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嘘をつくと鼻の温度が変わる「ピノキオ効果」。でも"上がるか下がるか"は研究でバラバラ

嘘をつくと鼻の温度が変わる「ピノキオ効果」。でも"上がるか下がるか"は研究でバラバラ

読む前に予想してみよう!

サーモグラフィで鼻の温度を測れば、嘘はほぼ確実に見抜ける

研究カード(どんな研究?)
対象
スペインなどの成人
規模
数十人規模の実験を複数
研究の種類
実験(サーモグラフィ測定)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

嘘をつくと鼻のまわりの温度が変わるという研究がある。ただし「下がる」「上がる」と結果は割れ、空港の実験では人間の面接官のほうが見抜けた。万能ではない。

ひとことで言うと嘘で鼻の温度は変わる…かも。でもカメラだけで嘘は見抜けない!

もくじ
  1. 嘘をつくと、鼻の温度が下がった
  2. ところが「上がった」研究もある
  3. 空港で試したら、人間の勝ち
  4. いちばん怖いのは「正直者が疑われる」こと
  5. まとめ

嘘をつくと鼻が伸びる——ピノキオのお話です。もちろん現実の鼻は伸びません。

でも、もしかしたら「鼻の温度」なら変わるかもしれない。スペインのグラナダ大学の研究チームは、熱を色で映し出すサーモグラフィを使ってこの疑問を調べ、「ピノキオ効果」と呼びました。

結論から言うと、この話は「ちょっとホント、でも過信は禁物」です。

01嘘をつくと、鼻の温度が下がった

嘘をつくときの緊張やストレスで自律神経が反応し、鼻先の血流が変わる——研究チームはそう考えています。

02ところが「上がった」研究もある

話はここからややこしくなります。

2016年、イタリアの研究チームが、自分の得になる嘘をつくかどうかを参加者に自由に選ばせる実験を行ったところ、評判がかかる場面での嘘では、逆に鼻の温度が上がるパターンが見られたのです。

グラナダ大学のチーム自身も2018年の論文で、鼻の温度は感情的な課題では下がり、頭を使う課題では上がる傾向があり、嘘の場面ではストレス、考える負荷、相手への共感などが混ざり合って、上がるか下がるかは状況しだいと述べています。

嘘で鼻の温度は「変わる」。でも方向は研究ごとにバラバラ
嘘で鼻の温度は「変わる」。でも方向は研究ごとにバラバラ

03空港で試したら、人間の勝ち

では、実際の場面で使えるのでしょうか。

2011年、イギリスの研究者が国際空港の出発ロビーで実験を行いました。乗客51人に、これからの旅行について本当のことか嘘を話してもらい、顔の温度をサーモカメラで記録したのです。

嘘をついた人の皮膚温度は面接中に上がる傾向があり、カメラの判定で約3分の2を正しく分類できました。ところが、同じ面接をした人間の面接官のほうが、正答率が高かったのです。しかも、カメラの情報を組み合わせても、面接官の正答率は上がりませんでした。

ちなみに、人がふつうに相手の嘘を見抜ける確率は、たくさんの研究をまとめると約54%。コイン投げよりわずかに上、という程度です。

04いちばん怖いのは「正直者が疑われる」こと

嘘発見の技術で忘れてはいけないのが、誤検出の問題です。

空港や取り調べのように緊張する場面では、嘘をついていない人もドキドキして顔の温度が変わります。もしサーモカメラの判定をうのみにすれば、正直に話している人が「怪しい」と疑われてしまうかもしれません。

嘘を見抜く精度が少し上がっても、無実の人を疑う割合が高ければ、その技術は社会で安心して使えません。サーモグラフィを嘘発見に使うことに、多くの研究者が慎重なのはこのためです。

05まとめ

嘘をつくと体が反応する。それ自体は本当かもしれません。でも、その反応は緊張しているだけの正直者にも起こります。

鼻の温度で嘘を見抜く時代は、まだ来ていません。人を疑うときこそ、機械より事実と対話を大事にしたいですね。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerResearchers at the University of Granada in Spain used thermal cameras, which show heat as colors, to study… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Researchers at the University of Granada in Spain used thermal cameras, which show heat as colors, to study what they called the "Pinocchio effect." In a 2017 study, people told an important lie to someone close to them on the phone, and the temperature of their nose tip and hands tended to drop.

