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さみしさは血液に出る? 4万人の血液から見つかった「孤独のタンパク質」

さみしさは血液に出る? 4万人の血液から見つかった「孤独のタンパク質」

読む前に予想してみよう!

孤独を感じている人の血液では、炎症などに関わるタンパク質が多い傾向が見られた

研究カード(どんな研究?)
対象
UKバイオバンクの中高年
規模
約4.2万人
研究の種類
前向きコホート研究+メンデルランダム化
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

約4.2万人の血液を調べたら、孤独な人は炎症などに関わるタンパク質が多い傾向。その一部は心臓病や脳卒中のリスクとも関連していた。

ひとことで言うとさみしい気持ちは、血の中のタンパク質にも表れているかも!

もくじ
  1. 4万2000人の血液、約3000種類のタンパク質
  2. 炎症や免疫に関わるタンパク質が多かった
  3. 「孤独が原因で増える」かもしれない5つのタンパク質
  4. まとめ

「孤独は体に悪い」――そんな話を聞いたことがあるかもしれません。実際、148本の研究をまとめた2010年の分析でも、人とのつながりが多い人ほど生存率が高い傾向が示されています。

でも、さみしいという「気持ち」が、どうやって「体」に影響するのかは、よく分かっていませんでした。

2025年、中国とイギリスの研究チームが、その手がかりを血液の中に見つけました。

014万2000人の血液、約3000種類のタンパク質

「社会的孤立」は客観的な状態、「孤独感」は主観的な気持ち。この2つは似ているようで、別物として扱われています。

02炎症や免疫に関わるタンパク質が多かった

分析の結果、孤立や孤独と関係していたタンパク質の多くは、

  • 炎症
  • ウイルスへの防御反応
  • 免疫の仕組み(補体)

に関わるものでした。そしてその半分以上が、その後約14年間の追跡で、心臓病、2型糖尿病、脳卒中、死亡のリスクと関連していました。

気持ちの変化が、血液の中身にも反映されている可能性がある
気持ちの変化が、血液の中身にも反映されている可能性がある

03「孤独が原因で増える」かもしれない5つのタンパク質

さらに研究チームは、遺伝子の情報を使って因果関係を推測する「メンデルランダム化」という方法で分析しました。

その結果、孤独感がもとになって増えている可能性があるタンパク質が5つ見つかりました。たとえばそのひとつADMは、ストレスや「絆ホルモン」と呼ばれるオキシトシンに関わるとされ、多いほど心臓病や脳卒中のリスクとも関連していました。

これらのタンパク質は、孤独と心臓病・脳卒中・死亡との関係を一部説明していたと報告されています。

先ほどの5つのうちのもうひとつ、ASGR1というタンパク質は、コレステロールの高さや心臓病のリスクとの関連が知られています。孤独と体の病気をつなぐ「通り道」の候補が、少しずつ見えてきたと言えます。

04まとめ

「さみしい」は、心だけの問題ではないかもしれません。体の中でも、炎症や免疫のバランスに影響している可能性が見えてきました。

研究者は、人とのつながりを保つことが健康を守る手段になりうると話しています。今日、しばらく連絡していない誰かに「元気?」と一言送ってみる。それは、相手にとっても自分にとっても、小さな健康習慣になるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany studies have shown that people with strong social connections tend to live longer, but it is not clear… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many studies have shown that people with strong social connections tend to live longer, but it is not clear how feelings like loneliness affect the body. In 2025, researchers from Fudan University in China and the University of Cambridge in the UK looked for clues in the blood. Using data from the UK Biobank, they measured 2,920 proteins in the blood of 42,062 people.

Many proteins linked to social isolation and loneliness were involved in inflammation and the immune system. More than half of them were also connected to heart disease, type 2 diabetes, stroke, and death over about 14 years. The researchers note that social isolation and loneliness are different: one is an objective situation, and the other is a feeling.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

人とのつながりが強い人ほど長生きする傾向があることは多くの研究で示されてきましたが、孤独のような気持ちがどのように体に影響するのかは、はっきりしていません。2025年、中国の復旦大学とイギリスのケンブリッジ大学の研究者たちは、血液の中に手がかりを探しました。UKバイオバンクのデータを使い、4万2062人の血液に含まれる2920種類のタンパク質を測定しました。社会的孤立や孤独感と関連するタンパク質の多くは、炎症や免疫の仕組みに関わるものでした。

その半分以上は、約14年間の追跡期間中の心臓病、2型糖尿病、脳卒中、死亡とも結びついていました。研究者たちは、社会的孤立と孤独感は別物だと指摘しています。一方は客観的な状況であり、もう一方は気持ちなのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What question did the researchers try to answer?

Q2. What were many of the related proteins involved in?

Q3. According to the passage, how are social isolation and loneliness different?

重要単語

  • lonelinessB1
    名詞孤独感Loneliness can affect both mind and body. lonely(さみしい)+-ness。alone(一人で)は状態、lonely は気持ち、という違いが入試頻出。
  • social isolationB2
    名詞(句)社会的孤立Social isolation is common among older adults. isolate(孤立させる)の名詞形。isolation は客観的な状態、loneliness は主観的な気持ち。
  • inflammationC1
    名詞炎症Chronic inflammation may harm the heart. inflame(火をつける)が語源で「体の中が燃える」イメージ。chronic inflammation「慢性炎症」。
  • proteinB1
    名詞タンパク質The blood test measured thousands of proteins. 発音は /ˈproʊtiːn/(プロウティーン)。「プロテイン」の発音・アクセントに注意。
  • mortalityC1
    名詞死亡(率)Loneliness is linked to higher mortality. mortal(死すべき運命の)の名詞形。immortal は「不死の」。infant mortality「乳児死亡率」。
  • pathwayC1
    名詞経路、道筋Scientists are searching for the biological pathway. path(小道)+way。研究では「原因から結果に至る仕組みの道筋」の意味で使う。
約4.2万人の血液中の約3000種類のタンパク質を調べたら、孤独な人に多いタンパク質が見つかったらしい。そのうち5つは「孤独が原因で増える」可能性があり、心臓病や脳卒中のリスクとも関連していた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Shen et al. (2025) Plasma proteomic signatures of social isolation and loneliness associated with morbidity and mortality, Nature Human Behaviourdoi.org
  2. Holt-Lunstad et al. (2015) Loneliness and Social Isolation as Risk Factors for Mortality: A Meta-Analytic Review, Perspectives on Psychological Sciencedoi.org
  3. Holt-Lunstad, Smith & Layton (2010) Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review, PLoS Medicinedoi.org