親子ゲンカは「回数」より「熱さ」が変わる。反抗期のイメージをくつがえしたメタ分析

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親子の衝突の回数は、中学生から高校生にかけて増え続ける
メタ分析では、衝突の回数は10代前半から後半にかけて減っていく傾向だった。ただし感情の強さは10代半ばにかけて強まった。
- 対象
- 10代とその親
- 規模
- 数十研究
- 研究の種類
- メタ分析・レビュー
- 確かさ
- ★★★☆☆
親子の衝突の「回数」は10代前半から年齢とともに減っていく。一方、ケンカの「感情の熱さ」は10代半ばにかけて強まる。そして衝突は関係を作り直すきっかけにもなる。
ひとことで言うと反抗期のケンカは、回数は減っても「熱く」なりやすい。でも悪いことばかりじゃない。
「うるさいなあ!」「誰に向かって口きいてるの!」。中学生くらいになると、家の中でこんなやりとりが増えた…という家庭は多いかもしれません。いわゆる「反抗期」です。
よく言われるのは、「反抗期のケンカは中学生でピークを迎えて、そのあと収まる」というイメージ。でも、研究をまとめてみると、その「山なり」のイメージはあまり支持されなかったのです。
01衝突の「回数」は、むしろ減っていく
つまり、親子ゲンカは「どんどん増える」のではなく、回数は少しずつ減るけれど、1回1回が熱くなりやすい、というイメージが近いのです。
02なぜ「熱く」なるのか
10代になると、子どもは自分のことは自分で決めたいという気持ちが強まります。服装、髪型、門限、スマホの使い方、友達付き合い……。親が「心配だから」と口を出すことと、子どもが「自分の問題だ」と考えることのズレが、衝突の火種になります。
しかも、10代は感情を強く感じやすい時期でもあります。だからこそ、1回のケンカの温度が上がりやすいのかもしれません。

03衝突は「関係の作り直し」の手段にもなりうる
オランダ・ユトレヒト大学のBranjeさんは2018年のレビューで、親子の衝突には大切な役割があると述べています。
思春期は、親が子どもを「守り、決める」関係から、もっと対等な関係へと移っていく時期です。その役割分担の作り直しは、話し合いや、ときにはぶつかり合いを通して進んでいきます。
Branjeさんによると、衝突のときに怒りや悲しみだけでなく、ポジティブな感情にも柔軟に切り替えられる親子ほど、関係をうまく作り直していける傾向があるそうです。ケンカそのものより、ケンカの最中に気持ちを柔軟に切り替えられることが大事なのです。
04どんでん返し:「みんなが荒れる」わけではない
アメリカの心理学者Arnettさんは1999年、思春期を「疾風怒濤」の時期とする古典的な見方を見直しました。その結論は、「すべての10代が疾風怒濤を経験するわけではない。でも、ほかの年齢より起こりやすい」というもの。
親子関係のぶつかり方には、個人差や文化差がとても大きいのです。「反抗期がない=問題」でも、「反抗期が激しい=問題」でもありません。
05まとめ
反抗期の親子ゲンカは、回数が年齢とともに減っていく一方、熱さは10代半ばにかけて強まりやすい。そして、その衝突は親子が対等な関係へと作り直すためのプロセスでもありました。
ぶつかることを恐れすぎなくていい。大切なのは、ぶつかったあとにちゃんと戻ってこられることなのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFights between parents and teenagers are commonly said to peak in junior high school.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
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Many people think fights between parents and teenagers increase in junior high school and then stop. But a study that combined many studies found something different. The number of fights goes down little by little as teenagers get older.
However, the fights can become more emotional until the middle teens. Fighting is not always bad. It can help parents and teenagers build a more equal relationship.
66 words ・ CEFR A2
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多くの人は、親と10代のケンカは中学生で増えて、その後おさまると考えています。しかし、多くの研究をまとめた研究では、違う結果がわかりました。ケンカの回数は、10代が成長するにつれて少しずつ減っていきます。
けれども、10代半ばまでは、ケンカがより感情的になることがあります。ケンカはいつも悪いわけではありません。親と10代がより対等な関係を作る助けにもなるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
親子ゲンカの回数と熱さが10代の間にどう変わるかがテーマなので A。
Q2. What happens to the number of fights as teenagers get older?
The number of fights goes down little by little as teenagers get older. とあるので B。
Q3. In this passage, "equal" relationship means a relationship where ...
equal は「対等な・平等な」。親が一方的に決めるのではなく、同じ立場に近づく関係なので D。
Fights between parents and teenagers are commonly said to peak in junior high school. In 1998, three American researchers tested this idea in a meta-analysis. They looked separately at how often conflicts happened and how emotional they were. The number of conflicts decreased steadily from early to late adolescence, but the emotional intensity increased from early to middle adolescence.
The idea of a rise and then a fall received little support. Teenagers want to make their own decisions about clothes, curfews and friends, while parents want to protect them, so arguments can become heated. According to a 2018 review, families who can shift flexibly between negative and positive emotions during conflicts tend to rebuild their relationships more successfully.
