鏡は、教科書を書き換えるような発見を次々と届けています。しかもその中には、研究者たち自身が「想定外!」と頭を抱える発見まで含まれていました。

01そもそも何がすごい望遠鏡なの?

ウェッブ望遠鏡の主な特徴は、こんな感じです。

  • 鏡の直径は約6.5m。18枚の六角形の鏡を組み合わせた、ハチの巣のような形
  • 主に赤外線(目に見えない、熱の光)で宇宙を見る
  • 地球から約150万km離れた場所で、テニスコートほどの大きな日よけを広げて、太陽や地球の熱をさえぎっている

なぜ赤外線なのか? それは、遠い宇宙ほど、光が赤外線になって届くからです。宇宙は膨張しているので、遠くから届く光ほど波長が引きのばされ、目に見えない赤外線へと変わっていきます。だから「宇宙の昔」を見るには、赤外線の目が必要なのです。

宇宙が膨張しているため、遠くの光ほど波長がのびて赤外線になる
宇宙が膨張しているため、遠くの光ほど波長がのびて赤外線になる

02発見①:宇宙誕生から約3億年後の銀河

ウェッブ望遠鏡の大きな目標のひとつは、宇宙で最初のころに生まれた銀河を見ることでした。

その後も、さらに遠い銀河の候補が次々と報告されていて、「最遠記録」は塗り替えられ続けています(執筆時点)。

宇宙の年齢は約138億年。そのほんの2%ほどの時期に、すでに明るく輝く銀河があったことになります。

03発見②:「育ちすぎた赤ちゃん銀河」という謎

ウェッブ望遠鏡は、初期の宇宙に予想よりも明るく、重そうな銀河がたくさんあることも明らかにしました。

2023年、ラベらのチームは学術誌『Nature』で、宇宙誕生から約5億〜7億年の時期に、重い銀河の候補が見つかったと報告。「こんなに早く、こんなに大きく育てるはずがない」と、大きな議論を呼びました。

その後の研究で、見積もりが修正された銀河もあり、議論はいまも続いています。でも、これこそ科学のおもしろいところ。予想が外れたときこそ、新しい発見のチャンスなのです。

04発見③:遠い惑星の「空気」を読む

ウェッブ望遠鏡は、太陽系の外にある惑星(系外惑星)の大気も調べています。

惑星が恒星の前を横切るとき、恒星の光が惑星の大気を通り抜けます。その光を分析すると、大気にどんな成分があるかが分かるのです。

2022年、国際チームは学術誌『Nature』で、約700光年離れた巨大ガス惑星WASP-39bの大気から、二酸化炭素をはっきりと検出したと報告しました。系外惑星の大気で二酸化炭素が明確に見つかったのは、これが初めてです。

05まとめ

  • ウェッブ望遠鏡は赤外線で、宇宙の昔の姿を見ている
  • 宇宙誕生から約3億年後の銀河や、育ちすぎた初期銀河の謎を発見
  • 系外惑星の大気から二酸化炭素を検出し、「惑星の空気を読む」時代に

ウェッブ望遠鏡は、答えだけでなく新しい謎も運んできました。宇宙の教科書は、いまこの瞬間も書き換えられている途中なのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerLaunched on Christmas Day 2021, the James Webb Space Telescope has a mirror about 6.5 meters wide, made of… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Launched on Christmas Day 2021, the James Webb Space Telescope has a mirror about 6.5 meters wide, made of 18 hexagonal pieces. It works about 1.5 million kilometers from Earth, behind a sunshield the size of a tennis court. Webb mainly observes infrared light because the universe is expanding, so light from distant galaxies is stretched into infrared by the time it reaches us.

In 2024, a team confirmed that a galaxy called JADES-GS-z14-0 existed only about 300 million years after the universe began. At the time, it was the most distant galaxy ever confirmed. Webb also studies the air of planets around other stars. In 2022, scientists clearly detected carbon dioxide in the atmosphere of WASP-39b, a gas giant about 700 light-years away.

124 words ・ CEFR B1

和訳を見る

2021年のクリスマスに打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、18枚の六角形の鏡を組み合わせた直径約6.5mの鏡をもっています。地球から約150万km離れた場所で、テニスコートほどの大きさの日よけの陰で観測しています。ウェッブが主に赤外線で観測するのは、宇宙が膨張しているため、遠い銀河からの光が私たちに届くころには赤外線へと引きのばされているからです。

2024年、あるチームが、JADES-GS-z14-0という銀河が宇宙誕生からわずか約3億年後に存在していたことを確認しました。当時、それは確認された中で最も遠い銀河でした。ウェッブはほかの恒星を回る惑星の大気も調べています。2022年、科学者たちは約700光年離れた巨大ガス惑星WASP-39bの大気から、二酸化炭素をはっきりと検出しました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why does Webb mainly observe infrared light?

Q2. What was special about JADES-GS-z14-0 when it was confirmed?

Q3. What can we infer about Webb's work?

重要単語

  • infraredB2
    名詞・形容詞赤外線(の)Webb observes the universe in infrared light. infra-(~の下)+red。可視光の赤より波長が長い(エネルギーが低い)光。反対側は ultraviolet(紫外線)。
  • redshiftC1
    名詞赤方偏移A high redshift means the galaxy is very far away. 光の波長が引きのばされて赤い側にずれること。記事中の「z14」の z は赤方偏移の大きさを表す記号。
  • spectroscopyC1
    名詞分光(観測)Spectroscopy reveals what a planet's air is made of. spectrum(スペクトル)+-scopy(観察)。telescope, microscope の scope と同じ「見る」。
  • exoplanetC1
    名詞系外惑星WASP-39b is a hot gas giant exoplanet. exo-(外の)+planet。太陽系の外にある惑星。exotic(異国風の)の exo と同じ。
  • atmosphereB1
    名詞大気・雰囲気Carbon dioxide was found in the planet's atmosphere. atmo-(蒸気)+sphere(球)。「雰囲気」の意味でも頻出(a friendly atmosphere)。
  • segmentedC1
    形容詞分割された・区分けされたWebb has a segmented mirror made of 18 pieces. segment(部分・区分)から。マーケティングの「セグメント」と同じ語。
  • misleadingB2
    形容詞誤解を招くDistances measured from images alone can be misleading. mis-(誤って)+lead(導く)。mislead - misled - misled と活用。データの解釈を論じる英文で頻出。

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4コマでわかる

宇宙誕生から3億年の銀河が見えた。ウェッブ望遠鏡が見つけた“想定外”たちの4コマ漫画
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、宇宙誕生からわずか約3億年後の銀河をとらえた。さらに太陽系の外の惑星の空気から二酸化炭素まで検出。「初期の宇宙にこんなに育った銀河がいるはずない」という新たな謎も生まれているらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Carniani et al. (2024) Spectroscopic confirmation of two luminous galaxies at a redshift of 14, Naturedoi.org
  2. Labbé et al. (2023) A population of red candidate massive galaxies ~600 Myr after the Big Bang, Naturedoi.org
  3. JWST Transiting Exoplanet Community Early Release Science Team (2023) Identification of carbon dioxide in an exoplanet atmosphere, Naturedoi.org
  4. NASA (2022) NASA's Webb Detects Carbon Dioxide in Exoplanet Atmosphere, NASA Sciencescience.nasa.gov