宇宙・NASAホント

宇宙の年齢「138億歳」はどうやって測った?出生届のない宇宙の年齢当て

宇宙の年齢「138億歳」はどうやって測った?出生届のない宇宙の年齢当て

読む前に予想してみよう!

宇宙の年齢は、いちばん古い星の年齢より若いと計算されている

研究カード(どんな研究?)
対象
宇宙全体
規模
全天の宇宙背景放射の観測
研究の種類
観測と宇宙論モデルの組み合わせ
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

宇宙の年齢約138億年は、宇宙の膨張の速さと中身を、ビッグバンの「残り光」から精密に測って計算した値。古い星の年齢とも矛盾しない。

ひとことで言うと宇宙のふくらむ速さを逆回しして、年れいを計算した!

もくじ
  1. 宇宙は「ふくらんでいる」
  2. 年齢を決める2つの材料
  3. カギは「ビッグバンの残り光」
  4. 古い星との「年齢チェック」
  5. でも、まだ謎が残っている
  6. 宇宙の「年齢」と「大きさ」は別もの
  7. まとめ

人の年齢は、出生届を見れば分かります。木の年齢は、年輪を数えれば分かります。では、宇宙の年齢は?

教科書には「約138億年」と書いてあります。でも、宇宙には出生届も年輪もありません。いったいどうやって、こんな数字を出したのでしょう。

01宇宙は「ふくらんでいる」

1929年、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルさんは、遠くの銀河ほど速いスピードで私たちから遠ざかっていることを報告しました。これは、宇宙そのものが膨張していることを示していました。

膨張しているなら、時間を逆回しすれば、昔の宇宙はもっと小さかったはず。どんどんさかのぼると、すべてが一点に集まっていた時期にたどり着きます。それがビッグバンです。

膨張を逆回しすれば、宇宙の「はじまり」が見えてくる
膨張を逆回しすれば、宇宙の「はじまり」が見えてくる

02年齢を決める2つの材料

逆回しで年齢を計算するには、2つのことを知る必要があります。

  1. 今、宇宙がどれくらいの速さで膨張しているか(ハッブル定数)
  2. 宇宙が何でできているか(ふつうの物質、暗黒物質、暗黒エネルギーの割合)

中身が分かると、膨張がこれまでにどう速くなったり遅くなったりしてきたかが計算できます。車の今のスピードと、アクセルやブレーキの踏み方が分かれば、出発してからの時間を逆算できるのと似ています。

03カギは「ビッグバンの残り光」

04古い星との「年齢チェック」

もう一つの確かめ方が、いちばん古い星の年齢です。銀河のまわりにある球状星団の星などは、約120〜130億歳と推定されています。

宇宙より年上の星があったら困りますが、計算は矛盾していません。まったく別の方法で出した数字がかみ合うことが、138億年という答えの信頼性を高めています。

05でも、まだ謎が残っている

じつは、膨張の速さ(ハッブル定数)には大きな謎があります。

  • ビッグバンの残り光から計算すると:1メガパーセクあたり毎秒約67〜68km
  • 近くの銀河の星や超新星で直接測ると:毎秒約70〜76km

NASAはこのズレを「ハッブル・テンション(ハッブルの緊張)」と呼んでいます。原因はまだ決着しておらず、測定の誤差なのか、宇宙の理解に足りない部分があるのかを、多くの研究者が調べています。

06宇宙の「年齢」と「大きさ」は別もの

宇宙の年齢が138億年だからといって、見える宇宙の果てが138億光年先というわけではありません。光が旅している間にも宇宙は膨張し続けているため、いちばん遠い場所は今、約460億光年先にあると計算されています。

07まとめ

宇宙の年齢は、膨張を逆回しする計算と、ビッグバンの残り光の精密観測、そして古い星の年齢チェックで決められていました。

それでも「膨張の速さ」の謎は解けていません。138億年という答えの先に、まだ新しい物理が隠れているかもしれないのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerScientists say the universe is about 13.8 billion years old, but there is no birth certificate for the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Scientists say the universe is about 13.8 billion years old, but there is no birth certificate for the universe. So how did they find out? In 1929, Edwin Hubble reported that distant galaxies are moving away from us, which showed that the universe is expanding. If we run this expansion backward, everything was once packed together, at the Big Bang.

To calculate the age, scientists need to know how fast the universe is expanding now and what it is made of. The Planck satellite measured tiny patterns in the afterglow of the Big Bang very precisely. Its final results gave an age of about 13.787 billion years. The oldest stars, which are about 12 to 13 billion years old, agree with this.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

科学者たちは宇宙が約138億歳だと言いますが、宇宙に出生届はありません。では、どうやってわかったのでしょうか。1929年、エドウィン・ハッブルは、遠くの銀河が私たちから遠ざかっていることを報告し、これは宇宙が膨張していることを示しました。この膨張を逆回しすると、すべてはかつてビッグバンの時点で一か所に詰めこまれていたことになります。

年齢を計算するには、宇宙が今どれくらいの速さで膨張しているか、そして何でできているかを知る必要があります。プランク衛星は、ビッグバンの残り光にあるわずかな模様をとても精密に測りました。その最終結果では、年齢は約137億8,700万年となりました。約120〜130億歳である最も古い星も、これと矛盾しません。

4択リーディングクイズ

Q1. What did Edwin Hubble's discovery show?

Q2. What two things do scientists need to know to calculate the age?

Q3. Why does the writer mention the oldest stars?

重要単語

  • expansionB2
    名詞膨張The expansion of the universe was discovered in the 1920s. 動詞 expand(ex-「外へ」+pand「広げる」)。economic expansion(経済拡大)でも頻出。
  • afterglowC1
    名詞残光、なごりの光The cosmic microwave background is the afterglow of the Big Bang. after+glow(光る)。比喩で「余韻」の意味にも使う。
  • estimateB2
    動詞・名詞推定する/推定値Scientists estimate the age of the universe at 13.8 billion years. 動詞は /ˈestɪmeɪt/、名詞は /ˈestɪmət/ と語尾の発音が変わる。estimate A at B「A を B と見積もる」。
  • galaxyB1
    名詞銀河Distant galaxies are moving away from us. ギリシャ語 gala(乳)から。天の川 the Milky Way も「乳の道」で発想が同じ。
  • tensionB2
    名詞食い違い、緊張The Hubble tension is still a mystery. tense(張りつめた)の名詞形。日本語の「テンションが高い」とは意味が違うので注意。
  • discrepancyC1
    名詞食い違い、不一致There is a discrepancy between the two measurements. a discrepancy between A and B の形で使う。データ・統計の長文で頻出。
  • recedeC1
    動詞遠ざかる、後退するDistant galaxies recede from us faster. re-(後ろへ)+cede(行く)。名詞 recession は「景気後退」で入試頻出。

動画でもっと知る

宇宙の年齢「138億歳」って、出生届もないのにどうやって分かったの?答えは、宇宙のふくらむ速さを逆回しする方法と、ビッグバンの「残り光」の精密な観測。ただ、膨張の速さが測り方によってズレる謎も残っているらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Hubble (1929) A relation between distance and radial velocity among extra-galactic nebulae, PNASdoi.org
  2. Planck Collaboration (2020) Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters, Astronomy & Astrophysicsdoi.org
  3. Riess et al. (2022) A Comprehensive Measurement of the Local Value of the Hubble Constant with 1 km/s/Mpc Uncertainty from the Hubble Space Telescope and the SH0ES Team, The Astrophysical Journal Lettersdoi.org
  4. NASA Science: Hubble Constant and Tensionscience.nasa.gov