睡眠・休息ビミョー

「夢を見る睡眠」が長い人ほど、83の病気リスクが低かった。9.5万人の手首データ

「夢を見る睡眠」が長い人ほど、83の病気リスクが低かった。9.5万人の手首データ

読む前に予想してみよう!

この研究で、睡眠時間は長ければ長いほど病気のリスクが低かった

研究カード(どんな研究?)
対象
イギリスの中高年(平均56歳)
規模
9万5559人
研究の種類
前向きコホート研究(観察研究)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

9.5万人の手首センサーを約9年追跡。レム睡眠が長い人ほど、心臓病や認知症など83の病気のリスクが低い傾向。ただし因果はまだ不明。

ひとことで言うと夢を見るねむり(レム睡眠)が長い人ほど、病気になりにくい傾向があった!

もくじ
  1. 手首のセンサーで「睡眠の中身」を推定
  2. レム睡眠が長い人は、心臓にも脳にも有利だった
  3. 「長く寝れば寝るほどいい」わけではない
  4. まとめ

「何時間寝たか」は気にしても、「どんな睡眠だったか」まで気にしている人は少ないかもしれません。

2026年9月、医学誌『PLOS Medicine』に、中国の北京大学と首都医科大学の研究チームが、イギリスの大規模データベース「UKバイオバンク」に参加した9万5559人の睡眠を分析した論文を発表しました。

結果は、夢を見ることが多い「レム睡眠」が長い人ほど、その後の約9年間で83種類もの病気のリスクが低かったというものです。

01手首のセンサーで「睡眠の中身」を推定

ふつう、睡眠の段階を正確に測るには、病院で頭に電極をつける「睡眠ポリグラフ検査」が必要です。でも、それを何万人もやるのはムリ。

そこで、手首の動きから睡眠段階を推定するAIが使われました。このAIは、1,100晩以上の睡眠ポリグラフ検査と手首データを同時に取ったデータで学習・検証されたものです。

02レム睡眠が長い人は、心臓にも脳にも有利だった

分析の結果、レム睡眠が長い人ほど、12の分野にまたがる83の病気のリスクが低い傾向がありました。

たとえば、レム睡眠が約48分長いごとに、

  • 心不全のリスクは約26%低い
  • 認知症のリスクは約46%低い
  • 心房細動(不整脈の一種)や虚血性心疾患も低い

という関連が見られました。一方、深い睡眠が長いことは7つの病気(2型糖尿病やうつ病など)のリスクの低さと関連していました。

逆に、夜中に目が覚めている時間が長いことは6つの病気、睡眠時間が日によってバラバラなことは不安症やうつ病など3つの病気のリスクの高さと関連していました。

「何時間寝たか」だけでなく、「どの睡眠がどれだけあったか」が注目されている
「何時間寝たか」だけでなく、「どの睡眠がどれだけあったか」が注目されている

03「長く寝れば寝るほどいい」わけではない

睡眠時間そのものについては、多くの病気で6〜8時間がいちばんリスクが低いという結果でした。

特に目立ったのが5時間未満の人。6〜8時間の人と比べて不利な関連が見つかった41の組み合わせのうち、37が5時間未満のグループでした。短すぎる睡眠は、それだけ幅広い病気と関係していたのです。

04まとめ

睡眠は「時間」だけでなく「中身」と「規則正しさ」も大事かもしれない。そんなことを9万人規模のデータが示しました。

レム睡眠は、睡眠の後半に多く出てきます。つまり、早すぎる起床で睡眠の後ろを削ると、レム睡眠も削られやすいということ。まずは毎日だいたい同じ時間に、6〜8時間眠れる生活を目指してみませんか。

レム睡眠をもっと知りたい人は、ピンクノイズとレム睡眠の記事もどうぞ。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost people think about how long they sleep, but the type of sleep may also matter. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Most people think about how long they sleep, but the type of sleep may also matter. Researchers from Peking University and Capital Medical University analyzed data from 95,559 adults in the UK Biobank, whose average age was 56. Participants wore a wrist sensor for about a week, and an AI program estimated their REM, light, and deep sleep.

Over about nine years, people with longer REM sleep had a lower risk of 83 diseases, including heart failure and dementia. For total sleep time, six to eight hours was linked to the lowest risk for many diseases, while less than five hours looked the worst. The study was published in PLOS Medicine.

111 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人はどれだけ長く眠るかを考えますが、睡眠の種類も大切かもしれません。北京大学と首都医科大学の研究者たちは、平均年齢56歳のUKバイオバンクの成人95,559人のデータを分析しました。参加者は約1週間手首にセンサーをつけ、AIプログラムがレム睡眠、浅い睡眠、深い睡眠を推定しました。

約9年の間に、レム睡眠が長い人ほど、心不全や認知症を含む83の病気のリスクが低くなっていました。睡眠時間の合計については、6〜8時間が多くの病気で最もリスクの低さと結びついており、5時間未満が最も不利に見えました。この研究は『PLOS Medicine』に発表されました。

4択リーディングクイズ

Q1. How were the participants' sleep stages estimated?

Q2. Which amount of sleep was linked to the lowest risk for many diseases?

Q3. What is the main idea of the passage?

重要単語

  • REM sleepB2
    名詞(句)レム睡眠Most vivid dreams happen during REM sleep. REM は rapid eye movement(急速眼球運動)の頭文字。発音は /rem/(レム)。
  • durationB2
    名詞(継続)時間、期間Sleep duration is not the only thing that matters. during(~の間)と同じ語源。for the duration of ~「~の間ずっと」。
  • be associated withB2
    熟語~と関連しているShort sleep is associated with poor health. 観察研究で「因果ではなく関連」を表す定番表現。cause(引き起こす)との違いに注意。
  • sensorB1
    名詞センサー、感知装置The watch has a sensor that tracks movement. sense(感じる)+-or。motion sensor「人感センサー」。
  • irregularB1
    形容詞不規則なHe has an irregular sleep schedule. ir-(否定)+regular。irregular verbs「不規則動詞」でもおなじみ。
  • reverse causationC1
    名詞(句)逆の因果関係Reverse causation may explain the link. 「AがBを起こす」ではなく「BがAを起こしている」可能性。研究の限界を語るときの重要語。
  • follow-upB2
    名詞追跡調査(期間)The follow-up lasted nearly nine years. 動詞は follow up(ハイフンなし)。follow-up question「追加の質問」としても使う。

動画でもっと知る

9万5千人に手首センサーをつけて約9年追跡したら、「夢を見る睡眠」(レム睡眠)が長い人ほど、心不全や認知症など83種類の病気のリスクが低かったらしい。睡眠は「時間」だけじゃなく「中身」も大事かも。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Luo et al. (2026) Accelerometer-derived real-world sleep stages and risk of incident diseases: A UK Biobank cohort study and phenome-wide association analysis, PLOS Medicinedoi.org
  2. Leary et al. (2020) Association of Rapid Eye Movement Sleep With Mortality in Middle-aged and Older Adults, JAMA Neurologydoi.org
  3. Windred et al. (2023) Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: A prospective cohort study, SLEEPdoi.org