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親子ゲンカは「回数」より「熱さ」が変わる。反抗期のイメージをくつがえしたメタ分析

親子ゲンカは「回数」より「熱さ」が変わる。反抗期のイメージをくつがえしたメタ分析

読む前に予想してみよう!

親子の衝突の回数は、中学生から高校生にかけて増え続ける

研究カード(どんな研究?)
対象
10代とその親
規模
数十研究
研究の種類
メタ分析・レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

親子の衝突の「回数」は10代前半から年齢とともに減っていく。一方、ケンカの「感情の熱さ」は10代半ばにかけて強まる。そして衝突は関係を作り直すきっかけにもなる。

ひとことで言うと反抗期のケンカは、回数は減っても「熱く」なりやすい。でも悪いことばかりじゃない。

もくじ
  1. 衝突の「回数」は、むしろ減っていく
  2. なぜ「熱く」なるのか
  3. 衝突は「関係の作り直し」の手段にもなりうる
  4. どんでん返し:「みんなが荒れる」わけではない
  5. まとめ

「うるさいなあ!」「誰に向かって口きいてるの!」。中学生くらいになると、家の中でこんなやりとりが増えた…という家庭は多いかもしれません。いわゆる「反抗期」です。

よく言われるのは、「反抗期のケンカは中学生でピークを迎えて、そのあと収まる」というイメージ。でも、研究をまとめてみると、その「山なり」のイメージはあまり支持されなかったのです。

01衝突の「回数」は、むしろ減っていく

つまり、親子ゲンカは「どんどん増える」のではなく、回数は少しずつ減るけれど、1回1回が熱くなりやすい、というイメージが近いのです。

02なぜ「熱く」なるのか

10代になると、子どもは自分のことは自分で決めたいという気持ちが強まります。服装、髪型、門限、スマホの使い方、友達付き合い……。親が「心配だから」と口を出すことと、子どもが「自分の問題だ」と考えることのズレが、衝突の火種になります。

しかも、10代は感情を強く感じやすい時期でもあります。だからこそ、1回のケンカの温度が上がりやすいのかもしれません。

火花が散っても、根っこはつながっている
火花が散っても、根っこはつながっている

03衝突は「関係の作り直し」の手段にもなりうる

オランダ・ユトレヒト大学のBranjeさんは2018年のレビューで、親子の衝突には大切な役割があると述べています。

思春期は、親が子どもを「守り、決める」関係から、もっと対等な関係へと移っていく時期です。その役割分担の作り直しは、話し合いや、ときにはぶつかり合いを通して進んでいきます。

Branjeさんによると、衝突のときに怒りや悲しみだけでなく、ポジティブな感情にも柔軟に切り替えられる親子ほど、関係をうまく作り直していける傾向があるそうです。ケンカそのものより、ケンカの最中に気持ちを柔軟に切り替えられることが大事なのです。

04どんでん返し:「みんなが荒れる」わけではない

アメリカの心理学者Arnettさんは1999年、思春期を「疾風怒濤」の時期とする古典的な見方を見直しました。その結論は、「すべての10代が疾風怒濤を経験するわけではない。でも、ほかの年齢より起こりやすい」というもの。

親子関係のぶつかり方には、個人差や文化差がとても大きいのです。「反抗期がない=問題」でも、「反抗期が激しい=問題」でもありません。

05まとめ

反抗期の親子ゲンカは、回数が年齢とともに減っていく一方、熱さは10代半ばにかけて強まりやすい。そして、その衝突は親子が対等な関係へと作り直すためのプロセスでもありました。

ぶつかることを恐れすぎなくていい。大切なのは、ぶつかったあとにちゃんと戻ってこられることなのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFights between parents and teenagers are commonly said to peak in junior high school. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Fights between parents and teenagers are commonly said to peak in junior high school. In 1998, three American researchers tested this idea in a meta-analysis. They looked separately at how often conflicts happened and how emotional they were. The number of conflicts decreased steadily from early to late adolescence, but the emotional intensity increased from early to middle adolescence.

The idea of a rise and then a fall received little support. Teenagers want to make their own decisions about clothes, curfews and friends, while parents want to protect them, so arguments can become heated. According to a 2018 review, families who can shift flexibly between negative and positive emotions during conflicts tend to rebuild their relationships more successfully.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

親と10代のケンカは中学生でピークを迎えるとよく言われます。1998年、3人のアメリカの研究者がメタ分析でこの考えを確かめました。彼らは、衝突がどのくらいの頻度で起きるかと、どのくらい感情的かを分けて調べました。衝突の回数は思春期の前半から後半にかけて着実に減っていきましたが、感情の激しさは前半から半ばにかけて強まっていました。

いったん増えてから減るという考えは、ほとんど支持されませんでした。10代は服装や門限、友達について自分で決めたいと思い、親は子どもを守りたいと思うので、言い争いが熱くなることがあります。2018年のレビューによると、衝突の最中に否定的な感情と肯定的な感情の間を柔軟に切り替えられる家族ほど、関係をうまく作り直せる傾向があります。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the 1998 meta-analysis find?

Q2. Which idea received little support?

Q3. What does the 2018 review suggest?

重要単語

  • conflictB2
    名詞・動詞対立・衝突(する)Conflict with parents is common in adolescence. 名詞はアクセントが前(CON-flict)、動詞は後ろ。conflict with ~「~と矛盾する」。
  • intensityC1
    名詞激しさ・強さThe intensity of arguments may increase. 形容詞 intense(激しい)。intensive(集中的な)と区別する。
  • frequencyB2
    名詞頻度・回数The frequency of conflict declines with age. intensity(強さ)と frequency(回数)を分けて考えるのがこの研究のポイント。
  • renegotiateC1
    動詞再交渉する・作り直すTeens and parents renegotiate their roles. re-(再び)+negotiate(交渉する)。名詞 negotiation。
  • storm and stressC1
    名詞(句)疾風怒濤Not every teen goes through storm and stress. ドイツ語 Sturm und Drang の英訳。心理学者ホールが思春期を表すのに使った有名な表現。
  • egalitarianC1
    形容詞対等な・平等主義のTheir relationship became more egalitarian. フランス語 égal(平等な)から。equal と同じ語源で、難関大の長文で見かける。
「反抗期のケンカは中学生でピーク」…と思いきや、研究をまとめたら親子の衝突の回数は10代前半から年齢とともに減っていたらしい。代わりに強まるのはケンカの「熱さ」。しかも衝突は、親子関係の作り直しにも役立つことがあるらしい。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Laursen, Coy & Collins (1998) Reconsidering Changes in Parent-Child Conflict across Adolescence: A Meta-Analysis, Child Developmentdoi.org
  2. Branje (2018) Development of Parent–Adolescent Relationships: Conflict Interactions as a Mechanism of Change, Child Development Perspectivesdoi.org
  3. Arnett (1999) Adolescent storm and stress, reconsidered, American Psychologistdoi.org