118 words ・ CEFR B1
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親と10代のケンカは中学生でピークを迎えるとよく言われます。1998年、3人のアメリカの研究者がメタ分析でこの考えを確かめました。彼らは、衝突がどのくらいの頻度で起きるかと、どのくらい感情的かを分けて調べました。衝突の回数は思春期の前半から後半にかけて着実に減っていきましたが、感情の激しさは前半から半ばにかけて強まっていました。
いったん増えてから減るという考えは、ほとんど支持されませんでした。10代は服装や門限、友達について自分で決めたいと思い、親は子どもを守りたいと思うので、言い争いが熱くなることがあります。2018年のレビューによると、衝突の最中に否定的な感情と肯定的な感情の間を柔軟に切り替えられる家族ほど、関係をうまく作り直せる傾向があります。
4択リーディングクイズ
Q1. What did the 1998 meta-analysis find?
The number of conflicts decreased steadily ... but the emotional intensity increased from early to middle adolescence とあるので C。
Q2. Which idea received little support?
The idea of a rise and then a fall received little support. とあるので D。
Q3. What does the 2018 review suggest?
否定的な感情と肯定的な感情の間を柔軟に切り替えられる家族ほど関係をうまく作り直せる、つまりケンカの扱い方が大事だと示しているので B。
Laursen, Coy and Collins pooled earlier studies of parent-adolescent conflict, separating how often families argued from how heated the arguments became. Popular wisdom says conflict follows an inverted U shape, rising in early adolescence and then fading. The meta-analysis found little support for that pattern. The rate of conflict fell from early to middle adolescence and again toward late adolescence.
But the emotional intensity of conflicts rose from early to middle adolescence. Part of the reason may be that teenagers want more say over clothing, curfews and friendships, which parents may still see as their responsibility, and teenage emotions run high. Relatively few of the studies looked at puberty itself, so its role is less clear. Conflict is not simply harmful, though.
In a 2018 review, Branje argued that it helps families renegotiate their roles as the relationship shifts from parental control toward something more equal. Families that can move flexibly between negative and positive emotions appear better able to reorganize their relationships. Individual and cultural differences are large. A teenager who never rebels is not automatically a problem, and neither is a family that argues intensely.
187 words ・ CEFR B2
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Laursenさん、Coyさん、Collinsさんは、親と10代の衝突に関するそれまでの研究をまとめ、家族がどれくらい頻繁に言い争うかと、その言い争いがどれくらい激しくなるかを分けて分析しました。一般的な考えでは、衝突は逆U字型をたどり、思春期の初めに増え、その後おさまるとされています。このメタ分析は、そのパターンをほとんど支持しませんでした。衝突の頻度は思春期の前半から半ばにかけて減り、後半に向けてさらに減りました。
しかし衝突の感情の激しさは、前半から半ばにかけて強まりました。その理由の一部は、10代は服装や門限、友人関係についてもっと自分で決めたいと思うのに対し、親はそれをまだ自分の責任だと考えているかもしれないこと、そして10代は感情が高ぶりやすいことにありそうです。思春期の体の成熟そのものを調べた研究は比較的少なく、その役割はあまりはっきりしていません。とはいえ、衝突は単に有害なわけではありません。
2018年のレビューでBranjeさんは、関係が親による管理からより対等なものへと移り変わる中で、衝突は家族が役割を作り直す助けになると主張しました。否定的な感情と肯定的な感情の間を柔軟に行き来できる家族ほど、関係をうまく組み立て直せるようです。個人差や文化差は大きいものです。まったく反抗しない10代が自動的に問題だというわけではなく、激しく言い争う家族も同じです。
4択リーディングクイズ
Q1. Which view did the meta-analysis challenge?
一般的な考えとして紹介された inverted U shape(増えてからおさまる)を、メタ分析はほとんど支持しなかったので B。
Q2. According to Branje, what role can conflict play?
it helps families renegotiate their roles とあるので A。
Q3. Which limitation of the research does the passage mention?
Relatively few of the studies looked at puberty itself, so its role is less clear. とあるので C。
重要単語
- conflictB2名詞・動詞対立・衝突(する)Conflict with parents is common in adolescence.
名詞はアクセントが前(CON-flict)、動詞は後ろ。conflict with ~「~と矛盾する」。 - intensityC1名詞激しさ・強さThe intensity of arguments may increase.
形容詞 intense(激しい)。intensive(集中的な)と区別する。 - frequencyB2名詞頻度・回数The frequency of conflict declines with age.
intensity(強さ)と frequency(回数)を分けて考えるのがこの研究のポイント。 - renegotiateC1動詞再交渉する・作り直すTeens and parents renegotiate their roles.
re-(再び)+negotiate(交渉する)。名詞 negotiation。 - storm and stressC1名詞(句)疾風怒濤Not every teen goes through storm and stress.
ドイツ語 Sturm und Drang の英訳。心理学者ホールが思春期を表すのに使った有名な表現。 - egalitarianC1形容詞対等な・平等主義のTheir relationship became more egalitarian.
フランス語 égal(平等な)から。equal と同じ語源で、難関大の長文で見かける。
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「反抗期のケンカは中学生でピーク」…と思いきや、研究をまとめたら親子の衝突の回数は10代前半から年齢とともに減っていたらしい。代わりに強まるのはケンカの「熱さ」。しかも衝突は、親子関係の作り直しにも役立つことがあるらしい。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Laursen, Coy & Collins (1998) Reconsidering Changes in Parent-Child Conflict across Adolescence: A Meta-Analysis, Child Developmentdoi.org
- Branje (2018) Development of Parent–Adolescent Relationships: Conflict Interactions as a Mechanism of Change, Child Development Perspectivesdoi.org
- Arnett (1999) Adolescent storm and stress, reconsidered, American Psychologistdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。