However, in a 2016 Italian study, the nose became warmer in some situations. The Granada team later explained that stress, mental effort and other factors can push the temperature in different directions. In a 2011 airport study, thermal cameras correctly classified about two-thirds of travelers, but human interviewers did even better. Another problem is that honest people may also feel nervous and show the same changes.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

スペインのグラナダ大学の研究者たちは、熱を色で映し出すサーモカメラを使って、彼らが「ピノキオ効果」と呼ぶものを研究しました。2017年の研究では、人々が電話で親しい人に大事な嘘をつくと、鼻先と手の温度が下がる傾向がありました。

しかし2016年のイタリアの研究では、ある状況で鼻がより温かくなりました。グラナダのチームは後に、ストレス、頭を使う負荷、その他の要因が、温度を異なる方向に動かしうると説明しました。2011年の空港での研究では、サーモカメラは旅行者の約3分の2を正しく分類しましたが、人間の面接官はさらにうまくやりました。もう1つの問題は、正直な人も緊張して同じ変化を示すかもしれないことです。

4択リーディングクイズ

Q1. What happened in the 2017 study when people lied?

Q2. In the airport study, who detected lies best?

Q3. Why might thermal cameras be unfair to honest people?

重要単語

  • thermographyC1
    名詞熱画像撮影、サーモグラフィThermography shows heat as colors. thermo-(熱)+-graphy(記録)。thermometer(温度計)、thermal(熱の)も同語源。
  • deceptionC1
    名詞ごまかし、嘘Detecting deception is harder than people think. 動詞 deceive。deceive 人 into doing(人をだまして~させる)の語法も頻出。
  • lie detectorB2
    名詞(句)嘘発見器No lie detector is perfect. detect(見つけ出す)+-or。正式には polygraph(ポリグラフ)とも。
  • blood flowB2
    名詞(句)血流Stress changes blood flow in the face. flow は「流れ」。cash flow(資金の流れ)、go with the flow(流れに身を任せる)。
  • false alarmB2
    名詞(句)誤検出、誤報False alarms can hurt innocent people. 火災報知器の「誤報」から。研究では false positive(偽陽性)とほぼ同じ意味で使われる。
  • attributeC1
    動詞(原因を)~に帰するThey attributed the change to stress. attribute A to B(AをBのせいにする・Bに帰する)の形が入試頻出。名詞では「属性」。
  • soberingC1
    形容詞冷静にさせる、浮かれた気分をさますThe results were sobering. sober(しらふの・冷静な)から。期待に冷や水をかけるような事実に使う。

動画でもっと知る

嘘をつくと鼻の温度が変わる「ピノキオ効果」をサーモカメラで調べた研究がある。でも"下がった"研究も"上がった"研究もあって方向はバラバラ。空港の実験では、カメラより面接官のほうが嘘を見抜けたらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Moliné et al. (2017) The Pinocchio effect and the Cold Stress Test: Lies and thermography, Psychophysiologydoi.org
  2. Moliné et al. (2018) The mental nose and the Pinocchio effect: Thermography, planning, anxiety, and lies, Journal of Investigative Psychology and Offender Profilingdoi.org
  3. Panasiti et al. (2016) Thermal signatures of voluntary deception in ecological conditions, Scientific Reportsdoi.org
  4. Warmelink et al. (2011) Thermal imaging as a lie detection tool at airports, Law and Human Behaviordoi.org
  5. Bond & DePaulo (2006) Accuracy of deception judgments, Personality and Social Psychology Reviewdoi.org